運転免許証を持っている方はもちろん
クルマを運転中に緊急車両が近づいたら道を譲ることはご存知でしょう。
でも、急にその状況がきても、どう対処すればいいか戸惑うかもしれません。

今回はモータリングライター  藤田竜太さんにお話を伺い
緊急車両と道の譲り方についてお伝えしました。





緊急自動車とは道路交通法で消防用自動車・救急用自動車・
その他の政令の定める自動車で、当該緊急用務のため運転中のものと定義されています。

これらの車両がサイレンを鳴らし、赤色の警告灯を点灯させて走行した場合、
優先走行権が与えられ、赤信号の交差点に侵入できたり、
追い越し禁止や一時停止、 通行禁止区分なども特例として除外・免除されます。
また、最高速度も規制標識に関係なく法定速度での走行が認められます。





多くの方がパトカー・消防車・救急車が緊急車両となることは
認識していると思いますが、実は他にも結構あります。


<公共の緊急自動車>

皇宮警察車両、自衛隊の警務車両や化学防護車両、   
高速道路の道路パトロール車両、自治体の救援車活動車両、
災害対策本部車両、爆発物処理筒車両など


<民間の緊急自動車>

電力会社、ガス会社、水道会社の緊急作業車両、
JAFなどのレッカー車両、赤十字血液センターや製薬会社の輸血や臓器の搬送車両、
病院のドクターカーなど


ただ、これらも常に「緊急車両」ではありません。
前述のように「赤い警告灯をつけ、サイレンを鳴らして運転中」であることが要件。
となると「あれ? 他の色の警告灯は?」と思った方もいるでしょう。
道路維持作業用の黄色など、赤以外の色は緊急車両には該当しません。





「緊急車両」が何か? 把握したところで、
緊急車両が近づいてきた時の道の譲り方です。


【一般道】

一般道で緊急車両への道を譲る際は、
とりあえず道路の左側によって緊急自動車に進路を譲ります。
この時、原則として停車する必要はありません。
片側2車線以上の道路なら追い越し車線を開けるのがルール。
一方通行の道でも左側によって進路を譲るのが原則ですが
左側に寄ると緊急車両の進行の妨げになるなら右側に寄るのもOKです。
いずれの場合でも急停車するのは危険なのでやめましょう。
道路が渋滞していなければ少しスローダウンして進路を譲れば十分です。


【交差点付近】

交差点付近で緊急自動車が近づいてきた場合は、交差点の手前に停車するか、
左折もしくは直進して交差点を出た後、一時停止する義務があります。
交差点内で道を譲るのは厳禁で赤信号でも自分の車が緊急自動車の進路を塞いでいる
場合は、車を動かし進路を譲ることを優先させなければいけません。
肝心なのは自分が交差点内に止まらないようにすること。
これが安全にもつながります。


【高速道路】

高速道路では、まず緊急車両が本線に合流する時や本線から出る時に、
その進行を妨げないように注意します。
本線では追い越し車線を開けるようにして、
走行車線で安全を確保しながらそのまま走行するのがポイント。
緊急車両が後方から近づいてきたからといって急に減速や停止をすると
後続車の走行に影響を与えて事故のリスクが増えるのでやめましょう。





そして、どんな状況でも緊急車両に道を譲ろうとアクションを起こすことで
事故を起こしてしまわないよう気をつける必要があります。
周囲の状況をよく確認し慌てず落ち着いて行動して下さい。
慌てず、安全に、道を譲りましょう。

いよいよ夏休み。
保護者の皆さんは子どもと行動を共にする時間が増えるでしょう。

そんな時に絶対にあってはならないのが、子どもの車内への置き去り。
残念ながら毎年のように車内置き去りによる、
子どもの熱中症事故が報道されます。

また、ドライブ中でも車内にずっといることで、
子どもが熱中症事故につながる恐れもあります。

今週はNPO法人 Safe Kids Japan理事長
小児科医の山中龍宏さんにお話を伺い
真夏の車内の熱中症事故を防ぐために心がけたいことをお伝えしました。



昨年9月には静岡県牧之原市の保育園で
園バスに3歳の女の子が置き去りにされて亡くなるという痛ましい事故がありました。

実は一般家庭の自動車でもこうしたことは起こっていると山中先生。
その発生にはパターンがあるそうです。

それは普段あまり子供の送り迎えをしないお父さんが子どもを複数乗せ
1つの園に送ったあとで、もう1ヶ所に預けることを忘れ、
帰宅して家の駐車場に止めて自宅で仕事をする。
そして、午後に子供を迎えに行こうと車を運転して保育園に迎えに行ったところ、
「今日は来てません」ってことで自動車をみたら子供が熱中症で死亡していたというもの。

山中先生曰く、死亡例はニュースになるので広く知られますが、それは氷山の一角。
その10倍、20倍は熱中症にかかって入院してる子もいるだろうと話していました。





JAFが真夏の炎天下で車内温度がどのように変化するのか実験しています。
8月の晴天、外気温35℃の状況下、昼12時から16時の車内温度を測定。
窓を閉め切ったクルマはエンジンを停めて30分後には約45℃を記録。
その後も上昇を続けて3時間後には55℃を超えました。

熱中症になりやすいのは子ども・高齢者・ペット。
子どもが熱中症になりやすい一番の理由は体内の水分量が多いから。

人間は暑い時に汗を出して体温を下げますが、
あまりに暑くて湿度が高いと体温が下がりません。
すると体の中に熱がこもり、体内の温度が40度ぐらいになって
心臓とか肝臓とか脳などが機能障害を起こし、場合によっては死亡に至ります。
高齢者は体内の水分量はやや少ないので
脱水が進むと、より早く熱中症になりやすくなります。
一般的に夏の停車したエアコンの効いていない車内では
15分ぐらいで熱中症になり、死亡する危険度は高まるそうです。





この猛暑の中、クルマの中に子どもを一人だけにする、
またお年寄りやペットだけにするのは「ちょっとだけ」でもやめましょう。
そして、前述した勘違いで取り残さないよう工夫しましょう。

人は誰でも間違えるっていうのを原則にする。
欧米では自分が常に持っているスマホや財布、ハンドバックなどを
後部座席のチャイルドシートの隣に置いておけば
車を停めたあとに取るので子供を忘れないと勧めているところもあるそうです。

また、他の一般の方も子供が1人でいる状態を見たら
それを見過ごさず、何らかの対処をとることを心がけてください。





そして、走行していたとしても、クルマの中に居続けることで、
熱中症の危険があることを覚えておいて下さい。
ふだんより水分を摂る機会を増やす。途中で休んで風に当たる。
そうした熱中症の対策を心がけてください。
その上で子どもが元気がなくなった、ぐったりしてきたというのは
熱中症になった可能性があるということを覚えておいてください。

この暑さの中、大切な子ども、そしてご家族のお年寄り、ペット、
間違っても、熱中症で命を落とすことがないように、
充分に気をつけてクルマを利用しましょう。

この夏も線状降水帯などの影響で頻繁に局地的な大雨が降っています。
悪天候が予想される時の無理な運転は禁物ですが
走行中に急な大雨に遭遇したらどう対処すべきなのか?
今回はお伝えしましました。
コメントは日本 自動車ジャーナリスト協会 会長で
日本自動車連盟 交通安全委員会 委員も務める菰田潔さんでした。





クルマの運転中に大雨に遭遇した時の
ファーストチョイスは無理して走らないこと。
もしも走らなければいけないのであればヘッドライトを点けて走りましょう。
自分の存在を周りに知らせるという事が大事なポイントです。

そして、ワイパーを最大にしても前がよく見えないこともあるので
スピードを落としてゆっくり走り視界をできるだけ確保しましょう。
また、知らない道には極力入らない。
思わぬところに側溝があるかもしれません。
水が増えると道路の水なのか側溝の水なのか境目が分からなくなりタイヤが側溝に嵌まる
ひどい場合はクルマが落ちてしまうケースもあります。





そして、台風の時も含めて最近の豪雨で気を付けるべきは道路の冠水。
そのリスクと対処法は、まずアンダーパスには入らないこと。

車の中に水が入ってきて、走ることが出来たとしても
後になってカビが生えたり、臭いがしたり、
車の価値がなくなって中古車で出す時に買い叩かれてしまいます。

しばしばニュースで冠水した道をすごい勢いで走るクルマの映像が流れます。
あれはかなりのリスクがあります。

エンジンルームに水が入ると一発で壊れてしまいかねず
クルマが水没、ドライバーが死亡する事故も起きています。
根拠のない自信で道路の水が溜まっているところに入っていくのはやめましょう

そして、”もしも”のため運転席から手の届く範囲にライフハンマーを用意しておくと安心。
車の窓ガラスを割って脱出するための道具でサイドのガラスを簡単に割ることができます。
フロントガラスは割れにくい構造になっていることを覚えておいて下さい。
ライフハンマーには一般的にシートベルトカッターもついています。

また、海や河川の近くであれば洪水があり
山間部であれば土砂崩れの可能性もあります。
そういった場所には近づかないようにしましょう。





そして、菰田さんが基本的な事としておっしゃっていたのはリスクマネジメントの大切さ。
運転に限らず、何かを安全に進めるためには・・・

① 正しく状況認識をすること

② リスクが発生しそうな問題を回避する対策をとること

まずは、この部分を押さえておきつつ、
大雨の中の運転で身の安全を守るためにより安全な選択をするようにして下さい。





7月7日、七夕の今日は二十四節気で小暑。
梅雨明けが近付いてこれから本格的な夏を迎えますが、
暑さが厳しくなるとクルマの調子にも影響が出ます。
中でも走行中に起きると危険なのがエンジンのオーバーヒートです。
今回はモータージャーナリストの鈴木ケンイチ さんにお話を伺い
オーバーヒートの予防と起きてしまった時の対処法をお伝えしました。





鈴木さんによると最近の車なら
オーバーヒートはほぼ故障が原因。

作動中のエンジンは熱を持ちますが
高温になりすぎるとオーバーヒートを起こすので
クルマは冷却水でエンジンを冷やしながら走っています。

そして、冷却水もやがて熱を帯びるのでラジエーターや冷却ファンで冷やし
温度が下がった冷却水をウォーターポンプで再びエンジン内部に循環する作業を繰り返します。
その冷却システムのどこかがきちんと作動していないことが原因です。

例えばラジエーター付近の「電動ファン」が動かない。
「冷却水」が漏れている。「エンジンオイル」がなくなりかけている。
「ラジエーター」のキャップが経年劣化による緩み。

原因はきちんと見ないと分かりませんが
これらの要因でオーバーヒートが起こることを覚えておいて下さい。





そして、オーバーヒートは起こったことが
運転中の車内で容易に体感できるといいのですが
その過程ではほぼ感じることはできません。

そこで、やるべきなのは水温計のチェック。
エンジンが温まるとCOOLの「C」とHOTの「H」の中間付近を示すのが正常。
これが「H」に偏ってあるほどオーバーヒートの疑いがあります。
水温計がついていないクルマに乗っている場合は
メーターパネルの水温警告灯で異常をチェックして下さい。

さらに五感の感覚で異変を察知しましょう。
オーバーヒート症状が出た後でも走っていると
「キンキン」「カンカン」などエンジンから変な音がしてきます。

また、冷却水漏れや蒸発による甘い匂い、オイルが焼けるような匂い、
水蒸気が出るというのも充分に気をつけなければいけない症状です。
頭に留めておいて下さい。





続いて、運転中にエンジンがオーバーヒートしてしまった!
事故の危険と対処法について。

最悪なケースはエンジンが止まってしまいます。
急ブレーキがかかるような止まり方をする可能性もあるので
そんなケースには後続車に衝突されてしまうかもしれません。

そこで、出来るだけ早く異常に気づいてスピードをゆっくり落とし
周りに危険のないところにゆっくり止める。
余裕があればサービスエリアとかパーキングエリアに停車しましょう。

そして、停まったらボンネットを開けてエンジンルームに風を通し、
ラジエーターのリザーバータンクに「LOW」のメモリ以上の冷却水が入っているかチェック。
少なければ補給します。

もう1つ、エンジンの熱が十分とれたらエンジンオイルのレベルゲージもチェック。
レベルゲージを抜いて先端に付いたオイルをふき取ったあと元の位置に差し込んで再び抜きます。
先端に付いたオイルが目盛りの間なら問題なし。減り方が極端な場合はプロに相談しましょう。





不測の事態を招かないための予防策は法定の点検をしっかりすること。
半年ごとに点検してトラブルがないかをプロに見てもらうのが一番の予防法です。

もう一つは水温が上昇しメーターが上がってきた段階で気づくこと。
エンジンが壊れる前に気づくことができれば路肩に車を停めてメーターをチェック。
1分〜2分見ていて温度が下がってくるようであれば軽症。
温度が下がるのを待ってそれからまた走ることは可能です。
しかし、下がらないようであればすぐエンジンを止めること。
その場合は、もう故障しているということなのでJAFやレッカー車を呼びましょう。





これからの時期は、ふだんあまり運転しない方も、
クルマで遠出をすることがあるでしょう。
まずはしっかりと事前のチェックをして下さい。
その上でクルマの異変を気遣ってハンドルを握りましょう。