環境への配慮や健康志向から増える自転車の利用者、愛好者。
日本の自転車保有台数は、1970年の2万8千台が、
2019年には6万8千台になったと推計されています。





一方で、自転車関連の交通事故は減少しています。
平成21年の、およそ15万6千件が、令和元年には、ほぼ半減の8万件。





ただ、ここ数年の減少率は足踏み状態。
「自転車対歩行者」「自転車相互」「自転車単独」の事故件数は、むしろ増えています。








自転車に乗る方には注意してほしいところ。
ということで、今回は愛媛県警察の自転車専門部隊「バイシクルユニット」を紹介しました。
お話を伺ったのは隊長の長野宏展です。


バイシクルユニットが誕生したのは平成 24 年、今年で 10 年目。
愛媛県では自転車利用者のルール、マナー違反に対する県民の声、
自転車が加害者となる死亡事故が発生するなど対策が喫緊の課題となっていた時期。

ちょうどその頃、しまなみ海道で世界的規模のサイクリング大会の開催が計画されました。
愛媛県ではしまなみ海道を中心とした世界的な自転車の聖地化を目指すことが提唱さ れ
台湾の自転車メーカーのGIANT 社から自転車の提供を受けることになります。
愛媛県警察はこれを自転車の交通秩序を実現する絶好の機会と捉えて
提供を受けた自転車 16 体を使用した全国の警察で初のバイシクルユニットを編成しました。





愛媛県の今治市と広島県尾道市を結ぶ
通称、瀬戸内しまなみ海道は、
瀬戸内海の島々を9つの橋で繋いだ全長およそ60kmの道路。
自転車道路があって、潮風を感じながらのサイクリングは最高。
楽しんだことがある方もいるかもしれません。





現在のバイシクルユニットの編成は、県警本部交通部に正規隊員 5 人、予備隊員 8 人、
警察署交通課の隊員 16 名が各警察署に 1 人ずつ配置されていて合計 29 人。そのうち女性隊員が2人。

主な活動内容は、1つ目が交通安全教室における指導、 通学路などの街頭指導。
2つ目はサイクリングしまなみ、愛媛マラソンといった各種イベントの警戒警備活動。
3つ目は行楽期の街頭活動、しまなみ海道の道の駅でのサイクリストへの直接指導です。

バイシクルユニットの皆さん、
日々、事故撲滅に向けて活動していますが、それでも事故はあります。
最近、起こったケースを紹介していただきました。


① 自転車が交差点を直進進入した際に横断していた歩行者と衝突
  歩行者が頭を地面に強打して重傷を負ったケース
  原因は自転車が交差点に進入する際、脇見をしていて前をよく見ていなかったこと。


② 自転車が一時停止標識のある交差点を直進する際に一時停止をせず
  しかも安全確認をせず交差点に入り、右から来た自転車と出会い頭に衝突したケース 
  一時停止しなかったこともそうですが、自転車が道路の右側通行をしていたのも事故の原因。


③ 自転車がスマートフォンの画面を見ながら運転していたところ
  自動車と正面衝突して自転車の運転者が鎖骨骨折などの重傷を負ったケース。



「最近よく見かける自転車のながら運転は絶対にしないようにお願い致します」と隊長。
また、愛媛県では条例で自転車利用者のヘルメット着用を義務付けられていて
高校生のヘルメット着用率は100%に近く。
自転車と車の事故が発生した際に自転車の高校生が頭部を強打したにも関わらず
ヘルメットをかぶっていたため命が助かったということもあったそうです。

自転車乗車中の交通事故で亡くなる方の 6 割が頭部に致命傷を負っているデータもあります。
今年4月に公布され、1年以内に施行される道路交通法の一部改正で
すべての自転車利用者にヘルメットの着用義務が課せられることになりますが、
施行前でも安全な自転車ライフのためにヘルメットを積極的にかぶってください。

そして、自転車は車両。
便利、楽しい、気持ちいいだけではく、
そのことをきちんと認識し、ルールを守って乗るようにしましょう。




手軽に移動ができる交通手段として人気が高まる電動キックボード。
普及する一方で事故も増えています。

あらためて電動キックボードにおける実態を把握し、
正しい利用方法を確認しておきましょう。

今回は交通問題を中心に執筆している
記者の中島みなみ さんにお話しを伺いました。





電動キックボードの事故が最初に社会問題となったのは
2021年6 月に大阪で起きた2人乗り電動キックボードの歩行者ひき逃げ事故。

まだ昨年のことですが、当時は運転のための資格や通行する場所など
よくわからないままに勢いだけで乗る利用者が多い状況。
無免許運転や歩道走行で人身事故や物損事故を起こしています。

しかし、最近ではシェアサービス事業者の努力や報道で
少しずつ電動キックボードのルール が知られるようになって
事故のタイプが変わってきたと中島さんは指摘します。





目立ち始めているのが「飲酒運転」。
先月25日の深夜には、東京都江東区の超高層マンションの
車寄せの駐車スペースで初めての死亡事故が起きました。

電動キックボードがタイヤ止めに衝突して転倒
利用者は頭部を損傷し、救急搬送され、死亡しました。
この件は飲酒の可能性も含めて捜査されています。

実はここにきて深刻な問題になっているのは
電動キックボードの利用では割と簡単に飲酒運転をしてしまうこと。

東京都内での飲酒運転の行為は1月から9月末日までに暫定値で 39 件。
10月15 日の土曜日0時から深夜の道玄坂付近で行われた飲酒検問では
12台がアルコールチェックを受けて1 人が検挙されています。
乗用車やバイクで短時間にこれだけ少ない対象台数で飲酒運転は見つかりません。





現在、電動キックボードの利用には大きく2通りあります。
「個人所有」と「シェアリングサービスの利用」。
混乱するのは、この2つが同じ電動キックボードでありながら
法律上は違う位置付けがされているから。
しかし、ともに「車両」なので飲酒運転は法令違反です。

法律上の位置付けは、手軽な乗り物とはいえ電動キックボードは
基本的に排気量 50CC の原付バイクと同じルール に基づきます。
運転には免許が必要でナンバープレートの装着、自賠責保険の加入義務があります。

しかし、混乱するのは、2024 年の改正道路交通法までの特例的な対応。
電動キックボードの中でもシェアサービス事業者が提供する車両は
小型特殊自動車で乗れるという制度です。

フォークリフトや農業用トラクター等の同様の位置づけで
こちらの電動キックボードの利用にはヘルメットが不要、
2 段階右折もしなくて良いことになっているのです。

一方で個人所有の電動キッ クボードの場合は
原付免許の所持、ヘルメッ トの着用、2 段階右折の義務があります。
このことを覚えておいて下さい。

そして、どちらの電動キックボードを利用する場合でも
他の部分においては乗用車やバイクと同じルールで車道を走行することが求められます。





2年後の法改正で電動キックボードの法規制は変更されます。
今回はその内容に触れませんが、利用している方はそのこを頭に置いておきましょう。

中島さんによると、電動キックボードの関連する事故は
2020年から2021年6 月までの2年半で49件。

死亡事故が起こったためヘルメット着用を義務化するべきという意見が多くなりましたが
シェアサービス事業者の電動キックボードは時速 15 キロ以下に制限されています。
飲酒運転をしないなど、当たり前の交通ルールを守れば、大きな事故は防ぐことができます。

また、電動キックボードは他の乗り物と違い、乗り続けなければいけない乗り物ではありません。
車体も軽いので危ない幹線道路では降りて歩くというような選択肢も気軽にできます。
危ないと思った場所では降りて歩道を歩いたり、横断歩道を渡ったりしながら
なるべく安全な道を選ぶことが事故に合わない、起こさない重要なポイントです。




熊本県では9年前の平成25年から、
熊本県交通安全推進連盟主唱のもと、県民運動として
“横断歩道 止まって渡す 「思いやり」キャンペーン”を実施しています。
     
昨今、全国的な課題になっている、
信号がない横断歩道に渡りたい歩行者が待っているのに
多くのクルマが停まらない問題にいち早く取り組んできたわけですが
その重点として掲げているのが「てまえ運動」。

今週は熊本県交通安全推進連盟の浦田啓介さんにお話を伺い
熊本県警察の取り組みを紹介しました





横断歩道上の交通事故は歩行者が重傷を負いやすく命を落とす危険性があります。
悲惨な事故を1件でも減少させるべく、このキャンペーンはスタートしました。

重点ポイントで掲げる「てまえ運動」では3つの手前に関する行動を提言。
まず、ドライバーは信号がない横断歩道に歩行者がいる場合は停止線手前で一時停止。
歩行者に対して手を前に出して合図をして安全に横断してもらう。
また、歩行者は信号機のない横断歩道を横断する時に
手を前に出して通行車両に対して横断の意思を伝えるというものです。





単に譲る、譲られるというだけではなく
ドライバーと歩行者のもう少し密なコミュニケーションを
持ち込んだと言えるでしょう。

ドライバーが手を「どうぞ」と指し示すことで
歩行者は“ドライバーが停まってくれた”という感覚を持ちます 。
歩行者が対象を“車”と見ていると“法律上、停まって当たり前”と思いがちですが
対象がドライバー=人だと思うと“停まってくれて有難う”の気持ちになるでしょう。

そして、歩行者が信号のない横断歩道を渡る時、
手を前に挙げればドライバーへの注意喚起にもなります。
その時に“ありがとう”の気持ちも伝えたいですね。





キャンペーンでの効果検証は難しいところでですが
JAFの信号機のない横断歩道での歩行者横断時における車の一時停止状況調査で
熊本県は2020年の25.7%の停止率が翌2021年には40.8%になっています。
これは”てまえ運動”を地道に行ってきた成果と考えているとのこと。

ちなみに2021年の40.8%で熊本県は47都道府県中15位。
ベスト3を紹介すると・・・

3位 山梨県 51.9%
2位 静岡県 63.8%
1位 長野県 85.2%

長野県と静岡県は、この点において優秀!


ワースト3は

45位 青森県 14.0%
46位 東京都 12.1%
47位 岡山県 10.3%


該当した地域にお住まいのドライバーの皆さん。
この不名誉な数字を挽回しましょう。

熊本県で推奨される”てまえ運動”。
これ自体はどこに居住していてもできて事故減少に役立つこと。
他の都道府県にお住まいの方も心がけてみて下さい。




安全なカーライフを送るために特に重要なパーツ「タイヤ」。
トラブルは大きな事故に繋がりかねません。
みなさん、どのくらい注意してクルマに乗っていますか?
今回は「走行中のタイヤのトラブル」をお送りしました。





2021年度にJAFが救援出動したロードサービスのうち
タイヤのトラブルによるものは18.6%で出動原因としては2位。
ちなみに出動原因の1位は「バッテリー上がり」の40.7%で
これも覚えておいてほしいところですが、タイヤのトラブルも大いに注意する必要があります。

JAF 東京支部 事業課 交通環境係で交通安全インストラクターの高橋 啓剛さんによると
以前 JAF が行った検証で、突起物を踏んでバーストをさせた車は
通常の走行時に比べてハンドルを取られてカーブの外側に膨らむという結果が出ました。
カーブの角度によっては曲がりきれなくなる可能性があります。

また、時速 70 キロの直進で突起物を踏む実験を行ったところ
停止距離が5m 伸びるという結果になりました。
通常の感覚では停車出来ないことが考えられます。





気になるJAF のデータは他にもあって
これは二輪も含めた数字ですが、タイヤのトラブルに関するロードサービスの出動件数は
2007年度の28万 6,934 件から2021年度は40 万 1,290 件に増加。11万 5千件も増えています。

推測として車内のスペースをとらないパンクの修理キット搭載のクルマが増加して
スペアタイヤを持たないので救援依頼が増えているのではないかとのこと。

スペアタイヤが無ければロードサービスに頼るというのは致し方ありません。
それであればなおさら、ふだんからのメンテナンスとチェックをして
走行中にタイヤの調子にも注意を払う心がけが必要でしょう。





まずはタイヤの定期的な空気圧チェックをすること。
空気圧は自然に低くなるのでガソリンスタンドなどで月に1 回はチェックしたいところ。

空気圧は車に応じて指定の目安があります。
運転席のドア付近か給油口の蓋の裏に表示されているので確認しましょう。
また、乗車前に一周してタイヤの状態を目視で確認すると
タイヤが凹んでいる場合など、異常を発見できて早めの対処に繋がります。





そして、事故に繋げないために大切なのは
走行中にタイヤがパンクやバーストしてしまった時の対応。
正しい対処を覚えておきましょう。

走行中にパンクに気がついたら、道路の左側など安全な場所に車を寄せて停車。
スペアタイヤに交換する場合は、車の右側のパンクで高速道路などのリスクの高い場所や
パンクしたタイヤのナットが硬くて緩まないといったときは自分で対処をせずに
JAFなどのロードサービスに依頼しましょう。

また、応急修理キットがある場合は取扱 説明書に従って応急処置をしますが、
応急修理ができるのはトレッド面と呼ばれるタイヤが地面と接している部分に
小さな釘やネジ、金属片などが刺さったパンクの場合。
大きいものが刺さっていたり、タイヤ側面に損傷があると修理できません。

いつ何時、起こるかもしれないタイヤのトラブル。
予防・対策を日頃から行い、“もしも”の時はしっかりと対処しましょう。