毎年、新年度になってすぐに
一般社団法人 東京指定自動車教習所協会が募集を開始する「交通安全」川柳コンテスト。
先日、2022年の選考結果が発表されました。

今年で13回目。
今週は入賞作と作者が川柳に込めた思いを伝えました。





「交通安全」川柳コンテストは、春の全国交通安全運動の一環として
インターネット、葉書、都内の指定自動車教習所窓口で募集。
寄せられた作品を東京指定自動車教習所協会協会員と
特別審査員として、一般社団法人 全日本川柳協会が審査しています。

第13回の応募総数は2万850句。
そのうち団体応募が26団体 3,809句。
小学校、中学、高校の生徒の他、企業からの応募も多数。
「全国交通安全運動の一環としての行事として浸透してきたようです」とは
主宰する東京指定自動車教習所協会の担当者の弁。

受賞作品は 最優秀賞1、優秀賞 2、入選5、団体賞 1組。
以下に敬称略で紹介していきます。





<入選作品>


谷村 翼
値上がりに エコドライブで 立ち向かう

もふもふ
乗るならば 酒も車も あおらないペンネーム

章香堂
その車間 知らず知らずに あおってるペンネーム

恋太郎
あの時の 違反切符が 良い薬ペンネーム

及部 遥香
ガラス越し マスク越しでも ありがとう


それぞれよく考えられた作品ですね。
今の世相が、まさに反映されている1つ目。
ガソリンが値上げして、あまりにも高い今、エコドライブで省エネ運転。
交通安全にも繋がって悪いことはありません。

お酒を「呷る」とあおり運転の「煽る」をかけている2作目。
5・7・5に飲酒運転と煽り運転の注意喚起を盛り込むとはお見事。

3作目は思わぬところから誤解が生じて危険に繋がることを注意喚起。
車間を詰めすぎると、こちらは煽っているつもりはなくても
前を走る車が「あおり運転」だと思ってしまうかもしれません。
トラブルの原因になるので、気をつけましょう。

4作目は苦い経験も考え方次第ではプラスに働く。
クルマの運転で言えば、無事故の運転につながる。
素晴らしい思考法です。

5作目は歩行者として信号のない横断歩道を渡ろうとしている時、
停車してくれたドライバーには、フロントガラス越し、
今はマスクをしているのでマスク越しではあるけれど、
お礼を伝えましょうということでしょう。
そういう歩行者が増えると、信号の無い横断歩道で、
停車するクルマの割合も上がりそうです。





優秀賞2作品と、最優秀賞1作品については、
作者ご本人による句の朗読と解説コメントで紹介しました。




私自身、今やベテランドライバーとなりましたが
それ故に、慣れや経験則による思い込みなどで
安全確認等がおろそかになっているのではないかと思い
自戒の意味を込めて本作品 を読みました。
この作品を通して少しでもドライバーの皆様の
安全に対する意識の向上に 繋がるのであれば非常に嬉しく思います。



「自分は運転がうまい」と自信を持っている人ほど運転が傲慢になり
危険を生じさせるものかもしれません。
本当に運転が上手なドライバーは、
謙虚な気持ちでハンドルを握っている人でしょう。





私は免許を持っていません。
運転してくれる家族や友人を見守る側にいるのです が
ある時ドライバーが大きなあくびをしたのを見て生まれたのがこの一句です。
もちろ ん、すぐに休憩を提案しましたが
あくび一つにも事故に繋がる危険が潜んでいると感じた 一瞬でした。



同乗者としては、命を運転手に預けているわけですから、
あくびをして眠たそうにしていれば心配になります。
誰かを乗せてクルマの運転する時は、
その人たちの安全をも守る義務があることを
ドライバーは認識するべきです。






私は大阪市内で暮らしていますが、家から駅に向かう道筋に
交通事故多発場所という立て看板の置かれた交差点があります。
交通量はそれほど多くないのですが、脇道から杭に侵入し てくる自転車や
歩行者と出会い頭に接触してしまうようです。
まさかこの道は大丈夫だろうとドライバーはついつい油断し
注意力が散漫になるでしょ う。
今回の私の川柳は、そんな街角の交通事故多発場所を思い描き
交通事故と新型コロナ の収束を合わせて願いながら作りました。



覚えておきましょう。
運転に効くワクチンは注意力。
この句も交通事故と新型コロナウイルスの収束への思い
2つを込めるとは、これも技術が高い!

交通安全川柳。
自分で考えて、つくってみると、
交通安全に対する意識が高まることでしょう。
来年の開催には家族で応募してみてはいかがですか。
子どもたちは夏休みに入り、
本格的な夏の行楽シーズンがやってきました。
一方で、お盆を中心に、渋滞が多く発生する時期。
特に渋滞が多く発生する高速道路では、
渋滞発生時は通常より事故率が高いことはご存知でしょうか?
今週は「渋滞時の事故に気をつける」をお送りしました。





今回、お話を伺ったNEXCO西日本 渋滞予測士 堀部 将さんによると
NEXCO西日本管内では「発生している事故の15%は渋滞関連」
「渋滞発生時の死傷事故率は、渋滞してない時の30倍以上」
渋滞が起こっている時は事故は明らかに多いという数字が出ています。

また、少し前の2016年のデータですが、
高速道路で起きた交通事故のうち車線上の停止車両に追突した事故が約46%。
半数近くは渋滞中に起こったというデータもあります。





堀部さんによると渋滞関連の事故で多いのは脇見運転、
前方不注視による渋滞後尾への追突が大半。
走行中に渋滞に気づくのが遅れたり、
渋滞に巻き込まれている中でのながら運転で前方への意識が低下し
追突事故が生じているととらえているとのこと。

渋滞時の事故を無くすにはドライバー一人一人の心がけが大切です。
渋滞情報は道路標識でしっかりとキャッチして
渋滞発生時に渋滞後尾ではハザードランプを点灯
後続車に追突されないよう合図を送りましょう。
脇見運転、運転中のスマートフォンを操作などはNG。
ちょっとした事故が、渋滞をさらに悪化させてしまいます。





渋滞は大きく3つのタイプに分類されます。
「工事渋滞」「事故渋滞」、そして「交通集中渋滞」です。
工事と事故による渋滞は、イメージしやすいと思いますが、
行楽シーズンに、まず起こってしまうのは「交通集中渋滞」。

まずは、インターネットなどで情報を集めて、
混雑が予測されている日、時間の高速道路の利用を避けること。
その上で渋滞を生じさせる運転をしないこと。

高速道路ではが発生しやすい ポイントがあります。
下り坂から上り坂に差し掛かるサグ部やトンネルの出入り口付近。
そうした場所ではスピードを落としがちなので
意識的にスピードをキープするようにしましょう。
上り坂で速度低下による渋滞が発生しやすい箇所には、
坂の勾配率や坂の距離を記した標識が設置されています。





「自分だけは早く進もう」と思うのか追越車線を多用するクルマも見られますが
交通量が増えると追越車線の利用率は2倍以上になります。
一方で、走行車線はその分、利用率が下がります。
追越車線を走ったところで早くは進まないのです。
それどころか、走行車線を走り続けた方が早く着く事を覚えておきましょう。
自分さえ良ければいいという気持ちが渋滞を生みます。


また、「割り込みされたくない」と
車間距離をわずかしかとらないクルマも見受けられます。
長い渋滞は生まれるのは1台のクルマのブレーキから。

実証実験では各車間が40m空くと進むスピードが回復し
渋滞が軽減することがわかっています。
できるだけ車間を空けて、自分でブレーキを踏まない、
後続車にもブレーキを踏ませない、そんな運転を心がけて下さい。





せっかくの夏の行楽シーズン。
全ドライバーで協力して、なるべく渋滞を発生させず
事故も起こさないように気をつけましょう。

もうすぐ夏休み。
家族で、あるいは友人・知人と、クルマで遠出する予定がある人は多いでしょう。
その時には、どの席に座っていても、シートベルトを正しく装着しましょう。

今週はモータージャーナリスト 藤田竜太さんにお話をお聞きして
「シートベルトの意味」をおとどけしました。





万が一、乗っているクルマが交通事故に遭遇してしまったとして
シートベルトを装着しているのと装着していないのとではどのくらいの違うか
考えたことはあるでしょうか。

国土交通省による自動車乗車中にシートベルトを装着していない場合の致死率は
シートベルトを着用している時と比べて・・・

運転席      56.5倍 

助手席      15.2倍



そして、シートベルト装着の有無で
交通事故死傷者数に占める死者数の割合を比較してみると
シートベルトをしていないと・・・

高速道路     11.7倍
      
一般道路      3.3倍



データ上でシートベルト着用の有無で顕著な違いが出ています。
取り締まりで見つかったら罰金になるという消極的な理由ではなく
命を守るためにシートベルトの装着はマストだということがわかります。




      
乗車時についシートベルトをしないという時間もあるかもしれません。
でも、それが危険だと藤田さんは指摘します。

走り出し、特にいちどクルマをバックさせてから走り出す時、
ちょっとだけ移動する時、駐車場やどこかの敷地内、誰かのクルマの後部座席、
意識的にシートベルトをしないことはありませんか。

クルマが衝突した時に両手両足で踏ん張って耐えられる衝撃は体重の2〜3倍。
速度にすると、わずか7km/hで耐え切れなくなってしまいます。
いかにシートベルトが必要かがわかります。




    
そして、シートベルトは正しく着用しないと
効果は半減し危険が生じるので気をつけましょう。

シートベルトを体がすり抜けるサブマリン現象が起きないように
背もたれを倒しすぎず、シートに深く腰掛けます。

ベルトは捩れがないようにして、
腹部に当てず、胸骨に当たるようにして巻きます。
40km/hで衝突した時でも、ベルトにかかる力は約600kg。
腹部に衝撃がくると内臓破裂の恐れもあります。

6歳未満の子どもにはチャイルドシートの着用義務があります。
チャイルドシートは、シートベルトより誤った着用が多いので、
より、正しくつけるよう気をつけてください。
そして、6歳以上の子も身長が140cm に達するまでは
安全のためにチャイルドシートに座らせることが推奨されています。

夏休みのお出かけ。
シートベルトは全ての席で、常に、正しく、装着しましょう。

    


クルマの運転中に眠気を感じたことは誰もがあるでしょう。
中には居眠りしている自分にふと気づいたという
コワい経験をしたことがある方もいるかもしれません。

もうすぐ夏休み。
クルマで出かけることが多い時期です。
今週は「居眠り運転をしないために」をお届けしました。





居眠り運転が原因の交通事故はたびたび起きています。
去年11月、岡山県 総社市の国道で
幼稚園に通うために横断歩道を渡っていた女の子2人と
それぞれの母親の4人が乗用車にはねられ、
女の子1人と、別の女の子の母親が、一時意識不明の重体となりました。
居眠りをしながら運転し、赤信号に気づかず4人をはねたとして、
過失運転傷害罪に問われている65歳の男性は、
先月、地裁で禁錮3年の実刑判決を言い渡されています。


もう1つ。
今月5日の午前4時40分ごろ、
神奈川県 川崎市の県道で乗用車が信号機の柱に衝突、
電柱が粉々に砕ける事故が起きました。
事故を起こし、軽傷を負った22歳の女性は、
「居眠り運転をしていた」と話しているということです。

居眠り運転は、歩行者・自転車に乗る人・他の運転者と、
自らの命も危険を脅かします。気をつけなければいけません。





今回、コメントをいただいた睡眠が専門の
雨晴クリニック 院長 坪田 聡 医師によると
運転中に眠気に襲われる最大の原因は睡眠不足。

現代の日本人はほとんどが睡眠不足に陥っているとのことで
前の日の睡眠時間が短かかったり、睡眠不足が長く続いてる時は、
運転中に眠くなってしまうことが多いようです。

そのほか、道路の形状にほとんど変化がなく、
ハンドルやブレーキの操作をしない時も眠気がやってきやすい。

また、体の周期で1日で眠気が強くなる時間があり
午後の3時から4時、午前3時から4時ぐらいに居眠り運転が多く
事故も増えると言われているそうです。

さらに天気では日光の刺激がある晴天や、
緊張感がある雨の日ではい、曇りの日が眠くなりやすいそうです。





適切な睡眠時間は人によって異なりますが、
厚生労働省は成人の場合、6時間から8時間の睡眠を推奨しています。
ただ、坪田医師によると同じ睡眠時間でも体温が下がる夜間には深い睡眠がとりやすく
早朝以降には体温が上がってくるので睡眠が浅くなる傾向があるそうです。
睡眠をとるタイミングにも注意が必要です。





質の良い睡眠をとっていれば、居眠り運転のリスクは減ります。
坪田医師による睡眠の質を良くするための注意点。

1つは光のコントロール。
寝る前に携帯やパソコンを見て明るい光を浴びてしまうと、
夜ぐっすり眠りにくくなります。

2 番目に大事なのは食事の規則性。
朝昼晩きちんと同じ時間に食事をとると体内時計が順調に回るので
昼は眠くならず、夜は眠くなる状態になります。
朝ご飯を食べないという人も多いと思いますが、
眠気ということを考えると、しっかり食べた方がいいようです。





ここまで運転中に眠くならないための情報をお伝えしてきましたが、
それでも眠くなってしまうことがあるかもしれません。

眠気に襲われた時の対処方法の1つは仮眠をとること。
もう1つは眠気に対抗することです。

眠気に対抗するというのは体の神経を活性化して眠気を減らすこと。
例えばコーヒーを飲んでカフェインを摂る。
カフェインには脳の細胞に働いて眠気を感じなくさせ る働きがあります。
また、ガムを噛む顎の運動は目を覚ますセロトニン神経を活性化します。
歌を歌う、光を浴びる、運動をする、冷たい水で顔を洗う。
身体と脳に何か刺激を与えることをしましょう。





これからの夏休み。
クルマで遠出することもあるでしょう。
最後に坪田医師から運転する前の日の注意点です。

長距離運転をする前日は睡眠不足にならないようにして下さい。
お酒は思ってる以上に残ることあるので少なめに、早めに切り上げる。
眠気が強くなりやすい午前3時 〜 4 時、午後3時〜から4 時ぐらいの運転はなるべく避ける。
反対に、いつも布団に入るの2 時間 〜 4 時間ぐらい前は眠気が少ない時間帯。
有効に使うことが大切ですとのこと。

長距離運転については、出かける時よりも帰って来る前日に気をつけたいですね。
旅行先や帰省先で夜更かししてしまうとか、飲みすぎてしまうとか。
生活を整えて、居眠り運転に陥らないようにしましょう。

今年はすでに東北以外の地方は梅雨が明け、
猛暑が日本列島を襲っています。

クルマの乗車についても注意すべき時期。
真夏の車内は危険です。





JAF 東京支部 事業課 交通環境係 杉本 実さんによると
JAFのテスト結果では気温 35 度の炎天下にある窓を締め切った車は、
エンジンを停止させてからわず30 分後に車内温度が約 45 度。
その後も上昇を続けて、3 時間後には 55 度を超えたそうです。

車内の熱中症指数としては5 分を過ぎると「警戒」域に入り
10 分で「厳重警戒」、わずか 15 分で「危険」域になります。
そんな環境なので気をつけないわけにはいきません。





まず気をつけなければいけないのは、
夏になると毎年報道される子どもやペットが車内に残される事故。

これには意図して車内に残して行くケースと
車内にキーを残したまま外に出て、思いがけずドアがロックされてしまう、
「キー閉じ込み」のケースがあります。

去年8月の1ヶ月間、JAF が出動したキー閉じこみの救援のうち
子供やペットが車内に取り残されていたのは全国で 98 件、
子供が 75 件、 ペットは 23 件あったそうです。
このうち緊急性が高いと判断してドアのガラスを割って救出した ケースは 2 件。

原因には子供に鍵を持たせていたらロックボタンを 押してしまった、
犬が誤って運転席のドアロックボタンを押したというものがありました。
乳幼児は体温調節機能が未発達。少しの時間だから寝ているからなどの理由で
車内に子供を残したまま車を離れることは危険です。
キー閉じ込みのトラブルにならなくても熱中症を引き起こす事故になりかねません。
また、高齢の方は体温の調整機能が落ちて暑さを自覚しにくいと言われています。
大人だから暑ければ自分で外に出るだろうと車内に残して離れないようにしましょう。





次に気をつけなければいけないのは熱中症。
JAFが以前、オンライン調査『あなたの熱中症を教えて』を展開したあところ
3571 あった回答のうち 431 件が「車内で熱中症になった」、
もしくは「なりかけた」という内容だったそうです。
中には家族を迎えに行っている運転中、
エアコンを切っていたら熱中症になりかけたという人もいました。

車内で熱中症というとペットや子どもの事故に接することが多いですが、
ふつうの大人も侮ってはいけません。やはり水分補給が大切。
汗をかくと体内のミネラルや塩分が放出されてしまうので
経口補水液やスポーツドリンクをこまめに飲みましょう。

また、体温上昇に注意が必要です。日に当たらないように工夫しましょう。
運転席助手席は 車に常備されているサンバイザーを使って日差しを防ぐ。
また、常備されたサンシ ェードや市販のサンシェードなどで日差しを防ぐ。
特に小さな子どもや高齢者を乗せる時には要注意。
後部座席に日差しを遮る色がついたドアガラスを使っている車もあるので
そうした車の場合は後部座席に乗ってもらうようにしましょう。





JAFではかつて対策別に車内室温の変化を確認する実験を行ないました。
「車体に水をかける」「冷却スプレーをシートにかける」「ドアを開閉する」など
インターネット上では車内温度を下げる様々な方法が挙げられていますが、
JAFのテストでは、いずれも車内温度を大きく下げる効果は期待できないという結果でした。





上の図をご覧ください。
唯一、大きな効果が証明されたのがエアコン+走行。
まずは窓を全開、エアコンを外気導入にして走り出し、
車内の熱気を出したら窓を閉め、内規循環にして、室内温度を下げる最も効果的な方法。
その後、室温が下がって安定したら、外気導入に切り替えましょう。
疲労感増加や注意力の低下、眠気や頭痛の原因となる CO2 濃度を増加させないためです。

しばらく続く暑い夏。
車内の環境にも充分に注意してカーライフを送って下さい。