ドライバーのみなさん。
信号がない横断歩道を渡ろうとしている歩行者がいて
あなたの運転するクルマがその横断歩道に近づいた時、
横断歩道の手前で停止して歩行者を優先していますか?

日本では多くのドライバーが歩行者が待っていても停止しないことは
今では全国に広く知られるところとなっています。
そんな中で福島市に全国初となる標識が設置されました。
場所は福島市立 福島第二小学校の近く。





「横断者注意喚起灯付き 横断歩道標識」

上の写真のように横断歩道の両側に横断歩道の標識、
青地に白いイラストで横断する男の子と女の子が描かれた標識があり
その上に2つLEDライト付の黄色い長方形のボックスが設置されています。

標識中の高さ1メートルの位置には歩行者が手をかざすセンサーがあります。
横断歩行者がこのセンサーに手をかざすと注意喚起灯が15秒点滅。
横断歩行者の存在をドライバーが認識しやすくなります。





道路交通法の38条には「横断歩道を横断しようとする歩行者がいる場合は
横断歩道の直前(停止線がある場合は停止線の直前)で一時停止し
その通行を妨げないようにしなければいけない」と定められています。

本来、こうしたものが無くても
クルマは普通に停まらなければいけないわけですが
あまりに低い信号がない横断歩道でのクルマの停止率。
こうした施策を行なったというわけです。

今月JAFが発表した2021年版の「信号機のない横断歩道での
歩行者横断時における車の一時停止状況全国調査」では
調査スタート以来、最高の一時停止率が出ましたが
それでも30.8 %、3割のドライバーしか歩行者優先を実践していません。

信号のない横断歩道を渡ろうとしている人が、
例えば自分の子どもだったら、友人だったら、
きちんと一時停止する方は多いと思います。
思いやりの気持ちを持ってハンドルを握るようにしましょう。




6月下旬に1年で最も昼の時間が長い夏至を迎え
その後に昼が短くなると交通事故死亡者が増えていきます。
そして、気をつけたいのが夕暮れ時の「薄暮」。
今週は「9月からの死亡事故増加〜薄暮の時間に注意」がテーマでした。





月別の交通事故死亡者の推移を去年2020年で見てみると


     6月 202人 
     7月 191人            
     8月 197人
     9月 243人
     10月 273人
     11月 280人
     12月 298人 

     

まさに今、気をつけるべき時期だと分かっていただけるでしょう。
警察庁によると過去5年の時間帯別の死亡事故件数トップ3は17時台・18時台・19時台の順。
これからの時期だと、ほぼ「薄暮」にあたります。






JAF 東京支部 事業課交通環境係 栗原 悠羽 さんも
10月から12月にかけての薄暮時間帯の危険を指摘します。
例えば2014年から2018年のデータでは
10月から12月の死亡事故の約70%を薄暮時間帯が占めるからです。

さらに当事者別に薄暮時間帯の死亡事故を見ると
昼間に比べて自動車対歩行者による自己の割合が高い。
この時間帯は学生や仕事からの帰宅時間で人の流れが出てくる。
周囲の視界が悪くなっていく中で自動車・自転車・歩行者の発見がお互いに遅れ、
距離感、速度感が分かりにくくなるので交通の危険が生じやすい時間帯だと言います。





栗原さんは薄暮に事故が増えてしまう原因について
ヘッドライトを点けている車と点けていない車の混在や
場所によって明るいところと影になって暗いところの混在も挙げていました。

薄暮に事故を回避する有効な手段。
それは何はともあれ、早めのヘッドライト点灯です。





ヘッドライトは運転手が前を見るためにだけではなく
交通他者に気づいてもらう機能もあります。
車幅灯だけでなく前照灯をしっかりと日没の30分前くらいから点けましょう。
また、歩行者や自転車も反射材やLEDライトで自分の存在をアピールしましょう。

今月から継続生産されている乗用車などでもオートライト機能の搭載が義務化されました。
新車のオートライト機能は一定の基準で暗くなったら強制的に点灯、
走行中にドライバーがオフにすることができませんが、
それ以前のクルマはオートライト機能の搭載が義務化されておらず
搭載されていたとしてもメーカーや車種によって点灯するタイミングがまちまち。
中古車やすでに販売されている車に乗っている場合は
オートライト機能があっても過信せず意識的に前照灯を付けることが大切です。





この事故の薄暮の運転には、くれぐれもご注意を!
今年の8月の終わり、国土交通省と警察庁が
速度制限と物理的デバイスによって交通安全の向上を図る区域を
「ゾーン30プラス」として設定することを発表しました。
今週は、この「ゾーン30プラス」についてお伝えしました。
お話を伺ったのは国際モータージャーナリスト 清水和夫さんです。
     




ゾーン30は「生活道路」を走るクルマの速度を規制する施策の1つ。
通常は標識によって その箇所の制限速度を示しますが
歩行者や自転車に乗る人が多いところの最高速度を時速30kmとしてエリアで規制します。

ゾーン30は全国的に普及しました。
また、この番組でもたびたび取り上げているので多くの方が認識しているでしょう。
警察庁によると、令和2年度末の時点で全国に4,031か所が整備されているといいます。





今回、整備が発表された「ゾーン30プラス」はスピードを制限しつつ
物理的にスピードが出ないようなデバイスを設置するというものです。


<デバイスの種類>

「ライジングボラード」
電動や油圧式や空気式などで上下する車の侵入を防ぐポール


「ハンプ」
スピードが出ないように道路を凸状にしたもの


「スムーズ横断歩道」
車道部分より一段高くした横断歩道

        
「狭さく」
ポールを設置するなどして道路の幅を狭める

       
「クランク」
ジグザグになっている道路


「スラローム」

カーブがついた道路






いずれも物理的に生活道路に安易にクルマが入り込んで
急スピードで走行できないようにするためのものです。

また、こうしたものがたくさんあれば、
ドライバーがここではスピードを出して走ってはいけないと感じるでしょう。


清水和夫さんは幹線道路よりも生活道路は気を付ける必要があるといいます。
日本の住宅街は速度制限の看板が出ていても気づかなかったり、
植木で隠れてしまったり、有名無実なものになってしまっていることが少なくありません。

また、多くのドライバーは車の流れでスピードを決めているので、
自分が走ってきた道路の制限速度を聞かれても認識していないことが多いとか。
これは流れに合わせていれば捕まらないだろうという意識だと清水さんは言います、

幹線道路ならまだそれでもいいですが、
最近は歩行者、自転車もスマホ見ながらとい人がいる昨今ですから
ゾーン30であるかないか問わず、生活道路では幹線道路の10倍くらい気をつけてほしい
そう清水さんはおっしゃっていました。

みなさんは、生活道路を車で走行する時、どのくらい気をつけているでしょうか。
歩行者や自転車に乗る人にとって、多くの場合、そこは近所の慣れたところ。
勝手がわかっていて、安心しているので、危険な行動をとる恐れがあります。

もしかすると、そうした歩行者・自転車をぶつかりそうになり、
ヒヤリとした経験がある人も、いるかもしれません。

そういう方は、経験上、気をつけていると思いますが、
そうではないドライバーの皆さんも、生活道路での運転は慎重に!




先月、一般社団法人日本自動車連盟 JAFが、
履物による運転操作の変化を検証し、その結果をウェブサイトに公開。
今週は「履物が運転に及ぼす影響」を放送しました。





「履物ぐらい、何を履いて運転したったいいじゃないか」。
そんなことを思っている方はいませんか。
クルマを運転する時の履物については法律にも関わってきます。

走路交通法の第70条には車両等の運転者は運転のための装置を確実に操作し
他人に危害を及ぼさないように運転をしなければならないと定められています。
この中には具体的な履物の指定は書いてありません。

しかし、各都道府県の公安委員会が必要と定めた事項が
道路交通法の施行細則として定められています。
その中にはもう少し具体的な表現がされていたりします。

例えば東京都の道路交通規則の第8条。
木製サンダル、下駄等、運転操作に支障を及ぼす履物を履いて車両等を運転しないこととあり
宮崎県の道路交通規則にも下駄、スリッパ、つっかけ、ハイヒール、
その他、運転操作を妨げる恐れのある履物を履いて運転してはならない
という表現があったりします。





ちなみに道路交通法70条の「安全運転義務」に違反した場合は、
反則金が普通車9千円、大型車1万2千円、違反基礎点数2。
道路交通法70条の「施行細則」の違反は、
反則金が普通車6千円、大型車7千円となっています。


今回、JAFが行なった実験では、4名のモニターが3種類の履物を履いて、
急ブレーキを踏む場面やS字・車庫入れなど細かい運転操作が必要なテストコースを走行。
履物の違いによるアクセルの踏み方、ブレーキを踏む力、足の動きを計測器やカメラで検証。
運転に適さない履物では急な危険回避に対応できない恐れがあることが分かりました。

例えばサンダルなどの場合はペダルを踏み変える際に脱げやすくなったり、
ペダルに引っかかってしまう場面が見られました。
また厚底のブーツやハイヒールは微調整がしづらく、
想定外にアクセルを踏みすぎて急加速してしまう場面もありました。





実際に不向きな履物が原因で起きた事故を1つお伝えすると
2011年9月27日、宮城県仙台市で乗用車を運転していた女性が、
路肩の段差に乗り上げて車を停めようとした。
その際、ハイヒールのかかと部分を固定したまま、
つま先だけでブレーキを踏もうとしたが、
段差に乗り上げた衝撃でつま先が滑り、アクセルを踏み込んで暴走。
前方を歩いていた小学生3人を跳ね、
そのうちの1人が車の下に巻きこまれ死亡。
「もしも」の時のため、ハンドルを握る時には、
安定してアクセルやブレーキ操作ができるものを履きましょう。

運転に適した履物とは足や足首がしっかり固定できること。
厚底やヒールが高い履物はきちんと操作ができません。
スニーカーなどが運転に適していると言えます。





近所に行くだけだとか、履き替えるのが面倒だというともあると思いますが、
適切な履物で運転することは自分の安全だけでなく周囲の安全にも繋がります。
履き慣れたスニーカーなどを車に用意しておいて
運転に適さないものを履いている時は履き替えるのがいいでしょう。
クルマの運転をする時は履物にも意識を持つようにして下さい。


1年前、それまで取り締まる規定がなかった、
世間の話題のいわゆり”あおり運転”を取り締まるため
道路交通法に妨害運転罪が規定されったのが去年の6月30日。
1年が過ぎて、その後の状況はどうなのか、今回はお伝えしました。
お話を伺ったのはモータージャーナリスト 菰田潔さん。





菰田さん曰く、妨害運転罪はかなり厳しい罰則となりました。
一般的な「あおり運転」は3年以下の懲役、または50万円以下の罰金、行政処分が反則点数25点。
高速道路で停車など著しい危険を生じさせた場合には5年以下の懲役、100万円以下の罰金、
反則点数も35点で免許取り消しになり、欠格期間が3年です。

では、この1年間でどのくらい「あおり運転」が摘発されたのか?
警察庁によると38都道府県警で計100件(96人)でした。
そのうち高速道路上で相手を停車させるなど罰則の重い「著しい危険」は29件(29人)。
菰田さんは、これだけの人がまだ”あおり運転”をするのかと驚いたといいます。





妨害運転罪として規定された運転行為は10。
そして、この1年で摘発された100件を運転行為別に見てみると

「急ブレーキ」が最多の24件
「急な車線変更」20件
「幅寄せ・蛇行など」と「車間距離不保持」がともに16件
「高速道路上の駐停車」9件
「左からの追い越し」6件
「執拗なクラクション」5件
「逆走」3件
「高速上の低速走行」1件
「ハイビーム」0件

そして、「著しい危険」とされた29件の内訳は

「急ブレーキ」と「高速道路上の駐停車」がともに8件
「急な車線変更」6件
「幅寄せ・蛇行など」 4件
「車間距離不保持」 2件
「左からの追い越し」1件



ちなみに、あおり運転は「通行を妨害する意思」の証明が不可欠。
100件のうち93件はドライブレコーダー、
6件はスマートフォンや防犯カメラなどの映像があり、
1件は目撃情報となっています。





そして、私たちやリスナーの皆さんも、
クルマのハンドルを握る時は、煽られない運転を心がけた方が良いと
菰田潔さんは指摘します。

例えば、高速道路の追い越し車線を制限速度でずっと走り続ける、
追い越し車線を前の車がいないのに走っているのは、これはこれで違反行為です。
自分が正しい、相手の間違った運転を正してやろうという思いが、
煽られる原因になってしまうこともあります。
前のクルマと相応の車間距離をとる、
クラクションは出来るだけ使わない、
パッシングライトの利用の仕方に注意するなど、
煽られない運転をするように心がけましょう。





それでもあおり運転に遭遇してしまった時は相手にしないのが原則。
先に行こうとスピードを上げると追いかけてくる可能性があるので
パーキングに止まる、どこかに入ってしまう、違う道に行く。
自分が良いとか悪いではなく、煽られたら逃げる安全な場所に駐車する。

そこへ相手がきた時は、ためらわず110番、警察に電話しましょう。
警察が来るまでは車外に出たり、窓を開けたりせず、待機します。
ドライブレコーダーやスマートフォンで動画を撮影することも効果的です。

あおり運転に遭遇しないよう気をつけましょう。
そして、決してあおり運転をする側にはならないでください。