先月、一般社団法人日本自動車連盟 JAFが、
履物による運転操作の変化を検証し、その結果をウェブサイトに公開。
今週は「履物が運転に及ぼす影響」を放送しました。
「履物ぐらい、何を履いて運転したったいいじゃないか」。
そんなことを思っている方はいませんか。
クルマを運転する時の履物については法律にも関わってきます。
走路交通法の第70条には車両等の運転者は運転のための装置を確実に操作し
他人に危害を及ぼさないように運転をしなければならないと定められています。
この中には具体的な履物の指定は書いてありません。
しかし、各都道府県の公安委員会が必要と定めた事項が
道路交通法の施行細則として定められています。
その中にはもう少し具体的な表現がされていたりします。
例えば東京都の道路交通規則の第8条。
木製サンダル、下駄等、運転操作に支障を及ぼす履物を履いて車両等を運転しないこととあり
宮崎県の道路交通規則にも下駄、スリッパ、つっかけ、ハイヒール、
その他、運転操作を妨げる恐れのある履物を履いて運転してはならない
という表現があったりします。
ちなみに道路交通法70条の「安全運転義務」に違反した場合は、
反則金が普通車9千円、大型車1万2千円、違反基礎点数2。
道路交通法70条の「施行細則」の違反は、
反則金が普通車6千円、大型車7千円となっています。
今回、JAFが行なった実験では、4名のモニターが3種類の履物を履いて、
急ブレーキを踏む場面やS字・車庫入れなど細かい運転操作が必要なテストコースを走行。
履物の違いによるアクセルの踏み方、ブレーキを踏む力、足の動きを計測器やカメラで検証。
運転に適さない履物では急な危険回避に対応できない恐れがあることが分かりました。
例えばサンダルなどの場合はペダルを踏み変える際に脱げやすくなったり、
ペダルに引っかかってしまう場面が見られました。
また厚底のブーツやハイヒールは微調整がしづらく、
想定外にアクセルを踏みすぎて急加速してしまう場面もありました。
実際に不向きな履物が原因で起きた事故を1つお伝えすると
2011年9月27日、宮城県仙台市で乗用車を運転していた女性が、
路肩の段差に乗り上げて車を停めようとした。
その際、ハイヒールのかかと部分を固定したまま、
つま先だけでブレーキを踏もうとしたが、
段差に乗り上げた衝撃でつま先が滑り、アクセルを踏み込んで暴走。
前方を歩いていた小学生3人を跳ね、
そのうちの1人が車の下に巻きこまれ死亡。
「もしも」の時のため、ハンドルを握る時には、
安定してアクセルやブレーキ操作ができるものを履きましょう。
運転に適した履物とは足や足首がしっかり固定できること。
厚底やヒールが高い履物はきちんと操作ができません。
スニーカーなどが運転に適していると言えます。
近所に行くだけだとか、履き替えるのが面倒だというともあると思いますが、
適切な履物で運転することは自分の安全だけでなく周囲の安全にも繋がります。
履き慣れたスニーカーなどを車に用意しておいて
運転に適さないものを履いている時は履き替えるのがいいでしょう。
クルマの運転をする時は履物にも意識を持つようにして下さい。