今週のテーマは「横断歩道アイ’ズ宣言」。
高知市の高知南警察署が始めた交通安全活動を紹介しました。
お話を伺ったのは交通課長 松倉由典さんです。

「横断歩道アイ’ズ宣言」は、歩行者は手を挙げるなどの合図すること。
車やバイクを運転する時は横断歩道手前で速度を落とし、目で確認をして、
歩行者がいる場合は必ず一時停止するというものです。
またドライバーが信号機のない横断歩道を横断しようとする歩行者を認めて一時停止をしたら
歩行者側からお礼をされることによって、運転者に法令を守ることの喜びが芽生え、
次も止まろうという思いが生まれ、それが繰り返されることによって、
交通秩序の改善が期待されるというものです。





高知南警察署が「横断歩道アイ’ズ宣言」を始めたのには理由があります。
 
① 高知県内の過去5年間の交通事故死者数167人のうち
  28%を占める46人が歩行中だった

② 去年JAFが行った信号のない横断歩道での車の一時停止率調査によると
  全国平均 21.3% のところ、高知県は13.4% だった

交通事故に遭う歩行者の多くに交通違反があるので
歩行者には正しい道路横断の実践がドライバーには
歩行者優先意識の定着が課題だと考えたのです。

高知南警察署は、まず去年10月に、
プロドライバーたちの協力を仰ぎました。





業務で一定台数以上の自動車を使用する事業者のうち
高知南署管内にある高知南地区 安全運転管理者協議会する事業者に
横断歩道における安全確保に関する宣言をしてもらって
それに基づいた模範運転、模範行動の意識の浸透を図り、
横断歩道における交通事故の防止を狙いました。

参加した事業者からは模範となる行動を周囲にも広げ
事故を防止したいという意見も寄せられているといいます。
安全運転管理事業者には横断歩道アイ'ズ宣言者の
マグネット式のステッカーを車両に貼ってもらい
事業者をあげて歩行者優先意識を徹底してもらっているそうです。

そして先月、去年1年間、児童が交通事故に遭っていない
市内で交通安全意識が高い横浜小学校を「横断歩道アイ’ズ宣言」モデル校に指定。
子どもたちに自分の安全を守るための行動を指導しました。
伝えたのは自らの命を守る安全行動のための「アイ」のすすめ 5か条です。





命を守る安全行動のための「アイ」のすすめは
たくさんの「アイ」を持つことを心がけてもらうためのもの。

その1、横断歩道を渡る時は、安全を確認する目「アイ」を持ちましょう
その2、横断歩道を渡る時は、手を挙げて合図をしましょう
その3、横断歩道を渡る時は、車が止まってくれたのを目(アイ)で確認しましょう
その4、横断歩道を渡った後は、止まってくれた車にお礼をする愛と挨拶をしましょう
その5、譲り合い、相手を思いやる愛を持ちましょう






子どもにお礼のお辞儀をされたドライバーは、
歩行者がいる時は必ず一時停止するようになるでしょうし、
そんな子どもが成長してクルマを運転するようになった時には、
歩行者がいれば必ず停止するドライバーになる。
長い目で交通安全の循環が生まれることを目指しています。

横浜小学校 校長の唐岩隆之さんによると、
時間の経過につれて一時停止してくれたドライバーに
目を見てお礼をする子どもの割合は増えてきているそう。

また、6年生:北野大翔君は「横断歩道を渡る時は左右を確認して渡っています。
また止まってくれた車には、お礼をするようにしています。
僕たちも事故に遭わないように気をつけているので、
車を運転する人も気をつけて下さい」と話してくれました。

こうした地域をあげての取り組みは大変な部分もあるでしょうが、
きっと少しずつ成果をあげていくことと思います。
当該地域ではない方達も、今回の情報を忘れずに、
行動でお住まいの地域の交通安全に貢献して下さい。





先月、岐阜市 岐阜県庁前の道路で
「もうすぐ進路変更禁止区間」だと知らせる路面標識が
全国に先がけて運用スタートしました。

この路面表示は車線変更禁止区間に入る約30m前から
黄色の矢羽型のペイントで表示されています。





岐阜県警察本部 交通部 交通規制課 髙橋裕一さんによると
この路面表示が施工されたのは3月末。
背景にあったのは車線変更に関する危険な運転です。

直進したいドライバーが進路変更禁止区間に入ってから
右折車線にいることに気づき急に車線を変えるなど
重大事故に繋がりかねない行為等が散見していました。

そこで、この新たな路面標識を導入してみるっと
表示に差し掛かったクルマの速度が落ちたという意見や
そのような効果があると思うという市民の意見もあるそうで
道路管理者と連携して事故や違反等の多発場所を選定して
今後はさらに設置を推進していきたいと考えています。

岐阜市に導入されたあとの4月28日、
規制標示「進路変更禁止」の注意喚起を促すための標示が新設され
警察庁が設置指針を通達しました。今後、全国に増えていくでしょう。





ちなみに岐阜市内の表示は「矢羽根型」ですが
ドット型」というタイプもあります。





ただ、塗料の使用量が少なく、タイヤによって削れにくいという理由で、
矢羽根型が中心になるということです。

「進路変更禁止区間」ではもちろんですが、
進路変更をしていい区間であっても急な車線変更はトラブルの元。
気をつけましょう。

割り込まれた側のドライバーは接触を避けようとして
急ブレーキや急ハンドル操作をすることになるので
揉め事やあおり運転の原因となることが考えられます。

まずは、急な車線変更はしないことを心がけ
その上で、近い将来、見るかもしれない矢羽根型かドット型の
「もうすぐ進路変更禁止区間」表示のことを覚えておいて下さい。
      
そして、この区間は注意喚起を促すもので“車線変更は可能”。
車線変更したクルマに対して怒ってはいけません。



今週は“停車中のバイクに自動車が追突する事故”への注意喚起です。
それはバイクがクルマに追突される交通事故の件数は、
走行中よりも停車中のほうが圧倒的に多いから。

少し古いデータですが、平成26年〜平成28年、
東京都で起こった交通事故を見ると約7倍です!
     
コメントはモータージャーナリストで
ライディングアカデミー東京の校長 佐川健太郎さんでした。





停車中の二輪が車に追突する事故は、
多くの場合、横断歩道の前や一時停止線の前で起こります。

今年4月に東京 日野市で、
横断歩道を渡る子どもを待って一時停止中だったバイクに
後ろからトラックが追突しライダーが亡くなる事故が起きました。
トラックのドライバーは歩行者には気がついたが
バイクには気がつかなかったと証言しています。

まず、信号がない横断歩道に歩行者がいる場合、
車両は一時停車をする義務があります。
ドライバーのみなさんは一時停止を、肝に銘じて下さい。

その上で停止しているオートバイは、
クルマのドライバーから認識しにくいとされています。

理由はバイクは車に比べるとかなり小さいこと。
特に前後方向から見るとスリムで目立ちにくく
周りの背景の景色に溶け込んでしまいがち。

また、信号や停止線の直前などで、
ドライバーは歩行者の動きにはとても注意を払います。
反対に停まっているバイクには見落とすことがありません。
これは動いているものは認知しやすく、
止まっているものは認識しにくいという人間の目の特性から。

ドライバーのみなさんは、
このことを頭の片隅に置いておきましょう。





クルマが停まっているバイクに追突する事故が多いのは
もう1つ、便利になったはずの運転環境の影響もあるようです。
それはカーナビやスマートフォンの使用

運転中、停止線が近づき速度が落ちてくると
もうすぐ停まることで気が緩んでルール違反なのにカーナビを見てしまう。
あるいはカーナビがわりにしているスマホを見てしまう。

そのために前方に注意が行き届かず
停止中のバイクを見落とすことも多いのではないかと
佐川健太郎さんは指摘します。

今ではスマホは生活の一部。
特に目的はなくても、無意識にスマホを見る、触る人も多いでしょう。
運転時にスマホをナビがわりに使っていると、
ふだんの習慣から必要以上にスマホを見ているかもしれません。
その点、気をつけましょう。





ライダーがなるべく事故に遭わないために。
佐川健太郎さんが言う基本は、まずウェアとプロテクション。
万が一、事故に遭ってしまった時、
身体を守れるような装備を身につけておくこと。

そして、ドライバーの目につきやすい色のウェアを着る、
バイクにも反射板をつけること。
その上で、バイクに乗っている時も、
クルマに追突されないよう工夫して運転しましょう。

自分が停まったことに後続車が気付く保証はないので
停車する時はポンピングブレーキを行う。
前後ブレーキを使ってブレーキランプを点滅させ、
減速中で停止しますという意思表示を後続車にします。

また、停止する場所のポジショニングですが、
佐川さんは少しでも追突される確率を減らすため
なるべく左に場所をとるそうです。
それによって、もしも車が止まらなくても、
追突せずスルーしていく可能性が高まるから。

ライダーの方はなるべくクルマに追突されないという意識をもって
ドライバーの方は停車しているバイクは気づきにくいという認識をもって
運転して下さい。




クルマを運転する時、確認しにくいのが後ろの安全。
車体の死角部分があり、障害物で見にくいこともあり、注意が必要です。
今週のテーマは「クルマ後方の安全確認」。
JAF 東京支部 事業課 交通環境係 栗原悠羽さんにお話を伺いました。





国土交通省は今月、道路運送車両法に基づく保安基準などの改正を行い、
2輪車などを除く自動車に対し、車両直後の障害物を確認できる
カメラやセンサーなどの装置を備え付けることを義務付ける方針です。

新型車については2022年5月以降、
継続生産車についても2024年5月以降に適用となる予定。

車のすぐ後ろは運転席からは死角となり確認することは難しいもの。
バックカメラやセンサーがあることで死角を少しでも減らし、
見落としを防止する効果を期待できます。

ただ、もうしばらく時間がかかりますし、
「バックカメラ」があっても頼りきりはよくありません。

公益財団法人交通事故総合分析センター ITARDAが発表している
2008年から2017年の10 年間に発生した死傷事故のうち
後退事故が占める割合は増加傾向にあるとされています。

歩行者が巻き込まれる事故については、
特に駐車場などで歩行者が巻き込まれるケースの割合が増加。
後退事故を起こした車の運転手の年齢を見てみると
若い運転手からベテランの人まで広く分布しているので
常にバックする時は危険を意識する必要があります。





駐車場にはお年寄りや子どもいて
バックに進行している時はそれほどスピードが出ていないとはいえ危険。
バックカメラ搭載のクルマに乗っている人も気をつけて下さい。

バックカメラは運転席から見えない後方を確認できる便利な装備。
でも、後方すべてが映るわけではありません。
また車の側方や前方など、映らない場所もあるので、
駐車場などで周囲に止まっている車の影から歩行者が出て来て
ぶつかってしまうことも考えられます。

また、前向きで駐車して後ろ向きで動き出す場合は、
左右の車、後ろの道路、確認するべきポイントが多くなります。
どこか見落としがあれば、それが事故に繋がりかねません。





いわゆる”前方”と比較して“後方”は角度が広い。
前方が100度だとすると260度。
範囲が広い上に、いろいろな理由で見にくさが伴います。
何もないか? クルマや自転車や人が近づいてないか?
しっかりと確かめるようにしましょう。

その時に重要なことはギアをリバースに入れてからすぐ車を動かさず
ミラーやバックモニター、目視も組み合わせて安全確認してから動かすこと。
不安な場合は車を止めていちど降りて目視で安全確認する必要もあります。

縁石や背の低いポールなどの障害物は、
バックモニターを使っていても死角になりがち。

特に遠出した目的地に到着した時には、
早く車を止めようという意識が働きがち。
安全に停車するまで気を緩めずにしっかり安全確認して下さい。





対物や対人事故ではなく、物損事故だったとしても、
大事にしているクルマに傷がつけば凹むと思います。
多くのドライバーはバックがあまり得意ではないもの。
慎重にいきましょう。