かねてからの人気。電動アシスト商品の普及。
コロナ禍で、通勤時の“密”を避けるため、運動不足のため、
宅配サービスの頻度が高まったため、
街に自転車と危険が増えたという声が聞かれます。

今週と来週は2週にわたって
「自転車の交通ルールと安全利用」をお伝えします。
コメントは自転車ジャーナリストで
「自転車の安全利用促進委員会」メンバー 遠藤まさ子さんです。







交通事故全体はかなりの減少傾向。
その中にあって自転車事故には減少率が少ないケースがあります。

平成21年の自転車が絡む事故15万6488件は
平成31年に8万473件となり、半数近くに減っています。
ただ、自転車対歩行者の事故は平成21年の2946件が平成31年は2692件。
1割しか減っていません。
交通事故に占める割合としては自転車と人、
自転車単独の事故が割合として増えている傾向にはあるのです。

「自転車」と「人」は自転車側が加害者となる事故。
自転車に乗る人は気を引き締めましょう。







コロナ禍でデリバリー利用が増えました。
路面店の前にたくさんのフードピックアップの自転車が並んでいたり
配達先の家を探すのに必死で道路を逆走していたり、歩道でうろうろしていたり、
そんな光景を目にするので、マナーの悪い自転車が増えているという
印象を持つ人も多いのではないかと遠藤さんは言います。

もう1つは育児用品としての電動アシスト自転車の定着。
お母さん、お父さんが子どもを乗せ、急いでいる特に荒い運転になったり
自転車は車道を走らなくてはいけないのに
子どもを乗せて車道を走れない…と歩道を走る、
しかも、スピードを落とさずに爆走する。

そういう人がいればもちろん目につくので
自転車に悪い印象を持つようになっている人も多いのではないか。
遠藤さんは、そう指摘します。





あらためて自転車の交通ルールをお伝えしておくと
自転車が歩道を走行する条件は・・・

◎ 「歩道通行可」の標識がある

◎ 13歳未満、もしくは70歳以上の運転者

◎ 運転者が安全に車道を通行できない身体の障害を有する

◎ 安全のためにやむを得ない


また、実際に走行する際には・・・

● 車道寄りを、いつでも止まれる速度で徐行

● 歩行者の妨害になる時は一時停止するか
自転車を降り、自転車を押して通行する





自転車は原則、車道の左側を走行。
車道に色塗りされている自転車専用レーンがあれば、そこを走りますが、
気をつけてほしいのが、自転車のマークと矢羽型のマークがあって色塗りのないゾーン。
それは“自転車専用”ではありません。
クルマが走っても違反ではないのです。
自転車利用者がクルマのドライバーに怒ることがあるそうですが、
それは間違った認識です。

そして、自転車のマークがあり、自転車が走行できる歩道も増えています。
これも歩行者はここを避けて通る努力義務がありますが、通行を禁じられてはいません。
自転車は、通行する、通行しようとする歩行者がいない時に
「安全な速度と方法で」走行できるというのがルール。
歩行者がいれば徐行・一時停止の義務があります。
こちらも間違った認識を持たないようにして下さい。






昨年末、発表された第41回 日本カー・オブ・ザ・イヤー。
その結果をもとに、今週は最新型の自動車の安全性を、掘り下げました。
お話を伺ったのは、自動車評論家 国沢光宏さんです。

国沢さん曰く、カー・オブ・ザ・イヤーは、
その年何が起きているのかが分かる車が選ばれるもの。
今回の上位3車種は

③位 トヨタ ヤリス / ヤリスクロス / GRヤリス

②位 ホンダ フィット

①位 スバル レヴォーグ






去年11月に発売された2代目のスバル レヴォーグは、
クルマのハイブリッド化、プラグインハイブリッド化が進む中、
純ガソリン仕様の1.8Lターボ。

全長は4755mm、全幅1795mm。
世界トップレベルの安全性能「アイサイトX」搭載。
価格は300万円台です。





国沢さん曰く、誰もが乗った瞬間に「いいね」という仕上がりの良さが
このレヴォーグの最も評価されるべきところ。
次に運転支援システムの新しいアイサイト。
自動ブレーキのシステムと運転のアシストが優秀で
車のカメラが運転手をチェックし、よそ見を感知すると注意喚起をします。
それでも、視線が戻らなければ、警報を鳴らして減速し、
最終的にはハザードを点けて停止。
渋滞時に前の車を追従し、ハンドルも操作してくれます。
なんとまあ最近のクルマは賢いこと。





国沢さんによると、
今回上位に入った車はすべて高い安全性と事故回避性能を持っています。
トヨタのヤリスもコンパクトカーながら世界最先端の事故回避性能を持っている。
フィットも非常に安全な車になっている。

軽自動車は安全性能に力を注ぐかコスト重視かメーカーによって分かれいるので
同じような条件で走っていても事故に遭ってしまう車と避けられる車があります。
そんな中で今年から軽自動車のカー・オブ・ザ・イヤーが創設されました。
受賞車、ニッサン ルークス」/ ミツビシ eKクロス スペース / eKスペースは、
普通の車と同じような事故回避性能を持っていて、
きちんとした車が受賞したと言えるというお話でした。





安全性能技術が向上する今、はたして本当に安全なのか? 
心の中で心配している方もいるかもしれません。

まもなく世界で初めてレベル3の車が発売予定です。
2020年度中に発売されるいことになっているHondaレジェンド。
このレベル3での運転時はドライバーに状況監視責任はありません。

いま現在のレベル2にある車は人間に主体がありますが、
運転状況を見ていないと車が警告を与えてくれます。
国沢さんによると、自動車を専門にしてきたメーカーは、
多重の安全性を構築しているので心配ないと思いますとのこと。
一方で他ジャンルから自動車業界に参入してきた製品には不安もあるとか。

近い将来、新車の購入を考えている方は、
日本カー・オブ・ザ・イヤーでの評価を参考にしてはどうでしょう?
特に安全面は重要です。しっかりと確認しましょう。


年が明けて、警視庁が2020年の交通事故死者数を発表しました。
今週はその結果についてお伝えしました。





警察庁による交通事故死亡者の統計がスタートしたのは終戦から3年後の1948年。
初めての年は3,848人でした。

その後、日本は高度経済成長期に突入して、
1959年には1万人を突破。翌年には1万2,000人を突破。
この2年で日清戦争2年間での日本の戦死者数を超えたことから
「交通戦争」という言葉が生まれました。
そして、1970年、現在までの最多となる1万6,765人を記録しています。





一方で、交通事故を減らすために社会インフラの整備が進み、
1971年からは交通事故死者数は減少に転じます。
1979年にはピーク時の半分ほどの8,466人になりました。

ところが1980年から交通事故死者数は再び増加へと反転。
1988年には1万人を突破し、この「第二次交通戦争」のピークは、
1992年の1万1,452人でした。

背景には運転免許保有者数や自動車の増加や
運転技能が十分ではない若い運転者の増加があったとされています。

第二次交通戦争の中、行われた法律やさらなる道路環境の整備、
交通安全啓蒙活動の効果が表れたのが1993年。
自動車技術の進歩もあり、交通事故死者数の減少が加速しています。
2016年には3,904人となり、統計2年目の1949年以来の4千人以下に。
そして、2019年は3,215人まで減りました。





これまでの流れを振り返ったところで、     
最新2020年の交通事故死者数は

2,839人 (前年比 ー376人) 
    

4年連続で「統計開始以来最少」を更新し、初めて3千人を下回りました
一方で、世代別では65歳以上の高齢者が56%で統計開始以来最多。

都道府県別では、53年ぶりにワーストになったのは東京都。
去年より22人増えて155人。

2位と3位は去年と同じで愛知県と北海道。
愛知県は2人減って154人、北海道は8人減って144人。

4位は8人増えた神奈川県で140人。
5位は去年のワーストだった千葉県、44人減って128人でした。

ただ、これは絶対数での順位。
人口に対する割合では結果が変わるので認識には注意が必要です。





最少人数記録の更新は喜ばしいですが、
それでも2,839人が亡くなったことを忘れてはいけません。

始まったばかりの2021年。
さらに劇的に交通事故被害者を減らしたいものです。


自動運転技術の実用化が進む自動車。
その周知を図るCMもよく見るようになりました。
自動運転は今、どんな段階にきているのか? 安全性はどうなのか? 
今週はモータージャーナリスト 菰田潔さんにお話を聞きました。






自動運転のレベルは6段階が定義されています。


<レベル0> 運転自動化なし


<レベル1> 運転支援

前後・左右、いずれかのクルマの制御に係る運転操作をシステムが行うもの。
自動ブレーキと呼ばれている衝突被害軽減ブレーキや
前の車との車間距離を取って走るアダプティブ・クルーズ・コントロール
レーンをはみ出さないように走るレーン・キープ・アシストなど。


<レベル2> 部分運転自動化

前後・左右、両方のクルマの制御に係る運転操作をシステムが行うもの。
基本的に高速道路で60キロ以上の時にできる部分的な自動運転です。

ドライバーが監視をしている必要がありますが、
停止シーンではアクセル、ブレーキを車がやってくれます。
さらにレーン・キープ・アシストでレーンからはみ出さずハンズオフで走れます。
ただ、何かあった時はすぐにドライバーが操作しなければいけません。
ドライバーが脇見をしていると注意してくださいと車から怒られる。

反対にBMW製品の場合は渋滞の時に運転操作を担ってくれます。
高速道路、60キロ以下、前に車がいる、という3つの条件が揃うと
渋滞モードで走ることができると車側から教えてくれて
ボタンを押すと手足フリーで走ることができます。


<レベル3> 条件付運転自動化 

システムが全ての運転タスクを行いますが
システムの要請でドライバーの対応が必要です。







<レベル4> 特定条件下、基本的には高速道路での完全自動運転 


<レベル5> 完全自動運転

       
レベル4とレベル5ではシステムが安全の監視・対応を行います。
人間は関与しません。難しいのがレベル3。

まだ、レベル3のクルマは世界に走っていませんが、
今年、日本で実用化される予定です。それがHondaのレジェンド。
これはハンズオフどころかアイズオフが許されます。

ところが、車から運転操作を依頼された場合はドライバーが操作します。
なので、景色を眺めたりというところまではできますが、
運転席から離れることはできず、寝ることもできません。

レベル3より上になると人間が一時的に介入せず車が勝手に走るモード。
実は自動車メーカーごとに見解がわかれているようです。
例えばボルボなどレベル4になるまで出さないところもあります。

レベル3ではドライバーが本当に寝てしまった場合、
気がついた時にすぐ運転に戻れるかという曖昧な部分があるためです。

自動車の完全自動化はまだかなり先のこと。
一方で自動化は段階的に進んでいくでしょう。
その過程にあるこれから、人間の運転と自動運転が混在した状況には、
注意が必要だと菰田さんは指摘します。





菰田さんはスカイラインのプロパイロットで試験走行した時のこと。
ランプ・ウェイに出てインターチェンジに出るところ、
減速区間が終わってカーブが始まりました。
自動運転の車は標識を読んで60キロ、40キロと
標識通りにスピードを落としていきます。

ところが一般の車は100km/hで走っていて
ランプ・ウェイに入っていく時に80キロくらい出ています。
そこで後ろから車が迫ってきたので思わずアクセルを踏んで逃げたそうです。
自動運転と普通の車が一緒に走ることの危険性を指摘します。

自動化が進んでいく中にあっては、
自分のクルマの走行に、他のクルマとのコミュニケーションに、 
充分気をつけて走行することが必要になります。





今日から2021年。
新しい1年も安全運転を心がけましょう。
新年の初回は「令和3年 交通安全 年間スローガン」。

全3部門からなる「交通安全 年間スローガン」は、
全日本交通安全協会と毎日新聞社の主催。
令和3年の各賞は12月に発表されました。

今朝は最優秀賞にあたる各部門の「内閣総理大臣賞」作品を
受賞者のコメントとともに紹介しました。





◆ 一般部門A 運転者(同乗者を含む)へ呼びかけるもの

 ゆとりある 心と車間の ディスタンス

 開智日本橋学園高等学校2年
 焼山 美羽(やきやま・みう)さん



焼山さんは将来“文章”に携わる仕事につくことが夢。
実力を磨こうと作文コンクールや標語コンクールを探している時
担任の先生から「交通安全 年間スローガン」のことを聞き、応募しました。

新型コロナウイルスが感染拡大して
当たり前だと思っていた生活が大きく変わった昨年、
イライラする人も増えたのかな
車の運転にも影響しているのではないかなと思った焼山さん。
コロナ対策同様、車間もしっかりとってほしいとこのスローガンを作りました。
運転が荒い人やスピードを出し過ぎてしまう人が多いと感じるので気をつけて欲しいと思います。
そう話してくれました。







◆ 一般部門B 歩行者・自転車利用者へ呼びかけるもの

 ママなんで? 赤は止まると 習ったよ

 関西学院大学・4年 天野 瑛斗(あまの・えいと)さん



天野さんは春から社会人になる大学4年生。
広告業界を目指して就職活動をしている時に
コピーライターの技術は公募に挑戦して磨くといいという
アドバイスを受けて応募したところ内閣総理大臣賞を見事に手にしました。

交通安全の大事さを促すだけでなく
人の行動を変えるキャッチコピーを目指したという天野さん。
日常生活で自転車に乗る中で、お母さん世代が乗る自転車へのメッセージを思いつきました。
お母さんが誰に注意されると最も心に響くか?と考えると、その答えは子供。
そこで、子供視点のスローガンになったという半ばプロの発想から生まれました。





◆ こども部門 中学生以下(自分たち自身)へ交通安全を呼びかけるもの

 自転車に 乗るならきみも 運転手 
 埼玉県川口市立青木中央小学校4年 前奈菜子(まえ・ななこ)さん



奈菜子さんの家庭では去年、6歳の妹も自転車に乗れるようになりました。
そのこともあって同じ子供たちに交通安全に気をつけてほしいと思ったようです。
子供は特に自転車でスピードを出すことが多く、
車の運転手さんのほうがより交通安全に気をつけている気がしました。
そこで、自転車に乗る時は車を運転する大人のような気持ちで!と呼びかけたのです。
どんなに急いでいてもスピードを出し過ぎない。
あと右と左を良く確認してほしいと話してくれました。


交通安全スローガンは自分で考えることにも意味があって
イマジネーションを膨らませて言葉にすると
交通事故の怖さ、交通安全の大切さにあらためて気づくでしょう。
みなさん自身の2021年の交通安全スローガンも作ってみませんか?