2020年も残すところ1週間。
この年末年始は、外出を控える方が多いと思いますが
初詣に出かけたり、実家や友人宅を訪問することも、あるかもしれません。

何かとお酒を飲む機会がある時期。
そんな時でも、浮かれた気分になりすぎず、交通安全に注意して下さい。

今年最後は JAF東京支部 事業課 交通環境係  高木 孝さんにお話を伺い
『年末年始の交通安全』をテーマにおとどけしました。





忘年会・新年会シーズン。
まずは、やはり飲酒運転から。

お酒を飲むと判断力は鈍くなります。
運転してはいけないと分かってはいても
「そんなに飲んでいないから大丈夫」という
甘い判断が顔を出さないとも限りません。

ですから、そういう影響が出る前、お酒を飲む前に
今日は運転しないということを皆で意識を共有して下さい。
お酒を飲んだ仲間が車で帰ると言い出したら周りの人が止めないといけません。

アルコールの影響で正常な運転ができない状態で運転した場合は免許取り消しです。
その後、免許が取れない期間が3年、そして5年以下の懲役、または100万円以下の罰金。

酒気帯び運転でも呼気中アルコール濃度が0.25mg以上であれば
免許取消、3年以下の懲役、または50万円以下の罰金となっています。

免許停止になったら、生活や仕事に支障をきたす人も多いはず。
それだけなら、まだいいかもしれません。
交通事故を起こして、誰かを怪我させたり、命を奪ってしまったら
これまで築いてきたものは失われます。

「自分には起こらない」ということは決してありません。
起こってからでは遅いのです。
飲酒運転による死亡事故は、飲酒なしと比較すると、およそ8倍です。





いま、交通事故者の当事者の割合がとても高いのが高齢者。
歩行中に亡くなる高齢者も多数います。
年末年始、街で遭遇する高齢者がお酒を飲んでいてよろめくかもしれません。
ハンドルを握っている時には、そうしたことを頭に置いておきましょう。
歩道の歩行者の動きにも注意を払っておく必要があります。





そして、交通量が減る街もあるかもしれません。
道路が空いているからとスピードを出すのは危険です。

交通量が少ない道路では、ついアクセルを踏みこみがち。
でも、非常に危険性が高い。それは他の交通の参加者も同じだからです。
例えば自転車が速度を落とさないで交差点に進入してくるかもしれません。
他のクルマもスピードを出しているかもしれません。
スピードが出ているほど、事故は大きくなる可能性があります。
空いている時こそ気をつけないといけないのです。





そして、ふだんは運転に不慣れな人がハンドルを握ることがあるかもしれません。
最後にそういう方たちへの注意点。

まず、運転をする車の全体像を運転前に把握しましょう。
車高、幅、クルマのサイズを運転感覚のために認識する。

その上でワイパー、ヘッドライト、機能操作を一通り抑えましょう。
運転中に「わからない!?」となると慌ててしまうことがないように。

そして、交通ルールや標識もしっかり把握しておく。
標識がわからない、例えば侵入禁止の道路に入ったりすれば、
来ないはずのクルマが来るわけですから事故の元になります。

道を間違えた時てもイラついたり、パニックになったりしないように。
安全が第一。目的地にはいつか受けるのです。
安全な場所へ車を停めて道を確認してから再び発進する。

高速道路で降りるべきインターを通過してしまった!
後ろから車来てないから今のうちに…
とバックして戻るなんてことは決してないようにして下さい。






今週のテーマは「続・危ないクルマのローカルルール」でした。
ある地域で何かしらの危険な運転が顕著で
ネーミングされた「ローカルルール」が全国に存在します。

この番組では4年前に4つのローカルルールを紹介しました。
12月は交通事故死亡者が最も多い月。
注意喚起の意味を込めて
前回とりあげなかった3つの「ローカルルール」を紹介しました。





1つ目は徳島県の「阿波の黄走り」。
電話取材によると、もともと「阿波の黄走り」は
地元では認識されていなかったそうです。
地域外のマスコミがつくっのではないか?とのことでした。

そのことをお伝えしつつ、
「阿波の黄走り」がどんな運転を指すかというと・・・
信号が黄色に変わるとスピードを上げて交差点を通過する行為。

車を運転する方なら、そういう経験があるのでは?
黄色信号は「注意して進め」という意味ではありません。
安全に止まることができない場合を除いて停止線の前で止まるというもの。

黄色になると“急いで交差点を通過しないと!”と、
スピードを上げている全国のドライバーのみなさん、
黄色信号は停車する合図だということを認識して下さい。





ちなみに4年前にJAFが行った「自動車運転マナーの調査」。
自分が居住する都道府県の運転マナーは悪いと答えた人のランキングは
全国平均38.3%のところ

3位 茨城県 67.2 % 
2位 徳島県 73.5 % 
1位 香川県 80.0 % 

マナーの悪さ=危険運転ではありません。
また、危険運転の要素が入っているにしろ、これは主観的な判断。
客観的に見れば、マナーが悪いと思っていない都道府県のほうが、
マナーが悪いと思っている都道府県より、危険な運転が多いかもしれません。
ただ、いま挙がった県は、多くの人が自分の地域の運転マナーは悪いと思い、
他のドライバーに対してストレスを感じているので気をつけましょう。





続いての危ないローカルルールは「茨城ダッシュ」。
これは交差点手前で信号停止している時
赤信号から青信号へと切り替わったとたんに交差点に進入し
直進車よりも先に右折する運転行為。

危ないですね。
これは交差点では直進するクルマが優先という規則に違反しています。
  
先に行こうと、急スピードで右折したとしても
急いでいる直進車も急な加速をするかもしれません。
また、先に右折しようと急いだあまり
横断歩道を渡る人を、見逃しているかもしれません。
  




最後の危ないローカルルールは「岡山ルール」と言われるもの。
これは、どんな運転かというと
右折や左折をする時に曲がる直前までウィンカーを出さない行為。
特に右折の時が顕著です。

4年前のJAFのアンケート調査では
「方向指示器を出さずに車線変更や右左折する車が多い」かどうか尋ねた質問に
「とても思う」と「やや思う」と回答した割合が、岡山県は全国最多。
9割にのぼりました。

理由としては、右折の時、早めにウィンカーを出すと、
直進車がスピードを上げて、先に曲がれなくなることが考えられています。
これも危ないですね。

そして、昨年は岡山県内の岡山市が政令指定都市の中で
人口あたりに対する交通事故死亡者数がワースト1位。
これについて一般財団法人 岡山県交通安全協会
安全事務局 次長 河内隆志郎さんが注意を呼びかけて下さいました。





ローカルルールは、その地域に顕著な運転行為かもしれませんが
その地域に限ったものではありません。
多くの場合、道路交通法違反でもあります。
気をつけましょう。



来週は冬型の気圧配置が高まって
全国的に厳しい寒さとなりそうです。
北海道や東北では大雪の予報が出ています。

本格的な冬の到来。
今週はモータージャーナリスト 菰田潔さんに
冬の悪天候下での運転の注意点を伺いました。





冬の天候は怖いもの。
大雪や吹雪の予報になったら車では出かけないほうが安心です。
前方を走る車がスリップして、数珠繋ぎの渋滞が発生。
動けない時間で車が雪に埋まってしまうことがあるからです。

その時に寒いからエンジンをかけたままにすることが普通ですが
排気ガスが車内に流入して一酸化炭素中毒になる可能性があります。
実際、それで亡くなった方もいるので注意しましょう。

雪に埋まってドアが開かない。寒いのにエンジンもかけられない。
そんな大変な状況にならないよう気をつけなければいけません。





冬の悪天候で、危険な目に遭わないためには、情報収集が大事。
まずは運転前に天気予報を確認してください。

悪天候が予想されている中、運転する時には、
ラジオやスマートフォンを使って状況を把握しましょう。
ただし、スマートフォンを扱う時は必ず車を安全な場所に停めてから。

そして、冬の悪天候で危険なことの1つが強風です。
左から強風が吹くと車が右に逸れてしまわないようハンドルを左に切る。
その時に風がぱたっと止んだら、車は左に向かって進んでしまう。

これが例えば、高速道路で大型トラックを追い越そうとした時だと、
トラックの影に入ると強風が止み、追い越すと再び急に風に煽られます。
スピードが早いほど横に飛んで行く可能性が高まるので
強風が吹いたらスピードを控えて走ることが大事なポイントです。

また、強風の時には、特に高速道路で、
トラックなどから落ちた積荷にも気をつけて下さい。
スピードが出ていて大事故になりかねません。





次に激しく雪が降ってきた時。
雪が降ってきた時の原則はヘッドライトを点けること。
自分の存在を知らせるためにロウビームを点灯しましょう。

最近デイタイムランニングライトがついた車が増えました。
ただ、デイタイムランニングライトは外が明るいと後ろは点きません。
後部ランプを点けるにはヘッドライトをオンにすることを忘れずに。

また、雪の中で道路に立ち往生して車が停まっていることもあります。
その可能を考えて走行するようにしましょう。
雪の状況では急に止まれないので十分に注意をする。
自分が車を停める場合は、他の車の邪魔にならない場所を選びましょう。


それから、濃い霧が出てきた時には、
最近はリアフォグランプがついている車種が増えましたが、
乗っている車がそうであれば点灯して
後続車に自分の存在を知らせるようにしましょう。





冬の悪天候時の運転、大きな危険ポイントの1つが「視界」。
例えば時速50キロで走っている時には1秒間の走行距離は14m。
2秒先見たら28m、4秒先なら約50mなります。

5、60m先が見えていればなんとか時速30km 〜 40kmで走るのは大丈夫。
でも、視界が10m以下になったら、走るのであれば、かなりゆっくりと。
あまりにも先が見えない時は、一時的に走行をやめる。
その時も、クルマを停める場所には、注意を払いましょう。
冬の悪天候下での運転は、危険が伴います。十分に注意してください。


交通事故死亡者数を月別に見ると1年で最も多いのが12月。
しかも、それは毎年のこと。
ふだんの月よりも運転に注意しましょう。





今回はJAF東京支部 事業課 交通環境係 高木 孝さんに
12月の交通事故状況と運転の注意点についてお聞きしました。

例えば去年、令和2年だと12月の1ヶ月で356人の方が亡くなっています。
1日平均11人。実数を知ると、リアルで、生々しい気がします。
ちなみに最も少ないのは6月の206人で150人もの差があります。
     
毎年のように12月の交通事故死者数が最多なのですから
そこには1つとは限りませんが、必ず原因があるはずです。

過去の統計を見ると平成30年や令和元年の単年でも
平成21年〜30年の平均でも月別ワースト3は3位から10月・11月・12月。
このことから日没が早まることの影響が考えられます。

◉ ヘッドライトを早めに点灯しましょう!

◉ 夜間の運転には気をつける!
  車の往来が少ない道路ではハイビームを活用すること

◉ 歩行者、自転車に乗る人は、反射材を身につけて下さい!
  自分の存在をアピールしましょう





ヘッドライトについては高木さんからの注意点が1つ。
それは最近普及してきたオートライト。
自動的にセンサーでライトを点灯してくれますが、
何かの拍子にオートライトのスイッチが切れていることも考えられます。
ライト点灯しているつもりでいて、実は点灯せずに走っていることがないよう
インジゲーターを見て確認する習慣をつけましょう。





12月に交通事故死亡者が多いのは、年末の慌ただしさも原因かもしれません。
確認できる運転環境、危険の予測と判断、とっさの事故回避、
どれをとっても、当然スピードが速まるほど、マイナス要素が増えます。
急ぐ運転の危険性を認識しておきましょう。





また、冬の道路環境も原因かもしれません。
特に早朝とか夕方冷え込んできた時は路面が凍っているかもしれません。

特に気をつけるべきは薄い氷が張った状態、いわゆるブラックアイスバーン。
運転席からは路面が濡れているように見えて、氷が張っていとは思わない。
普通の濡れてる路面のつもりで運転すると氷で制動距離が伸びてしまう。
ブレーキを踏んでも思うように停まらないことが起こります。
この時期は路面の凍結も頭に入れてハンドルを握ってください。

場所としては、山の影になっているところ、トンネルの出入り口、
橋などが、路面が凍結しがちです。

そして、年末に忘年会があったとしても飲酒運転は決してしないで下さい。
この1ヶ月を安全運転に努めて、2020年を締めくくりましょう。