クルマを運転していて、左に曲がる時、あるいは右に曲がる時、
歩行者と接触しかけて「ヒヤリ」としたことはありませんか?

自動車と歩行者の交通事故が起こった場合、
100%近く自動車のドライバーに過失割合があるとされます。
充分に注意してハンドルを握らなければいけません。

今週は「右折時・左折時の対歩行者事故」がテーマ。
JAF東京支部 事業課 交通環境係  高木 孝さんにお話を伺いました。





【左折時の対歩行者 注意例 その1】

左折をしたいので歩行者の交差点横断を待っているドライバー。
渡り終えたので左折しようとしたところに新たな歩行者が現れるケース。
新たな歩行者は、この左折車が止まっているのを見ていて、
今のうちに横断しようと交差点を渡り始めた。
ドライバーは”目前の歩行者が渡り終えたら”と思っているので
別の歩行者のことに気づきにくい。



左折の場合は前方から交差点に入って来る歩行者は見えやすく、
進行方向と同じ方向、視界の左側から来る歩行者は確認しにくいもの。
きちんと首を振って目視しましょう。






【右折時の対歩行者 注意例 その1】

前の車に続いて右折する時に意外に事故が起きやすい。
先行者はギリギリ歩行者の前を右に曲がっていったのかもしれない。
その後に無闇に続いてしまうと歩行者と接触してしまう。
それも左前方から来る場合は視界に入りやすいが、
右後方は意外と見えにくいので、しっかり見る。
面倒だと思わず、きちんと安全を確認した後、ハンドルを切る



特に急いでいる時や、そろそろ信号が変わるだろうというタイミング、
ついつい前のクルマに続いて、右折をしている人もいるかもしれません。
それは危険です。きちんと、自身でも、歩行者の有無を確認しましょう。





【右折時の対歩行者 注意例 その2】

今度は自分が右折の先頭に立ったケース。
後方に右折車が連なるとプレッシャーを感じるかもしれないが安全優先。
直進車の流れがわずかに途絶えた時、それでも次の直進車も近づいてきている、
急いで渡ることに気を取られて歩行者の存在を見落としているケース。
意識しておきたいのは、どんなにプレッシャーがかかったとしても、
対抗直進車だけではなく歩行者を考慮に入れること。






右折の場合は「直進してくる“あのクルマ”が通過したら曲がろう」
と思っていてハンドルを切ったところ、
そのクルマの後方に見えていなかったオートバイや自転車がいた!!
ということもあるので、その点でも注意が必要です。


【歩行者視点での注意点】

急いでいる時や信号が間も無く点滅しそうな時、
駆け足気味に交差点に入っていくことは危険。
その時に左折しようとする車が止まっているとしても、
それは自分のため停車しているのでは無く前の歩行者のため。
そのクルマが自分のことを気にしているか注意を払う。
自分の身を守るためにも、そういう習慣を身につけましょう。






ドライバーにとって右折左折時は、通常の直進走行をしている時に比べて、
注意を向けるべきポイントが多いところだと理解しておきましょう。
クルマだけではなく、歩行者のことも気にとめる。
その歩行者は信号無視をしてくる可能性も少なからずありませう。

必要なのはゆとりと余裕。
気持ちに余裕を持って充分に減速、場合によっては停止。
確認をしてから左折する、右折することが事故の回避に繋がります。


街を歩いていて、またはクルマや自転車を運転していて、
歩きスマホをしている人と「ぶつかりそうになった」
「ぶつかってしまった」という経験がある方、いらっしゃるでしょうか?

るいは、自分が歩きスマホをしていて、
「危ない目にあった」という方もいるかもしれません。
歩きスマホは事故の元。

今週は7月1日から神奈川県 大和市で施行された
「全国初の歩きスマホ防止条例」についてお送りしました。





大和市役所 道路安全対策課 山口博一さんによると
大和市で歩きスマホ禁止条例の話が出てきたのは去年の5月。
市長からの指示でした。

歩きスマホを原因とする重大事故は確認していませんでしたが、
注意力が散漫になり重篤な交通事故に遭う危険性も高くなります。
大和市は神奈川県内で2番目に人口密度が高い自治体。
スマホの所持率はパソコンの世帯保有率を上回る79%以上で
今後さらに普及率が高くなることから、
事故を未然に防止するために制定されました。





東京消防庁によると、
管内の歩きスマホなどが原因の事故で救急搬送された人は、
2015〜2019年の5年間で199人。

これは「救急搬送された人。
事故にあった人の数はもっと多く、
しかも、東京管内の話なので全国にはもっと多い怪我人がいるはず。

歩きスマホで、小さな子どもやお年寄りとぶつかれば、
大怪我をさせてしまうかもしれません。
駅のホームから転落した死亡事故も起きています。





大和市が制定した条例では、
道路・駅前広場・公園などの公共の場所で
「スマホ等の画面を注視しながら歩行すること」を禁止。
合わせて「スマホ等の使用は通行の妨げにならない場所で
立ち止まった状態で行うこと」を定めています。
スマートフォンのほか、携帯電話、タブレット端末、
これらに類する物ということで、
画像を表示して使用する機器は対象となります。


この条例については罰則はありません。
取り締まりが強化で社会全体が窮屈になるマイナス面もあるので
全ての禁止行為に罰則を設ければいいいう訳でもないという考えに立ち
市民、事業者は意識啓発など市の施策に協力するよう努める責務を定めています。

路上喫煙防止も過料をかけている地域とかけていない地域がありながら
啓発活動が続けられた結果、ほとんど見かけなくなりました。
歩きスマホも同様の視点で期待しているということです。





そして、驚くことに大和市の条例制定については海外メディアも注目。
フランスAFP通信やイギリスBBCなどの取材を受けたとか。
これからも一層、市民への普及を図りたいとしています。


大和市に続いて、東京都足立区でも公共の場所での
“ながらスマホ”禁止を盛り込んだ罰則規定なしの条例が施行されました。
今後、追随する地方自治体も出てくるでしょう。
ただ、法令ではなく、各々の意識で「歩きスマホ」をなくしたいものです。





毎年、交通安全をテーマにした
川柳のコンテストが開催されています。
一般社団法人 東京指定自動車教習所協会が主催している
『「交通安全」川柳コンテスト』。
6月終わり、最新である第11回大会の結果が発表されました。
今週は、その結果を紹介しました。





「交通安全」川柳コンテスト第11回は、
全国47都道府県から総数22,202句の作品が寄せられました。
その中から選ばれたのは入賞5点、優秀賞2点、最優秀賞1点です。


<入賞作品>

ペンネーム めぎょ
ゆずりあい だれでもできる おもてなし 

ペンネーム くましん 
自動車も 濃厚接触 控えましょう 

ペンネーム 博之助
教習車 見るたび直せ 我がふりを 

ペンネーム 減点パパ
返納も マナーのうちと 老いて知る 

ペンネーム おいまる
返納し 増える筋肉 減る脂肪 


思いやりの気持ち、あおり運転に繋がりかねない車間の接近、
そして高齢者の運転免許証の返納問題と昨今の交通問題が出ています。





<優秀賞作品>

ペンネーム まあちゃん
窓を開け コロナと眠気 吹き飛ばす 

新型コロナウィルスの感染防止には三密をさけることが大切です。
車の窓を閉め切ると三密になるため、窓を開けてコロナを追い出し
感染防止を心がけています。また、車の運転には眠気は厳禁。
運転中に眠たくなった時は、窓を開け新鮮な空気を取り入れることが
事故防止に繋がります。窓を開けることによって、コロナ感染防止と
事故防止に繋がればと思い、作りました。



ペンネーム だるま
睡魔とは 戦わないで 一休み 

交通事故は人間社会において車生活がある以上、
なくなることはないと思っています。
しかし、交通事故を減らすことはできる。
そう思い、応募しました。
学校での取り組みを通して、このような貴重な体験をさせて
いただけたことに感謝しております。








<最優秀賞>

ペンネーム 竹里笠杖
心にも 自動ブレーキ 付けておく 

今から46年前、地元の自動車教習所に通い運転免許を取得しました。
運動神経の鈍い私は、うまくいかない実技教習で自動車運転を諦めかけていました。
そんな時、父から「自分ばかりでなく、人様の命にも関わることだから
いい加減に教習を終わらせてはいけない。
時間とお金はかかっても無駄にはならんから」と叱咤激励され、
通常の二倍の時間をかけてやっと実技教習を終えることができました。
我が子から聞く、今の教習所の様子から想像すると、当時私が教わった
教官は、今とは比較にならないほど厳しい方が多かったように思います。
しかし、長く厳しい教習のおかげで、今日まで無事故で過ごすことが
できたように感じております。






こうした交通安全をデータにいろいろ想像して、
考えて、形にしたことは、頭と心に強く残って、
自身の生活にも反映されるでしょう。
その理由で子どもたちが考えるのもいいことです。

子供たちが夏休みに入り、お盆の季節が近づいてきました。
今週は先週の続き「夏のロングドライブ」の後編。
出発後の注意点をモータージャーナリスト 菰田潔さんに聞きました。


1)あおり運転に注意

最近、たびたびクローズアップされる「あおり運転」。
自分にその気がなくても、前の車に煽っていると思われる運転があります。
それは前を走る車との車間距離。

世界的には、いま車間距離は2秒とるというのが標準。
1秒だと前の車は後ろの車が迫っていると思います。
それで嫌でアピールのため急ブレーキを踏むと
後ろの車は急ブレーキを踏んだことに怒るという悪循環に陥ります。
前の車と2秒間離れていれば視界も開けて、その点でも安全。
疲れも少なく、燃費も良い運転です。

ちなみに「2秒」をメートル換算すると、
高速道路だと時速100キロで1秒28m走るので約56m。
一般道だと時速50キロで1秒14m走るので約28m。





2)適切なポジションで疲労を避ける

菰田さんによるとドライビングポジションが運転の疲れの80%。
正しいドライビングポジションは意外とハンドルに近い状態です。
シートに深く腰掛け、アイポイントは、やや高めにする。
フットレストに左足で踏ん張っても膝がきちんと曲がるようにする。
ハンドルとシートバックの距離はハンドルの一番上を握っても
肘が少し曲がるくらいの位置でヘッドレストもきちんと合わせる。
直進している時でもハンドルを手のひら少し前に押すような感じで持つと
背中がシートバックにきちんとついて楽に走行できます。





3)仮眠のとり方

先週、出発前の準備で伝えた「凍らせた水」と「硬いおせんべい」。
飲んで、食べてみたけれど、やっぱり眠気が・・・zzz
そんな時は仮眠を取ります!

正しい仮眠の取り方はサービスエリア、パーキングエリアに入り、
まずはカフェインを飲むことが大事なポイントです。
そしてすぐに寝てください。仮眠の時間は15分から20分。
それ以上長く寝ると本格的に眠くなってしまうからです。

カフェインが効くのは飲んでから30分後。
起きたら冷たい水で顔を洗い、
運動をして運転を始めた頃にカフェインが効いてきます。





4)もしも事故を起こしてしまったら 

事故が起こってしまった場合には負傷者の救助が第一。
そして警察に連絡をして救急車を呼びます。

それから交通の障害にならないように車を避けるのも大事なポイントです。
高速道路で事故を起こした場合は走行車線に降りないで下さい。
車を必ず路肩に停めてから降りましょう。
車を路肩に停めた場合、特に夜は遠くからだと前の車が走っているように見えます。
車から100メートルくらい後ろに三角表示板を立てましょう。
間違っても後から来る車に轢かれないようくれぐれも気をつけましょう。