先週は雨に関連して起こる
ハイドロプレーニング現象を取り上げました。

その時にお伝えしたように
雨の日の交通事故発生率は晴れの日の約5倍。
クルマの運転には十分な注意が必要です。
そこで、今週はハイドロプレーニング現象以外の
『雨天時に運転する時の注意点』がテーマです。





雨の日に交通事故が起こりやすい原因の1つが視界の悪さ。
クルマを運転する方は承知しているでしょう。
視界がより悪くならないような運転とクルマのケアが必要です。


【スピードを必要以上に出さない】

まず1つ目はスピードを必要以上に出さない。
運転中に得ている情報の9割は視覚から得るとされています。
しかし、速度が速くなるほどドライバーの視界は狭くなります。

少し極端な例ですが、時速40kmキロだとドライバーの視野は100度。
路側の障害物やその他の潜在的な危険を視認することが可能です。
これが時速130キロになると、視野は30度。
周囲の潜在的な危険を認識する能力が大きく減退します。
ただでさえ、雨で視界が悪いので必要以上のスピードは危険です。

さらに、雨で濡れた路面は滑りやすく、ブレーキの効きが悪い。
ブレーキを踏んでからクルマが停まるまでの「制動距離」が伸びます。
ある実験によると・・・

 <時速60キロの制動距離>

  乾燥している路面20m / 濡れている路面 28m  (+8m)


 <時速80キロの制動距離> 

  乾燥している路面36m / 濡れている路面 50m (+14m)


より長く走ってしまう危険を避けるためにも、
必要以上のスピードを出すことは避けましょう。
さらに濡れた路面はスリップもしやすくなります。





【クルマのケア】

雨の日に備えたクルマのケアを心がけましょう。


<フロントガラス/ウィンドウ>

撥水コーティング処理をすると
水滴が綺麗に流れ落ちて視界が確保されます。
市販商品を自分で塗ることも可能ですし
施工してもらうこともできます。
ただ、フロントガラスやウィンドウには油膜がつきます

● 大気中の排気ガス
● 走っている時に油分を含んだ水をかぶる
● 油分を含んだ雨を浴びる
● ワイパーの成分がつく

といった原因で油膜がつくと
撥水コーティングをしても撥水効果が落ちやすい。
まずは、油膜取り剤で油膜を取り
そのあとで撥水コーティングしましょう。

付け加えるとサイドミラーの見やすさを確保するため、
こちらも油膜取り、撥水コーティングをしましょう。


<ワイパー> 

フロントガラスが水滴で見えにくくなるのを防いでくれるワイパー。
そのブレード部分が劣化していると、うまく水滴を取り除けません。
視界の悪さを感じたら交換しましょう。
交換の目安としては半年〜1年と言われています。


【運転している時の対処】

クルマを運転している時の対処も大切です。

<フロントガラスの曇り>

雨の日は結露でフロントガラスが曇りやすくなります。
曇りが発生したら、すぐさまデフロスターを稼働させましょう。
エンジンの排熱で暖められた温風を当てて結露を解消できます。




<ヘッドライトの点灯>

ヘッドライトを点ける意味は視界を確保するだけではありません。
他のクルマや、歩行者、自転車を運転する人に
自分のクルマの存在を知らせることができます。
雨の日は昼間でもヘッドライトの点灯が推奨されています。
フォグランプや補助灯の点灯も良いでしょう。


<休憩>

感覚を研ぎ澄まそうとして緊張しているので疲れやすい。
長い時間の運転はきちんと休憩を取りながら。


<相手も視界が悪いことを考慮に入れる>

雨で視界が悪いのは自分だけではありません。
二輪車や歩行者も視界が悪くクルマに気づきにくいことを
頭に入れておきましょう






雨の季節になりました。
濡れた路面は車が滑りやすいもの。
状況によってはハンドルやブレーキが効かなくなることもあります。
今回のテーマは『ハイドロプレーニング現象』でした。





「雨で濡れた道路は乾燥している道路よりスリップしやすい」。
多くのドライバーは実感した経験があるのではないでしょうか。
    
全日本交通安全協会によると
雨の日の交通事故発生率は晴れの日の約5倍。
全てが路面の滑りやすさのせいではないものの
事故発生率が高くなる原因の1つにはなっています。

中でも気をつけたいのが「ハイドロプレーニング現象」。
hydroplaneは、水面を滑って走る水上飛行機。
クルマの運転でも同じようにタイヤが路面を滑って
コントロールが効かなくなることから名付けられました。
「アクアプレーニング現象」や「水膜現象」とも言われます。





クルマのタイヤの溝には走行している路面の水を排水する能力があります。
しかし、さまざまな条件が整ってしまうと排水が追いつかなくなります。

すると、路面とタイヤの間に水の膜ができて、車がその上に浮かんだ状態に。
タイヤは路面と接していないので、ハンドルを動かしても、
ブレーキを踏んでも、クルマを制御することはできません。
これが「ハイドロプレーニング現象」。





ハイドロプレーニング現象が起こりやすい条件は複数あります。


水が多い道路

タイヤの溝の排水能力が限界を超えるところで起こります


雨の降り始め

雨の降り始めは路面にほこりや泥が浮き上がり滑りやすくなるため


スピードの出し過ぎ

夏タイヤ 80キロ以上
スノータイヤ 60キロ以上で起こりやすいとされています
スピードを出しすぎないことが大切


タイヤの溝の磨耗

タイヤの溝がすり減れば排水能力も低くなります
新品タイヤの溝は8mm〜9mm
道路交通法の違反となるのはスリップサインが現れる1.6mmからですが
一般に溝が半減したぐらいでのタイヤ交換が推奨されています


タイヤの空気圧不足

空気圧が不足するとタイヤの路面をつかむ力が弱まって
「ハイドロプレーニング現象」が起きやすくなります。
タイヤの溝の減りと空気圧をチェックしましょう





続いて、どんなところで、
ハイドロプレーニング現象が起きやすいか? 
 
<高速道路> 

速いスピードで起こるので最も危険


<窪みのある路面> 

深い水たまりがあると排水が追いつかないため


<トンネルの出口> 

路面が乾いていたトンネルを抜けて路面に水が張っている状況に注意
急激に路面状況が変わるところで起こる傾向があるとされています


ハイドロプレーニング現象に見舞われたらどうすればいいのか? 
その対処法。

ハンドルもブレーキも効かない状態。
なかなか難しいかもしれませんが「何も操作しない」ことが基本。
クルマが徐々に減速してタイヤが路面をつかむのを待ちます。
急ハンドルや急ブレーキは、タイヤが路面をつかんだ瞬間、
クルマが高速スピンしてしまう危険を孕んでいます。

ハイドロプレーニング現象は起こってしまわないよう
タイヤの状態、環境、スピードに注意して運転する心がけが重要です。

ハイドロプレーニング現象がどんな減少なのか?
そして、その原因がわかったでしょうか。
雨の季節は十分に注意してハンドルを握って下さい







最近、自動車が歩行者にぶつかる交通事故が目立ちます。
そう感じている方は多いことでしょう。

実際、日本は交通先進国と比べると
交通死亡事故に占める歩行者が亡くなる事故の割合が多いのです。




交通事故総合分析センター(ITARDA)2015年版の資料
「各国の交通手段別 交通事故死者数の構成率」があります。

これは、交通事故で亡くなった方々が
     
・乗用車に乗っていたのか
・二輪車に乗っていたのか
・自転車に乗っていたのか
・歩行中だったのか
・その他の状況だったのか

国別の割合を示したもの。
挙げられている7か国中、日本はワースト2。
ワースト1の韓国38.8%とほぼ同じ37.3%です。

日本に次ぐのがイギリス、ぐんと減って23.7%。
以下、ドイツ 15.5%、アメリカ15.3%、フランス13.5%、
最も割合が少ないスウェーデンは10.8%。

日本の交通社会は歩行者に優しくないことが
交通先進国と比較から、よくわかります。

ドライバーは、この「不親切」に加担しないように
歩行者は、この「不親切」で事故を被らないように
気をつける必要があります。





日本ではなぜ、歩行者に不親切な交通社会を形成されているのか?
モビリティジャーナリスト 森口将之さんに見解を伺いました。

欧米に比べると自転車が普及したのが遅かった日本。
1960年代の高度経済成長時代とともに広がった自動車の所有。
豊かさとともに歩きから自転車、自転車からオートバイ、
オートバイから車と乗り物をステップアップするという考えがあり
それはある意味ステータスでした。
そのイメージが今も心の中にあって、
歩行者を低い立場に感じている人が多いのかもしれないかとのこと。

森口さんは「はっきりした理由はわかりませんが」という前提で、
意見をお話して下さいましたが、そうだとしたら残念な限りですね。

森口さんがもう1つ指摘したのは知識の欠如。
教習所でも習っているはずだが、横断歩道は歩行者が渡るだけでなく、
歩行者が優先ということをドライバーを知っているのか?ということでした。





横断歩道の歩行者優先。
この番組では幾度となくふれてきたので、
多くの方は認識していると思います。

信号のない横断歩道は歩行者が優先。
渡ろうとしている人がいる場合、クルマは一時停止し、
通行を妨げないようにする義務があります。

これは、道路交通法で定められている法律で
違反者には反則金や違反点数が科せられます。

このことを知りながら、
停止しない方が、万が一、いるとするならば、
なぜ自分は停まらないのか? 
胸に手を当てて考えてみてほしいと思います。

今回、挙がったほかにも「自分はこういう理由だと思う」
といった考えが頭に浮かんだ人も多いでしょう。

どうして日本は歩行者に不親切な社会なのか?
ひとりひとりが考えてみる。それを誰かと話してみる。
そうした広がりが現状を変える1つのきっかけになる気がします

もっと歩行者に優しい交通社会へ。
この続編は、また近々、おとどけします。



ドライバーの皆さん。
交差点を右折する時に「ヒヤリ」とした経験はありませんか?





交差点での車の右折は、かなりの危険が潜んでいるシーン。
データに表れています。

警察庁の資料『平成30年中の交通事故』から
「事故類型別・道路形状別 交通事故件数」を見ると
事故類型が「人対車両」「車両相互」「車両単独」と3つある中で
「車両相互」の“右折時”が交通事故全体の【 8.1%】を占めています。

ちなみに他の「車両相互」の事故を見ると

  左折時       → 【4.4%】
  進行中の追突    → 【3.2%】
  正面衝突      → 【2.1%】
  追い越し追い抜き時 → 【1.7%】
  すれ違い時     → 【1.0%】



「車両相互」の右折時【8.1%】を超えているのは、
「車両相互」の“出会い頭【24.8%】と
「車両相互」の“進行中の追突”以外の“その他”【31.6%】だけです。





車の運転において右折時は
特に気をつけなければいけないことがわかったと思います。

しかし、右折時の事故は車両相互だけではありません。
歩行者や二輪車を巻き込んでしまう事故もあります。

公益財団法人 交通事故総合分析センター(ITARDA)が、
去年1月に発表した「交差点右折時の対歩行者事故」を見ると
平成28年の歩行者が死傷した交通事故は全国で5万1千6百件。
そのうちの45.5%、2万3千4百件が交差点で起こっています。

これをさらに事故で最も責任が重い立場の
第一当事者を四輪車と二輪車に分けます。
運転者は直進、左折、右折、どの状態だったのかを見ると

事故の第一次当事者はほぼ四輪車。
その四輪車の右折が圧倒的に多く8,715件となっています。
ちなみに二輪車の右折は73件。
直進626件より少ないですが、左折39件より多くなっています。





では右折時に、どんなことに注意すべきか?
少し古いデータですが、平成19年から平成13年まで、
5年間の事故当事者の構成を死傷事故で見ると

・四輪車 と 自転車 ― 30%
・四輪車 と 四輪車 ― 26%
・四輪車 と 二輪車 ― 23%
・四輪車 と 歩行者 ― 21%

多少の違いはありますが四輪車に対して、
自転車、四輪車、二輪車、歩行者の構成はあまり変わりません。
運転している時は全ての対象を気に留めましょう。

ただ、死亡事故だけに絞って見てみると、
構成比率は変わって四輪車と歩行者が42%となります。
交通弱者である歩行者には特に注意です。
また、道路の幅が広いほど四輪車同士の事故が多くなっています。





1つ、興味深い数字があります。
事故の第一当事者である四輪車のドライバーに、
信号無視があったかどうかという調査結果。

信号交差点での交通事故は「右折」によるものが最も多く
平成23年で3万8千件、一方で「直進」は3万2千件ありました。
この2つの信号無視の有無を確認すると、
「直進」には信号無視が51%もあり、「右折」はわずかに3%。
「右折」の場合は、信号無視はほぼなく、
しかし、事故が起きてしまっているのです。

つまり、主な人的要因は「安全不確認」。
まずは、しっかり安全確認をした上での右折を心がけて下さい。

また、対歩行者では「脇見運転」が、他の事故構成より多くなります。
対向車に気をつけたあとは交差点内に歩行者の存在がないか?
あらためて確認してから右折しましょう。先を気にしすぎるのも禁物です。

四輪車 対 四輪車の事故で最も多い人的要因は「判断の誤り」で2割。
急ぎすぎは事故の元。ゆとりを持って曲がれるタイミングで右折しましょう。
対向車を気にして急いでハンドルを切った先に、
歩行者がいることも充分にあり得ます。
その時に「あっ」と思っても、間に合わないかもしれません。

これまで右折の時に 
どのくらい注意を払っていましたか
もしかすると 慣れた場所ほど 安全確認が不十分になったり
大丈夫だと見切りで右折してしまうかもしれません
これを機会にあらためて右折に気をつけて。