プロのドライバーでも
疲れていたり、イライラしていたり、急いでいたり、
危険な状況で運転していることもあるでしょう。
       
そんな運転手の気持ちを落ち着かせ、
優しい気持ちでハンドルを握るようになる取り組みが注目を集めています。
「こどもミュージアムプロジェクト」といいます。





これは4年前に大阪府高槻市にある運送会社
株式会社 宮田運輸がスタートしたアクション。

「こどもミュージアムプロジェクト」はもともと、
子供たちが描いた絵をトラックにラッピング。
見る人に交通安全を感じてもらい、
トラック運転手は安全運転の意識を強く持つという施策です。

実は宮田運輸は5年前に死亡事故を発生させてしまいました。
物流の仕事は人々に何かを届ける仕事。
それは本来、大きな喜びを伴って、迎えられていいものです。
その一方で子どもにとって大きなトラックは怖い存在でしょうし、
交通事故を起こしてしまっては、本来の仕事の意義が完全に失われます。

悔恨と反省と改革の気持ちでスタートしたのが、
「こどもミュージアムプロジェクト」でした。
この取り組みは、初めて間もない頃から共感を呼びます。

参加をさせてほしいという声が外部からあり
今では参画企業がトラック以外にもデイサービスの送迎車や
営業車両など70社を超えているのです。

ラッピングする絵やメッセージの募り方は参画企業によってさまざま。
宮田運輸の場合は、主にドライバー自身のお子さんや親戚の子が描いたもの。
中には近隣の小学校とコラボレーションして絵とメッセージを描いてもらい、
完成した時にお披露目式することもあるそうです。











「こどもミュージアムプロジェクト」協会の後藤昌代さんによると
この取り組みがスタートして大きな変化が感じられたといいます。
子どもの絵とメッセージが周囲とドライバーを優しくしたようです。

運転中に思いやりの心を持っていれば
乱暴な運転、危険な運転、自分勝手な運転はしないもの。
そして、まともな大人なら、子どもたちが願って描いた
絵やメッセージに何か感じないはずはありません。

「こどもミュージアムプロジェクト」。
素晴らしい取り組みです。もっと全国に広がるといいですね!





こどもミュージアムプロジェクト 公式サイト
http://www.kodomo-museum.jp/


日々、進歩しているクルマの安全性能。
その1つが「衝突被害軽減ブレーキ」です。
今回は交通コメンテーター 西村直人さんにお話を伺いました。

車には周囲の状況を見るセンサーがついています。
そのセンサーが衝突の危険を感知すると警報ブザーやディスプレイ表示で
まずドライバーに対してブレーキを踏んで下さいというメッセージを伝えます。





しかし、何らかの理由でドライバーが反応できない場合、
いよいよ衝突が避けられない瞬間になると自動的にブレーキがかかります。
これが大きく言って「衝突被害軽減ブレーキ」です。

「衝突被害軽減ブレーキ」が市販車に初めて搭載されたのは15年前
今では世界の自動車メーカーが搭載する流れになっています。    
ただ、『メーカー』や『車種』によって危険を検知する「対象」や「性能」が異なる。
それがわかりにくいところ。

まずは危険を検知するセンサーの違い。
西村さんによると、初期の衝突被害軽減ブレーキは、
わりとと低価格帯の赤外線レーザーを使っていました。
今では赤外線レーザーとカメラセンサーを組み合わせることで
精度の高い性能を持つ車も出てきています。





現在、衝突被害軽減ブレーキのセンサーは大きく3種類あります。


<赤外線レーザー方式
> 
コメントにあった低コストで広く普及したもの。
探知距離は数メートルから数十メートル程度。
ただ、太陽の直射光線に影響される可能性があります。     
  
  
<カメラ方式>
 
これもコメントにありました。
歩行者や車線、道路標識までも識別できます。
ただ、逆光や悪天候になる場合、
性能を十分に発揮できない可能性があります。


<ミリ波レーダー方式
>
ミリ波帯の電波を用いるシステム。
探知距離が長く、天候の影響をあまり受けません。
ただ、歩行者や自転車の検知には不向きです。


それぞれ一長一短あって、
これらの組み合わせで特徴を生みだしているのです。
そして、国内メーカーのクルマに搭載される「衝突被害軽減ブレーキ」は、
このところ新しい流れが生まれているようです。





西村さんによると、以前は車両価格が高いほど
センサーの数が多く、精度も高いものでした。
それが、今ではそうとも言えなくなってきているといいます。
日本では乗用車に衝突被害軽減ブレーキが導入されている率は新車だと47%ほど。

普及の拡大によって、低価格化されてきて。
これまで高い車にしか付いていなかったセンサーのいくつかが、
中級価格帯、低価格帯の車にまで採用が及んでいます。
下から上のクラスまで安定した衝突被害軽減ブレーキの性能が、
ここ数年は見込めるのだそうです。

どんな車にどんなセンサーがついているのかを知るには
車種カタログにセンサーの種類と対応できる
自動ブレーキのシステム内容が書いてあります。
まずは、それを参考、判断材料としてください。





「衝突被害軽減ブレーキ」の評価ポイントは

【作動対象】→ 最初は車だけ 最近は人や自転車も対象になっています
  
【作動速度】→ 自分の車がどのくらいの時速で作動するか?
 
【夜間対応】→ 夜にも作動するか?


「衝突被害軽減ブレーキ」を考える時は、クルマの利用の仕方と、
こうした情報を擦り合わせて選択を考えるといいでしょう。

ただし、この機能は安全を100%担保してくれるわけではありません。
安全を『アシスト』してくれるためのものです。
運転するのはあくまで人間。
その点、認識を間違えないようにしましょう。





ドライバーの皆さん。
高速道路を走行中に緊急で路肩に停車したことはありますか?

高速道路の路肩での停車はとても危険です。
軽微な事故を起こして、あるいは故障して、
止むを得ず路肩にクルマを止めた運転手や
同乗者が後続の車にはねられる事故が発生しているからです。

やむを得ず、停車をする時は、安全確保のため、
「守るべきこと」をきちんと守り、
「やっていはいけないこと」をやらないようにしましょう。

高速道路の路肩停車でどんな事故が起きているか?
2つのケースを紹介しましょう。

【ケース?】

平成28年7月 
横須賀道路でクルマがパンクしたため路肩に停車。
運転手がタイヤを修理するために右後輪に輪止めをしようと
走行車線にはみ出したところ、後続車に撥ねられ死亡。


【ケース?】

平成29年8月
徳島自動車道でのこと。
専門学校のオープンキャンパスに参加した学生が乗る
マイクロバスの調子が悪かったため、運転手が路肩に停車。     
替わりのバスを待つ間に居眠り運転の大型トラックが後方から激突。
2人が死亡。

NEXCO東日本によると
路肩の停車は道路交通法によって原則禁止。
危険防止や軽い事故や故障などのため
幅が充分ある場所に限り例外的に認められています。
この時には以下のことを実践するようにしましょう。

後続の車にハザードランプの点灯で知らせた上で停車する。
次に車に積んである発煙筒を点火して
三角板・停止表示器材を車の後方、無理のないところに置く。
その時に後ろの車から止まってしまった自分の車が目立つようにする。
特に左カーブの場合は後ろから見えにくいので、
極力カーブの先に置きましょう。
      
発煙筒と三角停止表示板を設置したあとには、
守らなければいけないことが3つあります。
       
1)路上に立たない!

2)車内に残らない!

3)安全な場所に避難する!


車の中にとどまって後続車にぶつかられる事故もあります。
車外に出て、自分の車より後ろのガードレール外側など、安全な場所に避難しましょう。

自分の身の安全を確保したあとは110番、道路上に設置してある非常電話、
あるいは「#9910」という道路緊急ダイヤルで通報して下さい。

高速道路を運転中に路肩に停車するクルマが目に入った時には、
人がいないか? 出てこないか? 注意を凝らしましょう。
高速道路の路肩停車は、大きな危険が潜んでいます。
十分、気をつけるようにして下さい。


先の2回は「秋の全国交通運動」がテーマでした。
その中で1つ気になったことがあります。
「酒気残り運転」という言葉。
       
クルマとお酒の関係については
以前は「飲んだら乗るな、乗るなら飲むな」。
「お酒を飲んだら運転してはいけない」というものでした。





しかし最近は、それは当然のこととして、
さらに「お酒が抜けたと思っても抜けていない状態」に
注意が促されるようになりました。
それが「酒気残り運転」です。





5年前にこの「酒気残り運転」という言葉をつくったのは
岡山県 倉敷市にある川崎福祉大学 
医療福祉学部 臨床心理学科の教授で
認知心理学、交通心理学の専門家 金光義弘教授です。

それまではよく「残り酒」という言葉が
お酒が残った状態を言い表すものとして使われていました。
しかし、この「残り酒」という言葉は運転に関連づけられてはいません。
そこで、お酒の残った状態を車の運転に関連づけて
金光教授は出版社と「酒気残り運転」という言葉を作りました。
そして、この「酒気残り運転」の言葉は市民権を得はじめています。





確かに少し考えればわかります。
飲んだのは前日なのに目が覚めても「二日酔い」状態があり
それは体内にはアルコールがまだ残っているということ。
二日酔いほどでなくてアルコールが残っていることもあるでしょう。
   
アルコールが残っていれば「認知」「判断」「操作」
いわゆる行動3要素を正しく出来ません。
交通事故を起こす危険性は高まります。
       

そんな「酒気残り運転」を避けるためには、
人間の体がどのくらいアルコールを分解できるのかを覚えておき
自分がその時にどのくらいアルコールを摂取したのかを把握し、
その量を分解し終わるまでの時間はクルマに乗らないことです。
       
金光教授によると人間が分解できるアルコール量は1時間平均5g。
アルコールの摂取量は飲んだお酒のアルコール度数から計算できます。
その上で摂取アルコール量 ÷ 5が、少なくても運転してはいけない時間です。



   

中にはクルマの運転があるのにお酒を飲んでしまった。
でも、仮眠をとれば大丈夫。そう考えている人もいるかもしれません。
それは大きな間違い。

寝てしまえばアルコールが早く分解されるというのは事実とは逆。
睡眠をとると体の活動が鈍るためにアルコールの体外排出は遅れます。

そして、気をつけてほしいのはこの番組を通勤途中で聴いている方、
耳が痛いかもしれませんが、早朝の運転です。

金光教授は早朝の車の事故の多くは、
前の晩に飲んだアルコールが残っていると考えています。
呼気検査をやればアルコールが結構出るだろうとのこと。

この問題は非常に由々しき問題。
早朝の車の事故はアルコール検査をやるべきだという旨を
金光教授は警察庁に訴えているそうですが
実行する都道府県、実行しない都道府県、あるそうです。

お酒が好きなドライバーのみなさん。
万が一のことがあれば好きなお酒が飲めなくなります。
「酒気残り運転」の危険性を心にメモしておいて下さい。