日本に生まれ育った私たちは
この社会の多くのことを そういうものだと自然に受け止めています。
でも 海外から来た人の視点は違うもの。
私たちが気づかない日本に気づくこともあるでしょう。
今回 追跡したのは「外国人が見た日本の交通マナー」。
去年11月 1人のイギリス人の新聞への投稿が話題になりました。
投稿主は名古屋市にある名城大学 准教授のマーク・リバックさん。
今回はリバックさんご本人に電話でお話を伺いました。
来日20年以上。
長く住んでいる日本を愛するリバックさんが指摘したことは・・・
日本では 信号のない横断歩道で 歩行者が待っていても 車が止まらない
以前から日本では信号がない横断歩道では
車が止まってくれないと感じていたリバックさん。
2016年に9歳の小学生が信号機の無い横断歩道で
トラックにひかれて亡くなったという悲惨な事故をニュースで知りました。
1ヶ月前に仕事で滞在したオーストラリアのシドニーでは
運転手が親切で横断歩道ではクルマが止まってくれるのが普通です。
リバックさんが育った当時のロンドンもそう。
名古屋とは対照的だということを日本人に知ってもらいたく投稿したのです。
愛知県は15年連続で交通事故死亡者数ワースト1。
運転マナーの悪さに気づきやすかったのかもしれません。
でもこれは何も日本中で名古屋に限った特徴ではないはず。
日本全国に共通する傾向なのだと想像できます。
実はロンドンから日本を訪れたリバックさんの
お父さん・お母さんも同じことに驚きました。
日本は海外から「秩序を守る」イメージがあり 道路も整備されている。
クルマは歩行者がいれば当然止まってくれると外国人から来た人は思うもの。
ところが止まってくれないことにビックリ。
イギリスでは横断歩道をZebra(シマウマの意) Crossingというので
お母さんは日本の横断歩道を「Killer Zebra」と冗談半分で言っていたそうです。
ユーモアがある面白い話ですが
日本人として恥ずかしさを感じますね。
リバックさんの投稿にはたくさんの反響がありました。
そのほとんどはリバックさんの意見を支持する内容。
日本人でも同じことを感じている人が多いのでしょう。
実際 2017年にJAFが全国で行った調査では
歩行者がいる信号のない横断歩道で停止した車は1万251台のうちたった867台。
割合では言えばおよそ8.5%で10人に1人も止まっていません。
リバックさんは日本や日本人を批判しているのではありません。
横断歩道で止まらない運転マナーを問題視しているのです。
そして日本のマナーが良い国だと思って来日した外国人が事故に遭う心配をしています。
横断歩道で停車できないのなら
「日本では横断歩道ではクルマは止まりません」と
外国人に周知してほしいとリバックさんは言います。
リバックさんが投稿した背景には3人の子供がいることもあります。
自分の子供が信号のない横断歩道を渡る時
クルマが止まってくれるだろうと思って進んでしまい
ドライバーに止まる意思がなかったら・・・ 想像すると怖くありませんか。
日本人のマナーの良さは
多くの日本人がそうだと自認していることだと思います。
でもドライバーの歩行者への気遣いという点ではそうではないようです。
横断歩道を渡ろうとしている高齢者が自分の親だったら
子供が自分の息子や娘だったら ドライバーは皆 歩行者を優先するでしょう。
そんな気持ちで毎日ハンドルを握りませんか?