横断歩道の歩行者用信号にあるピクトグラム(人型の模様)。
日本では取り立てて名前があるわけではありません。

でも ドイツは違います。
子どもから大人まで誰もが歩道車信号にいる’人’の名前を知っています。
彼の名前はアンペルマン。

ドイツ語で「ampel(アンペル)」=「信号機」。「mann」=「男」
直訳すれば『信号男』。





ただの信号のピクトグラムではありません。
交通安全のシンボルとしてキャラクターして地位を確立。
さまざまなグッズにもなっています。






 
     
日本初のフラッグ・シップ・ショップ「AMPELMANN Shop 白金高輪」
2013年には渋谷に「AMPELMANN Shop Tokyo」をOpenした
株式会社アナザー・ビー 取締役 森武昭さんによると
アンペルマンの発祥は1969年の旧東ドイツ。

モータリゼーションによる交通量の増加に伴って交通事故が増える中
歩行者を守るため わかりやすい信号機のデザインとして誕生しました。
キュートで可愛いフォルムは交通心理学者 カール・ペグラウさんの考案。
喋らなくても表情や身振でわかることが万人に受けるポイントになりました。

時は流れて1989年にベルリンの壁が崩壊。
社会主義国だった東ドイツは民主化し
西側に編入される形で東西ドイツは1つになりました。
ドイツ統合で多くの東ドイツ文化は消滅します。
アンペルマンも同じ運命を辿るはずでした。
ところが新生ドイツの国民はアンペルマンを救ったのです。

今のアンペルマン社の代表とペグラウ氏が一緒に
廃棄された信号機のガラス や光る部分を使ってランプを製作。
それがメディアとかに取り上げられて復活運動がベルリンで起こりました。
旧東ドイツ時代のアイデンティティで残るものがほとんど無い中
旧西ドイツの人たちも良いものを残し 交通事故を減らそう
そんな思いで復活運動に参加したといいます。








ドイツ統一後にメルケル首相は復活する条件として
男女平等の考えのもと女の子の信号機も作るように命じました。
今ではアンペルマンには女の子のキャラクターもあります。

日本の歩行者信号のピクトグラムも全国統一のキャラクターにすれば
子供たちやお年寄りの心の中にも強く残って 
いま以上に交通安全の意識が高まるかもしれませんね。





『ヒヤリ地図』を知っていましたか?
コミュニティに潜む交通事故の危険情報を共有。
時に危険な環境の改善提案まで行う施策。
これを契機にもっと全国に広まることを期待します。

発案者は千葉大学 名誉教授 鈴木春男さん。
長年 交通安全教育に携わっていらっしゃった方です。





鈴木先生によると 交通安全教育は教える側が一方的に
どうすれば安全かということを講義形式で教えても成果は上がりません。
学ぶ側が自分から参加、体験、実践する中で効果が現れるもの。
鈴木さんは以前からこのことを訴え
そうした交通安全教育が行われることに尽力してきました。

その中で20年前に生まれたのが「ヒヤリ地図」。
鈴木さんは交通の研究機関「国際交通安全学会」で
プロジェクトのリーダーとして「高齢者の生活と移動」を研究。
交通事故の危険から高齢者を守る施策として考案したのです。

「ヒヤリ地図」作成には地域の住民たちが参加します。
それぞれのヒヤリ体験を地図の上になんらかの形で表現。
例えば歩いていてヒヤリとした場所には赤いシールを貼る。
自転車に乗っていてヒヤリとした場所には黄色。
車を運転していてヒヤっとした場所には青というように。

すると地域の中でヒヤリ体験の多い場所が浮かび上がります。
この情報を地域で共有し対策を講じて安全なまちづくりを目指すのです。

時には「ヒヤリ体験」が多かった場について体験談を話し 聞く会合を開きます。
時には みんなで現場を見て どうすれば「ヒヤリ体験」が無くなるか話し合います。
その結論を警察や道路管理者に聞いてもらい改善に役立てます。

また出来上がったヒヤリ地図は公民館ような公共の場に展示。
地域住民が地図を見てどこが危ないか確認できるようにして
さらに自らのヒヤリ体験も地図に盛り込んでもらえるようにします。

街には少なからず交通事故が起きやすい場所が存在するもの。
事故にならなかった事象を収集することで 来たるべき危険を回避する。
「ヒヤリ地図」は間違いなく 地域の交通安全に有効な手段と言えるでしょう。






あなた自身 あなたの家族は 
ふだんの生活で「反射材」を身につけていますか? 

日没時間が日ごとに早くなる時期です。
交通事故が起きやすいのは運転手の視界が狭くなる夕方から夜にかけて。

危険な時間帯に「反射材」は
あなたやあなたの大切な人の命を救ってくれるもの。
今週は「反射材」を追跡しました。

今から7年前 平成22年に
全日本交通安全協会が行った調査の結果が手元にあります。
調査対象者は1,001人。

その中で【反射材用品を知っていた】人は89.5%。
9割の認知度。 

そして この調査では「反射材用品を見たことがある人」と
「見たことがない人」を合わせた全体のうち 94%が
反射材は「夜間の安全性向上に効果があると思う」と答えています。
ほぼ全員です。

にも関わらず「反射材用品の着用率」は

自転車用含む  ▶︎ 30.4% — 3割

自転車用除く  ▶︎ 19.5% — 2割

驚くほど低いのが実情です。
その理由を調査結果に探すと・・・

?番多いのは
「外出の時に反射材用品を身につけるのは面倒臭い」

?番目に多いのは
「反射材用品を身につけるとカッコ悪い」


しかし ほぼ全員が「効果がある」という認識を持つ反射材。
実際のデータを見ると それはやはり危険回避にとても有効なのです。

時速60キロで夜間に車を運転していた場合
危険を認識して ブレーキを踏み 停車するまでの距離は 44m 。
それに対してドライバーが歩行者を認識できる距離は

黒っぽい服装 26m

明るい服装 38m

止まるまでに要するのは44m。
つまりは間に合わないということに。

ところが反射材を身につけていると
ドライバーが歩行者を認識できる距離は 57m 。

夜間に反射材を着用する意義 
わかっていただけるでしょう。

最近では反射材用品の種類は
かなりバラエティに富んだものになっています。
一見すると反射材とわからない可愛いものも増えています。

例えばアニマル反射マスコット
子どものバッグにつけたら可愛いと思います。
缶バッチ、ブレスレット、リストバンド、シールなどもあります。

外出の時は反射材用品を着用するようにしましょう。
特に歩行者としての事故被害が多い
子どもと高齢者には身につけてほしいものです。

そんな反射材についてよく知ることができるフェアが
この週末に池袋サンシャインシティ アルパ地下1階 噴水広場であります。
JA共済も協賛する「反射材フェア2017」。

反射材の効果を体験するショー。
ピーポくんも登場する交通安全教室。
A共済が提供する交通安全をテーマにしたミュージカルなど
親子で楽しみながら交通安全を学べるコンテンツが盛りだくさん。
ぜひ足を運んでみて下さい。

8月31日は「高校生と自転車の事故」がテーマでした。
「クルマ 対 自転車」の事故被害者で多いのは高校生。
新学期を前に注意を促したかったからです。

そして 実は「高校生と自転車」には もう1つの側面があります。
歩行者に対する自転車事故の加害者も高校生が圧倒的に多いのです。

今回は公益財団法人 交通事故総合分析センター
研究部 主任研究員の山口朗さんにお話を伺い
自転車が加害者となる交通事故を追跡しました。

自転車の関わる事故数は2016年で約9万人の負傷者。
過去を遡ると2001年〜2004年ぐらいまでは18万人。
10年ぐらいで半分に減りました。

そのうち自転車対歩行者の事故。
多くは歩行者側が被害側で自転車側が加害者側ですが
2006年〜2015年の歩行者の死傷者数は毎年2500人前後。
自転車対歩行者の交通事故は減少傾向にありません。

2500人の加害者になった自転車運転手を見てみると
11〜20歳までが全体の3割を占め最も多い年齢層。
そこを学齢別に見ると高校生が突出しているのです。
ピークは高校1年生。2年生、3年生となるにつれ減ってはいます。
でも 他の学齢と比較すると 高校3年間が飛び抜けているのです。

衝突地点の8割が交差点以外。
内訳は多い順に「歩道」「非分離道路」「車道など」。
自転車に対して対面で歩いてきた歩行者に
あるいは同方向に歩いている歩行者に
自転車がぶつかったというのが半数を占めています。

被害者になっている層で最も多いのが高齢者。
半数は60歳以上。この年齢の方たちは怪我をしやすいもの。
大きな怪我は命の危険に繋がりかねません。

自転車通学の高校生・中学生の皆さん 
くれぐれも気をつけて自転車の運転をするようにしましょう。
友だちとふざけながら スマホで音楽に没頭しながらの運転は危険です。
 
子どもが自転車通学しているお父さん・お母さん
しっかりと注意を促がすようにしましょう。

もちろん他の世代も自転車事故を起こしています。
歩行者に対して自転車は交通弱者ではありません。
そのことを心にとめて自転車に乗りましょう。