もうすぐ新年度。
初々しい新入生が小学校に通い始める季節です。
可愛い子供たちの命を守るために交通安全の気持ちを引き締めましょう。

今回、取材したのは茨城県 つくば市にある
一般財団法人 日本自動車研究所 安全研究部の大谷亮(おおたに・あきら)さん。、
教育心理学的な観点から交通安全教育を研究している方です。

教育現場では「交通安全」に割く時間が少ないのが現状。
大谷さんは子供の年齢に合わせた交通安全教育のアプローチ方法を考えました。
どんなものかというと・・・

【小学校 低学年】


低学年生には交通安全の基本「止まること」「見ること」を教えます。
ただ、そこは低学年生、いきなり全てを教えても理解できません。
そこで「習得しにくいところ」を集中的にやります。
小学校低学年生は「右・左・右・うしろを見る」と教えると言葉通りに見ますが、
大切なのは動作をすることではなく、動作の背景に潜む危険を回避すること。
首をふった方向に車がいたかどうかを確認することを教えます。
低学年生には繰り返してそれを教えることが大切です。

実験のために「交差点」を学校につくり
見通しの悪いところに車の設定のプラカードを置いて
その絵をしっかりと見ることを伝えてみると
実験後の低学年生は右・左・右・うしろを見る時間は長くなり、
視界に入った対象物を判断できるようになりました。
前述のアプローチは成功していると裏付けられたのです。


【高学年】

高学年生になると低学年の安全安全教育には慣れてしまいます。
そこで教師として低学年生に交通安全を教える役割演技法という手法をとります。

いきなり低学年生教えるのは難しいもの。
そこで、まずは数回の集団討論。
「どうやって教えればいいか」「何を教えればいいか」
「交通事故はどのようにして起きているのか」を議論させ
ある程度の技量や低学年生への接し方を身につけた後で役割演技法を行います。
そのメリットは以下のようなもの。

? 低学年に教えることで自分の行動を客観視できるようになる

? 他者の気持ちがわかるようになる
  ドライバーの気持ちになれるというような応用性があります

? 教えるという行為によって自覚が芽生える


高学年の集団討論からの役割演技法の実験は既にひと段落。
プログラムとして提案できる結果を得ているそうです。
低学年向けも45分で出来るプログラムとしてまとめられています。

子供は1度や2度の交通安全教育では教えられたことを忘れてしまいます。
時間のない学校という枠組みを超えて、
こうした交通安全教育プログラムが地域などで行われれば、
子供が被害者となる交通事故を減らす一助になることでしょう。

今回のWBC。
侍JAPANは準決勝でアメリカに敗れたものの
野球の面白さと感動をたっぷり味あわせてくれました。

3.21にセ・パともに開幕するプロ野球も、
この流れで一層と盛り上がることでしょう。
そのプロ野球界に異色の経歴を持つ人物がいます。

元自動車教習所 教官のプロ野球選手
千葉ロッテマリーンズの背番号51 信楽晃史(しがらき・あきふみ)投手。




信楽投手は大学卒業後の2014年、
自動車教習所を運営する地元宮崎の梅田学園に入社。
硬式野球部に入部し、自動車教官として働きながら社会人野球で活躍しました。

そして、2015年のドラフト会議で、千葉ロッテから6巡目で指名を受け、
日本のプロ野球界初、自動車教習所 教官経験がある選手となったのです。

その経歴を生かし、入団1年目には、
ファン感謝デーに交通安全講習も行ないました。
特に運転中のスマートフォン使用による脇見運転を危険を話したそう。
かつての職場の上司からも、そのことを伝えてほしいという話があったとか。

安全運転について応援するチームの“選手”が話すとなると
参加したファンの方たちも、よく理解してくれることでしょう。

「ちょっと」の脇見運転と思う人もいるかもしれません。
でも、車の運転時には数秒で数十メートルも移動しています。
まったく「ちょっと」ではないことを認識しましょう。

そして、信楽投手は友人が運転する車に同乗した時、
つい運転について注意してしまうことがあるそうです。

新年度を前に教習所に通っている人が多く、
これから若葉マークのドライバーが増える時期。
そして、もうすぐやってくるゴールデンウィーク、
運転に不慣れな人がハンドルを握ることも多いでしょう。
友人が運転する車に乗った時に「危ないな」と思うところがあれば
時に「注意する」という友達としての「思いやり」も必要かもしれません。

そして、朝の時間に車を運転する方、登校中の子供達には、
余裕を持って出かけてほしい!と信楽投手は言います。
バタバタで家を出て急ぐが事故に繋がる恐れがあるから。

入団2年目の今シーズンは1年を通して波をなくし、
「強気のピッチング」を貫いて1軍定着を目指しますと語ってくれた信楽投手。
1つでも多くの活躍をして、交通安全もさらに広めて下さい。
期待しています!




道路交通法でクルマに子供を同乗させる時、
6歳未満への着用が義務付けられているチャイルドシート。

お父さん、お母さん、
子供にチャイルドシートを着用していますか?
YESという方は、正しく着用している自信はありますか?

ある調査でちょっと驚きの結果が出て話題になっています。
今週、追跡したのは 「チャイルドシートの誤着用」。
コメントはJAF 東京支部 事業課 交通環境係 新井友也さん。

その調査とはJAFと警察庁による「チャイルドシート使用状況全国調査」2016年版。
この調査は?段階からなっています。

? チャイルドシートを使用しているかどうか? 

? チャイルドシートが車に正しく取付けられているかどうか? 

? 子供が正しくチャイルドシートに座っているかどうか?


まず?の「チャイルドシートを使っているかどうか」 
  
使用 ▷ 64.2 %    不使用 ▷  35.8%  

最も使用率が低かったのは2007年の46.9%から微増を続けていますが、
それでも4割弱の子どもがチャイルドシート不使用は問題でしょう。

ちなみに・・・

1歳未満の使用率  ▷︎ 85.7%
1歳〜4歳の使用率 ▷︎ 66.8%
5歳の使用率   ▷︎ 39.1%



不使用状況で多いのは・・・

⬛︎ 車両シートにそのまま着座 
⬛︎ 大人のシートベルトを着用
⬛︎ チャイルドシートにそのまま着座
⬛︎ 保護者の抱っこ



「驚くべき数字」はココから。
? 使用されているチャイルドシートが「車に正しく取付けられているかどうか」。
調査結果を見ると・・・

「しっかり取付け」▷ 39.3 % 「ミスユースあり」▷ 60.7 %。

車に装着されたチャイルドシートのなんど6割 もが誤使用 !
間違えの内容としては、シートベルトで固定するタイプだと、
シートベルトの締め付けが不十分というのが非常に割合としては多くて7割近く。
残りの3割は、ベルトの通し方の位置が間違っていたりとか、
適合ではない車種に付いてしまう、ベルトの長さが足りないなど。

そして、チャイルドシートを使用する子供が「正しく座っているかどうか」。
なんとこれも4割が正しく座っていないという結果が出ています。

チャイルドシートとジュニアシートと呼ばれる学童用のもので少し違いますが、
乳幼児用のチャイルドシートで多いのは肩から出てる「ハーネス」と呼ばれるベルトが、
正しく締め付けられてない、緩い状態で子供を乗せてしまっている・・・というミス。
他にも「ハーネスの高さ調節の間違い」「ハーネスのよじれ・ねじれ」「体格不適合」など。
学童用のシートでは「肩ベルトの通し方間違い」「腰ベルトの通し方間違い」も見られました。

チャイルドシートが正しく取り付けられていないことによって、
チャイルドシート自体が子供と一緒に飛ばされてしまったり、
チャイルドシートに正しく着座をさせていない場合、
子供が投げられてしまって車内の構造物などにぶつかってしまう。
それによって重大事故に繋がるリスクがあります。

というのも、もう1つ驚くべき数字があるのです。
警察庁によると2014年の交通事故でチャイルドシートを間違って着用した子供は、
チャイルドシートを正しく装着した子供と比べて重傷率が5倍、致死率にいたっては29倍。

6歳未満の子供がいるお父さん、お母さん、
いま一度、チャイルドシートを車に正しく装着しているか?
子供をチャイルドシートに正しく座らせているか? 確認してみて下さい。

そして、大人用シートベルトは140cm以上を想定してつくられているので、
6歳以上でも身長が140cmに満たなければ、
学童用チャイルドシートを使い続けるようにしましょう。

この「なるほど!交通安全」は今回で100回目!
これからも交通安全に役立つ情報をお届けしていきます。


近づいて来ている春。
暖かくなってのドライブが楽しみな方も多いでしょう。

でも「春の嵐」という言葉があるように
春は低気圧が急速に発達して台風並みの暴風が発生する季節。

今週は 自動車運転工学研究所 代表 細川一夫さんの監修とコメントで
「強風時の安全な運転」を追跡しました。

まず1秒あたり
どのくらい風が吹くと車の運転に影響するか。


【風速10m から15m】 

人への影響は「風に向かって歩きにくくなる」「傘がさせない」
気象庁が「強風注意報」を出すくらいの、やや強い風。
車の運転にも影響が出始めます。
高速道路の吹流しが水平になるのが風速10m以上。
高速道路で乗用車は横風に流される感覚を受けます。


【風速15m から 20m】
  
人への影響は「風に向かって歩けない」「転倒する人も出る」ほど。
高速道路ではハンドルをとられる感覚が大きくなり
通常の速度で運転することが困難になります。


【風速20m以上】
    
人への影響は風速20mを越えると「しっかりと体を確保しないと転倒」
風速25mになると「立っていられない」「屋外での行動は危険」ほど。
車の運転は風速20mを越えると運転することが危険となり、
風速30mを越えると運転自体が困難になります


というように車の運転は
強い風に大きく影響されることになります。

風の影響を最も受けにくいのが車高の低いスポーツカータイプの車。
重心も低く横風を受ける面積も少ないので風の影響を受けにくいのです。
逆にワンボックやミニバンなどの背の高いタイプの車は横風を受ける面積が多いので、
そのぶん風の影響を強く受けます。
また車重の軽い軽自動車や二輪車も横風の影響を強く受けます。
そして、いちばん影響を受けるのがロングタイプのトラック。
車重が重いトラックは、横風にも強いように思いますが、
走行中だと車重が重いほど遠心力や慣性力が大きく働きます。
      

そして、地形によっては風が強くなりやすく、
車を運転している時に気をつけなければいけないポイントがあります。

一番気をつけていただきたいのがトンネルの出口。
トンネル内では風の影響を受けることはほぼありませんが、
トンネルを出たとたん急に横風を受けて大きく横に流されることがあるから。
また、山間部のトンネルの出口は谷間になっている場所が多く、
風が穏やかな日でも強い風が吹くことがあります。
「谷風」といって谷間などの狭い場所を通る風は圧力が強くかかり風速が他の場所よりも増すから。
同じ理由で、ビルの谷間や防音壁の隙間、谷間にかけられた橋の上などは気をつける必要があります。
また、海岸線の道路や橋の上も風を遮るものがないから注意が必要。
高い位置ほど風が強くなる場合が多いので高速道路の高架橋などでは特に注意が必要です。


そして、風が強い日の運転で気をつける点は・・・ 

まず、速度を落とすこと。
速度が高いほど、車は風の影響を強く受け、逆に速度が低いほど安定するから。
実は強風そのものが事故の原因となる場合は少なく、
ドライバーが風の影響を受けてパニックになることで起きる事故が多く発生しています。
よくある例としては、突風でハンドルを取られてふらつくとパニックになり、
それを立て直そうとして、慌てて急ハンドルを切り、バランスを崩して横転する。
また、急ブレーキも車のバランスを崩したり、スリップを起こしたりするので危険です。
強風時は急ハンドルや急ブレーキを避け、緩やかな減速と丁寧で確実なハンドル操作を心がける。
決して、強風を侮ってはいけません。



今週は前回に続いて3月12日に改正される
「道路交通法」の主な改正ポイントをお伝えする後編。

警察庁 運転免許課 高齢運転者等支援担当補佐 
松代栄一さんをお伝えしてお送りしました。
今回の改正点の軸となるのは3つ。

【1】臨時認知機能検査と臨時高齢者講習 

現行制度では、75歳以上の運転者は、
3年に1度の免許証更新の時だけ認知機能検査を受けています。

改正後は更新時以外でも、75歳以上の運転者が、
認知機能が低下した時に起こしやすい違反行為をしたときは、
臨時に認知機能検査を受けることになります。
その「違反」とは信号無視・高速道路の逆走・一時不停止など 18種類。

臨時の認知機能検査の結果、
それ以前の検査結果より悪くなっている場合は、
新設される臨時の高齢者講習を2時間受講することになります。
講習では車を運転する実車指導や、その様子をドライブレコーダーで記録し、
映像に基づいた個人指導を行います。


【2】臨時適性検査制度の見直し 

現行制度では「認知症のおそれがある」方でも、
医師の診断を受けるのは信号無視などの一定の違反があった人のみ。

改正後は臨時の認知機能検査、免許更新時の認知機能検査、
ともに「認知症のおそれがある」人は医師の診断を受けることになります。

そして、指定された期日までに診断書を提出しない場合は、
免許の停止や取消しの対象となります。
また、診断の結果、認知症だと診断された場合は、
運転者の事情を聴くなどの手続きの上で運転免許の取消しなどの対象となります。
この点は、現行制度でも同じです。


【3】高齢者講習の合理化・高度化 

高齢運転者に負担をかけすぎないように、認知機能検査の結果、
認知機能の低下のおそれがない方、75歳未満の方の講習を合理化して
現行の3時間程度から2時間へと短くなります。
      
一方、認知機能の低下のおそれがある方などへの講習については、
運転の様子をドライブレコーダーで記録し、
その映像に基づいて個人指導を行うなど内容を充実させます。
講習時間も2時間半から3時間に長くなります。

最後に警察庁 運転免許課 高齢運転者等支援担当補佐 
松代栄一さんからのメッセージを記しておきましょう。

超高齢社会を迎えている中、
今後も運転免許を持つ高齢者の増加が見込まれます。
高齢者ではない方も、ご家族に高齢者がいらっしゃる方は多いでしょう。    
また、誰もがいずれ高齢者になります。決して他人事ではありません。

高齢者の方でこれまでのような運転ができなくなったと感じ始めたり、
ご家族の運転に不安を感じたりしたときは早めに警察にご相談いただくことが重要です。
全国の運転免許センターなどに設置されている運転適性相談窓口では、
専門知識の豊富な職員が高齢者の方やそのご家族からの相談に、
丁寧に対応してまいりますので遠慮なくご相談ください。
免許証の自主返納に関する相談も受け付けています。


高齢者による交通事故を社会が協力して減らしたいものです。