「秋の全国交通安全運動 2016」。
重点ポイントの1つは「飲酒運転の根絶」です。
昨年、飲酒運転による死亡事故は約200件発生しました。
今年は8月末現在で去年より死亡事故の発生件数は増加。
依然として飲酒運転による悲惨な交通事故が後を絶たない現状です。
お酒を飲んで酔うと注意力や判断力などが低下。
前をよく見ていなかったり、ブレーキが遅れたり、
気が大きくなりスピードを出しすぎるなど、
事故に結びつく危険な運転になるため絶対にしてはいけません。
悪質・危険な飲酒運転には厳しい罰則があります。
酒酔い運転の場合で5年以下の懲役又は100万円以下の罰金。
酒気帯び運転の場合で3年以下の懲役又は50万円以下の罰金。
運転免許についても取消しや停止の処分を受けることになります。
また、運転者以外に飲酒運転を承知で車やお酒を提供した人、
車に一緒に乗った人にも運転者に準じた罰則があります。
そして、飲酒運転で死亡事故を起こした場合、
危険運転致死罪が適用されれば、最長20年の懲役となります。
飲酒運転は、人の命や幸せな家庭を奪う、極めて悪質・危険な犯罪です。
「酒を飲んだら運転しない」
「運転する人には酒を飲ませない」
「酒を飲んだ人には運転させない」
このことを必ず守ってください。
飲酒運転は、一人一人の心掛けで絶対にゼロにできます。
「お酒を飲む場所への行き帰りは、公共交通機関を利用する」、
車でお酒を飲む場所に行くのであれば、
「あらかじめお酒を飲まないハンドルキーパーを決めておく」、
「運転代行を利用する」など、一人一人がしっかりとした
飲酒運転根絶の意識を持つことが大事です。
そして、さらに気をつけてほしいこと。
1つ目は二日酔いでの運転です。
自分が、お酒が抜けたと思っていても、
身体にアルコールが残っていれば飲酒運転になります。
特に深酒の翌日の運転には気を付けること。
2つ目は自転車の飲酒運転です。
自転車も車両で飲酒運転は禁止されています。
全国交通安全運動をあらためて
自身の安全運転について考えるいい機会にしましょう。
昨日21日 水曜日から 30日 金曜日までは、
秋の全国交通安全運動の実施期間。
今週と来週の「なるほど!交通安全」は、
平成28年の「秋の全国交通安全運動」を追跡します。
お話を伺ったのは警察庁 交通局 交通企画課の横山博暁さんでした。
今回の秋の全国交通安全運動は、
子供と高齢者の交通事故防止を基本として、
全国重点を3つ定めています。
1)夕暮れ時と夜間の歩行中・自転車乗用中の交通事故防止
特に、反射材用品等の着用の推進及び自転車前照灯の点灯の徹底
2)後部座席を含めた全てのシートベルトとチャイルドシートの正しい着用の徹底
3)飲酒運転の根絶
昨年、交通事故で亡くなった方は歩行者が全体の約4割。
秋から年末にかけては交通事故が多く発生する時期。
ドライバーの皆さんは歩行者保護を特に意識した運転をしてください。
信号機のない横断歩道を渡ろうと待っている歩行者がいたら、
停止して、歩行者を優先して渡らせる。
歩行者の側方を通過するときは、安全な間隔を保つ、徐行する。
歩行者が亡くなった事故のうち、
約7割が交差点や交差点付近で起きています。
交差点を通行するときは、近くに歩行者がいないか、
しっかりと安全確認してください。
一方で歩行者が亡くなった事故のうち、
歩行者側にも6割以上に法令違反がありました。
歩いている時には信号を必ず守ってください。
また、回り道でも横断歩道を渡る。
横断歩道がない道路を横断する場合は、
左右の安全を十分に確認してください。
そして、ドライバーがこの時期に気をつけることは「夕暮れ時のライトの早め点灯」。
「ライトの早め点灯」は、他のドライバーや歩行者に、
自分の車の存在に気付いてもらうという意味があります。
夕方、ちょっとでも周囲が薄暗くなってきたと感じたらライトを点灯しましょう。
さらにハイビームをきちんと使うこと。
昨年、交通事故で亡くなった歩行者の約7割は夜間の事故。
いち早く歩行者を発見するポイントがハイビームなのです。
車のライトは、ハイビームでは前方 100m 、
ロービームでは前方 40m を照らせます。
例えば、時速60キロで走っている車の場合、
ドライバーが危険に気付いてからブレーキを踏んで停止するまでに
44m 程度かかると言われています。
ハイビームを使えば 100m 先の歩行者を発見できますので、
安全に停止することができますが、
ロービームで運転していた場合には、
歩行者の手前で止まれない可能性が高くなります。
対向車や前を走る車がいないときは、
ハイビームを上手に使って運転しましょう。
来週は「秋の全国交通安全運動 後編」です。
『安全運転義務違反』という言葉。
どこかで見聞きしたことがあるでしょう。
では、具体的に何を指しているのか?
なぜこうしたルールがあるのか? 知っていますか?
言葉は知っているものの、実態をわかっていない人は少なくなかもしれませんね。
道路交通法の第70条にはこう規定されています。
車両等の運転者は、当該車両等のハンドル、ブレーキその他の装置を確実に操作し、
かつ、道路、交通及び当該車両等の状況に応じ、
他人に危害を及ぼさないような速度と方法で運転しなければならない
この「安全運転の義務」を履行しないことが「安全運転義務違反」となります。
東京・麹町にある、みらい総合法律事務所の吉田太郎弁護士によると
これは極めて平易な言葉におきかえるなら、
飲酒運転やスピード違反のように明確に定められていることに違反しなくても
正しく安全操作を行ない、正しく安全の状況を確認しなさいということ。
つまり、安全運転義務の要素は大きく2つあります。
?安全に操作する義務
?安全を確認する義務
そして「安全運転義務違反」は7区分に分かれています。
1つずつ見ていきましょう。
【運転操作不適】
例えばアクセルとブレーキを踏み間違える、
まっすぐ進むべきところを蛇行運転する、
ブレーキとアクセルの踏み間違いなど
操作が不適切に行われること
【前方不注意】
これは読んで字のごとく。
ボンヤリしていたり、脇見をしていたり、
前をしっかり見ずに運転すること
【動静不注視】
例えば人がいることと、人の動きは認識は出来ているのに、
ぶつかってしまったなど、認識のその程度が不注意だった、
不注視、足りなかったということ
【安全不確認】
例えばそれなりに前も見ていた、横も見ていて、
左折をしたところ、死角があって、
そこから出てきた人とぶつかってしまったなど、
安全確認はしたのに至らない点があったということ
【安全速度違反】
制限速度を仮に守っていても、人や車の動や道路の狭さ等から、
より速度を減速すべきで場面において、
制限速度を守っていても事故を起こしてしまったというようなケース
【予測不適】
車の運転は周囲の予測が不可欠。
例えば他の車の車線変更を予測をすべき場面で
車線変更しないだろうと思い込み衝突したというようなケース
【その他】
安全運転義務違反があった時には、
普通車両の場合で反則金9,000円。 違反点数は2点。
安全運転義務違反だけで摘発されるということは稀。
ただし、起こってしまった交通事故のふたを開けると
多くの割合でそこに交通安全義務違反があるのです。
吉田弁護士によると、例えば去年の全国の死亡交通事故を見た場合、
信号無視は149件、酒酔い運転が21件であるのに対し、
安全運転義務違反は、運転操作の不適が423件、わき見運転は460件、
信号無視・酒酔い運転・最高速度違反といった、
当然に許されないものを遙かに上回る数字となっています。
吉田弁護士が話してくださったように
このことを目の当たりにすると
安全運転をいま一度、肝に銘じなければいけないと思います。
今週は先週に続く後編。
子どもの交通人身事故には、いくつかある特徴を見ていきました。
【男の子が危ない】
警視庁による『子供の交通人身事故発生状況 平成27年』、
子供に「幼児」「小学生」「中学生」が含まれるデータを見ると、
発生件数で・・・
男子 1,062件 女子 520件
男子が女子の2倍!
「幼児」「小学生」「中学生」、
すべての年齢層別で男子が女子を上回っているのです。
男の子のほうが女の子より注意をせず、無鉄砲に行動するもの?
男の子には特に注意を促す必要あります。
ちなみに年齢層別の事故数は
「小学生」63%、「中学生」25%、「幼児」12%の順です。
【自転車事故が多い】
先週、子供が交通人身事故にあった時の状態は
「歩行中」と「自転車乗車中」大きく2つあると紹介しました。
年齢別を合計すると、平成27年の東京都では・・・
「自転車乗車中」55.2 % 「歩行中」44.5%
▷ 体に合ったサイズの自転車に乗るように気をつける!
▷ ヘルメットをかぶって自転車に乗る習慣を身につける!
▷ 自転車は車道通行が原則ですが13歳未満は歩道を走ることができます!
ただし、歩道では車道よりをゆっくり進む!
ただ、先週お伝えしたように、
小1・小2は「歩行中」の事故数が「自転車乗車中」より上。
「歩行中」にも、十分と注意を促すことは大切です。
【事故は自宅付近で起こる】
警視庁による「小学生の交通人身事故発生状況 平成27年」で
自宅から事故現場までの距離別発生件数を見ると・・・
歩行中 — 500m以下 63% / 500m超 36%
自転車乗車中 — 500m以下 50% / 500m超 49%
▷ 子供の交通人身事故は自宅から遠くない場所で
多く発生していることをお子さんに知らせましょう!
勝手知ったる所だからとタカをくくった行動が危険!
【「出会い頭」と「道路横断中」に気をつけろ!】
去年、東京で「自転車乗車中」に
子供が遭遇した交通事故を事故累計別に見ると・・・
出会い頭 64%
「出会い頭」が圧倒的多数です。
「歩行中」はというと・・・
横断歩道横断中 30% 横断歩道付近横断中 3% 横断中のその他 25%
道路の横断中が多くを占めています。
実は交通事故にあった子供の側には、
多くの場合、交通ルール違反が見られます。
「自転車乗車中」 違反なし 49% ➡ 5割に違反があるということ
「歩行中」 違反なし 64% ➡ 3割近くに違反があるということ
子供の交通ルール違反で多いものは・・・
自転車乗車中 — 「安全不確認」
「一時不停止」
「交差点を安全進行せず」
歩 行 中 — 「飛び出し」
「横断していいところ以外での横断」
「信号無視」
▷「見通しの悪い場所や曲がり角では必ず止まり、安全を確かめる」
「道路を渡るときは横断歩道や歩道橋を渡る」ということを徹底する!
▷ 交通ルール違反が事故に繋がるという交通安全教育、重要です!
【危険時間は午後】
去年、東京都の時間帯別、子供の交通人身事故発生件数は・・・
午後4時 〜 6時 ➡ 3割 午後2時 〜 4時 ➡ 2割 午後6時 〜 8時 ➡ 1割
事故にあった子供の「自転車乗車中」の通行目的は「訪問」「買い物」「乗り回し」の順、
「歩行中」の通行目的は「下校」「遊び」「登校」の順となっています。
子供の安全教育に、そして交通事故を起こさないために、
前回と今回知った「子供が交通事故に遭うケース」についての情報を役立ててください。
多くの地域で、今日は2学期の始業式。
夏休みだった子供たちが学校に戻ります。
登下校の時間に通学路の近辺でクルマに乗っている方、
放課後の子供たちの遊び場近くをクルマで通る方は注意しましょう。
子どもの交通人身事故 発生件数は、
他の交通事故と同じように減少傾向にあります。
警視庁は『小学生の交通人身事故発生状況』を発表しています。
東京を例に見てみると・・・
10年前の平成18年。
小学生が遭遇した交通人身事故の数は 3,043 件でした。
その数は、毎年減少が続いて、去年 平成27年 は 1,001 件。
平成18年を指数 100とすると33になりました。
ところが、亡くなった子供の数は事故の減少と比例していません。
平成18年は2人でしたが、それより事故数が4割減った平成24年は6人 、
去年平成27年にも3人います。
事故件数が減っているからといって安全運転を怠たってはいけない。
子供に対する交通安全教育をないがしろにしてはいけないということです。
ちなみに日本では1歳から14歳の子供の死亡原因では、
不慮の事故」が上位を占めているのですが、
5歳〜9歳/10歳〜14歳/ 2つの年齢別カテゴリーで
「不慮の事故」のうち最も多いのが「交通事故」です。
月別の事故数を見てみると・・・
11月から2月にかけて事故件数は少なく推移しています。
寒いので放課後に外であまり遊ばないことが理由でしょうか。
2月は 61件 ですが、3月で101件と急増。
4月には89件と少し減りますが、5月・6月は100件を超えて、
途中で夏休みに入る7月は73件、8月は12ヶ月中最も少ない 49件と減り、
学校が始まるこの9月は再び増えてしまい 78件 。
続く10月が月別で最も多い 112件となっています。
つまり9月は夏休みで減った事故数を持続させるためにも、
車を運転する側も、子供たちも気を引き締めるタイミングです。
次に小学生の学年別発生状況を見てみましょう。
多い順に並べると小3 ➡ 小1 ➡ 小4 ➡ 小2 ➡ 小5 ➡ 小6。
最も事故件数が多い小3が210件。
事故件数が2番目に少ない小5が145件 。
いちばん少ない小6は113件となっています。
高学年になってくると「飛び出し」や「信号無視」に気をつけるなど
成長して、安全への意識も高まってきているのかもしれません。
そういうことを子供の「意識」を育むことが大切です。
今の小学生の交通人身事故数は、
2つの「状態」で起こったものを足したものです。
1つは「自転車乗車中」。もう1つは「歩行中」。
小1・小2はこの2つのうち「歩行中」の割合のほうが多いのです。
小1は ➡ 「歩行中」 141件 「自転車乗車中」 49件
小2は ➡ 「歩行中」 96件 「自転車乗車中」 71件
ところが・・・
小3は ➡ 「歩行中」 81件 「自転車乗車中」 129件
「自転車乗車中」が「歩行中」を逆転。
小4から学年が上がるにつれ「自転車乗車中」の割合が「歩行中」より高まります
一方で、平成27年の「歩行中」の交通事故 死傷者数を年齢別に見ると
圧倒的に多いのが 7歳 。5歳区切りで最も多いのが5歳〜9歳で4,853人。
10歳〜14歳になると2,155人 とずいぶん減ります。
小学校低学年の子供は、ひとりである程度しっかり歩けるようになった分、
きちんと注意を払わないで行動してしまうのでしょう。
特に歩行中についての注意を、
小学校高学年の子供は、体が成長して、
ビュンビュン自転車を飛ばすのが楽しくて仕方がない時期でしょう。
特に自転車に乗るときの注意を、大人が促すことが大切です。
ハンドルを握る方は、歩いている低学年の小学生、
自転車に乗る高学年の小学生に充分注意してください!