運転中は常に自分のクルマが道路のどこを走行しているのか
道路上の位置に気を配る必要がありますが
それは道路環境によっても変わってきます。

運転に不慣れな初心ドライバーの場合や
新しいクルマに乗りかえて間もない時などは、車両感覚が正しくつかめず、
適した位置を走っていないことがあるかもしれません。
正しい走行位置や車両感覚はとても大切です。





道路交通法18条には「車両通行帯の無い道路においては、
車道の左側寄りを通行すること」と規定されています。
“車両通行帯の無い”というのはセンターラインが無い道路のこと。
基本的にこの時はキープレフトでクルマを走行しましょう。

自動車ジャーナリスト 吉川賢一さんによると
それは対向車との接触事故を避けるためになります。
対向車が見えなくても、いつ小道から飛び出してくるかわかりません。

また、右折の時は道路の中央側に寄せます。
それは後続車に右折する意思を伝えるためです。
ウインカーは早めに出すようにしてください。





センターラインがある道路を走行している時は、
片側1車線の道路や複数レーンがある道路、高速道路でも、
できるだけ左側の車線を走り、車線の中ではキープレフト走行をしましょう。

車線の中でフラフラと左右に揺れるような動きをすると、
後続車にとっては非常に迷惑となります。
また、後方から走ってくるバイクを巻き込まないという狙いもあります。

ただ、狭い道では左に寄せすぎも危険。
道路上は自動車だけではありません。
バイクや自転車、歩行者などを巻き込む可能性もあります。
左側にある程度スペースを空けて、速度も控えめにして走行しましょう。

またセンターラインに寄り過ぎると
重大な事故となりやすい正面衝突が起きるリスクがあります。
対向車がこちらを気にして、避ける動きをすることで、
他の自動車やバイクに接触する事故を起こしてしまうかもしれません。

なお、センターラインオーバーによる対向車同士の衝突事故は、
反対車線にはみ出した方が100%の過失責任を負うのが一般的。
センターラインオーバーは絶対にしないこと。





正しい走行位置をとるために運転時は100mぐらい先を見るのがポイント。
同時に左右のサイドミラーで「タイヤの位置」と「白線の位置」を確認しましょう。
車体と白線の距離が一目瞭然。

横の白線までの距離と、同時にボンネット越しに見える正面の白線の位置を
合わせてイメージすることを続けていると、自分のクルマの位置が、
どのあたりか体感できるようになってきます。

また、車両感覚が身についていないうちは左側を怖がったり
センターラインを怖がったり、どちらかに寄ってしまうことがあります。
この点、注意して下さい。





自分のクルマの走行位置の確認は、
最高速度制限の数字など、路面に表示された数字や文字は、
基本的に道路の中央にありますので目安になります。

運転に不慣れな方が年末年始にハンドルを握る時は
適切な距離でキープレフト走行できているかどうかを
家族や友達などの同乗者に指摘してもらうといいでしょう。

クルマの走行位置は、安全運転の基本です。
常に道路のどこを走っているか? 
考えながらハンドルを握るようにしましょう。
冬至が近づいて日に日に日没時間が早まってきました。
特にこの時期はヘッドライト(前照灯)の使い方によっては事故の危険が生じる時期。
あなたは正しく、有効にヘッドライトを使っていますか?





モータージャーナリスト 鈴木ケンイチさんが挙げる
ヘッドライトを点灯するタイミングは例えば日没30分前。
ドライバーからするとまだ明るい時間だから必要ないと思うかもしれませんが
ヘッドライトはドライバーが視界を確保するためだけのものではありません。
LEDを使用した昼間点灯用の「デイタイムランニングライト」があるように
自分の運転するクルマの存在を周りに知らしめ交通事故を防ぐ役割もあります。

交通事故が多い時間が日没時。
令和元年から5年の警察庁による統計でも午後5時から7時は
他の時間帯よりも抜きん出て死亡事故が多いというデータがあります。
交通事故を未然に防ぐために早めのヘッドライトの点灯が推奨されています。

2020年以降の新車には夕方になると
ヘッドライトが点灯するオートライト機能があります。      
ただ、点灯時間はメーカーによって違うので
点くのが遅いと感じたら自ら点灯するようにしましょう。
また、日中でも天候が悪い時には積極的に利用してください。





次にロービームとハイビーム。
2017年3月の道路交通法改正でヘッドライトは原則ハイビームで
対向車がきた時や先行車がある時はロービームに切り替えると明文化されました。

しかし、この「ハイビーム基本」については
“クルマが少なく、街灯がない頃の名残り。現代には適さない”という批判もあります。

ただ、適切に切り替えれば、ルールを守りつつ、安全確保にも繋がります。
対向車がいない、周りに車がない、そんな時はハイビーム。
また、郊外や交通用が少ない夜の高速道路を走る時もハイビーム。
他の車がいたらさっと切り替える。周囲の状況に合わせて上手に使い分けます。





ヘッドライトは、点灯する時間を考え、
切り替えを丁寧に行ったとしても充分ではありません。
「光軸」があって“角度”をあらかじめチェックしておく必要があります。

平成18年以降に製造された車からは、
上を向いたロービームの照射方向を下に調整するための装置
レベライザーの装備が義務化されています。
オートとマニュアルのものがありますが、
装備されているクルマであれば調整してから乗るようにしましょう。





また、レベライザーがなくても光軸のチェックは簡単!と
JAFのサイトではその方法を伝えています。

正しいロービームの光軸は『カットオフライン』と呼ばれる
光が当たっているところと当たっていないところの境界線が
ヘッドライトの地上からの高よりも下に来るように調節されているのが正しい状態。
通常は1%程度、下向きになるように調整されていて10mごとに10cm下がります。

そこで、クルマのヘッドライトをロービームで点けて、
体の一部にカットオフラインを映して、指で押さえます。
そのまま車から5m、だいたい車1台分くらい遠ざかります。
その時にカットオフラインが、指で押さえた位置より5cm下なら問題ありません。
カットオフラインが指で押さえた位置よりも上に来てしまったら
整備工場やディーラーに相談して下さい。

ヘッドライトはドライバーの「目」をアシストしてくれると同時に
クルマの存在を知らしめる大切なパーツ。
適切な使用で事故を未然に防ぎましょう。
最近の交通社会は些細なことでトラブルが起こりがち。
ドライバーはハンドルを握っている時、急いだり慌てたりせず、
優しい気持ちとマナーを胸にクルマを走らせることが必要です。
それが事故回避にもつながります。





すれ違うことができない狭い道で対向車と出くわした場合、どんな対処をとりますか?
日本自動車ジャーナリスト協会 会長で日本自動車連盟 交通安全委員会 委員もつとめる
菰田潔 さんによると、狭い道と言っても山中の狭い道や住宅街で狭い道と環境はさまざま。

いずれにしても相手の運転技量は分かりません。
手前にすれ違いできそうなスペースがあったら停車することが得策です。
どうしても早く行きたいからとどんどん行ってしまうと、
結果的にうまくすれ違えずに時間がかかってしまうこともあります。

停車する時にはできるだけ左側に寄ること。
左に寄っているつもりでいながら実はそうでもないドライバーも少なくありません。
ふだんから自車の左側のタイヤがどこを走っているかを意識して走るといいでしょう。

また、すれ違う時に停車して待っている自分のクルマが斜めになっていると
それだけ横幅を取ってしまい相手のクルマが通りにくくなるので
なるべく平行に停車できるような運転技量を身につける努力をしましょう。





次に狭い坂道でのすれ違い。
マニュアル車の時代は、いちど停まると再び坂を上る時に
後続車と衝突事故が発生する可能性があったので上り坂優先がマナーでした。

しかし、菰田さんによると、今のクルマはエンジンにパワーがあり
ブレーキペダルを離してからも上り坂なら2秒間はブレーキが効き
アクセルを踏むまでブレーキが効いてるヒルスタートアシスト搭載のクルマが増えました。
さらに大多数がオートマチック車で坂道発進も楽になって
譲りやすい方が譲ればいいという状況です。


ただし、ここで気をつけたいのが、対峙した相手のドライバーの考え。
特に自分が下り坂側で上り坂側が年配のドライバーだった時、
かつての習慣から上り坂が優先という行動を取る人もいるでしょう。
クルマの動きや顔の表情などから相手の考えを察知するようにしましょう。





そして、譲り合いの精神から発生してしまう不幸な事故もあります。
聴いたことはあるでしょうか、いわゆる「サンキュー事故」。

右折しようと思っていたクルマが直進車に道を譲られたあと
譲ってくれた直進車の脇から走ってきた二輪車や
別の車線がある場合には そこを走ってきたクルマに衝突してしまうケースです。

多くの日本人は律儀で人がいいですから
クルマを運転していて右折しようとしている時に
対向車が停まってくれたり、「お先にどうぞ」の合図をしてくれると、
「ありがとう」と思いつつ、急いで右折しよう考えてしまいが地。
感謝の気持ちを持つことは大切ですが、何時も急がず、慌てずの気持ちを忘れないで下さい。

譲り合いの気持ちを胸に、上手な譲り合いテクニックを身につけて、
事故やトラブルを起こさないようにしましょう。
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