プロジェクト概要

太古の昔より、森は動物や植物などたくさんの命を育み、田畑や海、川にたくさんのミネラルをもたらし、地域と暮らしを守ってきました。 東日本震災では津波でコンクリート堤防や松林がことごとく破壊される中、その森や、昔からその地方に根差す、深く地面深くに根を張った潜在自然植生の木々たちは、津波の勢いを和らげました。 関東大震災や阪神大震災では、大火により建物が燃える被害を食い止め、防災林として大きな役割を果たしました。 この「鎮守の森」をモデルとした森をできるだけ多くつくることは、災害の多いこの国に生きていく私たちが、後世に伝え残さなくてはならない貴重な知恵であり、自然と共生していく教訓でもあります。 番組「いのちの森~voice of forest~」では、「鎮守の森のプロジェクト」が行う活動をはじめ、日本のみならず世界各地の森を守る活動を行う人や団体にスポットをあて、森の大切さについて考えていきます。

今週は、長野県茅野市「車山」からのリポートです。
「車山」、ご存知ですか?場所は長野県のほぼ真ん中。
日本百名山の一つ、霧ヶ峰の最高峰が「車山」です。
その標高は、1925m!なんと、そこに神社があるんです!
ということで、今回の取材テーマは、
「標高1925mの車山神社に、“鎮守の森”はあるのか」
リポートは、山頂を目指すところから始まります。



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高橋:今日は長野県の車山高原に来ています。さっきリフトに乗ってきたんですが、車山の山頂まで1.6キロと書いてある場所。ここが案内してくれるのはおなじみ、林学博士の西野文貴さん。よろしくお願いします。今日は何を見せてくださるんでしょう!


(右から車山神社・宮司の宮澤さん/林学博士・西野さん/高橋さん)

西野さん:今日はめちゃめちゃ面白いです。
この番組ではいろんな全国の鎮守の森を紹介してきたと思うんですね。
鎮守の森というと、鬱蒼とした木々、
神々しい森がというのが皆さんの頭の中に出ると思うんですが、
ここは標高1500メートルくらいで、
これから1900メートルくらいまで登ります。
そこには果たして森はあるのか、鎮守の森があるのかを、
車山神社の宮司さんである宮澤伸幸さんと一緒に登りたいなと思います。



(山頂まで1.6キロ!いざ、出発!)

高橋:初めて車山高原に来たんですが、すごく草原が広がっていて気持ちいいですね

西野さん:僕がびっくりしたのは走っている時から、
すすき草原という草原が広がっているんですね。
本来標高が1700mとかなので、
こういうところは本来、亜高山帯針葉樹林だとか、
ふつう広葉樹林だとか、モミの仲間やダケカンバと呼ばれる
標高が高いところに生育する木々が多いんですが、
ここは草原なんですよね。これは人が管理して
維持していたんだと思います。
歴史を調べていけば、昔は森林があったけど伐採して、
牧草地なんかで草が必要だったり、
かやぶき屋根にススキが必要だということで
草原にしていたのではないかと。


 
(草原の植生について話し中!)

西野さん:今目の前に見えているのは
ススキ、トダシバの仲間、だんだんもっと黄色が強くなってくる
秋のキリンソウ、ワレモコウも出ている。
こういう草原って本当にいま日本で
どんどん少なくなっているんですよね。
半自然草原と言ったりします。
日本には10%くらいあったんですけど、
本当に5%以下までになくなっていて、
やっぱり昔みたいにかやぶき屋根の需要がなくなって、
木々が入ってきて成長してしまう。
そうするとそういうところに昔いた生き物がいなくなってしまう
という問題も絡んでいますよね。


高橋:人が手を加えることによって保たれている場所ですよね



西野さん:そうなんです。
逆に標高が高いところなので、
いつもは標高が低い所で人工林としては
スギやヒノキが多いんですが、
目の前にあるのはモミの木に見えますがこれは違うんですね。
これはカラマツです。これは実は日本にある
針葉樹の中で唯一落葉する針葉樹なんです。
多い場所はどういうところかと言うと、
軽井沢とかそういうところで秋になると
きれいな黄色の紅葉した葉っぱを落とすんですね。


高橋:マツが紅葉するんですか?

西野さん:実はカラマツは、
クロマツやアカマツのようなピヌス属と違って、
カラマツはラリックス属という別の仲間なんですね。
葉っぱ自体はマツに似ているからカラ松と呼ばれているが、
細かい種類で言うと別。
なのでカラマツだけが秋になると落葉する。



(背後には「カラマツ」が見えます)

高橋:いま手に持っている魔法の本みたいのはなんですか?


(図鑑を手にする西野さん)

西野さん:図鑑を持ってきました。
ここはマツムシソウが出る。
紫色のきれいな花なんですね。
皆さんなじみぶかいのだとホームセンターでスカビオサ、
園芸が好きな方ならすぐわかりますが、
それの自生地が。自然に生えているスカビオサが。
見つけたら我を忘れます。


高橋:自生するのは標高が高い所?

西野さん:草原なんですね。
草原が全国で少なくなっているから、
マツムシソウやワレモコウ、オミナエシ、キキョウといった
秋の七草と呼ばれるものがどんどん少なくなっているんですね。


高橋:マツムシソウの花はどのくらいの大きさですか?


(「マツムシソウ」を探しながら頂上を目指します!)


西野さん:大体ペットボトルのフタを
1.5倍したくらいの大きさで紫色です。
この紫色が何とも言えない紫色なんです。
きれいなんですよ。見つけたいですね。




(「マツムシソウ」見つかるのでしょうか、、、、?)

西野さん:マツムシソウですね!!!
実はいま電柵の中でマツムシソウを見つけたんですよね。
鹿はいろんな食べ物を食べていて、
日本全国で増えて問題になってるんですよね。
もしかするとマツムシソウの仲間も食べちゃうのかもしれない。
だから電柵の中にしかないのかもしれないですね。


高橋:すごくかわいいお花、花びらがたくさんあって、紫というか今流行のニュアンスパープルみたいな。


(「マツムシソウ」発見!!)

西野さん:植樹の時と一緒で、
フェイスブックやインスタグラムではなかなか伝わりづらい。
見たときの本当の感動というか体験型なので、
ぜひ皆さんも車山高原に来ていただきたいですね。


 
(「マツムシソウ」)

車山神社・宮司・宮澤さん:神主として恥ずかしいですね。灯台もと暗しです。
リフトでばっかり言っていたので、
ちゃんと歩くっていいですね。



「標高1925mの車山神社に、“鎮守の森”はあるのか」
長野県茅野市 車山からのリポートでした。



【車山神社】

【今週の番組内でのオンエア曲】
・Smile / Madeleine Peyroux
・Shooting Star / Owl city

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今週も、鎮守の森のプロジェクト・植樹リーダーで
林学博士・西野文貴さんのもう一つの拠点、大分県の「グリーンエルム」からのレポートです。
東北で集めたどんぐりから植樹のための苗木を育てたり、
森の成長に必要な植物について研究をしたりと、
ほんとうに様々なことをやっている会社なんですが、
その他にも、日本では珍しい植物の栽培にも取り組んでいます。

ということで、さっそく西野さんに、現場を案内していただきました。



===========
高橋:今目の前に広がっているのは?

西野文貴さん:ユーカリ畑でございます!
実はこれ、オーストラリアからユーカリの種を輸入して
育てているんですが、担当がいます。僕の兄貴です。


ユーカリ担当・西野友貴さん:お久しぶりです万里恵さん!
ユーカリは外来ですが、外来だからこそ
自分に任せていただいたというのもあります。


高橋:でもユーカリの畑を初めて日本で見ました!

ユーカリ担当・西野友貴さん:そうですね。
原料として動物園のバックヤードにあったり、
個人的な栽培者、個人で植えている人もいますが、
こうやって収穫用としてこれだけ畑を持っているのは
おそらく日本で初めてだと思いますね。


高橋:ユーカリってかわいいんですね。葉っぱも白っぽいグリーンでファンタジーの世界みたいです

ユーカリ担当・西野友貴さん:そうですね。
今まで見ていただいた日本の緑とは違った緑、
特にこのグロブルスという種類はいわゆる緑白、
銀緑色、銀とか白に近いような緑の色ですよね。
日本の紙の原料となる木で、
オーストラリアやブラジルで植林されているのは
グロブルスという種類です。いまここで600本くらい。


高橋:高さは?

ユーカリ担当・西野友貴さん:高さは最高で
6メートルくらいになっていますね。
ただこれは、いつも見ていただいている植樹祭の30センチ、40センチの
大きさの苗を植えて1年でこうなりました。


高橋:それだと、見ていると伸びてるのがわかるくらいの成長の早さじゃないですか?

ユーカリ担当・西野友貴さん:冬は成長が止まるんですが、
春や夏になると道路沿いを車で通ると、
1日ごとに景色が変わっていきますね。
そういう感じなのでパルプの原料に使われるんですね。
植林をしやすい。あと日本の伸根性、
直根性のアカガシなどは根が深く入るんですけど、
これは杉やヒノキと一緒で根が深くないんですね。
なので、次の台風のときには倒れるだろうという
予想をして育てています。


高橋:こんなに立派に600本生えていても台風は?

ユーカリ担当・西野友貴さん:台風はどの植物にとっても天敵ですが、
特にこれは根っこがないので踏ん張りがきかないんですよね。
根は、20~30センチくらいですかね。
上がすごく急激に伸びるので、下の根が追いつかないんですね。
ユーカリって本当にいろんな種類があるんですけど、
海外ではあるユーカリの種類は
モンスターツリーといわれているくらい。
それぐらい成長がものすごく早くて繁殖力がある。
要は使いようで、それをパルプに使ったり、
うちの場合はちょっと違う使い方をするために育てているんですけど。


高橋:パルプ用じゃないんですよね?

ユーカリ担当・西野友貴さん:王子製紙さんとかは使うのは
幹だけなんですよね。
葉っぱはどうしても余ってしまうので、
王子製紙さんが研究をされて、
消臭剤や抗菌剤の原料になると発見をして、
うちそれを育てて原料として加工して、
メーカーさんに卸すという仕事をここ5年くらい、
新しい仕事としてやらせていただいてます。


高橋:葉っぱの活用は?

ユーカリ担当・西野友貴さん:どちらかというと
パルプにする幹ではなく、葉っぱですね。
ちょうど良いやつがここにあるんですが、
触っていただくとワックス成分ですごくツルツルして。
匂っていただくとユーカリのすっとする匂いが。
この抗菌力、特に柔らかいベビーリーフですね。
オイルが葉っぱに浮き出るくらい。
ワックス成分で抗菌原料に使えるということで、
うちはユーカリ畑に関しては無農薬でやらさせていただいています。


高橋:匂いがあるからあんまり虫も来ない?

ユーカリ担当・西野友貴さん:そうですね、
もともと抗菌剤として使うくらいですから
原料として強いので、虫にも病気にも強め。
ご家庭でも基本育てやすい植物ですよね。
ただ1年で6メートル伸びますので、
家庭で使う場合は電線とかに注意をしたほうがいいですね。


高橋:家庭に植える場合、場所めちゃめちゃ重要じゃないですか?

ユーカリ担当・西野友貴さん:そうですね。
元から切っても強いので、
また次の年に同じくらいに伸びるんです。
たくましいですね。
モンスターツリーと言われる由来はわかりますね。


高橋:全然ユーカリのイメージはそういうのはなかったです。いい香りの優しい木と思っていましたが、完全にモンスターですね。

ユーカリ担当・西野友貴さん:そうですね。
ただやっぱり、何にでも表と裏があるように、
それを人間が加工して人間が使いやすいように薬の原料にしたり、
こうやってオイルをとって香りを楽しんだり、
植物を活用して人間社会に応用していくということが、
ユーカリだとできるということだと思いますね。


高橋:葉っぱの活用法としては、オイルだったり?

ユーカリ担当・西野友貴さん:今商品化されているものとしては
ユーカリブルーというオリジナルのブランドで作っているんですけど、
青いきれいな瓶に入っています。
100%国産有機オイルです。
国産のオイルというのはなかなかないんですよね、
ユーカリに関しては特に。
弊社の場合は乾燥させてチップにして、
それを水蒸気に当てて水蒸気蒸留で油分を取り出して落としたあとに
容器に詰めるというシンプルな、
何も添加物を入れていないです。


高橋:実は私このオイルでサウナでロウリュウをやったんですよ。めちゃくちゃいい香りで。鼻にすーっととおって呼吸がすごく気持ち良い香りですよね!

ユーカリ担当・西野友貴さん:そうですね。
やっぱりユーカリの効果として、
鼻や喉に効くというのがありまして、
風邪気味の時とか鼻づまりの時は
よくこのオイルを洗面器に垂らして、
その空気を吸うというんですかね。
呼吸をしやすくするというのは、
昔からオーストラリアでは使われていると聞きます。


高橋:すごいものがありますね西野さん!

西野:そうですね。
たぶん、僕の兄貴も声が聞こえていると思うんですね。


高橋:ユーカリってひとつじゃないんですね!

ユーカリ担当・西野友貴さん:全世界で言うと700、800
あると思うんですね。
やっぱりコンシュ?混種?しやすいので
いろいろ掛け合わせて、人工的にも掛け合わせやすい植物なので。
それでもやっぱりその中で、
王子製紙さんが調べて公権力がナンバーワンだったのが
このグロブルス。
種はなるべくこちらで作りたくないというのはありますよね。
外来種なので。
なので、作るにしてもしっかり管理をして
外に出ないようにしたいなと思っていますね。
そこは植物を作っている会社としての、
意地というかプライドですよね。
なるべく外には出さないというのが。
その前に台風でほとんどやられてしまいます。
だからこれ9月までに持てば良いなと、
自分はドキドキしています。
ユーカリもそう言っていますね。




鎮守の森のプロジェクトで植樹してきたポット苗の「里親」、
大分県にあるグリーンエルムからのレポートを
3週に渡ってお伝えしました。

グリーンエルムの国産有機ユーカリを使用した
エッセンシャルオイルや消臭抗菌スプレーなど、興味ある方、
お問い合わせについては、
【グリーンエルム】のホームページ★をご覧ください!




【今週の番組内でのオンエア曲】
・Don't Answer Me / アラン・パーソンズ・プロジェクト
・Perfect Symphony (with Andrea Bocelli) /  Ed Sheeran

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