今週は、千葉県・鴨川から、収穫の秋ならではのレポートをお届けします。
場所は、鴨川自然王国。大山千枚田という日本有数の棚田で有名な土地にあって、自然体験・農業体験のできるところです。先週、ゲストで来ていただいた 歌手・Yaeさんが、半農・半歌手の生活を送っているというこの場所は、「自然に寄り添い暮らす場所」というコンセプトがあって、“王国サポーター”とともに、無農薬のお米や野菜を育てるなど、自給自足の生き方を提唱しています。

そして月に一度の農作業体験、収穫祭などのイベントも行っています。
今回参加したのは9月上旬に行われた稲刈りイベント。鴨川自然王国の棚田で、しっかり実った稲を、収穫するイベントです。
鴨川自然王国サポーターの人達とともに、体験してきました!



 千葉県の鴨川市は、房総半島の南側なんですけれども、あそこに千葉で1番標高が高い、愛宕山が見えています。ここは起伏が結構ある風景で、大山千枚田という棚田百選にも選ばれた棚田がうちのすぐ下にあります。そこから車で5~6分のところに鴨川自然王国はあります。ここで米と野菜を年間通して作っていて、知っている方だけに食べていただくような、自給自足を目指すという活動をしています。今日はこの黄金に輝いている稲を刈り取るわけですね。(Yaeさん)

 王国の棚田の稲は、もちろんサポーターの方々が植えた苗が育ったものです。今回お手伝いさせていただいた作業は、まず稲を刈って、その稲を束ねて、その後竹を組んだ物干しに束ねた稲をかけて乾燥させるというものです。この日、サポーターの方は10人近くいらっしゃって、大阪から参加されている方もいらっしゃいました。




イベントにはYaeさんのお母様で歌手の加藤登紀子さんの姿も。

そして、稲刈りをしていたらなんだか気になるものを見つけたので、Yaeさんに聞いてみました。

 それはザリガニですね。ザリガニはすごく厄介で、植えた直後の小さな苗をなぜかチョキチョキ切っちゃうんです。それでうちは今年すごい被害を受けて、上の方がすごいスカスカになっちゃった。なので、ザリガニの敵は誰だろう?って考えて、”ザリガニの敵は子どもだ!”と思って、子どもを田んぼに放ったんです(笑)ザリガニ釣りですね。何千匹とか取れちゃうんですよ。イタチやアライグマもザリガニが好きみたいで、追っかけて田んぼの中に入ってきている様子がありました。ザリガニも食べるとおいしいそうですよ。家に来れば食べ放題です。
 今もあぜにどじょうはいますが、昔はうなぎもいたそうです。米とうなぎでうな重自給みたいな(笑)川をきれいにして、護岸工事をしないようにうにしてうなぎを復活させようとしている人たちもいるみたいですね。
 いま、長い竹と、ちょっと短い竹を運び込んでいますが、これは田んぼに、いま刈った稲藁を束ねて、はさ掛けするためのものです。これで天日乾燥します。おひさまで乾燥させると甘みが強まるんだそうです。だいたい2週間ぐらい干しますね。そして脱穀して新米が食べられるわけです。



今回のレポートいかがだったでしょうか。この楽しい稲刈りの様子はポッドキャストでも詳しくご紹介していますので、こちらもぜひお聞きください!

鴨川自然王国サイト→http://www.k-sizenohkoku.com/

【今週の番組内でのオンエア曲】
・年貢 for you feat. 旗本ひろし、足軽先生 / レキシ
・シアワセの花 / Yae
今週は、9月29日(土)、30日(日)に東京 新宿御苑で開催される「GTF グリーンチャレンジデー 2018 in 新宿御苑」についてお伝えします。
ゲストは、このイベントにライブで出演される、歌手のYaeさん。歌手・加藤登紀子さん、そして学生運動リーダーで千葉・鴨川の「鴨川自然王国」を作った藤本敏夫さんの次女で、2001年に歌手としてデビューしました。現在は音楽活動と同時に、農業や自然保護に関する活動も続けており、半農・半歌手、つまり農業をしながら歌手活動をされている方です。
そんなYaeさんにライフスタイルのお話、そして、自然の多様性を考えるこのイベントで、どんなメッセージを伝えるのか、などなど伺っていきます!


~お住まいが、鴨川自然王国にあるんですね。
 鴨川自然王国は千葉県の鴨川市、房総半島南側に位置していて、千葉で1番標高の高い愛宕山が背後にあって、うちからちょっと下ると、大山千枚田という、棚田が400枚以上連なっている場所があります。棚田100選の1つになっているんですよ。我が家も棚田がたくさんあるんです。
 鴨川自然王国は、一言で言うとシェルターだと思っています。命をつなぐ場所。つまり、お米、お野菜、山には野草もいろんな食べるものがたくさんあって、猪も走り回っているし、燃料は山の木を薪にして薪ストーブやサウナも作っていますし、人が自然の中で原点に戻れる場所というか、ほっとできる場所を作っていきたいなと思っているんです。
 鴨川自然王国は自然体験も農業体験もできるんですが、土曜日と日曜日には毎週「cafe En」という、うちでとれたものだけを提供して食べていただくようなカフェをつくったんです。



~なかには田んぼがあるんですね
 ちょうど稲刈りのシーズンが終わったんですが、収穫ができて、この後は10月20日に鴨川自然王国大収穫祭というのをやります。私の母、加藤登紀子も来て、みんなで音楽ありダンスもあり、移住してきている方々がベーグル屋さんをやっていたり、コーヒー屋さん、雑貨屋さんとか、素敵なお店が15~16店舗出店するんです。「実り」は1年のうちでいちばん嬉しいことですから、それに感謝する意味で、大切にこのお祭りをしていきたいなと思います。ぜひ遊びに来てください。

~Yaeさんは、子どもの頃からこうした自然・農業に関心があったのですか?
 私は生まれも育ちも東京の渋谷なんですけれども、自然に対する憧れは逆に強かったのかもしれないですね。すぐ裏に新宿御苑があるんですけど、新宿御苑で土を掘って遊ぼうとすると警備員が飛んでくる(笑)自然、里山、「となりのトトロ」の世界とかすごく憧れて、「おばあちゃんがなぜ田舎じゃないんだ」という話をしていたんですけれども、ある日うちの父親が「お前、故郷が欲しいか?」と言うから、「欲しい」と言ったら、うれしそうに千葉の里山に連れて行ってくれて、走り回って遊んだんです。それが今の自分の中にもすごく生きていますね。ここに移住して14年経つんですけれども、歌が変わりました。音楽が生まれる原点って、実はそういう農村にあるんじゃないかなって思うんです。お祭りの歌とか、神様とつながるために音を出すというのがあったりとか、辛い農作業のときに働きながらみんながうたう歌とかあるんですけど、歌が生まれる原点はここにあるんだと思って。そうしたらすごく嬉しくなったんです。歌手として農業をやっていることがつながったという気がして、今はとても充実していますね。土の上に暮らすとこんなに安心なんだと思って。
 また、今後は災害も頻発していくと思っているのですが、食べ物と水と燃料がある「シェルター」というのは安心ですよね。山に猪がいるので肉も自給できます。私は狩猟免許も持っていますから、”半農半歌手半猟師”ですね。いろんな引き出し、ワールドを作るというのはすごく楽しいことなので、ぜひ皆さんも気軽に遊びに、癒やされに来てください。


~お母様、加藤登紀子さんもいらっしゃるんですか?
 月に1、2回くらいはきてくれます。とにかく忙しい人で、鴨川自然王国に来ても忙しいんですよね。ゆっくりしなさいよと言うんだけれども、止まったら死んじゃうみたいな人なんです。でも最近、うちの母にプロデュースしてもらって、11月8日に渋谷の伝承ホールで「未来への詩」というタイトルでコンサートを企画してます。私は母から何を引き継げるのかなとすごく考えていて、「歌」って昔から何千年も語り継がれているものじゃないですか。そういう、続いていく歌を歌っていけたらいいなと思っています。

Yaeさんのお話、いかがだったでしょうか。本日のインタビューはポッドキャストでも詳しくご紹介していますので、こちらもぜひお聞きください。

また、生物多様性を意識するためのさまざまなチャレンジを応援する「GTF グリーンチャレンジデー 2018 in 新宿御苑 つなげよう、支えよう 森里川海」は
9月29日(土)、30日(日)それぞれ10時~16時に開催。
場所は東京 新宿御苑です。いのちの森パーソナリティ高橋万里恵が2日間の司会を努めます。詳しくはぜひサイトをチェックしてみてください!
http://www.gtfweb.com/

今回インタビューさせていただいたYaeさんは、9/30(日)にライブゲストとして登場されます!

Yaeさんについて、最新情報は下記オフィシャルウェブサイトをご覧ください!
Yae Official Website
http://www.yaenet.com/



今日は、鎮守の森のプロジェクトの取り組みをレポートです。
場所は、岩手県山田町。リアスで知られる三陸海岸の、ちょうどほぼ中央に位置する場所です。2011年の東日本大震災で大きな被害を受けたこの地域で行われた、「いのちを守る森づくり植樹祭 in 山田町2018」の様子、お伝えします。


今回植樹が行われた山田町 田の浜地区は、東日本大震災の津波で住宅の7割が大きな被害を受けた土地です。地元の方をはじめ、本当にたくさん参加者とともに植樹をされていた山田町の佐藤信逸町長にお話を伺いました。


~今回植樹した場所はどんな森になっていったらいいと思われますか?
「災害を風化させないように」という事はいつも言われるんですが、今回植樹したこの地は、木々の成長とともに、震災の記憶を風化させないという効果があるのではないでしょうか。こういうところに水が来て、そこにどういう思いで植樹をしたんだということが、震災の伝承につながるんじゃないかと思います。
 このあたりはは10~15mの津波が来ました。逃げる術もなかったですね。この田の浜地区は住民の1割がは亡くなったという、山田の中でも1番罹災率が大きなところです。そこにみんなが来て、これから何十年も息づく木を植樹するというのは、鎮魂という意味にもつながってくることなんじゃないかと思います。


(山田の復興は町長から見たらどのように映っていますか)
山田町は駅を中心としたまちづくりをするということを心がけております。3月23日に、みんなで支える三陸鉄道ということで、地元の足になるような鉄道になるように努力しているところです。
 山田町には桜を824本、6年間にわけて植樹をしたんです。犠牲者の数の分ですね。その桜ももう何年かすればしっかりとした花をつけるでしょう。それと同時にこちらのほうもしっかりとした森になれば感慨はひとしおですね。


来年の春には、三陸鉄道・山田線の宮古~釜石 間が運行開始。
そしてあと何年か経てば、桜も花をつける・・・楽しみですね~。その頃には、今回の植樹で植えられた小さな苗も、大きく育っているはずです。

さあ、そんな山田町の植樹。300人の参加者の方の手で、3000本の苗木が植えられたのですが、具体的にどんな木が植えられたのか。このプロジェクトで、植樹指導をされている、東京農業大学の西野文貴さんに伺いました。

 鎮守の森のプロジェクトの植樹では、毎回”故郷の木”を植樹しているんですけれども、この場所に適した樹種は、常緑樹でいうとタブノキが1番の主役になります。ちょうどあそこ、海から5~10メートルの近さにあるあの木がタブノキなんです。津波をかぶっているんですが、きちんと芽吹いて、また次の世代を作ろうとして生き生きしていますね。

他にも新しい樹種として、ケヤキとかエゾイタヤ、そういった落葉樹が今回植樹するなかに入っています。北に来れば来るほど冬の景色というのは、常に緑というよりは落葉樹が多いというのが植生としてもあります。葉を落とすことにはいろんな意味があります。北のほうに行けば行くほど寒いので、寒さに耐えるために先に葉を落として栄養を次の春に生かすためにと言う戦略もあったりしますし、その辺は奥が深すぎてなかなか一言では語れないですね。


そして、今回の植樹に参加された方々の声です。

【植樹に参加された宮古ヤクルト販売株式会社代表取締役社長 寺崎勉さん】
震災の時、うちはすべてのエリアが津波の被害を受けまして、社員1人と販売員が2人亡くなりました。ここ山田にセンターがあるんですけれども、このセンターは半分ぐらい水が入りました。また、となりの大槌ではセンターごと流されてしまいました。ですので、当時は仕事が3ヶ月ほどできなくなりましたね。
~今回の植樹にはどのような思いで参加されたのでしょうか。
実は今年6月に宮古室蘭フェリーが就航して、岩手県で初めて、北海道とフェリーでつながったんですね。そして来年は三陸鉄道が八戸から大船渡まで一貫して開通します。それから仙台までの高速道路が再来年開通するんです。そうやっていろんなものがどんどん開通して地域が発展していって、それから木もどんどん成長します。でも逆に人間は止まっているところがあるんです。気持ちが前に進まない人もたくさんいるですね。この木を植えて育てていくというのは、自分たちを励ますようなプロジェクトだと思うんですね。木に負けないように成長したいと思っています。


【宮古市から参加、花坂琉依ちゃん12歳。早野鈴夏ちゃん9歳】
防波堤とか震災の時にこうやって来てたから、少しは防潮林で、津波が止めれるというか、これでちゃんと街が守れるんだったら、ちゃんと守れるから、またやって、亡くなる人を少しでも減らしたい。


【植樹に参加された公益社団法人宮古法人会 事務局長の稲川三男さん】
震災当時は、私の家から下の方が流され、親戚が1人亡くなり、いまだに見つかっていない人が1人います。後世へ伝えていくということは、助かった人たちの責務というか、それは戦争と一緒で、経験者がいなくなってくるに従って風化していってしまいますから、戦争や津波の被害については後世に伝えていくのは残っている人たちの責任だと思いますね。



会場には鎮守の森のプロジェクト細川護煕理事長の姿も


この日は地元のお母さんたちが美味しいお食事を提供してくれました!


立派な森に成長するのが楽しみです!

今日ご紹介した「いのちを守る森づくり植樹祭 in 山田町2018」の模様はポッドキャストでも詳しくご紹介していますので、こちらもぜひお聞きください!

【今週の番組内でのオンエア曲】
・アイデア / 星野源
・Remember me / くるり

北海道東部・阿寒国立公園にある湖・オンネトー湖のキャンプ場で行われた、「モーラナイフアドベンチャー in Japan」。
自然と向き合いながら、アウトドアのスキルも身につくこのイベントの模様を何回かに分けてお届けしています。2泊3日のイベントもいよいよ3日目。いよいよ最後のワークショップです。
講師はスウェーデン生まれのアウトドアナイフ「モーラナイフ」のアンバサダーで、スウェーデンの木工作家 ヨゲ・スンクヴィストさん。
ナイフや木工が日常にあるスウェーデンで、4世代に渡って木工作家を受け継いできた、北欧を代表する名人・達人です!


スウェーデンでは箸は一般的では無いので、スウェーデンの伝統としてお箸作りをするという事はありません。ですので、お箸を毎日使っている日本人の人たちに箸づくりを教えるというのはちょっと気恥ずかしい気もするんですが、でもスウェーデンの伝統的な工芸で、まっすぐ棒をとがらせていくというナイフの使い方はあるので、今回はそれをお伝えしようと思います。


ヨゲ先生に教えてもらいながら角材を削っていきます。

1.5センチ角くらいで、30センチ位の長さの木をを削っていきます。

右手にナイフを持って、左膝のお凹みあたりに親指の付け根をあててナイフを持ちます。
角材の角をあててナイフを押すのではなくて材料を引くんだそうです。確かにこれならスムーズに切れますね。


ここまで削れました!

参加者と一緒に箸作りをしていた木工作家 長野洋平さんのお話です。

日本の木工家はよく「箸に始まって箸に終わる」と言うんです。今まさに、3日目の終わりの時に箸を削っているわけです。でも1本しか削れないじゃないですか。宿題としてもう1本を持っていく。ですから、このイベントでは箸に終わってこれからもう1本の箸を家で削って箸に始まると。これで完結ではなく、みんな宿題を持っていって、ここからが、終わりではなくてスタートという流れを、次のステップに挑むために今ここでしっかりと、習得して、やれることをここでやろうと、そんな時間ですね。ヨゲさんもうそんな思いで教えてくれるんじゃないかなと思いますね。


参加したおよそ50人、日本全国、そして台湾、タイなどアジアからやってきた人達も、まだ削っていない箸の片方とともに、本当にたくさんの大切なことを持ち帰ったようです。
最後に、イベントを運営するアウトドアショップ「UPIアウトドア鎌倉」の寒川一さんにお話を伺いました。


みなさん、新しい扉が開いて帰っていったんじゃないですかね。ヨゲさんがいつも言うんですけれども、たくさんの作品を彼は作っていますが、「いつそれを削っているの?」と聞くと「いつもだよ」と言うんです。つまり、ご飯を食べるように、息をするように木を削っているそうです。人と話ながらでも削っているし、もちろん集中して削っている時もあります。そうやって自分の時間を木に変えて形が残っていくんですね。今回作ったバターナイフはおそらく、みんなが死んだ後も残る。そして、子供たちが手にすることもできるし孫が手にすることができる。つまり、「これはおじいちゃんが作ったんだよ」「おばあちゃんが作ったんだよ」と、ずっとそこに生き続けられるんです。それはなんとなくアイヌの人たちの考え方とシンクロしています。アイヌの人たちは人間のできない、人間の力の及ばない事は全て神様だというんですけれども、自分自身もそれに近い存在で、何かに宿すということもできるんだなぁと思うんです。
前にもお話ししましたが、自分たちだけで消費をしないで、次の人たちに何かを残す、伝えるみたいな、ナイフ1本でそんなすごいものができるという事実ですよね。それを今回皆さんは目の当たりにされたんじゃないでしょうか。ここでの三日間が、人生を変えるぐらいのアドベンチャーであって欲しいなと思っていますね。



今回のお話、いかがだったでしょうか。ポッドキャストでも詳しくご紹介していますので、こちらもぜひお聞きください!

モーラナイフアドベンチャー in Japan facebookページ
https://www.facebook.com/moraknivadventureinjapan/

【今週の番組内でのオンエア曲】
・Roll On / The Little Willies
・Gotta Have You / Weepies
北海道東部・阿寒国立公園にある湖・オンネトー湖のキャンプ場で行われた、「モーラナイフアドベンチャー in Japan」。自然と向き合いながら、アウトドアのスキルも身につくこのイベントの模様を何回かに分けてお届けしています。
いよいよイベントも終盤に入りました。きょうは、スウェーデンのモーラナイフと、北海道の先住民族の文化を融合させるという、とっても興味深いワークショップの模様です。
講師はモーラナイフ公認の、日本と台湾のアンバサダー、長野修平さん。ネイチャークラフト作家で、アウトドア料理人という肩書もお持ちの、やはりアウトドアの達人です!


 いよいよ今日最後のプログラムになります。モーラナイフの国、スウェーデンはサーミ人という先住民族がいますが、僕は日本人なんですけれども、ぜひアイヌをテーマに入れてほしいということでした。僕は北海道 苫小牧の山菜料理家に生まれました。幼稚園に入る前から山に入って山菜をとっていて、そこでいろんなもの拾って遊んだりもしていたんですけれども、隣町が二風谷というアイヌの街でした。(アイヌ文化と繋がりの深い)白老も隣です。ですので、アイヌのいろんなものを感じながら生活してきたんですが、最近になって、白老のアイヌ民族博物館が実はオリンピックの年に向けて国立化することになりました。まさにそういうタイミングで、アイヌをテーマにワークショップをすることになったわけです。
 今回作るのは、アイヌに伝わるメノコイタというカッティングボード(まな板)です。片側が彫ってあって、サーモンをさばくと中からいくらが出てきた、ここにためまるんです。今回はそれを僕らのサイズに合わせてつくります。たとえば、ここにソーセージがあったら、切りながら、ここでタレをつけて食べる。そんなこともしてもらいたいと思います。

 完成見本のカッティングボードの持ちての部分を見てください。特徴的な形をしていますね。アイヌの人の墓碑はエンジュという、100年たったら土に帰る丈夫な木です。直径10センチ位の丸太をただ突き立てたのが墓碑なんですけども、女性はドーナツ状の穴が上に削ってあります。男性は矢尻が削ってあります。女性のドーナッツ型の穴は針の穴をイメージしています。女性は針でアイヌ文様をつくりますね。冬の厳しさをしのぐ衣類も針で作ります。ですので針は女性の象徴なんです。男性は刃物で、狩りして家族の糧にします。もしくは隣の部族と刃物で戦って家族を守る。また、刃物で生活の道具を作り、アイヌ文様を彫刻しています。だから男性の象徴は刃物なんです。それが墓碑にも刻まれているわけですね。名前は全然書いていないんです。それを組み合わせたのが、この持ち手の部分になります。




それではさっそくカッティングボードづくりです!

まずは板を切るところから


長野さんの指導を受けながら…


持ち手に穴を開けます


ウッドカービングナイフで削っていきます


先生はやっぱりうまいですね!


最後に、モーラナイフアンバサダー 長野修平さんに、アイヌ民族と森の関係についてお話を伺いました。

 森っていうのはいろんなものを与えてくれるものなので、どんどん捕りに行きます。動物も彼らは獲っていました。でも、親子熊がいたら子熊は自分の古潭でしばらく飼って育てるんですね。僕は山菜料理屋の出身なのですが、山菜を採るときは、また来年、その次の年も必ず同じかそれ以上の量を採れるようにするんです。採れるだけ採るのではなく、育成を考えるんですね。アイヌ民族にとって、森は”守ろう”とかじゃなくて、自分たちが生きるために必要なものなんです。それがなければ自分たちが生きていけない。そういう意味で彼らは自然のことや森のことをカムイと呼んで崇めてきました。
 よく、先住民族の人たちが言うのは、ものを教えるとき、教わった人にはそこで授かった知恵を次の世代に義務と責任が生じるんです。このワークショップに来ている人もそうです。カービングナイフで削るのも、次は誰かに伝える義務がすべての人に生じています。それが知恵の伝達ということなんです。そして、昔からある普通のメノコイタを作るのではなくて、現代風にアレンジするのが本来の知恵のあり方なんだと思うんです。知恵をそのまま伝えるのは、博物館にしまったもの。今の暮らしで何の実用もないものを、そのまま伝えてもしょうがなくて、雑貨だったり、おしゃれな食卓を作るのにも、アイヌの知恵を活かすことができるんですね。
 今日参加されたみなさんは、僕が伝えたものさらにアレンジして次の世代、またその次の世代にも伝えてくれると思います。それがアイヌがいたことのありがたみということになってくるのかなと思うんですね。




今回のお話、いかがだったでしょうか。ポッドキャストでも詳しくご紹介していますので、こちらもぜひお聞きください。
また、番組内でご紹介しているKapiw & Apappoさん、気になった方はぜひこちらのサイトをチェックしてみてください。
https://kapiw.jimdo.com/kapiw-apappo/
番組でかかっていた曲が入ったCDも購入することができます。


『PAYKAR』Kapiw&Apappo

来週も引き続きモーラナイフアドベンチャー in Japanの模様をお届けします!

【今週の番組内でのオンエア曲】
・プライベート サーファー / UA
・ORORO PINNE / Kapiw & Apappo

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高橋万里恵
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