- 2015.04.26
奄美の森3 森の生きものたち

今週も引き続き、日本の亜熱帯・鹿児島県 奄美大島からのレポートです。
今回の取材で参加したのは、奄美大島 名瀬にある原生林、金作原を散策するツアー。ベテランガイドの西條和久さんにお話しをうかがいます。

奄美大島を代表する原生林 「金作原の原生林」。この森を構成する樹木のほとんどは、イタジイというシイの木です。シイの木ですから、秋になるとシイの実、どんぐりを落とします。そしてこの大きなドングリはきっと鳥たちにとって、食べ応えがあって、とっても美味しいんでしょう。10月に本州から南下しきた鳥たちが、この森をエサ場にするのだそうです。実は、日本列島で確認される野鳥650種類のうち6割が、奄美で確認できるといいます。
ポッドキャストではこのツアーで聞こえてきた鳥たちの声もお届けしています。アカヒゲという赤くてとてもきれいな鳥や、オーストンオオアカゲラが木をつつく音、奄美にしかいないルリカケスという鳥の声などを聞くことができますので、ぜひ聞いてみて下さい。

西條さんはiPadで写真などを見せながら、森を案内してくれました。西條さんが立ち止ると、みんなも立ち止まり、じっと耳を澄ます。すると聞こえてたのが、トトトト・・・というキツツキの音、そして、国の天然記念物にもなっているルリカケスの鳴き声でした。ルリカケスはちょうどいま繁殖期だそうで、家族で木陰を飛び回る姿もみることができました!
そのほかにも、まるで尺八のような、フォーッという鳴き声も聞くことができました。この鳥はズアカアオバトという、くちばしがブルーで黄緑色の鳩です。


こんな風に、森のあちこちから聞こえてくる鳥たちの声に耳を澄ませていると、またも、ちょっと不思議な鳴き声が耳に入ってきました。ここで、冒頭でちょっと触れた、奄美で古くから伝わる妖怪「ケンムン」のお話が出てきます。
◆ケンムンの声
この声はアマミイシカワガエルです。夜行性のカエルなので、夜はっきりと鳴いてくれるんですが、今ちょっと曇ってきたので、奥の方で小さく一声だけ鳴きました。普段は、岩と岩の間の苔むしたところにいて、擬態しているのでよく見ないと見つけられません。
夜の山の中でこの鳴き声を聞くと、闇の中から『オイ』と叫び声のような感に聞こえたりするんです。ですから昔の人はよく『誰かに呼ばれた!』なんて言ってましたけど、実はこいつの鳴き声です。
奄美にはケンムンっていう妖怪がいます。ケンムンの『ケ』とは、奄美の方言で木のことで、『ムン』は者。だから木に住んでる者という意味です。ですから、ガジュマルの木のように巨木になる木は、島の人はむやみやたらに切り倒したりしないんです。

「ケンムン」は沖縄では「キジムナー」と呼ばれていて、妖怪の一種です。本州だと、「カッパ」が、これに近いと言われています。
奄美では古くから、「ケンムンがでるところには近づくな」とか、ケンムンを巡る様々な伝説、言い伝え、そして経験談が残っています。奄美の人々は、「自然」という大きな仕組みの中で生まれた言い伝えや風習、そして「暦」を、いまも大事にしているんです。
◆大潮の日には
この島はほとんどの行事が潮の動き、月の満ち欠けと密接に関わっていますので、絶対に旧暦を外せないんですね。旧暦の3月3日が、今年は4月の21、22日のあたりになるんですけれども、1日に2回満潮と干潮を繰り返します。夏場は昼間の潮の引きが強くて、夜の引きが弱いんですが、そのちょうど境目に来るのが、旧暦の3月3日なんです。これを境にして夏の潮の引きになってくるので、この島では昔から旧暦の3月3日の日は、昼から学校を休んで、仕事も休んで、お弁当を持って海に繰り出す日なんです。いわゆる海開きの日にあたるんです。潮が引くと、潮だまりに貝がいたり、魚が閉じ込められたりするんでそれを獲りにいくんです。これが冬になると今度は夜中に潮が引くので、潮だまりにタコが寝てたりして、夜の月明かりで漁に行くんです。
奄美の生き物は夜行性のものが多く、夏にかけて気温が上がってくると活発になり、昼間とは違った表情を見ることができますので、夜のツアーもあるんですよ。夜の森は本当に真っ暗で、生き物の気配とか鳴き声を感じとったりしながら進んでいきます。ラッキーならクロウサギを見ることができるかもしれません。
今回のお話いかがだったでしょうか。金作原の原生林にはいろいろな植物、動物がいました。森に一歩足を踏み入れると、本当に色んな鳥の声がきこえてきて、ケンムンがいそうな雰囲気のある場所もたくさんありました。
この金作原の探検ツアーについては、観光ネットワーク奄美のサイト、Facebookをご覧下さい。
そして次回はいよいよケンムンの謎に迫ります。お楽しみに!
【今週の番組内でのオンエア曲】
・Sun shower / 木村カエラ
・花 / 中孝介