木村拓哉 Flow supported by Spotify - TOKYO FM 80.0MHz - 木村拓哉

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2023年02月19日Flow 第二百三十八回目「拓哉キャプテン × SUPER BEAVER 渋谷龍太」Part2

2月のマンスリーゲストは、ロックバンド「SUPER BEAVER」のボーカル 渋谷龍太さんです。
ここでしか聴けないTALKお楽しみに!


木村:バンド結成して4年後、2009年6月にシングル「深呼吸」でメジャーデビューし、その深呼吸という曲が「NARUTO−ナルト− 疾風伝」のED曲。で、カップリングの「道標」という曲が、同じく「NARUTO-ナルト-少年篇」のオープニングテーマ。
史上初の同時タイアップとして抜擢されてるんですけど、相当っすよね。

渋谷:いやぁ、ほんとに根拠のない自信と勢いとで全部、自分の中でリアリティが無かったんで、いかにすごい事なのかとか、この当時全く分かってなかったです。

木村:分かってない状態で、それがもう現状としては決まったんだ。

渋谷:できちゃうじゃん!って思ったっす。全然、何もしてないけど、こんな事できちゃうみたいな状況でしたね。

木村:あ〜。でも、その気づいてなかったかもしれないけどメジャーデビューという形を経て生活っていうのは、もう一変な感じ?

渋谷:そうですね〜。お金もらえちゃったし、何不自由なくやってたんですけど、かなり早い段階で対応が変わってくるというか。主に、その当時ついてたディレクターの方の対応が変わってきちゃって。

木村:え、それはどう変わったの?

渋谷:その人の言う通りにしなきゃいけない状況に知らず知らずのうちに持ってかれてたっていう感じですね。僕ら自身にも芯がなかったりとか、こんな風に音楽をやっていきたいっていう強い意志が無かったんで、「こんな風にしたら。」っていう所から始まって、「そうですね〜。」「こんな風にしなよ。」「はい、そうですね。たしかに。」「いやいや、こうしろよ!」で、どんどんそういう風になってきちゃって「はい」って言って、それをやるという事が自分たちの音楽っていう風に半年ぐらいかけて言い方悪いですけど、ほぼ洗脳みたいな感じにされちゃって。

木村:だから、あれだろうね。きっとスタッフの方もSUPER BEAVERの事を、要は次のステップとしてこうなったらいいんじゃないかなとか、良かれと思って言ってくれてたのかもしれないけど。何かあれだね、好奇心とか楽しいっていう、音を楽しむと書いて音楽のはずなのに、なんか音楽っていうガクの部分がガチっていうか。でも、「次こうだろう、こうやれよ!」みたいな感じでバンドのメンバーはどうなの?

渋谷:もうね、それぞれがそれぞれのせいにしちゃうっていう一番良くない状況に…。

木村:バンド内で?

渋谷:そうですね。誰かが祭り上げられちゃって怒られてる時は、そいつが悪いんだから、そいつが悪いに決まってるっていうような状況に4人が4人なっちゃって。それに対して、誰も違和感を覚えられなかったんですよね。で、ホントにこれはただの言い訳なんですけど、僕ら、この当時学生からいきなり社会というものを全く経験しないまんま、そういう風になっちゃったっていう事もあって、初めて飛び込んだ大人という世界で “言われた事ができないっていうのは絶対に良くない” っていう風に、皆どっかしらで思ったんですよね。
4人結構真面目で、“言われた通りのことができないっていうのはどうなの、大人として音楽家としてどうなの” みたいなマインドになっちゃって。僕は歌でその当時すごく言われてたのは、「お前の歌には何の魅力もないから。お前の歌にはお前の人生が出てるから、お前の人生がいかにつまらなかったものか良く分かる。」っていうのをずっと言われ続けて、1日中。「お前の両親も友達もやってきた仲間とかも、ホントにつまらなかったんだね!」っていうのを2〜3時間飯食ったら言われて。「はい、じゃ〜歌ってきて!」っていうのを(笑)。

木村:えっ!俺無理…いやいやいや、俺に置き換えることはないけども。すごいね、それ。

渋谷:こういう風な状況に徐々に徐々にされてっちゃってる事に対して、ホントに綺麗にフェードインしていったんです、そういう状況に。

木村:え〜っ!!

渋谷:いや、もうホントにね、苦しかったですね。メンタルがもたなかったですね。僕が弱かったのがいけないんですけど。

木村:いや、弱いっていうよりかはそいつが特殊すぎるよね。

渋谷:結果的に、「現場が壮絶すぎるから、もう使わせたくない」っていう事でスタジオも3つ4つ出禁になって。そこのエンジニアさんとかもバーって僕のことを追っかけてきて、「異常だから、何かあったら何かできるか分からないけど僕に連絡して。」って電話番号を渡してもらったりとか。

木村:(笑)。いやだから、プンプンしてたわけでしょ?

渋谷:圧倒的におかしいという事が…。

木村:間違いなく周りの人は、「この臭い変くね?」っていうのを感じ取ってたから、そういう風に電話番号(渡したり)とかだったんだと思うけど。
そんで、メジャーデビューから2年後の2011年に、その人があれなのかな、大きく影響してるのかな?

渋谷:大きく影響してますね。

木村:マジかよ!その人かよ!

渋谷:その人が大きく影響してますね。

木村:あららら。レーベル、事務所も離れて、要はインディーズという活動の場所をそっちに戻す事にしたっていう風になってますけど。SUPER BEAVERという船に乗り続けるんであれば進む海を変えようみたいな感じだったのかな?

渋谷:う〜んと、船自体をぶっ壊そうとしました。

木村:1回。

渋谷:はい。この2年間で全く結果が出なかったんですよね。ちっとも数字が出なかった。高校の時は300人ぐらいの所で勢いでワンマンできてたのに、メジャーから離れる時、最後お客さんが2人になったんですよね。もうライブでも人が来ない。盤も売れない。端的に言うとクビを切られたという状況ではあるんですけど、そのクビを切られるという前に自分たちで判断したというか。まず僕が倒れちゃったんですよ。

木村:倒れた?

渋谷:レコーディング中に。歌うたって、出来上がったものを聴いた時に、あんまりにも気持ち悪すぎて。何の気持ちも入ってないし、つぎはぎだらけの歌で、めちゃくちゃ直されてるし、こんなのは絶対におかしいって思ってた事がどんどんどんどん限界超えてて、胃に穴が開いて、そこでうずくまって動けなくなっちゃって。

木村:あららららららら。

渋谷:ホントに信じられないなと思ったんですけど、僕夜中に倒れたんですよ。たしか、夜遅い時間に倒れた時にディレクターは僕が救急車で運ばれていく時に、明日の入り時間言ったんですよ。

木村:運ばれていく龍太に対して?

渋谷:はい。「何時から歌うから、何時までに来いよ、お前!」って言われて。

木村:(笑)。いや、キテるキテる。

渋谷:キテるなと思って、僕も。でも、その時は完全に洗脳されてるから「はい!」

木村:マジで!?

渋谷:行かなきゃ、どうにかして行かなきゃって。だから病院にも、どんな事があっても、その時間までには家にまず帰してもらってスタジオにすぐ行けるようにしなきゃいけないって思ってたんですけど。病院に母ちゃんが来たんですよ。すげー寒い時期に母ちゃんが来てくれて。母ちゃんは俺の様子がおかしい事に気づいてたと思うんですけど、初めて病院で「あんた大丈夫?」って言われたんですよね。でもそれがグッてきちゃって、いろんなものが決壊しちゃって、バーって泣いちゃって。でもう、マネージャーに「音楽自体やめます!メジャーとかじゃなくて、僕は音楽ができません。バンド抜けるんなら、それはそれで構わないし。とにかく僕はもう音楽続けられません。」って言っちゃったんですよね。
で、僕3日間くらい入院したんですけど、退院して、その足で勝手に事務所とか全部挨拶行っちゃって。「僕、やめます!」って。

木村:(笑)。そしたら?

渋谷:そしたら、その当時のマネージャーがそれに付いてきてくれたんだけど一番最後に「一番大事なこと忘れてるよ。メンバーと話したの?」って言われて。「は〜、話してない。」

木村:そこまで、そこの回路は繋がらなかった?

渋谷:全くないです。もう逃げたくて仕方なかったんで。だから、バンドがどうだろうがメンバーがどうだろうが、とにかく逃げたいし。こんな環境からいなくなりたいって思ってたから、その思考すらも抜けてて、マネージャーにそれを言われた時めっちゃショックで。うわ、学生の時、あんなに楽しくワクワクして組んだバンドのメンバーに何の筋も通さずに俺結構ヤバいなと思って。
で、マネージャーがその場を設けてくれて。でも、その時も皆憔悴しきってるんで。僕がいない間も3人はレコーディングをして大変な思いをしてく中で、もうボロボロの4人が集まって。「俺バンドやめるわ。」って言ったら、「ま、そうだろうね!」「無理じゃん!」「解散、解散!」みたいな感じになって解散する直前まで行ったんですけど、マネージャーが「ホントに4人の意思なの、それ?」って。「ホントに4人の意思で続けて、4人の意思でやめたいって思うんならいいけど4人でまだ何もしてないんじゃないの?」って言われて、「そっからでも遅くないよ!」って言ってもらって。
「でもさ、俺この時こうこうこうでこういう気持ちを持っててさ。」「え、そうなん。俺知らなかったよ!」みたいなのが、そこでボロボロ出てきて。「いや、これ4人でもう1回やろうぜ!」っていうのを2〜3時間の話し合いの末、ギリギリそういう状況になって。「やめるって言おうよ!俺らで、もうやめるって言おう、メジャーを!」って言って、「メジャーをやめたいです。」ってそこで(言った)。

木村:へー。収入的にもガラッと変わるじゃん。

渋谷:はい、変わりますね。

木村:で、バンドメンバー皆それぞれ各々アルバイトしたりとか、そういう感じ?

渋谷:そうですね。僕ら4人とも東京出身なので、メジャーに居た時って全員実家に居たんですよ。なので、生活のため生きるためにアルバイトってした事なかったんですよね。僕、メジャーをやめたタイミングで何か根本的に変えたいなと思って一人暮らしを始めて、アルバイトをしながら音楽を続けるっていう風にしたんですけど。お金もないし、時間もどんどん無くなるし、めっちゃ大変って思ってた気持ちが0.1%であとの99.9は “自分たちで音楽をこれからやれる” っていうワクワクが勝っちゃったんですよ。4人だけで音楽を作るという事に対する喜びをそこで初めて知って。「ヤバいね、俺たちがいいと思ったものが正解だよね。」っていう超当たり前のことにここで気づかされて。

木村:遠回りしたな〜。

渋谷:遠回りしましたね。23ですからね、その時。

木村:(笑)。すげー遠回りしたね。

渋谷:むちゃくちゃ遠回りして。で、その当時借金して車を買おう…。

木村:バンドのね。

木村:はい。バンドワゴンを手に入れて。今まで行ったライブハウスに「俺らだけでもう1回始めます!」ってちゃんと自分たちの足で挨拶に行こうって言って。
で、「こうこうこうだったんですけど、僕ら4人でやる事にしました。」って。そしたらライブハウスの店長さんとかが「いや〜、ホントにお前らの事嫌いだったよ。なんか全部言いなりになって、はい、そうですみたいな。で、ろくに挨拶もしないで帰っちゃうバンドだったじゃん。すごい嫌いだった!」って言われて。「もう1回自分たちだけでやり直そうと思ってるんで、どうにか可愛がってください。」って言って。「いいよ、分かった!」っていうライブハウスが1年かけていっぱい増えて、働いて稼いで、その金でツアーを周ってっていうのをやってたその時期が本当に楽しくて。素晴らしいな、こうやって人と繋がれたりとか音楽をやったりとか、聴いてもらうことに対して音楽ってこう意味もあるんだなって思った時に、僕初めて “音楽やりたい” って、この時思うんですよね。

木村:へー。じゃ〜もう完全に新しいBEAVERの歯に生え変わったんだね。

渋谷:そうですね(笑)。ボロボロになって抜けてた歯が…。

木村:ある意味、そこまでが乳歯だったのかもしれないね。

渋谷:そうですね、ホントに(笑)。

[BGM]
M.深呼吸/SUPER BEAVER

[OA曲]
M.名前を呼ぶよ/SUPER BEAVER

[後TM]
M. Yellow Summer/Kenichiro Nishihara 
レーベル:IntroDuCing! / 規格品番:FAMC-091

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