2022年04月17日Flow 第百九十四回目「拓哉キャプテン × 満島ひかり」Part2
4月のマンスリーゲストは、現在放送中のドラマ「未来への10カウント」で共演させていただいております、満島ひかりさん。
ここでしか聴けないトーク、お楽しみに!
木村:満島ひかりさん、ボーン(Born)から行きますからね!
1985年生まれ、沖縄県出身。
僕は「A-Studio+」(TBS系バラエティ番組)を拝見したんですけど、太陽と海と緑と、お父さんお母さんの愛と兄弟がいて、温かい友達がいて。その当時お付き合いしていた友達とは、いまだに笑顔で繋がってるって感じですね。
満島:そうですね。ベランダから海が見えて、目の前が公園みたいな場所で。お父さんもお母さんも体育の先生だったので、体育館で中学生のお兄ちゃんたちも遊んでくれて…っていう、すごく良い環境。
木村:番組を観てて、すごいなぁと思った。
満島:父親と母親は、“お父さんとお母さん”というよりは“面白い人たち”って感じ(笑)。
木村:(笑)。
満島:(親から)「ひかり、もう小学校に入ったから、みんなのご飯作れるよね」みたいな。でも、そんなに嫌じゃないというか。
木村:その時、(満島)真之介はどうしてるの?
満島:真之介とかは「お腹空いた〜」って(笑)。
木村:(笑)。
満島:最初は卵かけご飯とかしか作れないから“どうしよう”ってなって、それから納豆が増えて、オムライスになって、何とかなって…って(笑)。どんどん小学生の頃からご飯とかも作れるようになって。
私にはすごい空想癖があって、リアルが本当に少ししかない子供で、小学校3年生くらいまで両親のことを”あの人たちは私のことを育ててるし優しかったりもするけど、多分違う生き物だ!”と思ってた。
木村:なんか、そのまま小説になりそうですね。
満島:あと、運動ができない子供だったので。
木村:ウソでしょ!
満島:そうなんですよ。「よーい、“バン!”」ってなると、もう鉄砲が気になってずっと見てて、「走りなさい!」って言われてもずっと見てました(笑)。
木村:ウソ(笑)。
満島:みんなで歩行してても1人だけ外れてっちゃって協調性がないとか、“学校帰りにいつか隕石が降って来る!”と思ってて、隕石を避ける練習を毎日…(笑)。
木村:(笑)。1人で?
満島:1人で(笑)。まずいですよね。ランドセルの背中がもうボロボロで、お母さんに「あんた何してるの?」って言われて「いや何も…別に普通に生きてるだけ」とか言って(笑)。
木村:そこは”隕石が落ちて来た時に避ける練習”ってことは言わないの?
満島:言わなかったです。お父さんとお母さんが“そっち側の(宇宙人)人かも知れない”と思ってたので(笑)。あんまり言うと「あ、コイツ気付いてる!」と思われると悪いことが起きるかもしれないから(笑)。
木村:ああ、なるほど。“バレるかもしれない”と(笑)。これ、このまま小説にしようぜ!
満島:まずいですよね(笑)。
木村:いや、面白いって(笑)。
満島:人をちゃんと見るというよりは気配を感じて人と接してたので。学校に行く時も帰る時も本を読みながら歩いていたので、本にしか目がいってなくて。
木村:危ないじゃん!
満島:車の気配で車を避けるとか。
木村:気配なんだ。
満島:気配で! “青信号になった気配”がしたから進むとか…。
木村:気配なんだ。それ見てないんだ。
満島:ちょっと不安になった時だけ見て、「あっ、大丈夫、大丈夫」みたいな。
木村:その時は何を読んでたの?
満島:ちょっとサスペンスとか、江戸川乱歩とかエドガー・アラン・ポーとか。
木村:小学生でしょ?
満島:小学生です。ちょっと好きだったんです。自分が知らない大人っぽい言葉とかがすごく好きでしたね。あと、魔法陣を描く練習をずっとしたりとか。
木村:え?
満島:錬金術ができると思ってたので…。本当に空想癖で本読み過ぎの、ちょっと変わった子でしたね。
木村:おおいに変わってるよね。
でも、そんな子が、Folder(ダンス・ボーカルグループ)の方に進むわけじゃない? そこの線路がガチャンと変わった瞬間ってどうだったの?
満島:私にそういう(空想癖)の面があったので、母親が(勧めて)「お話童話大会」っていう、1人で1つの物語を全部覚えて、みんなの前で発表するというのを小学校2年生からやってたんです。
木村:それは“演じる”の?
満島:全部覚えて暗記して、朗読しながら演じる。お母さんにその大会に出させられていたので、わりと人前で何かをするのは得意になっていたというか。
でも、そんなことをしているからどんどん空想が高まって誰とも通じない感じになっていたところで、友達に「沖縄アクターズスクールのオーディションがあるから(一緒に)行こう!」って言われて、お母さんに話したら「(バスで)1時間かかるから、バスに乗る練習で行ってくれば?」って言われて行ったら、グランプリになっちゃったんですよね。
木村:バスに乗る練習のために(オーディションに)行ったらグランプリになっちゃった(笑)。
満島:そのオーディションで内田有紀さんの「Only You」とか歌ってました。
木村:へぇ〜。
満島:オーディションにテリー伊藤さんがいたんですね。テリーさんが「あの子が良い」って選んでくれたんです。
木村:それはいくつの時?
満島:小学校4年生だから、9歳とか10歳ぐらいですかね。
グランプリは1年間レッスン料が無料だったので、お母さんに「無料だったら通えば?」って言われて通ったら、本当にエネルギーがすごくて。「自分の恥ずかしいところを全部出せ!」「自分を全部ぶつけろ! 歌え! 踊れ!」みたいな世界で、“何、この解放できるやつ!?”って思ってメチャクチャ楽しかったんですよ。
それでやってたら、今も歌手をやってる三浦大知君が、彼は7歳位からあの状態で、歌とダンスが天才的っていう感じだったので、「彼をデビューさせたいから、でも1人だとちっちゃいし、あと何人か必要だよね」ということで、それで(メンバーが)集められた。
木村:で、その中に入ってたんだ。
満島:入ってたんです。
木村:それで何歳で東京に来ちゃったの?
満島:沖縄と東京を行ったり来たりしてたので、「ちょっとさすがにまずいだろう」って話になって、両親も考えて。
お父さんがその当時思ったのが、“自分はたくさんの環境をこの子に見せてきたし、(その中で)いっぱい遊んできたけど、彼女は僕のテリトリーにはないものを「やりたい」と選んできている。今この子を止めちゃうと、自分はこの子が大人になった時にその環境をあげることができない”と。「だから、止められないから、東京に行ってもいいよ」って言われて。
木村:すごいお父さんだね。
満島:「あんた東京と結婚したら?」って言われて、嫁に出すつもりで出されて(笑)。
木村:体育という科目は関係ないかもしれないけど、やっぱり学校の先生。たくさんの人と接してきたお父さんだから出せた答えなのかなぁ。すごいね。
満島:それはそうですよね。そう思います。
木村:「満島ひかりが大人になった時に、俺はその環境を用意できない」そのジャッジはすごいなぁ。
満島:すごいと思います。それが当時の新聞に載ってたんです。
木村:お父さんのインタビュー?
満島:沖縄の新聞に。私が小学校6年生の時にFolderでデビューしたんですけど、そのFolderの中から「モスラの映画(1997年『モスラ2 海底の大決戦』)に出る子を探してます」っていうことで、私が映画に出ることになって、その映画が取材された新聞のページに、お父さんのインタビューが載ってて。
木村:へぇ〜!
満島:すごいなぁと思いました、私も。この人面白いなぁと。
木村:面白いどころじゃないですよ。すごい人ですよ。
映画『モスラ2 海底の大決戦』が、1997年。
満島:モスラに出た時に怪獣映画だったのもあるかもしれないですけど、映画の現場で大人が全員遊んでいるように見えて。なんか楽しそうじゃないですか。カメラマンとか照明とか、機材を持ってて。「えっ、遊ぶ仕事ってあるの?」って思って、音楽をやってたんですけど、”私もあの遊ぶ仕事がいいな〜”って、ずっと思ってて。
スクリーンで映画を観た時も“ああ、何も喋ってないのに自分が言いたいことが全部映ってる! この仕事すごい!”と思って。
でも、でもずっと(映画の仕事が)できなくて音楽をやってたんですけど、映画に出ることになって。
木村:声優とかナレーションのお仕事もされてますよね。
満島:はい、やってます!
木村:それは自分にとってどんな感じですか?
満島:「声だけ」って制限されると、制限されるからこそ伸びることとか、世界が広くなることがあって面白いですね。もっと“宇宙になる”というか。
木村:僕も(声の仕事を)何度か経験したことがあるんですけど。なんかそこまで深く考えてないというか…。
満島:多分、この「声だけの世界」とかがマニアックに好きなんだと思います。それに、私、ハウル(映画『ハウルの動く城』)がラブなので。
木村:いやいや、そんなまっすぐ言わないでください(笑)。
満島:私の中で一番の好きな人、ハウルなので(笑)。
木村:マジですか。
満島:ハウル好きですね。
木村:そんなまっすぐ言われると、俺、この後のラジオ、目が合わせられない感じになっちゃうんですけど。
満島:ハウル、ヤバいですよ〜。相手役が倍賞(千恵子)さんなのも超ヤバいですね。ジブリの中でもすごく神秘的に感じます。あの作品が。
木村:マジですか。映画『ハウルの動く城』。
「宮崎(駿)監督がハウルの説明をしてくれます」って言われて、「お願いします!」って言ったら(宮崎監督が)「彼はね…星にぶつかっちゃったんだよ」「は、はい」「まぁ、そういう感じなのでよろしくお願いします」って言われて。「うわぁ、わかんねぇ…」って。
満島:最高ですね、最高。大好き、そういう演出!
木村:星にぶつかっちゃった男の子。全然わからないんですけど、「はい! わかりました!」っていう感じでした。
でも、音楽自体は『カルテット』(TBS系ドラマ)をやった時に、若干楽器に触ったりとか。
満島:そうですね。
木村:普段は(楽器を)やる?
満島:今まで楽器は全然触ってきてないです。キーボードとか、そういうのを軽くやったかな…くらい。
木村:むしろ、音楽は聴く方が多いですか?
満島:聴くのもあまりしてなかったんですよ。テレビもお家になかったし、無音とかもけっこう好きで。
木村:無音?
満島:音が無い状態。(無音で)過ごすことが。お仕事で忙しかったりすると、耳を休めるためにそうしてたんだと思うんですけど。
最近は音楽を聴いたりレコーディングしたりします。(最近)1年くらいは、なんか趣味みたいに、音楽を作ってます。
木村:マジ?
満島:自分でっていうか、“これをこうしたい”ってお願いして作ってもらって、レコーディングして、そのMAの作業やミックスとかに一緒に行って。今マネージャーさんをやってくれてる人が”耳のマニア”の人で、彼女がいるといつも音楽をやり始める流れになるので。
あと、いとうせいこうさんに誘われて、今年と去年、ブルーノートでライブに出させてもらったんですけど。
木村:ブルーノートに出たの?
満島:そう。ブルーノートで楽器のドラムだけに合わせて、いとうさんとその場で即興で言葉を読んでいく…みたいな。
木村:それをブルーノートでやったの?
満島:やりました。
木村:すっげぇ。
満島:そのマネージャーの彼女が来ると歌とかナレーションとか声優とか、声の仕事が増えるから、1回私の担当を外れて違う場所に行ってたんですけど、戻って来たら、音楽活動が…「モンド・グロッソ」(大沢伸一さんのソロプロジェクト)とかが始まったり。
木村:耳マニアなんだ。
満島:”音の妖精”みたいな人なんだと(笑)。彼女が近づいてくると”音の仕事”が始まって。
だから今、ミックスとか、自分で立ち会ったことのないこと、歌詞を書いてみたりとか、面白いなぁと思って。なんかちょっと音楽をやってみたくって、普段の日に色々遊んでます。
木村:普段の日にそこまで音楽をやってるのは、もう、ミュージシャンですよね(笑)。
満島:若干(笑)。
[OA曲]
IN THIS WORLD feat. 坂本龍一 [Vocal_満島ひかり]/MONDO GROSSO
(後TM:MOJO DRIVE/木村拓哉)