新春、というと、普段あまり意識されない方も、なんとなく日本古来のものや和風のものに、
接する機会が多くなりますよね。
特に今年はカレンダーの並びもよかったし、お休みの間、日本の伝統芸能に親しんだ、
なんて方もいらっしゃるのではないでしょうか?
能や狂言、歌舞伎などは、後世に残したい、大切な日本の文化ですよね。

そして、同じく日本の伝統芸能といえば、落語!
しかも、衣装や道具、音曲を極力使わず、身振りと語りのみで物語を進めていく、
独自の演芸である落語は、高度なワザを要する、これまた大切な日本の伝統芸能です。
今日は2008年の始まりにふさわしい、そんな芸能を披露してくださる方をお迎えしました。
落語家の、立川談春さんです!


(「今日は一門の集まりがあってねぇ・・・」と談春さん。きっとその席には、
立川家のあの方も、あの方も・・・!と、興奮してしまいました。豪華な席だったんでしょうねー♪)

談春さんと言えば、1984年に7代目立川談志師匠に入門、1997年に真打に昇進されました。
『立川談春 大独演会』では、チケットが発売直後にソールドアウトなど、異例の人気ぶり。
「今一番見るべき落語家」と、各界の評価が非常に高いことでも知られています。

そんな談春さんに、落語についてうかがうと、
「確かに、照明もいらないし音楽もいらないし、自分の身ぃひとつでやってく芸能ですから、
こりゃあエコかもしれないですねぇ。」と、お話口調がすでに落語!
舞台を見せていただいているようで、思わず聞きほれてしまいました。

そして、最近の落語人気について、どんな風に感じていらっしゃるのかもうかがいました。

「若い方はひょっとしたら、落語が“日本に脈々と受け継がれている伝統的な話芸である”、
ってことを知らずに楽しんでくれてるのかもしれないですね。
でも難しいのは、見に来てくれるお客さんは、“古きよき、普遍的な”落語を求めている方と、
“何でもいいからオモシロければいい”という方とが、交じり合っているってことなんです。
昔から落語のファンでいてくださっている方は、ちょっと新しいネタをやると、
“アイツはオモシロくなくなった”と感じてしまう。でも、むかーし昔のネタをやったりすると、
今の若い方には意味が通じなくて、笑ってもらえなかったりする。
その辺のアンバイが、とても難しいんですねぇ。」

あぁ、きっとそうでしょうねぇ。。。
最近、若い女性が大挙して落語を見に行く、なんてうわさも聞きますが、
そういう方に混じって、昔から落語のファンだった方もいらっしゃってるはずですもんね。
「お笑いを見に行く」感覚の若い方たちと、「伝統芸能を楽しむ」感覚の方たちとの間には、
笑いのツボに違いがあるのかもしれません。
ですから談春さんは、少しずつネタに新しいものを取り入れつつも、
昔からのスタイルをなるべく崩さないように努力されているのだそうです。

そう考えると、伝統を守るってとても大変なことですよね。
古いものを、ただそのまま守っているだけでは、人々に飽きられてしまうかもしれないけれど、
あまりにも変えてしまったら、伝統文化ではなくなってしまう。
こういった文化を守る方たちは、そのせめぎ合いの中でとても努力されていることを知りました。

年の初めにあたって、おせちを食べたり初詣に行ったりして、
「日本人であること」を実感されている方も多いはず。
でもその大事な文化を守るために、努力されている方がたくさんいらっしゃることも、
忘れずにいたいな、と感じた、ハチドリ高柳だったのでした。