東京・三田のサグラダファミリアとは? 岡啓輔さんが登場
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- 2026/03/01
『蟻鱒鳶ル』を手がける岡啓輔さんをお迎えして
今回はスタジオに、三田のサグラダファミリアともいわれている「蟻鱒鳶ル(ありますとんびる)」を設計建築された岡啓輔さんをお迎えしました。
岡さんは1965年福岡県生まれ。会社員、鳶職、鉄筋工、大工、住宅メーカーなどを経験され、20代の頃、師匠より建築を一時禁止され、踊りを学びます。2005年、手づくりの小さなビル「蟻鱒鳶ル」を着工。先日、21年の月日をかけてついに完成しました!小山「全然知らない方のために言うとですね、三田の坂をちょっと登り始めたところにある……敷地面積何坪くらいですか?」
岡「12坪です」
小山「そこに鉄筋で、4階建てくらいですか?」
岡「地下1階と地上の4階です」
小山「それをほぼ一人で?」
岡「そうですね、手伝いはたくさんの人がしてくれていて。たぶん、100人以上の人が手伝ってくれています」
小山「それがついに21年で完成したんですね」
宇賀「さまざまな職業を経験されていますよね。これはどういう経緯があったんですか?」岡「九州のとても小さな学校を出て、さて建築家になるにはどうしたらいいかと考えて。だいたい建築家って東大、早稲田は軽く出ているんですよ。さらにそのあと学歴を積んだりするくらい頭がいい人たちが多くて。その人たちと競争すると考えたら、勝負にならないと思って。体を使うことをやらなきゃいけないなと思い、職人をやることにしました」
小山「鳶職とか?」
岡「30歳を過ぎるまではずっと職人をやっていましたね」
小山「プロフィールにある〈20代の頃、師匠に建築を一時禁止され〉とは、どういうことなんですか?」
岡「その頃、オタクという言葉はなかったけど、まさに建築のオタクで。どこに行っても建築のスケッチをしていて、どんな住宅街でもビルでもスケッチしていたし、その頃、仕事が終わったら必ず夜は映画館で映画を観るようにしていたんですけど、映画館に行ってずっと暗闇の中で映画に出てくる建築のスケッチをしているんです。そのくらいバカで。師匠に『建築というのは建築だけやっていてたどり着けるようなものじゃない』と。『とにかくお前は1年間、建築を禁止する』と。さてどうしたものとかと思い、何のアイデアもなかったから『僕は暇です』と手をあげていたら、誰か誘ってくれるだろうと思っていて。舞踏家の和栗由紀夫さんという人がはニヤリと近づいてきて『岡くん、暇らしいじゃないかい。踊ろうよ』って言って誘ってきたので。僕、体育は1とか2しかもらったことがないような運動神経のない人間で、ダンスなんて程遠いんですけど。1年間だけだしな、といちばん苦手なものを一生懸命やった方がいいだろうと思ってやり始めましたね」小山「40歳の頃ですか、蟻鱒鳶ルを着工したのは? なぜ、そんなことをしてみようと思ったんですか」
岡「きっかけは結婚してすぐに妻が、『あなたは1級建築士だし、職人仕事もたくさんできるから小さい土地を買って家を作るといいんじゃないか』ということを言ってくれて。そうだな、と思い、始めました」
小山「最初から蟻鱒鳶ルという名前がついてたんですか?」岡「土地を買って大体の考え方がまとまった頃に、友人のマイアミというアーティストなんですけど、彼に『名前をつけてくれ』と頼んで決めました」
小山「これはどういう意味なんですか?」
岡「あるかな、ないかな、じゃなくて最初に『あります』と肯定する言葉をつける、と。彼が言うには、『俺は建築のことなんか何も知らないけど、ヒルトンとかシェラトンとか、“トン”のついてるホテルは大体イケてる』と」
小山&宇賀「(笑)」
岡「トンはつけとくと絶対ミラクルがある、と。蟻、鱒、トン、まで来て、鳶だ、と思ってルをつけて。コンクリートで作るんだから、小さいけどビルだなと思って、“ル”だけつけておこうと」小山「“ル”は特に?」
岡「全部動物というのも知的じゃないなと思って、知性代表、建築家代表、人間代表という気分で、ル・コルビュジェということにしました」
宇賀「最初にちゃんと設計図は書いたんですか?」
岡「書いてないです。即興でやるってことは何か決めていて、作りながら考えるってことをやりたいと思いましたね」
小山「でも、建築許可ってとらないといけないんじゃないですか?」
岡「とって、変更申請を出し続ければいいだろうと思ったし、よほど怒られたとしてもしょうがないかな、と。作り始める前にBBCが作ったガウディのドキュメンタリーを見ていて、やっぱりガウディも出してないんですよ、まともな図面なんて。やっぱりそれできない、作りながら一生懸命考えるんだと。最初に全部描きなさいって言われてもできない、と」
宇賀「見に行きたい、という方も多いんじゃないですか?」岡「そうですね。海外からも、とても来てくれて。ロンドンにAAスクールという建築のいちばんいいって言われる学校があるんですけど、AAスクールはもうここ10数年、毎年2回ぐらい来てくれますね」
宇賀「中も見られるんですか?」
岡「そういう時はできるだけ見せてあげるようにはしています」
小山「海外からいろんな方が見学にいらっしゃって、皆さんどんなリアクションされるんですか?」
岡「イギリスの方がとても多くて。ロンドン大学を卒業した、本当にこの人達イケてる建築家だなっていう50ぐらいの方たちが4、5人来られて。『私たちはもう近代建築、現代建築に魂のあるような建築があるとは思ってなかった。魂のある建築というものが今私たちの目の前にあって、私たちは驚いてる』とおっしゃってくれて。それはその日ね、夜に泣きましたね」小山「魂のある建築って何なんですかね」
岡「僕も魂なんて言葉使えないですよ。やっぱ怖くて、難しくて。でも、そうありたいとは思いますけどね」
小山「入った人が感じるわけですよね。きっとそれは計算とかでは成し得ない造形であったりとか、そういうことなんですかね」宇賀「頭で考えてるんじゃなくて、心で感じて作ってるみたいなことなんですかね。見に行ってみたいですね」
小山「今度ワインとかを持って、新築祝いに行っていいですか?(笑)」
岡「ありがとうございます」
宇賀「この番組は『手紙』をテーマにお送りしていますが、今日は『今、想いを伝えたい方』に宛てたお手紙を書いてきていただきました。どなたに宛てたお手紙ですか?」岡「ずっと通っていた高山建築学校というのがあって。それを作られた倉田康男という、もうお亡くなりになっているのですが、その先生への手紙を書いたのですが……泣くかも、と思って。どうしようと思っています」
岡さんから倉田康男さんに宛てたお手紙の朗読は、ぜひradikoでお聞きください。 (*3月8日まで聴取可能)
宇賀「今日の放送を聞いて、岡さんにお手紙を書きたい、と思ってくださった方は、ぜひ番組にお寄せください。責任をもってご本人にお渡しします。【〒102-8080 TOKYO FM SUNDAY’S POST 岡啓輔さん宛】にお願いします。応募期間は1ヶ月とさせていただきます」
岡啓輔さん、ありがとうございました!
今回の放送は、radiko タイムフリーでもお楽しみいただけます。
「SUNDAY’S POST」Xのアカウントはこちらから。
皆さんからのお手紙、お待ちしています
毎週、お手紙をご紹介した方の中から抽選で1名様に、大分県豊後高田市の「ワンチャー」が制作してくださったSUNDAY’S POSTオリジナル万年筆「文風」をプレゼントします。引き続き、皆さんからのお手紙、お待ちしています。日常のささやかな出来事、薫堂さんと宇賀さんに伝えたいこと、大切にしたい人や場所のことなど、何でもOKです。宛先は、【郵便番号102-8080 TOKYO FM SUNDAY’S POST】までお願いします。
今週の後クレ
第一生命館内郵便局のみなさん
今回のメッセージは、東京都〈第一生命館内郵便局〉内田 直也さんでした!
「年末にATMでお困りのお客さまがいらっしゃいました。すぐに解決を試みましたが、すぐの解決は難しく、お客さまは大変不安なご様子でした。年末年始を不安な気持ちで過ごされることと思い、少しでも和らげたいという思いから、毎週お客さまには進捗状況をご報告しました。結果的に1月中旬には無事に解決し、お客様から数ヶ月後、一通のお手紙が届きました。『直接会ってお礼を言いたかったけれど、退職をして、もうこちらには来ることができません。その節は、大変お世話になりました。』という内容が書かれていました。私は手紙ってやっぱりいいな、と改めて実感しました。やはりこう文字をこう目にして、その書かれている心情や温かみ、気持ちですよね。そこがやはりしっかり伝わってきました。」
※出演した郵便局、及び郵便局員宛ての手紙はいただいてもお返事できない場合がございます。あらかじめご了承ください。
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この番組ではみなさんからの手紙を募集しています。
全国の皆さんからのお便りや番組で取り上げてほしい場所
を教えてください。
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