VOL.266「着られなくなった着物から作るネクタイ」
日本文化の象徴、「着物」。
現代において、普段着使いされることはほぼなくなりましたが、
デザイン性に富んでいる着物の「和柄」が再評価を受けています。
そんな着物の生地をアップサイクルして、
1点モノのネクタイを作っているのが、
「クラヴァッタ・バイ・レナクナッタ」というブランドです。
「このネクタイは、すべて職人さんに、
着物をほどくところからやってもらっているんですね。
ミシンや機械は一切使わず、全て手縫いで仕立てていきます。」
と語るのは、「クラヴァッタ・バイ・レナクナッタ」、
代表の大河内愛加(おおこうち・あいか)さん。
ネクタイ発祥のイタリアの伝統的な縫製方法を採用し、
職人さんが、すべての工程を手作業で仕立てることで、
手縫いでしか感じられない風合いのネクタイを作っています。
以前は、着物のスカートを販売するブランドをしていたという大河内さん。
ですが、着物を“ほどく”という工程は踏まず、
着物の反物そのものでスカートを作っていました。
そのうち、着物をほどいて、何か作れないかと思うようになり、
ネクタイ職人さんと出会ったことがきっかけで、挑戦するようになったといいます。
着物をほどくと、端切れをつなぎ合わせたような長方形の反物になるので、
何本ものネクタイが取れそうですが、
斜めに型を取るため、着物1着から取れるネクタイは、たったの1本のみ。
たとえばストライプ柄の場合、
ネクタイになると、斜めのストライプになります。
「ネクタイになったらいいだろうな、という柄をセレクトして、
実際になると、想像以上に素敵になることが多いです。
着物から作られた1点もの、という特別なネクタイになっているので、
普段、ネクタイをしない方にも、
とっておきの1本として持っていただけたら嬉しいなと思います。」
和柄のデザインや生地が素晴らしいものであるという感動を、
ネクタイを通して伝えたいという大河内さん。
これまで、着物のリメイクに関心がなかった人でも、
思わずつけたくなるようなネクタイ。
日本の伝統が現代に活かされることで、
新しい文化が広がるといいですね。