VOL.276「廃棄されるはずだった再生紙から生まれるピクニックラグ」
廃棄されるはずだった紙で作られる、
「ピクニックラグ」が今回の話題です。
手がけているのは、大阪に本社を構える「山陽製紙」。
ここでは、毎日運び込まれる約15トンもの古紙を原料に、
「crepe paper」と呼ばれる、工業用クレープ紙を製造しています。
「crepe paper」は、セメント袋の口縫い用テープや、
電線類を包装するために使われている素材。
独特のシワによって、強度と伸縮性が生まれ、
耐水性も兼ね備えた高機能の再生紙です。
ですが、生産過程で大量の端材が出てしまううえに、
ラミネート加工をしているため、再利用方法も限られてしまう、
という問題を抱えていました。
これをゴミにするのではなく、なんとか有効活用できないか。
社内からアイデアを募集して生まれたのが、「crep」という商品。
試行錯誤のうえにできた第1弾商品が、「ピクニックラグ」です。
「山陽製紙」、武田知子(たけだ・ともこ)さんのお話です。
「加工は特にしていなくて、電線などを巻いているものと同じ素材なんです。
クラフト色なので、アースカラーで土に馴染むんですね。
自然にも馴染んで、リラックスして、
そのままレジャーシートとして使っていただけると思っています。」
「crep」の商品に使用されている工業用クレープ紙は、
水をはじいて軽く、クレープ加工による独特の風合いとやわらかな使い心地、
さらに、さらさらとした手触りが特徴です。
「ピクニックは、ライトアウトドアと呼ばれていますが、
キャンプみたいな準備が必要ないですよね。
手をついたり、足を置いたり、
そういうふうに、自然と気軽に触れ合える機会を作りたいと思っています。」
使い捨てだった包装資材から誕生したピクニックラグは、
現在、6万枚を超える大ヒットアイテム。
自然の中で繰り返し使える商品に生まれ変わったことで、
端材の再利用の量も超えているんだそうですよ。