VOL.280「ニットで編み上げた布ぞうり」
東京都墨田区・両国。
国技館があることから、大相撲の聖地として有名ですが、
じつは、メリヤス(編み物)の産地としても知られています。
江戸時代、繁華街としてにぎわっていた両国界隈で、手編みが内職として広まり、
明治に入って、メリヤス産業が定着。
メイド・イン・ジャパンのニット製品が、
この町でたくさん生まれてきました。
地域が誇る、ものづくりの文化を未来へ伝えたい。
そんな想いで、メリヤスの新たな可能性を切り開いているのが、
地元にある老舗のメリヤス工場、三代目の小高 集(こだか・つどい)さん。
直接、お客さんに商品を販売できるような仕組みを作りたい、と
「オレンジトーキョー株式会社」を設立、
ニットで編んだ“布ぞうり”のブランド、「MERI」を発信しています。
夏は涼しく、冬は暖かい、ニットで編み上げた布ぞうり。
「一番は、これを履いていただいて、
雑念なく、すごく楽だな、とか、足指が解放されるな、とか、
素直な気持ちで履いていただきたいんですね。」
そう語る、小高さん。
2014年には、墨田区に工房兼ショップ、「MERIKOTI(メリコティ)」をオープン。
商品をただ販売するだけでなく、店内にメリヤスの編み機を置いて、
地域に昔からメリヤス産業があったことを可視化しています。
「完全ハンドメイドなんですよね。
職人さんが手編みする技術がなければ、
ふっくら、しっくり、という相反する風合いは出ないんです。
一足一足、できるまでに、たくさんの手がかかっています。
履いていただいて、
素直にそういう感じを受け取っていただけたら嬉しいです。」
その履き心地の気持ち良さを通して、
メリヤス産地の誇り、そして、職人の技術力を後世に伝えたい。
小高さんの挑戦はこれからも続きます。