あなたのキレイと元気を磨く!「植物の力」で美しいライフスタイルを!

5000年以上の歴史を持ち、クレオパトラも愛した植物との暮らし。植物と向き合い、植物の声を聞くライフスタイルや、ボタニカル・フードのとっておきレシピ。植物の世界からあなたに届く「美しい贈り物」です。

―この番組は、2021年3月で終了しました。―

2016.06.10

Botanical Books3
なぜ、アサガオは朝に咲くの? 植物の「はつみみ」がつまった1冊

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なぜ、アサガオは朝に咲くのか? その秘密は「夜」にあります。夜の暗い状態になると、アサガオが刺激を受け、それからおおよそ10時間後に花が咲くようになっています。例えば、夕方7時に陽が落ちると必ず翌日の朝5時ぐらいに花が咲く。そういう生体時計を持っているのです。

プラントハンターの西畠清順さんの待望の新刊『はつみみ植物園』のなかには、このように知っていそうで知らない“植物のはつみみ”がたっぷりと詰め込まれています。



「植物」に関しての名著や新刊書、写真集などを毎回お届けする「ボタニカル・ブックス」、今月はこの『はつみみ植物園』をご紹介いたします。

『はつみみ植物園』(著:西畠清順、画:はつみみ工房/東京書籍)


“なるほど! これは初耳だ!”となるのが『はつみみ植物園』の狙い
「植物はいつ、どこからきたの?」「なぜ、母の日にカーネーションを贈るの?」「なぜ、植物は紅葉するの?」「なぜ、サボテンのトゲはあるの?」そして、「なぜ、アサガオは朝に咲くの?」などなど。

『はつみみ植物園』では、知っていそうで、知らなかった。けど、今さら誰にも聞けないような、身近で素朴な植物への疑問を、西畠さんがユーモアたっぷりの言葉で解説しています。「大人が子どもに聞かれて答えられなかったら恥ずかしい。だけど、読んだら、“なるほど! これは、初耳だ!”ってなる!(笑)」。そんな内容が素敵なイラストとともにいくつも紹介されています。

ちなみに、なぜ、サボテンのトゲはあるのか? この本当の理由を知っている人は意外と少ないのではないでしょうか。この本によると、サボテンのトゲは葉が進化したもの。その役割のひとつは、日陰をつくるため。サボテンが暮らす砂漠は地獄のような熱さのため、体中の無数のトゲで日陰をつくり、体温を下げているのです。ちなみに、サボテンにトゲがあるのとないのとでは、品種によって10度近く表面の温度が違ってくるそうです。そして、もうひとつは、トゲをまとうことで、鳥や動物に食べられないようにするため。いかにも痛そうなサボテンのトゲですが、葉を進化させて必死に熱さや環境に対応していることを知ると、ますますあの姿が愛らしくなってきます。


西畠清順流の観葉植物の上手な育て方もアドバイス!?
さて、西畠さんは、プラントハンターという仕事柄「どうやったら、植物をうまく育てられるか?」「家で植物を育てたいが、どんな植物が良いか?」とよく聞かれるそうです。そんなときは、まず、自分が好きだと思える花屋さんや観葉植物屋さんを探して、そこで働く植物に詳しい店員さんを見つけてください、とアドバイスするのだそうです。観葉植物といっても、そもそもは野生で暮らしている植物。さまざまな環境で、それに見合うように生きているので、種類も育て方も色々。人の感性ではなく、植物の目線で考え、つき合うことが大事。観葉植物の育て方も習い事と同じで、独学で練習するよりも、定期的に通って気軽に相談できるような “先生” を見つけるのが大切だというわけです。


西畠清順流の植物との理想の付き合い方とは?
「大事なのは、まず植物を好きになること。好きになって初めて自然を知りたいと思うし、あの花や木に近づいてみたい、自分も何かそこでしてみたいと人は思う」。本の後半で紹介されている「はつみみボイス」は、まさに西畠さんがすべての人に聞いて欲しい自身の心の声。植物の壮大さや、奥深さ、魅力を最初から全部理解しようと肩肘を張るのではなく、もし、家の周りに緑がたくさんある公園があれば、そこに足を運んでみる。気に入ったら、頻繁に通ってみる。さらに好きになったら、今度は自分の家で育ててみようという風に、人から自然に歩みよっていくことが大事。植物と上手に付き合いたいけれど、どのように取り入れたらいいかわからない。そういう人にはぴったりの西畠流のメッセージです。

「植物が好きっていう気持ちは、年齢も、国境も、宗教ですら越えて、わかりあえるもの。」『はつみみ植物園』はつみみボイスより

この本を一言で表すなら、近いようで遠かった私たちと植物の距離をぎゅっと縮めてくれる1冊。お気に入りの公園を見つけて、ぜひベンチで緑に囲まれながら読んでみてください。

TOKYO FM「クロノス」では、毎週金曜日、8時38分から、毎週週替わりのテーマでボタニカルな暮らしをご紹介するノエビア「BOTANICAL LIFE」をオンエアしています。

また、TOKYO FMで毎週土曜日、9時から放送しているノエビア「Color of Life」。6月11日からは国立西洋美術館の館長、馬渕明子さんをお迎えしてお話をうかがいます。どうぞ、お聞き逃しなく。


西畠清順(にしはた・せいじゅん)
1980年生まれ。幕末より150年続く花と植木の卸問屋、花宇の五代目。日本全国・世界数十カ国を旅し、収集している植物は数千種類。日々集める植物素材で、国内はもとより海外からの依頼も含め年間2000件もの案件に応えている。
2012年、人の心に植物を植える活動"そら植物園" をスタートさせ、植物を用いたいろいろなプロジェクトを多数の企業・団体などと各地で展開、反響を呼んでいる。

2016.05.13

Botanical Books2
ピンクのたんぽぽに、赤いヒマワリ!?
好奇心を刺激する不思議な植物達!

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肌に触れる風が心地良く、身も心も少し身軽になってきたような5月。あたたかな日差しを受けて、花々や新緑の鮮やかさもより一層輝きを増したようです。たんぽぽ、ヒマワリなど、私たちの日常にすっかり溶け込んでいる季節の花々。でも、私たちが見慣れた色・形は、実はその種のたった一部。たんぽぽに黄色以外があるなんて、考えたこともない人がほとんどなのではないでしょうか。



「ボタニカル・ブックス」では毎月1冊「植物」に関しての名著や新刊書、写真集などをご紹介しています。今回この「ライブラリー」に収められた本は、私達の好奇心を刺激してくれるちょっと珍しい植物たちの物語が紹介された、大人のための植物図鑑。植物たちがより一層愛らしく思えてくる一冊です。

『ひみつの植物』(著 藤田雅矢/WAVE出版)


たんぽぽの英名「ダンデライオン」に隠された秘密とは!?
今の時期、黄色い花をつけるたんぽぽ。摘んで愛でたり、綿毛を吹いて遊んだりと、私たちが子どものころから馴染み深い植物です。この本によると、このたんぽぽの英名「ダンデライオン」にもちょっとした秘密があるそうです。実は「ダンデ」というのは、パスタのゆで方のアルデンテの「デンテ」と同じ「歯」という意味。つまり「ライオンの歯」という意味で、ギザギザの葉っぱの形状から名前が付けられたものだそうです。

また、私たちはたんぽぽ=黄色い花という常識を持っていますが、実はピンク色の花を咲かせるたんぽぽも存在しています。植物名は「クレピス」と言い、南イタリアからバルカン半島にかけて自生し、草丈が高く、枝分かれして花をつけたりと、見た目もちょっと洋風でスマート。幻想的とも言えるピンク色のたんぽぽですが、この「クレピス」種の中には、白い花を咲かすものもあります。

ちなみに、最初にご紹介したピンクのたんぽぽ「クレピス」。1袋200円台から手軽に手に入るそうです。また、育て方も非常に簡単で、ほぼ失敗もないとのこと。ガーデニングにひとクセ加えて黄・桃・白のたんぽぽを育てるのも、毎日に楽しみが増えるかもしれません。育ててみたい、触ってみたい、人に贈りたい、料理に使って食べてみたい……そんな興味に応えるように、お取り寄せ方法や、育て方のコツ、育てる難易度レベルなどまでもが書いてあるのがこの本のうれしいところ。それだけでなく、植物SF文学の紹介、植物情報交換のためのサイトURLが記されていたりと、植物への愛情がこれでもかと詰め込まれています。


大人のための進化系植物図鑑!
たんぽぽに限らず夏に鮮やかな黄色を見せるヒマワリにも、赤、オレンジ、ライムグリーン色の花を咲かせる品種があります。また、カリフラワーといえば白が一般的ですが、世界には他にも様々な色のカリフラワーがあります。「オレンジブーケ」と呼ばれるオレンジ色の品種、「バイオレットクイン」と呼ばれる鮮やかな紫色の品種など。紫色の「バイオレットクイン」は、茹でると今度は緑色に変わって、まるでブロッコリーのようになるというのです。

ただの図鑑でもなく、写真集でもなく、文学性や実用性も加わった、まさに大人のための進化系植物図鑑。知識を深めることで植物への愛情が深まるだけでなく、好奇心が心と体を刺激し、毎日をよりイキイキとしたものに変えてくれます。お散歩やティータイムでゆっくり過ごす、5月のうららかな一日にぴったりな一冊です。

TOKYO FM「クロノス」では、毎週金曜日、8時38分から、毎週週替わりのテーマでボタニカルな暮らしをご紹介するノエビア「BOTANICAL LIFE」をオンエアしています。

また、TOKYO FMで毎週土曜日、9時から放送しているノエビア「Color of Life」。5月14日からはシンガーの高橋真梨子さんをお迎えしてお話をうかがいます。どうぞ、お聞き逃しなく。


『ひみつの植物』(WAVE出版)
著 藤田雅矢(ふじた・まさや)
京都大学農学部卒、農学博士。某研究所に勤務し、植物の品種改良に従事するかたわら、執筆活動を行う。第7回日本ファンタジーノベル大賞優秀賞を受賞。日本SF作家クラブ会員。

2016.04.08

Botanical Books1
満開の桜に隠された植物の「知性」の秘密!?

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春の訪れを告げるように、関東の桜が満開を迎えました。街中の木々が、足並みを揃えて一斉にピンク色に染まる姿を見ると、心が洗われます。

桜が同じ時期に開花したり、同じ畑で同じ作物が同じように成長するのは、よく考えてみると、とっても不思議な事。まるで、植物には〈知性〉があり、自分の生き方を知っているかのようです。

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「ボタニカル・ブックス」では毎月1冊「植物」に関しての名著や新刊書、写真集などをご紹介。今回この「ライブラリー」に収められた記念すべき最初の本は、私達の身近にある植物が、より魅力的に見えてくる一冊です。

『植物は〈知性〉をもっているー20の感覚で思考する生命システム』(著:ステファノ・マンクーゾ、アレッサンドラ・ヴィオラ、訳:久保耕司/NHK出版)


植物が持つ〈知性〉
私たち人間よりももっともっと太古の昔に、地球に生まれた植物は、地球の歴史を見ても「人類」の大先輩、そして、この地球のすべての生物の命を支えている「縁の下の力持ち」です。

私たちは緑の観葉植物を愛でて癒されたり、野菜を食べて、健康的な体を保つ事が当然の事実と思っていますが、そのパワーの秘密が、植物の持つ〈知性〉にあったとしたらどうでしょう。

植物は、環境に適応して、種を未来に繋げるため人生を歩む、という行為を実践して生きながらえてきました。世界中を渡り歩くことができる人間と対照的に、植物は、大地に根を張り一生をそこで終えます。住みやすい場所に自由に転居できる人間と違って、たとえそこが雨の少ない乾燥地帯や外敵の多い場所であっても、どうにかして暮らしていかなければならない植物たち。そのために植物にはコミュニケーションや社会性という〈知性〉が備わったのです。

音楽を聴いて育ったブドウ
植物の持っている感覚も、実は人間よりもずっと鋭く、私たちの持つ五感以外に、少なくとも「15」の感覚を備えていると言われています。たとえば、植物は、音を「聴く」のではなく、「振動」としてとらえています。そのうえ、人間のように耳だけでとらえるのではなく、根、茎、葉など体全体で感じ取ることができるため、地中、地上、水中など、様々な場所の音を同時に聴き取ることができているのです。

フィレンツェ大学国際植物ニューロバイオロジー研究所(LINV)では、ブドウ農家の協力を得て、5年以上にもわたり、ブドウに音楽を聴かせ続けるという実験を行いました。すると、驚くべき結果が得られました。音楽を聴きながら育ったブドウは、まったく聴かずに育ったブドウに比べて、成熟が早く、味、色、ポリフェノール含有量といった点で優れていたという結果が得られたのだそうです。心地良い音楽を全身で感じ、それを自らの成長へと結びつけたブドウたち。美味しいスイーツやワインができる過程には、まさにブドウの〈知性〉が重要な役割を果たしていることがわかりました。

〈知性〉を持ち、かしこく優れた生き方をする植物たちが、私たちの健康や美容、生活のあらゆる場面で、思いもよらない素敵な効果を与えてくれている!そう、わくわくさせてくれる一冊です。

TOKYO FM「クロノス」では、毎週金曜日、8時38分から、毎週週替わりのテーマでボタニカルな暮らしをご紹介するノエビア「BOTANICAL LIFE」をオンエアしています。

また、TOKYO FMで毎週土曜日、9時から放送しているノエビア「Color of Life」。4月は新パーソナリティーの唐橋ユミさんがアーティスト/アートディレクターの清川あさみさんをお迎えしてお届けしています。どうぞ、お聞き逃しなく。

植物は私たちの一番身近にいる、同じ地球に生きるエイリアン!
「植物は<知性>をもっているー20の感覚で思考する生命システム」(著:ステファノ・マンクーゾ、アレッサンドラ・ヴィオラ、訳:久保耕司/NHK出版)

マンクーゾ,ステファノ(Mancuso,Stefano)氏はイタリア・フィレンツェ大学農学部教授。共著のヴィオラ,アレッサンド(Viola,Alessandra)氏はフリーランスの科学ジャーナリスト。
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