Yuming Chord

2024/12/20 O.A【Onair List】

M1

 M1.
 Luciférine
 青葉 市子


M2

 M2.
 Painting the sea
 松任谷 由実


2024/12/20 O.A【Onair Digest】

○ONAIR DIGEST
先週は、青葉さんの過去の音楽の旅路について伺ったので、今週は未来の旅へ・・・。今日のコードは「音楽の旅は続く〜青葉市子さんを迎えて」です。

■今週のChordは“音楽の旅は続く〜青葉市子さんを迎えて”

ユーミン:2024年も残りわずかとなってきて、1年を振り返るモードになりつつありますが、今日のゲスト、まずは、自己紹介をお願いします。

青葉:音楽家の青葉市子です。

ユーミン:先週に引き続き、今日も青葉さんの魅力にぐぐっ!と迫っていきたいと思っていますが・・・私がね、青葉さんにキャッチコピーを考えてきました。

青葉:ええ!

ユーミン:何かの資料で「旅する音楽家」というのがあったらしいので、先週はそういう風に呼ばせていただいていたけど、私は「摂氏18℃の湖と空」。“湖”という感じがするんですよね。

青葉:わあ、うれしいです。

ユーミン:静かな・・・海や川よりも時々波立つけれど、透明で静かじゃないですか。18℃といったら湖としてはそう冷たくはない。で、こんな温暖化になる前は、一番良い温度って18℃と言われていたんですよね。水も風もその位のトーンで存在している感じ。

青葉:これはクリスマスプレゼントですか。ちょっと早いけどうれしいです。

ユーミン:もっとちゃんとラッピングすれば良かった。

青葉:いやいや、もうすごく包まれて。「摂氏18℃の湖と空」。

ユーミン:今日のコードは「音楽の旅は続く〜青葉市子さんを迎えて」。
私がずっと会いたいなと思っていた音楽家、青葉市子さん!
青葉さんの音楽と出会ったきっかけはストリーミング再生で、ツアーも含めて、旅先で聴くことが多かったので、こんなコードにしてみました。
先週は、青葉さんの過去の音楽の旅路について伺ったので、今週は未来の旅へ・・・。
と、いうことで早速、来年リリースするアルバム『Luminescent Creatures』について、制作にまつわるお話を伺っていきますが、タイトルが意味しているのは?

青葉:“発光生物たち”なんですけれど、何というか、私たちのなかにきっと最初の生物の先祖たちがたくさん宿っていて、その生物たちが、私たちが泣いたり笑ったりお腹いっぱい食べたり何かするたびにピカピカピカッと光っているんじゃないか、ということも入れたくて、このタイトルにしました。

ユーミン:雰囲気がピッタリですね。
制作過程で印象深いシーンとか特定の楽曲とかはありますか?

青葉:今回のアルバムの制作がすごく長かったんです。作曲・編曲の梅林太郎さんという方と一緒に作っていたんですけど、もう、なかなか生まれないという状態が続いて。けれど、最後の追い込みで、ゴゴゴゴッとできていったので、曲作りとレコーディングとミックスが同時進行だったんですよ。
(ブースに)籠ってやりながら、「じゃあ違うから書き直す」みたいなことをやっていたので。

ユーミン:ある種、理想的なスタイルですね。

青葉:そうです。エンジニア泣かせなんですけど(笑)。

ユーミン:たしかに。

青葉:作り手としては最大限わがままをやらせていただいた制作でしたね。

ユーミン:ストリーミング時代のアルバムということを意識しますか?

青葉:もちろん、昔とは聴き方が大きく変わっているとは思うんですけれど、でも、どの時代が良かったとは思っていなくて。
今の時代の方々は今の一番自分の震えるところで音楽を探し、出会い、聴いていくでしょうから、自分にとっても、先輩方に「若いわね、昔はこうだったんだよ」と言われても、実際に(その時代に)いなかったので、あんまりピンとこないこともあるんですよ。でも、今感じていることは噛みしめて咀嚼して味がわかるので。

ユーミン:私、先週から「昔はこうだったのよ」って言いましたっけ?

青葉:言っていないです。

ユーミン:一応先輩なんだけれど、話しているとその年齢になっちゃうというのか、そのテンションになってしまう不思議な吸引力があるんですよ。だから、同い年くらいで違うスタイルのレコーディングをしていて、という気分で、先週も今週もいます。

青葉:うれしいです。私も、あんまり年齢の差みたいなものを感じない気がします。

ユーミン:やった!
では、そのアルバムから青葉さんが私に紹介したい曲というのをぜひ聴いてみたいんですけれど。

青葉:どうしようかな・・・お話の流れで、と思って2曲準備していたんですけれど、キラキラした方とギター1本で深く弾き語りしている方とあるんですよ。
キラキラはボーカリストとして結構頑張ったもので、どっちがお好きですか?

ユーミン:そうね。キラキラは聴いてみたいな。

青葉:じゃあ、作編曲家の梅林太郎さんと一緒に作った「Luciférine」という曲を。

Luciférine / 青葉 市子

ユーミン:来年、2月28日リリースのアルバム『Luminescent Creatures』から、「Luciférine」をお送りしました。「Luciférine」って、どういう意味ですか?

青葉:「Luciférine」は、夜光虫とか光を発生させる生物の光の根源、物質の名前なんですよね。

ユーミン:聴いていて、自分のなかでなにか発光しているような感覚がしました。

青葉:うれしいです。

ユーミン:サブスクを通じて世界中の人に聴かれている青葉さんの音楽。
現在、Spotifyの登録者数が150万人以上で、アメリカ最大の音楽レビューサイト、「Rate Your Music」ではフォーク・シンガーとして最高評価を得ています。
そんな青葉さんは、来年、京都劇場、東京オペラシティコンサートホールを経て、海外ツアーへ。
香港、ソウル、台北といったアジア地域から、ヨーロッパ、そしてハワイからカナダ、アメリカ各地、メキシコへ・・・。まさに、ワールドツアーが始まるわけですけれど、どんな旅になりそうですか?

青葉:この旅はホールがメインなんですけど、ハワイは初めて行きますし、初めて、“ツアーバス”というんですか、ベッドが付いていて、クルー全員が移動する、ということをやるので、とても楽しみです。

ユーミン:素敵ですね。映画みたいだ。
プライベートな時間、どこで何をしたいなんて計画は、まだないですか?

青葉:隙あらば、各地の海とか、あとアンティークショップに行きたいと思っています。

ユーミン:私もアンティークが大好きで。

青葉:いいですよね。私は切手とか集めるのが好きで、知り合いの島によく行くんですけど、島の子供たちに「この切手好きかな?」ってお土産探しをしちゃうんですよね。

ユーミン:きっと世界中に素敵な切手がありそうですね。

青葉:あるんです。例えば、埋め立てられてもうなくなっちゃった海の風景だったりとか、生き物とか、そういう歴史も垣間見えるので、想像を巡らせて眺めたり。
あと、スタンプが押してあるものだと、この人はこの日に誰かに向けて手紙を書いたんだ、これを貼ったということは海のことを考えていたのかな、とか、インスピレーションの小さな切符みたいな感じがするんですよね。

ユーミン:感心することしきりです。

青葉:(笑)。

ユーミン:今、切手の話を伺っていて、青葉さんは音楽をしているときも、その音楽で実際に旅をしているときも、インドアで切手を見ているときも、この人はずっと旅なんだな、と思いました。

青葉:そうかもしれないですね。

ユーミン:シームレスです。話していてね。素晴らしい。
これから音楽家として挑戦してみたいことはありますか?

青葉:オーケストレーションを作れるようになりたいですね。弾き語りのなかに、実は実際に音になっていない気配のようなものが充満しているので、それを各楽器に置き換えてみたらどんな世界になるんだろうって。
それを自分の頭のなかだけではなくて、音楽を愛してくださっている皆さんと共有して感じてみたいという夢があります。

ユーミン:それは、生楽器ということですか。

青葉:プログラミングが乗っていても素敵だと思いますけど、会場というか、スタジオじゃなくて古い教会とかどこでもいいんですけど、場所が面白いところにマイクを立てて、そこでみんなで「せーの」で演奏したらどうなるかな、とか。多分、フィールドレコーディングの趣味が重なっていると思うんですけれど。そういう実験的なことをたくさんやりたいなと思っています。

ユーミン:音楽の旅、ずっと続けていきましょうね、お互いね。

青葉:はい!

ユーミン:では、最後に、青葉さんに聴いてもらいたい、私の曲を選んで、お送りしたいと思います。
先週、青葉さんに私の1974年のセカンドアルバムから「海を見ていた午後」を選んでもらったんですが、もっと近年の・・・と言っても、私にとっては中昔前って、いつも言うんですが。20年くらい前になっちゃうんですけど、「海を見ていた午後」よりはずっと今に近い海の歌です。「Painting the sea」。

Painting the sea / 松任谷 由実

青葉:ユーミンさんの楽曲って、他の曲ももちろんそうなんですけど、聴いているそれぞれの人々の体験というか記憶と深く結びつくようなところがあるなと感じていまして。この楽曲、私が今まで、この34年生きていたなかで一番大切な人との思い出が、バラバラバラって、本のページが捲れるような感じで・・・しかも、海辺でたくさん一緒にいた方だったので、そういうことも思い出したりして。

ユーミン:わあ、うれしい。

青葉:じわっとしましたね。

ユーミン:多分、この歌を作るときに、今までやっていない世界ってどんなだろうと思ったら・・・自分にないものは作れないんだけれど、そういえば私、絵を描いていたな、と思って。海を描いている人になろうと思って作った歌です。

青葉:感激しました。

ユーミン:ありがとう。今日は本当にじっくりお話ができてとてもうれしかったです。

青葉:こちらこそ、本当に光栄です。

ユーミン:自分の耳を信じるって、改めて思いました。これからもずっと青葉さんの音楽をプライベートで聴かせていただきます。
ゲストは、音楽家の青葉市子さんでした。どうもありがとうございました。

青葉:ありがとうございました。

今年最後のゲストは、私がプライベートの時間や旅先で愛聴してきた、青葉市子さんでした。

2週にわたってじっくりお話してみてわかったんですが、青葉さんはどこを切っても音楽。どこを切っても青葉市子。素晴らしいです。シームレス。そういうなかから彼女の音楽が生まれてきているんだなと。嘘がないというか、全てが彼女でできている・・・とても刺激になりました。

音楽の旅、私もまだまだ、続けたい。そういう気持ちを新たにしました。

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