Yuming Chord
松任谷由実
2022.08.26.O.A
今日のコードは、Vaundyさんをゲストにお迎えして、「The Future of Pops〜YumingとVaundy、POPSの未来を語る」です。
■今週のChordは“The Future of Pops〜YumingとVaundy、POPSの未来を語る”
ユーミン :今日は、「The Future of Pops〜YumingとVaundy、POPSの未来を語る」というコードで、この方をゲストにお迎えしました!
Vaundy :Vaundyです。よろしくお願いします。
ユーミン :よろしくお願いします。
Vaundy :めちゃめちゃタイトルに凄みが(笑)。
ユーミン :すごい固い時事公論みたいな感じですよね。“POPSの未来を語る”。
Vaundy :語れるかな?
ユーミン :今週は楽曲制作はもちろん、アートワークや映像のディレクションなど、すべてをご自身で手がけるマルチアーティスト、Vaundyとともに、時代を行来きしながら、音楽の話やクリエイティブに関する話をしていきます!
Vaundy :呼んでいただいて、こういう話をさせていただけるのがすごく光栄ですね。
ユーミン :ほんと?でもね、理論武装とかっていうのではなく、自然に右脳左脳をバランス良く使いながら作ってるっていう感じが、(Vaundyの)作品を聴いて思いました。
Vaundy :そうですね。僕はどっちかというと、“曲の理論”というより“人類史的な理論”というか。“なぜ好きなのか”とか、感覚的に“これいいよね”みたいなものには、絶対、理由があるよね、みたいな。音楽だけじゃなくて、持ちやすい物の形とか、そういうものも人間が生きてきた中で作り上げたものだから、それにたまたま名前が付いているだけで。そこを考えながらはやってますけど、基本的に、結構自由にやってます。
ユーミン :それはデザインの考え方よね。
Vaundy :そうですね。デザイン的に作っていく、みたいな。“お金をもらって物づくりをした瞬間に全部のことがデザインに変わる”という風に思っていて。“問題を見つけて、それを解決する音楽を作る”というか。みんなが心に抱えてるものだったりとか、それも一つの問題ですし、それに対してそれを解決するのではなくて、改善する。“それに僕の曲がBGMとしてあるとちょっと違うよね”みたいな、そういう小さなことだと思うので。
ユーミン :へえ!芸術系の大学の学生さんでもあるVaundyなんですけど、ベースにあるカルチャーって、日本人っていうことは大きい?
Vaundy :そうですね。でも、それこそ70年代とか80年代の勉強をしていて。元々、それこそユーミンの曲もめちゃめちゃ今、勉強していて。で、“リズムに対する歌謡”みたいな、ここのバランスってめちゃめちゃ難しいなってことに最近気がづいて。
ユーミン :そうね。
Vaundy :僕はどっちかというとリズムからメロディを作るので、演歌とか歌謡から直接メロディを・・・何て言うんだろうな。“こっちから作ってリズムをそこに当てていく”っていうのが、なかなか僕の中で難しくて。
ユーミ :私の(曲)を聴いて、“こっちから持ってきてこっち”っていうのは、歌謡から持ってきて、後からリズムをはめてるように聴こえる?
Vaundy :そうですね。僕には結構、そう聴こえていて。なんだろう。メロディがすごく強いので、そっちを聴きたくなっちゃうというか。いつの間にか、歌のリズムにもっていかれちゃうんで「ヤバイ、持ってかれる」って思いながら、リズムを聴きながら・・・ってやると、実は意外と同じ世界戦で戦ってる・・・。
ユーミン :そうね。自分で大きくアグリーしちゃうけど。だから、歌詞にものすごく苦労するのね。先にメロディとはいえ、リズムありきのメロディで作っちゃって、後で何とかなるって信じて日本語を付けていくんだけど。
Vaundy :うんうんうん。僕もそうですね。
ユーミン :日本語ってリズムが無いじゃない。
Vaundy :そうなんですよ。
ユーミン :その工夫、乗せ方みたいな所では格闘しますね。
Vaundy :何十年も、そこの日本語の壁みたいなのがずっとあるんだなって、今思いましたね。
ユーミン :そうね。あと、無意識に漢字ってものが当てはまるじゃない。それを歌に乗せて聴いたときに、その図形の心に作用するのよね。
Vaundy :なるほど。
ユーミン :例えば、“青い”っていう言葉があったとしたら、そのメロディ、そのコード、リズムに乗った時の“青”が、どういう青を想起するのかっていうのが、漢字だけでも3つ4つあるわけですよ。その、どれを聴き手が想像するかっていう。まず、最初の聴き手は自分だから。作者なわけで。そこをハッキリさせないと、歌自体がぼやけちゃう所があるな。
Vaundy :そうですね。確かに、そこを詳しくできる所が日本語の良いところ。
ユーミン :素晴らしさよね。
Vaundy :本当に良いところだと思っていて。だから、もし海外で仕事するってなった時も、日本語はちゃんと連れていきたいというか、日本語の美しさっていうのは、1つの言葉にいろんな意味があって、いろんな意味にも1つの言葉が通じたり、という。わちゃわちゃしてるんだけど、そこの奥ゆかしさっていうのは日本語のカッコいいところだと思うので。
ユーミン :同感です。
今日は、「The Future of Pops」というコードでVaundyをゲストにお迎えしてますけど、ここで私が好きなVaundyの曲をお送りします。
色々バリエーションがあって、その中の1つというか、とても好きでした。キャッチーで。
Vaundy :ありがとうございます。
ユーミン :恋風邪にのせて。
恋風邪にのせて
Vaundy
ユーミン :お送りしてるのは、私がセレクトしたVaundyの曲「恋風邪にのせて」。
Vaundy :音楽自体を1人で勉強してきた所があったので。一応、音楽塾みたいな所に行っていたんですけど、コードとか理論的なところだったりするんで、なんか、今めちゃめちゃ勉強になってるというか(笑)。
ユーミン :私は全く勉強しなかったの。何故なら、無かったから。テキストも先人も全く無かったんで、自分で気持ちいいものを生み出すしかなかったのかな。そのうち、同志というか同じことを考えてるような人とか、続く人とかと合わさるようになったけど。
Vaundy :その努力をしてる人たちとしてない人たちで、音楽の形が全く違うというか。僕はめちゃめちゃそれを感じてて。
ユーミン :そう。先人のものを聴いて・・・。
Vaundy :ほんと、そうなんですよ。切り分けて来た人たちの音楽って、何て言うんだろう。
ユーミン :“切り分けて”というのは“開拓”という意味で?
Vaundy :そうです。挑戦的なのに、ちゃんと芯があるというか。その時は奇をてらってたのかもしれないですけど、今聴くとちゃんと軸として成立してるというか。しかも、プレイヤースキルもそうですけど、今の人たちって音楽が簡単に出来ちゃってると思っていて。
ユーミン :そうね。
Vaundy :誰でも出来るし、僕は誰でも出来るからこそ、音楽以外もやった方がいいと思ってるんです。そこから吸収しない限り、多分これからやっていく子たちに負けるし。僕が50年後とか、こうやって喋れないと思うんですよ。やっぱり、100年200年残っていく音楽って、その切り分けて来た力がないと、100年200年は切り分け続けられないじゃないですか。
ユーミン :そうね。
Vaundy :僕たちの世代というか、分からないですけど、最近の音楽はわりと短命なイメージがあって。そこはもう、圧倒的に探究心の違いが・・・。
ユーミン :初期衝動の大きさとか。
Vaundy :そうですね。僕は100年200年聴いてほしいし、そういう音楽を作らなきゃいけないなと思うと、今やってる音楽って大丈夫なのかなとか色々考えながら、それこそ70年代の音楽を聴いてるんです。
ユーミン :今日こうやって直接話せて、意味があったなと。まとめに入ってるわけじゃないんだけど。それはね、あなたがあまりにもいろんなことが出来過ぎて・・・。
Vaundy :ありがとうございます。
ユーミ :褒めてるんじゃないんだよ、これ。どうするんだろう、この人はっていう心配を思ったわけ。
Vaundy :(笑)。ちょっと、そうですね。めちゃめちゃ言われますね。
ユーミン :あ、言われる。
Vaundy :ただ、マルチアーティストって新しい言葉に聞こえるんですけど、ダ・ヴィンチの時代からあるじゃないですか。絵を描くし、兵器を作るし、解剖するし、何でもする人だったし。そういう人が切り分けて来た人だと僕は思っていて。音楽だけこれから50年やって勝てるのかなと思った時に、ここまでやってきて、「絶対にこれじゃ勝てない」と思っちゃって、全部やった方がいいっていうことで、最近やっていますね。
ユーミン :今日のコードは、「The Future of Pops〜YumingとVaundy、POPSの未来を語る」ということで、Vaundyと色々お話してますが、実は先月終了した私の『深海の街ツアー』にいらしてくださったんです。
Vaundy :はい。行きました。めちゃめちゃ作りこみがすごいし、舞台を観てる感覚に近かったですね。
ユーミン :そうね。内容が今回のは特にシアトリカルというか。一つの物語になるように構成されてますね。いつもそうとも限らないんだけど。
Vaundy :そうなんですね。この間観させていただいた時はセットもものすごいし、ちゃんと遠近で広く見えるように作ってある。
ユーミン :ただ、絵なのよね。
Vaundy :そうですよね。あそこまでちゃんと遠近が出る絵がライブで使われてるのがすごいなと思って。
ユーミン :長年のノウハウがどんどん溜まってきた感じはありますね。ライティングとかにしても。松任谷正隆が全部プランしてるんですけど。
Vaundy :なるほど。
ユーミン :あのね、松任谷正隆にすごい似てる。
Vaundy :ほんとですか(笑)。
ユーミン :最新のものが好きで。これでいいのだろうかっていうのを常に・・・。
Vaundy :めちゃめちゃ光栄です。
ユーミン :私は、その上で勝手にやってるって感じ。
Vaundy :いや、でも、ありきじゃないですか?自由に出来る人と、その自由に対して、ここを理論的にするといいかな、みたいな。
ユーミン :たしかに!
Vaundy :そこのマッチが一番大事な気がします。
ユーミン :だから、バウバウも私みたいな嫁・・・。
Vaundy :自由な(笑)。でも、やっぱクリエイティブじゃないですか。自由にクリエイティブするというか。ただ自由じゃないというか。なかなか居ないですよ。
ユーミン :そうね。環境を整えながら進んでいかないとね。
Vaundy :なかなか、今の自由ってほんとに自由な人が多いんで(笑)。
ユーミン :ああ、そうか。長続きしないかもね。行ったきりになっちゃって。行って帰ってこれないと、記すことが出来ないというか。
で、ライブと言えばVaundyのライブもうすぐですね。
Vaundy :そうなんですよ。
ユーミン :「Vaundy one man live at BUDOKAN “深呼吸”」というタイトルが付いてます。深呼吸はどうして?
Vaundy :ここまで、すごく、走ってきたというか。いったん落ち着こうかな、という。いったん深呼吸しよう。大学も4年になって、これから卒業に向かって行くっていうのもあって、一回やってきたことを振り返って新しいことをしてみよう、みたいな意味も込めて、タイトルが“深呼吸”っていう風になったんです。
ユーミン :9月8日(木)、9日(金)の2Daysです。チケットは当然Sold Outなんだけれど、配信されるそうで。
Vaundy :2日目だけ生放送がABEMAの方でありまして。なかなか緊張しますけど、生放送なんて。
ユーミン :まだまだ語り合いたい気分でいっぱいなんですけど。そろそろ、ここで1曲、今度は私の楽曲からVaundyに選んでもらったものをかけつつお別れになります。何にしましょう?
Vaundy :実は僕、勉強してる時にPLAYLISTを聴いたりとかしてる時に、たまたま「この曲めっちゃいい!」と思ったら、ユーミンの曲だったという。
ユーミ :やったー!
Vaundy :僕が好きな曲なんで、ぜひ聴いていただきたいというか、みんなで聴きましょう。
ユーミン :ありがとう。
Vaundy :ユーミンで「DOWNTOWN BOY」。
DOWNTOWN BOY
松任谷 由実
ユーミン :この曲のどこがひっかかった?
Vaundy :やっぱ、イントロのチャッチャッチャチャってこう、ちゃんと聴かせるキーボードというか。それに合わせて歌い上げが、今だったらここに細かい音符を入れる人が多いんですけど、これに対してしっかり綺麗な流れるメロディを入れてるところに、僕は感じるものがあって。やっぱ、刻みたくなるんですよね、メロディを。
ユーミン :確かにね。細かいよね、みんな。
Vaundy :そうなんですよ。それは進化だと思うんでいいんですけど、聴いているとシンプルに音の・・・音程の美しさみたいなのを聴かせてるの大事だなって、今思うんで、僕が。“ああ、シンプルでいいな”って引っかかってきます。
ユーミン :ありがとうございます。
いやあ、今日は本当に楽しかった。こちらも勉強になったし。そういう感想聞いてね。
Vaundy :僕もめちゃめちゃ勉強になりました。
ユーミン :Vaundyとは未来の音楽のあり方について語りあいたいと思うので、引き続き来週もお越し頂きます。
「The Future of Pops〜YumingとVaundy、POPSの未来を語る」ゲストはVaundyでした。どうも、ありがとう!
Vaundy :ありがとうございました。
ここで、お知らせがあります!
民放ラジオ99局でただいま展開中の、Takara Leben Group presents「民放ラジオ99局“スピーカーでラジオを聴こう”キャンペーン WE LOVE RADIO 松任谷由実 50th ANNIVERSARY 〜日本中、ユーミンに包まれたなら〜」。
こちらのキャンペーンアンバサダーをつとめている私、松任谷由実も出演する民放ラジオ99局にて放送される特別番組が決定しました。
オンエアは10月になるんですけれど、この特別番組は、なんと、公開収録スタイル!
リスナーご招待のスペシャル公開収録は9月25日(日)の開催ですが、ただいま、参加希望者を募集しています。
【A賞】として、このスペシャル公開収録に、抽選でペア50組、100名様をご招待!会場は、TOKYO FMホールです。
さらに、【B賞】として、この公開収録の模様を後日、鑑賞頂ける映像コンテンツ配信もご用意しました。
こちらは抽選で1,000名の方に、当選者だけが観ることができる配信試聴URLをプレゼントします。
スペシャル公開収録の詳しい情報と応募方法は、民放ラジオ99局“スピーカーでラジオを聴こう”キャンペーンのホームページ をご覧ください。
応募締切は、8月28日、今度の日曜日までです。
ぜひ、ご応募いただいて、私に会いにいらしてくださいね〜。
そのほか、10月4日にリリースされる私のリクエストベストアルバム『ユーミン万歳!』の詳細や、デビュー50周年を記念した全国アリーナツアーについてのお知らせなど、最新情報は私の公式ホームページ をチェックしてみてください。
そして、来週の『Yuming Chord』にも、Vaundy登場!
デジタルネイティブ世代を代表するアーティスト・Vaundyとともに、未来の音楽について、語り合いたいと思います。
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