Yuming Chord
松任谷由実
2015.02.06.O.A
今はもう逢えない人のやさしい笑顔｡空一面に花びらが舞う旅立ちの日｡いつかなりたい､未来の自分｡ふとした瞬間､ありありと思い浮かぶ｡それは､幻でも錯覚でもなく､神さまが人間に与えてくれた偉大な力｡その幸福な一瞬は､生きる喜びとつながっている｡
この番組でも何度か触れてきた､冬のﾒｲﾝｲﾍﾞﾝﾄ！『SURF & SNOW in Naeba Vol.35』が､いよいよ今夜､初日を迎える予定です｡ここ数日､苗場の雪山のこもってﾘﾊｰｻﾙを行ってきました｡そして､今日のｺｰﾄﾞは｢ｲﾘｭｰｼﾞｮﾝ｣です｡
■今週のChordは“ｲﾘｭｰｼﾞｮﾝ”
Another Brick In The Wall Pt.2
Pink Floyd
私のｽﾃｰｼﾞは､会場がどこであれ｢ｲﾘｭｰｼﾞｮﾝ｣｡お客様の目の前に､何次元もの世界が広がってゆくのをいつもｲﾒｰｼﾞしています｡
先日､日経新聞のｲﾝﾀﾋﾞｭｰでもお話したんですけれど､私の理想とするﾗｲﾌﾞはﾄﾞﾗえもんの『どこでもﾄﾞｱ』なんですよね｡ﾄﾞｱを開けば､“今､ここ”とは違った場所や時間に連れて行ってくれますよね｡もしかすると恋愛にも通じるところがあるかも知れないと思うんですけど･･･
｢人は恋におちると見慣れた景色が全く違ったものに見えることがある｡ﾗｲﾌﾞも擬似恋愛のようなもので､恋のﾂﾌﾞﾂﾌﾞが仕込まれていて､見たり聴いたりすると自分の中のｽｲｯﾁが押されて世界観が変わる｣（Yuming談）
そんなｽﾃｰｼﾞをお届けしたいな､と思っています｡
もちろん､私自身も観客のひとりとしてｲﾘｭｰｼﾞｮﾝの世界を楽しむこともあります｡特に､90年代頃までのﾗｽﾍﾞｶﾞｽでは､ｼｮｰﾋﾞｼﾞﾈｽ界の花形！百花繚乱！という感じでした｡ﾎﾃﾙごとに巨大なｼｱﾀｰを持っていて､ｶｼﾞﾉに飽きたら色々なｼｮｰをﾊｼｺﾞするんですね｡
一番印象に残っているのは､ﾎﾃﾙﾐﾗｰｼﾞｭのｽﾃｰｼﾞで行われていた､ｼﾞｰｸﾌﾛｲﾄﾞ & ﾛｲという二人のｼｮｰです｡ﾎﾜｲﾄﾀｲｶﾞｰが一瞬で消えたり､ｼﾞｰｸﾌﾛｲﾄﾞもｽﾃｰｼﾞから一瞬で消えて､数秒後に高いところから登場したり､とにかくｽｹｰﾙが大きかった！
ﾐﾗｰｼﾞｭでは13年に渡るﾛﾝｸﾞﾗﾝを獲得､彼らは｢20世紀で最も偉大なﾏｼﾞｼｬﾝ｣と言われ､日本にも｢ﾂﾑﾗｲﾘｭｰｼﾞｮﾝ｣という名前で公演が行われたんですよね｡
ところが､2003年秋の公演中に､1頭のﾎﾜｲﾄﾀｲｶﾞｰがﾛｲの首に噛み付いて､彼が意識不明の重態となってしまいます｡その事故により､公演は突如終わりを告げることとなりました｡
ﾗｽﾍﾞｶﾞｽでは､ｼﾙｸ･ﾄﾞｩ･ｿﾚｲﾕのｼｮｰもその頃から人気で､今も『O』はﾎﾃﾙﾍﾞﾗｯｼﾞｵでﾛﾝｸﾞﾗﾝ公演中だそうです｡
『O』はｽﾃｰｼﾞに大型の特設ﾌﾟｰﾙがあって､水上と空中を使ってｽｹｰﾙの大きなｱｸﾛﾊﾞｯﾄが繰り広げられます｡
そういえば､ﾃﾞｨｳﾞｨｯﾄﾞ･ｶｯﾊﾟｰﾌｨｰﾙﾄﾞなんていう人もいましたね｡日本にも来ていましたが､瞬間移動はもちろん､よくある人体の切断ﾏｼﾞｯｸ､鉄板のすり抜けなどなど､ﾏｼﾞｯｸに美しい演出を加えて話題を集めました｡世界各地で公演を開催して巨万の富を築いた彼には双子説もありましたよね｡
そんな裏話も含めて､ｲﾘｭｰｼﾞｮﾝはその世界に思い切りひたって楽しむのが一番ですよね！
Applause
Lady GaGa
松任谷正隆総合演出でかつて開催した｢YUMING SPECTACLE SHANGRILA｣も､ｲﾘｭｰｼﾞｮﾝ満載のｽﾃｰｼﾞでした｡ｻｰｶｽ､ｼﾝｸﾛﾅｲｽﾞﾄﾞｽｲﾐﾝｸﾞにﾌｨｷﾞｭｱｽｹｰﾄ､そして私の音楽｡すべてを融合させたﾂｱｰで､ひとことでは説明できないｽﾃｰｼﾞになりました｡
この時に出演してもらったのがﾛｼｱのｻｰｶｽｱｸﾀｰたちや､ｳｨﾙｼﾞﾆｰ･ﾃﾞﾃﾞｭｰや武田美保さんといった､ｼﾝｸﾛﾅｲｽﾞﾄﾞｽｲﾐﾝｸﾞのﾒﾀﾞﾘｽﾄたち｡
実はｲﾘｭｰｼﾞｮﾝって､日常のすぐ隣にあったりもするんですよね｡動物行動学者の日高敏隆さんはこう言ってます｡
｢それぞれの動物は自分にとって意味のあるものを認識して､その意味のあるもので世界をつくりあげている｣｡
動物たちにとって意味があれば人間の目に見えないものが見えていたりするんだそうです｡たとえば多くの昆虫には紫外線が見えていますが､人間は紫外線を見ることができません｡この能力は彼らが生き伸びるため､遺伝子に組み込まれているものなんですね｡でも､人間は科学の力で｢紫外線｣の存在に気づいて､日焼け止めを塗ったりしています｡見えないのに､ある､ということ｡これはまさに､ｲﾘｭｰｼﾞｮﾝ！
そんな発見や発明をはじめ､宗教や思想もすべてはｲﾘｭｰｼﾞｮﾝから生まれたんですね｡つまり､動物や人が見たり感じたりしたことが｢真実かどうか｣ということじゃなくて､｢意味があるかないか｣ってことが大切なんですよね｡
ｲﾘｭｰｼﾞｮﾝが人の心を支えることもあるし､幸せを運んでくることもあります｡ﾗｲﾌﾞもまさに､そうでありたいもの！
例えば､今日からｽﾀｰﾄする｢SURF & SNOW in Naeba｣もそう｡すでに会場が非･現実の世界､何しろまわりは一面の雪景色です｡そんな中でのｽﾃｰｼﾞということで､会場もちょっとﾃﾝｼｮﾝが独特です｡そんなｲﾘｭｰｼﾞｮﾝの世界を楽しんでいただければと思います！
時はかげろう
松任谷 由実
今年も無事､初日の幕が開けられそうな『SURF & SNOW in Naeba Vol.35』｡今､私自身もわくわくしています｡ｺﾝｻｰﾄの日程､当日券の情報などは私のｵﾌｨｼｬﾙﾎｰﾑﾍﾟｰｼﾞで確認してみてくださいね｡
そして､今年も恒例､ｺﾝｻｰﾄ期間中にｲﾝﾀｰﾈｯﾄでお届けするｽﾍﾟｼｬﾙｻｲﾄ､｢NET MAGAZINE IN NAEBA 2015 【YMODE】｣が今日からｽﾀｰﾄします｡今回は､前回ｸﾞﾚｰﾄﾞｱｯﾌﾟした画面はそのままに､ﾗｲﾌﾞは生配信とともに繰り返し楽しめるｵﾝﾃﾞﾏﾝﾄﾞ配信も予定しています！
しかも今回は35回目という節目を迎える｢SURF & SNOW｣｡懐かしい映像や､今だから話せる裏話もお送りしようと思っています｡充実のｺﾝﾃﾝﾂ満載､苗場の雰囲気をﾘｱﾙに味わえる【Y MODE】､こちらもどうぞお楽しみに｡詳しくはｵﾌｨｼｬﾙﾎｰﾑﾍﾟｰｼﾞからｱ
ｸｾｽしてﾁｪｯｸしてください！
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