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【放送時間】山崎怜奈の誰かに話したかったこと。内 Mon-Thu 14:30頃〜

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オンエアレポート
2014.05.06

「一度、死んでみましたが」


GW最終日、明日から日常に戻りますが、今日紹介する秘密は、そんな日常、日々のなんでもない生活がちょっと大切に思えてくる物語。人気コラムニスト、神足裕司さんの最新刊集英社から発売中の「一度、死んでみましたが」。こちらの本から、「心と体と頭の秘密」を、担当編集者である集英社の田中知仁さんに教えていただきました。
    
神足さんが死の淵に行ったのは、2011年9月3日夜。広島から羽田に向かう飛行機の中で、重度のくも膜下出血で倒れた神足さん。倒れてから何日も眠り続けましたが、家族の願いが叶い、こちらの世界に帰ってきます。ただしこの奇跡の生還は、深刻な後遺症も一緒でした。歩くことはもちろん、話すこともできない。さまざまな体の機能を失ってしまった神足さんですが、意外な能力が、回復を見せ始めます。


周囲を驚かせた意外な能力の回復
倒れて1ヶ月位経ったころ、おもむろになにか、言葉を書き始めたんです。もともとコラムニストだから、書きたいという気持ちと、言葉が出ない分、何かを伝えたかった。人間にはやはりコミュニケーションツールが必要で、それがその、手書きの文章だったんですね。

古くからの友人でもある、編集者の田中さんは、その文章の中に、コラムニストとしての神足裕二を確認。そして、確信しました。「これは本にできる」

喋ること、歩くことが困難で、障害度で言うとレベル5という一番上のレベル。そんな状態にもかかわらず、書く文章がひょうひょうと、しかもオチがあったり笑いがあったり。そこだけの機能を神様がくれたのかなというような、そんな気がしたそうです。

神足さんを見てきて感じた変化が次に感じたのは、表情の変化でした。最初の頃は、ずいぶん顔に表情がなかったそうです。ところが、文章を書いてる時だけ、顔がシャキッとするんだそうです。手術した直後は、笑ってるのと能面みたいな顔の2段階くらいしかなかった表情が、今では100段階くらいまで増えてきたそうです。


担当編集者の田中さんは、最後に、「一度死んでみましたが」の中からこんなエピソードを紹介してくれました。

ある日、奥さんがベッドから起こそうとしたら2人で転がって倒れてしまいました。2人で2、30分もがいてて、どうしようか言ってるときに、「別に立ち上がらなくてもいいじゃん」という結論に至り、2人でそのまま熟睡してしまったと。

これって普通の日常の中に喜びとか有り難みとかを見出している。なんでもスペシャルじゃないといけない感じになっている世の中で、普通のことの中にいかに喜びが感じられるか。そういうことを伝えてくれてる気がするんです。

家族、命、リハビリ、日々の生活。神足さんの半径数メートルの世界での出来事が書かれた「一度、死んでみましたが」読んでいると、自分の人生、毎日が、「悪くないもの」に思えてくるから不思議です。ぜひ一度読んでみてはいかがですか?→ http://goo.gl/eICKtq
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