EDC 営業日誌(過去のお客様)
2023年6月17日放送
本日のお客様は、とにかく明るい安村様。
1982年、北海道出身。
NSC東京校6期出身で、2000年、お笑いコンビ『アームストロング』を結成。2014年にコンビを解散してからはピン芸人として活動し、2015年、『R-1ぐらんぷり』で決勝進出!『全裸ポーズ』のネタの決め台詞「安心してください、はいてますよ」はこの年のユーキャン新語・流行語大賞でトップ10に選ばれます。そして今年4月、イギリスの公開オーディション番組『ブリテンズ・ゴット・タレント』に出演!イギリスのみならず、日本でも大きな話題となりました。イギリスでは“Tony”(Tonikaku)の愛称で親しまれている安村さんのこれまでとこれからに迫るドライブです!
 
 
安村さんと言えば、イギリスの公開オーディション番組『ブリテンズ・ゴット・タレント』に出演し、大きな話題となりました。現地でのオンエアは4月でしたが、安村さんがイギリスに行ったのは今年1月末頃。その直前に川島さんと会った際には「いやぁイギリス行くんですよ~」「なんかちょっと舞台やるぐらいですよ」といった軽い雰囲気で、“自分でも自分に期待していない感じ”だったとか。イギリス滞在中の安村さんのSNS投稿も、完全に旅行モード。ビートルズの『アビイ・ロード』のジャケットのポーズを、イギリスのあらゆる場所で撮るなど…かなり自由にエンジョイされていました!笑
(安村さん…いろんな場所でアビーロード風の写真を撮っています!)
※写真は全て安村さんのTwitterから
予選を終えてイギリスから帰ってきた安村さん。爆笑を取ったにも関わらず、周りの人にはあまり喋らなかったとか。その様子を見た川島さんは、てっきり“めちゃくちゃスベったんやな。無かったことにしてる…”“触れん方がええねんな”“まあ世界の壁って分厚かったね”と思い、ソッとしておいたそうです。笑
しかし、4月に『ブリテンズ・ゴット・タレント』がオンエアされると、とにかく大反響!川島さんもニュースを見て驚いたと言います。「なんで黙ってたん?」との質問には、「言うの恥ずかしいじゃないですか。やっぱり、見てもらってからの方がカッコいいと思って。」とお答えに。安村さん自身もイギリスでの手応えはとんでもなく、あまりにウケすぎて、予選のステージ後、その勢いでステーキとチーズバーガーを食べに行ったそうです。笑
川島さんは『ブリテンズ・ゴット・タレント』の安村さんの映像を見て、「最初、笑いが2~3秒無いというのがリアルだった」と話します。安村さん曰く、日本でもこのネタを披露し始めた当初、笑いが起こるまでに一瞬、間があったそう。最初の説明だけでは理解できなかったお客さんも、実際にネタを見て“ああ、そういうことね!”と納得し、本当に脱ぐんじゃないかという心配から解放されて、安堵の笑いが生まれると言います。
また、イギリスでの本番前のリハーサルでは、番組スタッフにネタについて口出しされたのだそう。『全裸ポーズ』のネタを披露する際、日本ではいつもピンマイクを付けて、そのコードの上に肌色のテープを貼っている安村さん。今回もそのつもりで、日本からテープを持って行ったのですが、スタッフからは「スタンドマイクでやってくれ。」と言われす。しかし、それだとオチの「
Don't worry,I'm
wearing」を言うたびにスタンドマイクまで移動しなければならず、間が悪くなってしまいます。なので、「ピンマイクでやらせてくれ。」と主張したところ、「いや、ピンマイク付けたら裸に見えないじゃないか。」と指摘されてしまいます・・。その結果、折衷案としてハンドマイクで本番に臨むことになったのだそう。
本番では大爆笑をかっさらった安村さん。ネタの後、ステージ上で満面の笑みを浮かべましたが、それは立ち上がって歓声を上げるオーバーリアクションの観客を見て、“なんで立ち上がっているんだろう…?”“こんなくだらないのを見て、なに立ち上がってるんだ?”“この状況はなんだ!?”という戸惑いから生まれた笑顔だったそうです…!
(『ブリテンズ・ゴット・タレント』の舞台で全裸ポーズを披露する安村さん!)
※写真は安村さんのTwitterより
『ブリテンズ・ゴット・タレント』の反響は大きく、ルーマニアやスペインからもオファーが届いたそう!安村さんは今も有楽町の劇場に立ち続けていますが、「スベってます。拍手のみ、笑顔無し。」と、なぜか日本がアウェーになっていると冗談交じりに話していました。笑
(『ブリテンズ・ゴット・タレント』の会場でもアビーロードのポーズを決める安村さん!)
※写真はTwitterより
 
 
安村さんと川島さんの初対面は、20年ほど前のこと。
当時、安村さんは『アームストロング』というコンビを組んでいて、東京のルミネtheよしもとや、ヨシモト∞ホールなどの舞台に出演していました。大阪を拠点に活動していた川島さんが、東京の舞台に出演する際に安村さんに会った時のイメージは・・・“気が弱く、うぶで、モジモジしている、だけど飯は食う”というもの。笑 現在のように、とにかく明るいキャラクターではなかったそうですが、芸人仲間からはすごく愛されている印象があったと言います。
もともと、幼少期からおとなしい子だった安村さん。2人のお兄さんの後ろをいつも付いていく性格だったとか。ただ運動神経は良く、高校3年生の夏には甲子園に出場し、ベスト16進出という実績を残します!と言いつつ、安村さんはずっとベンチで、1試合も出られなかったのだそう…。
(6歳の頃の安村さん!昔からパンツ姿が似合います!)
そんな安村さんがお笑いの道に進んだきっかけは、コンビ時代の相方・栗山直人さん。
栗山さんは幼稚園からの幼馴染で、リーダー格の引っ張っていくタイプ。その栗山さんに誘われてお笑いの世界を目指し、高校卒業後に北海道から上京。こうして始まったコンビの活動は、順風満帆に進んでいきます。2005年にはTBSのコント番組『10カラット』のレギュラーメンバーに抜擢され、オリエンタルラジオ、ハリセンボン、バッドボーイズ、プラスマイナス、オジンオズボーンといったメンバーとともに出演します。期待の若手芸人の仲間入りを果たしますが、実はこの時期は、安村さんにとって暗黒期だったのだそう。その理由は、このメンバーの中でまったく目立っていなかったから。テレビに出演はしているものの、ダメなところをみんなに見られてしまっている…という、ツラい状況に陥ります。
その後、2010年にはNHK新人演芸大賞も獲得したアームストロングですが、2014年に解散。芸人仲間からの人気が高かったコンビだけに、惜しまれつつの解散でした。
(コンビ時代の安村さん!)
 
 
コンビ解散後、『とにかく明るい安村』に改名し、ピン芸人としての活動をスタート。
ご自身で命名されたと言うこの芸名を発表したのは、コンビ時代、解散を発表したトークライブでのこと。人数は多くないものの、熱量の高いファンを前にして解散を発表したところ、客席からすすり泣く声が聞こえてくるような、とんでもない雰囲気に。そのため、余計に明るく振る舞いながら、「“とにかく明るい安村”っていう名前でやろうと思っているんだよ。」と発表しましたが、ファンの方々はすぐには受け入れられず、会場はさらに気まずい雰囲気に…。さらには、コンビ解散の噂を聞きつけた平成ノブシコブシの吉村さんがその日の会場に乱入し、解散を止めようと説得しますが、2人の意思は変わらず…。
こうしてピン芸人となった安村さんですが、当初は“2年で辞めるだろうな…”と思っていたそうです。お子さんもいらっしゃったこともあり、“これでダメだったら地元に帰ろう…”と考えていました。
ピン芸人として様々なネタを作った安村さん。センターマイクにマイクではなくフランスパンを刺し、漫談の途中で我慢できずに食べてしまう…という『ガマン談』というネタや、ソーラン節の曲にのせて車を車庫入れするネタなど、様々なネタを試みますが、どれも全くウケなかったそう…。単独ライブでは、あまりにスベってしまったために心が折れて、ネタの合間に舞台袖でしゃがみ込んで泣いてしまったこともあったとか。「もう本当にツラかったですよ。」と言いつつ、「でも辞めなかった。それは偉いと思います。」と当時を振り返ります。
そんな中で、おなじみの『全裸ポーズ』のネタが生まれます。そのきっかけは、当時AKB48のメンバーだった渡辺麻友さんの写真集!渡辺さんが体育座りをしている表紙で、その姿が裸に見えたことから、このネタを思い付いたのだそう。
また、『全裸ポーズ』のネタで使われているおなじみの音楽についてのお話も。リズムネタでは、音楽の権利問題が発生し、劇場での出番とテレビ出演とで曲が変わることがよくありますが、安村さんは当初からあの音楽を使っています。あれはオリジナル楽曲で、コンビ時代、よしもとの若手芸人が自ら映像CMを制作して競う企画があった際、『10カラット』で知り合ったディレクターに紹介された音楽家の方にCMソングを制作してもらったことがあり、それ以来、ライブやネタの音源はその方にお願いしているそうです。
『全裸ポーズ』の音楽は、当時、ロバート秋山さんの『体モノマネ』のネタが流行っていて、「あの音楽のような感じでポーズを決めたい!」と発注したのだとか。ただ、“ジャーン!”だと明らかに似てしまうため、外国人の方が「HEY!」と叫んでいるのが面白いのでは?ということから、あの音になったそうです。これを聞いた川島さんは、「まゆゆと秋山のハイブリッドなんですね。」と、驚いていました。笑
『全裸ポーズ』の初披露の舞台は、安村さんの単独ライブ。最初は安村さん自身も演出に悩んでいたそうで、ピンクの照明に髪の毛はオールバック、そして、ワイルドネタでブレイクしていたスギちゃんのような喋り方…というちょっとセクシーな感じで披露!しかし、まだ観客が安村さんの裸に見慣れていなかったこともあり、全くウケなかったそうです…。ただ、それでもこのネタには自信があり、後日、深夜の配信イベントに呼ばれた際に再び披露!この時、場所が会議室で、照明などがあまり使えなかったこともあり、明るい雰囲気に変えてみたのだそう。すると、MCのジャングルポケットが安村さんのネタに対して茶々を入れながらリアクションしてくれて、「はいてますよ!」のくだりもこの時に生まれたのだとか!その後、ライセンス藤原さんの結婚パーティーでも披露したところ、そこに来ていたフジテレビ『バイキング』のスタッフの目に留まり、生放送にキャスティングされ、ブレイクへと繋がっていきます。
(全裸ポーズを披露する安村さん!このネタで、一躍ブレイクを果たします。)
 
 
こうしてブレイクした安村さんですが、『全裸ポーズ』のネタのイメージが強すぎたため、一発屋になりかけてしまいます。そんな中で、もう一回安村さんに注目が集まったきっかけが日本テレビ『有吉の壁』。ひとネタのために坊主にしたり、眉毛を剃り落としてしまうなど身体を張って笑いを起こし、いつしか“Mr.壁”と呼ばれるようになります。
ただ、番組が始まる際に行われたオーディションは、「正直やる気が無かった」と言います。オーディションは集団で行われ、海にいるという設定で、泳ぐマネをしながら、取ったカプセルに書かれているお題をやる…というもの。周りの芸人達が真面目に従ってネタをやる中、安村さんはその横でひたすらガヤを飛ばしていたのだとか。しかし、結果は合格。それがきっかけで、ガヤを入れたり無茶なことをしたり…という『有吉の壁』でのスタイルが出来上がっていきました。
安村さんにとって、有吉さんの存在はやはり大きいと言います。それまではスベったら放ったらかしにされることがほとんどでしたが、有吉さんはスベっても拾ってくれて、ウケるまで永遠に絡んでくれるのだとか。
ある時、有吉さんに食事に連れて行ってもらった安村さん。そこで「お前は駒なんだから、駒として働け。」という言葉を掛けられます。「主役になろうとか、回そうとか、指し手に回ろうとするな。」と教えられたのだそう。生き様で笑わせる安村さんのスタイルについては、以前『土曜日のエウレカ』にお客様としてお越しいただいた佐藤栞里さんも「安村さんがウケた時だけ笑いじゃなくて涙がこぼれる。」とお話ししていましたが、川島さんも「不器用だけどこれしかできません…という、プロレスラー大仁田厚・“涙のカリスマ”のような笑いを提示してくれる。」と評していました。
 
 
安村さんのエウレカは「才能があると思っちゃダメ。」ということ。
これも、先程の有吉さんの言葉に通じますが…「自分は(将棋の駒でいうと)“歩”だということに気づきました。」とおっしゃいます。ただ前にしか行かない、その対局で一度も動かないこともある歩ですが、時には成金の可能性もあります。「何にも面白くないです、僕なんて。明るいだけ。」と言う安村さんに、「ここの開き直りが強いですよ。」と川島さんは話します。
そんな安村さん、今後の夢を伺うと…「現状維持」とお答えに。「ここ(現状)でいいですか?」と川島さんが尋ねると…「もう十分楽しんでいます、人生。僕の実力からしても今がMAXです。休みも家族と過ごせて幸せです。あとは何もないです。すみません。」と、最後はなぜか謝っていました。笑
生き様で笑わせてくれる安村さん…今度はどんな笑いを届けてくれるのか楽しみですね!
 
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