EDC 営業日誌(過去のお客様)
2023年4月22日放送
本日のお客様は、松本梨香様。
神奈川県横浜市出身。
1988年、テレビアニメ『おそ松くん』の松野チョロ松役で声優デビューしたのち、『絶対無敵ライジンオー』の主人公・日向仁役など、数々の作品にご出演されています。『ポケットモンスター』では主人公・サトシ役を26年にわたって務め、自身が歌う主題歌はダブルミリオンを記録!その歌は国内にとどまらず、多くの海外ファンをも魅了。声優、俳優、歌手として幅広く活躍される松本さんのこれまでとこれからに迫るドライブです!
 
 
今回の収録の日、松本さんと川島さんは初対面…ですが、お2人がお仕事で一緒になるのはこの収録が2回目。実は、この日の朝、川島さんがMCを務めるTBS『ラヴィット!』に松本さんがサプライズゲストとして生出演!代表曲“めざせポケモンマスター”を熱唱した後にお越しいただきました。川島さんも「こんな日もあるんですね!」と驚いていましたが…まさに奇跡のようなドライブがここから始まります。
この日、出演者にサプライズで『ラヴィット!』にご出演された松本さん。他の出演者がスタジオに来るよりも早く、朝6時からリハーサルをされており、普段あまりすることのない早朝のお仕事が新鮮だったご様子でした。
ここで、松本さんから“川島さんとは絶対会うと思ってた。”というお話が。どういうことか伺うと…15年ほど前、相方の田村さんが『ホームレス中学生』でブレイクした頃、テレビで川島さんを観た松本さんは、シンパシーを感じ、“この方とは絶対仲良くなれる!”と思い、川島さんが出ている番組はチェックしていたのだとか!長い間、会う機会が無かったお2人ですが、今回、いきなり共演の機会が連続したことに、川島さんも不思議な縁を感じていました!
(『ラヴィット!』にサプライズゲストとして生出演された松本さん!)
※松本梨香さんスタッフ公式Twitterより
 
 
ここで、話題は川島さんの中学生時代の思い出へ。当時、友達に「めちゃくちゃ面白いアニメが始まったから見てほしい!」と言われた川島さん。しかし、川島家のチャンネル権はお父さんにあったため、川島さんはそのアニメを観られませんでした。そこで、その友達が編み出したのが、テレビアニメの放送をカセットテープに録音するという方法。川島さんは、そのテープを借りて音だけで楽しんでいたのですが、そのアニメというのが松本さんが主人公・日向仁を演じていた『絶対無敵ライジンオー』!さらに、松本さんが出演されている『おそ松くん』(チョロ松役)や『おぼっちゃまくん』(貧保耐三役)も観ており、特に“貧ぼっちゃま(貧保耐三)”が大好き!「落ちぶれてすまん。」と、貧ぼっちゃまの口癖を、実際に目の前で披露して頂いた川島さんは、「今、小学生だったら失神している!」と大興奮!笑 少年時代に戻った川島さんの姿を見て、松本さんもとても嬉しそうでした!
 
 
先月、アニメ『ポケットモンスター』の、サトシとピカチュウの物語がいったん最終回を迎えました。ここから、最後の収録でのエピソードが語られます。
自分の中では心の整理がついていたという松本さん。元気に収録に臨んでいましたが、最後のセリフに差し掛かると、“このセリフ言ったら終わっちゃう…。”という意識で頭がいっぱいになり、その瞬間、声が出なくなったのだとか。プロとしては声を出して演じないといけない状況ですが…感情があふれ出し、感極まってしまったのだそう。少し休んで落ち着いてから、再び収録に臨んだと言います。
その最後のセリフは、サトシがピカチュウに向けた「もしも自分がポケモンマスターになった時に、そばにいてくれよな。」という言葉。続けて、ピカチュウが「ピカピカ!(いるよ!)」と答え、さらに「よし、じゃあ行こう!」とサトシが言います。この部分が丸々言えなくなってしまったのだとか。“これはいけない!”と焦る松本さん、自分の心に正直になってみるとやっぱり寂しさや“この旅、この冒険を終わらせたくない…。”という気持ちがあったそうです。
26年という長い期間にわたって一つの作品に携わることができたことへの感謝の気持ちが大きく、「ここまでやらせたもらえたことは感謝。」「今この景色を見させてもらっていることが感謝。」と松本さんはおっしゃいます。今回、『ポケットモンスター』の物語の主人公が交代するにあたって、世界各国のファンから感謝のメッセージが届きました。“そういった声をエネルギーにして、恩返しをしなくちゃいけない!”と、常にファンのことを想う松本さん自身も、新たな冒険に歩み出しました。
これまで26年にわたってサトシ役を務めていたために、やれなかったこともあったそうです。毎週金曜日に収録があったため、遠いところに行っても必ず一週間のうちに帰ってこなければなりませんでした。
収録を終えた実感はまだ無いと言う松本さん。部屋にはサトシやピカチュウ、モンスターボールなどのポケモングッズがたくさんあり、いわば今も旅の途中なのです。他にも、『絶対無敵ライジンオー』の主人公・日向仁や、『おぼっちゃまくん』の貧ぼっちゃまをはじめとする、“松本さんのこどもたち”が部屋中にたくさんいるそうで、「その子たちが元気をくれる」とか。このお話を聞いた川島さんも「声優さんしか言えないセリフ」と話していました。
先日も、親子連れに声を掛けられた松本さん。「主役はサトシじゃなきゃイヤだ!ってこの子が言うんですよ。」と言うお母さんに対して、松本さんは「そっか。」と受け止めつつ、お子さんに対してこのように答えたそう。「…でもね、サトシは毎週(アニメには)出てこないけど、(見えないだけで)違うところを旅してるからこれからも応援してね。もしかしたら映画出ちゃうかもしれないから待っててね!」。すると、その子は「よかった。」と、か細い声で言ってくれたそう。その姿に松本さんもグッときて、“頑張らなきゃ、私も!”と改めて感じたそうです。多くの人の心の中で、サトシとピカチュウの冒険はまだまだ続いているのです!
 
 
ここからは、声優デビューのきっかけについて。
お父様が大衆演劇の座長を務めていて、もともとは舞台俳優をされていた松本さん。しかし、結核を患い、舞台に立てなくなってしまいました。そんな中、当時ラジオドラマをされていた俳優・声優の名古屋章さんに「舞台だけが演じるところじゃないぞ。」「お前、芝居面白いし、これからもやるんだったらマイクの前でやってみたらどうだ?」という言葉を掛けられ、声の仕事に興味を持ったのだとか。松本さんと同期の山寺宏一さんも、当時既にアニメの声優をされていたそうで、「声優の仕事って難しい?」と聞いたところ「お前だったら出来るよ!」と言われたのが、声優のオーディションを受けるきっかけになったそうです。ここで、“山さんができるんだったら梨香もできるかな”と思っていたと言う松本さんに、川島さんから「山さんも随分ナメられたもんですね!」とツッコミが…笑 同期で、養成所のころから仲が良い山寺さんの言葉に勇気づけられたのですね!
(舞台でもご活躍中の松本さん!)
そんな中、ちょうど行われていた『おそ松くん』のオーディションを受けたところ、合格!ただ松本さんはオーディションの際、台本に書かれていたセリフの最後のオチがイマイチ気に入らなかったそうで、“こっちの方が面白いな。”と自分で書き直したのだとか。笑 ギャグアニメということもあり、“こういう面白くて明るくて元気な子が一人いたら盛り上がるんじゃないか”と、ムードメーカーとしても抜擢され、チョロ松役を務めます。松本さんのキャラクターも影響してか、チョロ松は個性豊かな六つ子の中でもオチに使われることが多かったのだそう。松本さんにとって初めての声のお仕事の現場だった『おそ松くん』では、たくさんのことを学びました。六つ子の演技は、似ている六つ子を映像で見分けながら自分が担当する役に声をあて、また、声で聞き分けられるよう変化をつけなければいけない一方で個性が立ちすぎてはいけないため、とても難しかったと言います。
(声優として、吹き替えをされる松本さんのお写真!)
ここで、『ポケットモンスター』サトシ役に選ばれた経緯についても。
オーディションで選ばれた松本さんですが、実は当初、サトシ役ではなく、サトシの幼なじみで生涯のライバル・シゲル役で呼ばれていたのだとか!監督はサトシ役で呼んだつもりだったと言うのですが、どこかで手違いがあり、シゲル役のオーディションに参加します。オーディションでシゲル役を見事に演じ切り、“これ受かっちゃうな〜!”と手応えを感じながら帰ろうとしたところ、「ちょっと待ってください。こっちもやってください。」と言われて渡されたのが、サトシ役の台本。
しかし、シゲル役をやり切った松本さんはサトシ役には興味がなく、“はあ?”と戸惑ってしまったそう。ただ、そのオーディションには知り合いのスタッフも多く、皆さん、連日オーディションが続いてクタクタに疲れており、松本さんは雰囲気を盛り上げようと、サトシ役も演じてみることにしました。親父ギャグも多めに入れて、オーディションのスタッフたちを元気付けるべくサトシ役を演じたところ、“まんまサトシだね!”となり、サトシ役として受かったのだとか!もともとはサトシ役を受けに行ったわけではないものの、持ち前のサービス精神で結果を出し続けてきた松本さんらしいエピソードですね。
サトシ役については、「あんまり演じてない」「素なんですよ」と話す松本さん。監督もセリフを考える際、“これ梨香ちゃん言わないよな…。”と言うことがあったそうで、いわば松本さんにセリフを当て書きしていたのだとか!笑
また、演技については「元気だけは出しました。」と言う松本さん。バトルシーンでは子どもたちが真似したくなるような言い方や、憧れるような言い方を目指して、元気や迫力、情熱を意識して演技されていたそうです。「26年もやってたら(喉の調子など)“今日ヤバい…”という時もあるわけでしょう?」という川島さんの質問にも、「でもやる。やれた。」と力強くお答えになります。川島さんも「今まで『ラヴィット!』に出た人の中で一番声がデカかったですね。」と話すと、「今度『ラヴィット!』で大声大賞とかやりましょうよ!勝ちたい!絶対行く!」と盛り上がる松本さんでした。笑
 
 
これまでの活動の中で特に大変だった仕事として松本さんが挙げたのは、映画『フィフス・エレメント』の吹き替え。ミラ・ジョヴォヴィッチが演じるリールーというキャラクターの吹き替えを担当していました。このリールーは神様の言葉を話すキャラクター。そのため、台本にはセリフが書かれておらず、「よろしくお願いします。」とだけ書かれていました。笑
松本さんは耳コピして、アドリブで実演!すると、その吹き替えの精度が高すぎたためか・・「あまりにもきっちりやり過ぎちゃったんで、吹き替えしてないんじゃないかと思われている…。」とおっしゃっていました。笑
「みんなに観てほしい!」と松本さんが言うこちらの映画、ぜひオリジナルと吹き替えの声を聞き比べてみてください!
 
 
こここからは、松本さんの『キャリアにおけるマイ大事件』を伺いました。
『メイク・ア・ウィッシュ』という、難病と闘う子が持つ夢の実現をお手伝いするボランティア団体の取り組みの一環で、ポケモンが大好きな子に会いに行くことになった松本さん。しかし、その子の容態が急変し、会うことができなくなってしまいました。ここで、“何かできないかな…?”と考えた松本さんは、サトシの声で1分ほどのボイスメッセージをお母さんのもとに送ります。その子はすでに意識が無い状態だったそうですが、耳元で何度も繰り返しサトシのボイスメッセージを流していたところ、奇跡的に意識が少し回復!後日、「意識がちょっと戻って、笑顔になってくれたんです。」とお母さんからのお手紙をもらい、松本さんはとても嬉しかったそうです。“ミラクルを起こせる仕事を私はやらせてもらっているんだ!”と心から感じた瞬間でした。
 
 
そんな松本さん、「ゲットだぜ!」のフレーズを、持ち前のサービス精神でいろんなところで披露されていますが、「ギフトだから、出し惜しみしたくない。」と言います。松本さんにとって「ゲットだぜ!」は、自分だけに託された神様からのギフト。それゆえ、お願いされたらどんな時でもできる限り「ゲットだぜ!」を言っていきたいとおっしゃいます。夜中の2時に「ちょっと言ってくれよ」と電話を掛けてくる人もいるそうですが…それでも言うのだとか!笑
 
 
『日常生活で職業病だなと感じる瞬間』を伺ったところ…「動物を見かけると、ついその動物に声を当ててしまう。」とお答えに。犬や猫の鳴き真似をしたり、カラスと会話することもあるのだとか。笑
そんな松本さん、アニメでは動物の声を担当することが多いと言います。『NINKU
-忍空-』では、主人公・風助の他に、作中に登場する動物すべての声を松本さんが担当しているのだとか。ここから“風助と会話するカエルも松本さんが担当している”というお話になったところ、「ちょっとやってみましょうか?」とサービス精神旺盛な松本さんならではの言葉が飛び出し、実際にやっていただきました!笑
ここで川島さん、「やっぱり松本さんと山寺さん、おかしいわ!」と話します。アニメのエンディングで、山寺宏一さんと松本さんのお名前を見かけること、確かに多いですよね。それに対して松本さんは「山さんができることは梨香もできると思っているから。」と言います。ちなみに、山寺さんがやって、周りから「すごい!」と言われることを、松本さんがすぐにやると、「俺だけができるってなってるのに、なんでお前すぐやるんだよ!」と怒られるのだとか。笑
 
 
松本さんにとって、これまで仕事で最も影響受けた人物は…やはり演技のお仕事を最初に教えてくれた、お父様の中村雄次郎さん。
松本さんにとって、お父様は何でもできる方。「表現者たるもの、何でも出来なくちゃいけない。」「みんなが喜ぶことを率先してやらなきゃいけない。」「いろんな意味で舞台は遊び場だ。台本は遊び道具だから、そういう気持ちで楽しくやる!」「自分の機嫌を自分でちゃんと取って、ちゃんとやれるようにしろ。」などなど、たくさんのことを教えてもらいました。今でも松本さんが舞台に立つ時は、楽屋にお父様の写真を置いているそう。また、舞台やライブでは、“父親と今、なんか重なっている…。”という感覚になり、細胞がうずくような感じがすることがあるのだとか。常にお父様が見てくれている感覚があり、“自分が亡くなったときに、「よく頑張ったな。」と言ってもらいたくて、今の仕事をやっている。”という思いもあるそうです。
 
 
最後に、『今後の夢・目標』を伺ったところ、「国歌斉唱をしたい!」とお答えに。
意外にも、今までそういった経験は一度もないのだとか。身体が不自由なお兄様がいらっしゃることもあり、本当は東京パラリンピックで歌うのが夢だったそう。“パラリンピックで歌えたら、あんちゃん孝行ができるかな。”という想いがあり、今でも夢として持ち続けています。また、舞台や朗読劇の演出なども務めている松本さん。日本だけでなく海外にも、後輩たちのために道を作ってあげたいとお話しいただきました。
松本さんの明るく元気なパワーで、ぜひ夢を叶えていただきたいですね!
(歌手として熱唱される松本さん!いつか、国歌斉唱する姿も見られるかも…!?)
 
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