EDC 営業日誌(過去のお客様)
2021年5月8日放送
本日のお客様は、ふかわりょう様。
1974年、神奈川県出身。慶應義塾大学在学中の1994年にお笑い芸人としてデビュー。「あるあるネタ」「リズムネタ」の先駆けとなる「小心者克服講座」でブレイク。「シュールの貴公子」と呼ばれながら、バラエティ番組では先輩から愛される、いじられキャラとして人気者に。2012年からTOKYO
MX「5時に夢中!」のMCを担当し、現在は「バラいろダンディ」のMCや「ひるおび!」のコメンテーターを務めていらっしゃいます。また、別名義のROCKETMAN(ロケットマン)としては全国各地でDJを行い、楽曲提供やアルバムを多数リリースするなど幅広い活躍をされています。
(ROCKETMAN(ロケットマン)名義でDJをされるふかわさん)
 
 
芸人の道へ進むふかわさんに影響を与えたのは、中学2年生の頃、美術の授業で観たチャップリンの映画。コメディでありながら、当時の社会背景も細かく描写されており、無声映画ならではのアプローチで社会的メッセージが込められていました。チャップリンの映画と、幼少期から観ていたドリフターズの「8時だョ!全員集合」などの純粋なお笑いが、ふかわさんの中でミックスされ、お笑いって素敵だな〜と感じるようになりました。お笑いに魅了されていたふかわさんですが、学生時代は、人前でギャグやモノマネなどをするタイプではありませんでした。先生のことを少しイジったり、クラスで起こった1つの出来事に対して、ふかわさんが一言添えてクラスを和ます、MCのようなタイプだったそうです。
当時は、芸人への憧れよりも、テレビに出ることへの憧れが強かったふかわさん。「ふかわりょう」という人間を売り込むために、名刺代わりとなるネタが必要でした。しかし、ピン芸人のふかわさんは漫才やコントが出来ず、ネタ作りに苦労されます。そんななか、コンビニでのバイト中にある閃きが・・・!
会計時にお客さんが1000円札を出したあと、「あ、6円あります!」と端数を払いました。この「あ、6円あります!」という言葉に引っ掛かったふかわさん。自分も言ったことがあり、たまに耳にするフレーズを集めたら何か面白いネタができるのではないかと考え、よく耳にするフレーズを集め始めました。また、お兄さんの影響で音楽もよく聴いていて、「London
Jazz Classics」というコンピレーションアルバムに出会います。その2曲目に収録されていたのが、「Mr.Blindman/Donna
McGhee」。この曲を聴いたふかわさんの頭の中で、エアロビクスの作られたような笑顔が生み出す独特な世界観(ふかわさん曰く)と、ネタ用に集めていたよく耳にするフレーズが融合しました。この着想から、代表ネタ「小心者克服講座」が誕生!そして、ブレイクを果たしたふかわさんは、憧れのテレビのゴールデンタイムでTOKIOやKinKi
Kidsなどジャニーズの皆さんと一緒に、白いヘアターバンを着けてネタをする機会を得て、瞬く間に全国に名を馳せることとなりました。
(「小心者克服講座」でブレイクしたふかわさん)
念願のテレビ出演が増えたふかわさん。ですが、当時はまだ、ネタ番組以外での対応力は身に付いていなかったそうです。周りの共演者の方々も「シュールの貴公子」と呼ばれるふかわさんをどう扱えばいいのか分からずにいました。そんななか、23歳で笑っていいとも!のレギュラーになった際、タモリさんから「お前絡みづらいな。」とシンプルにいじられます。すると、タモリさんのいじりを踏襲する形で、周りの芸人さんからもいじられはじめ、東野幸治さん、ウッチャンナンチャンの内村さん、さまぁ〜ずさんからも愛のあるいじりを受けて、バラエティ番組に慣れていくのでした。
 
 
いじられキャラだったふかわさんが、現在の立ち位置にたどり着いた転機はIKKOさんとの共演でした。それはIKKOさんのロケVTRをふかわさんがスタジオで観る番組でのこと。ふかわさんは、ロケ内でIKKOさんが変なことをするたびに、ツッコミとして一言を添え続けました。すると番組は大盛り上がり。IKKOさんの行動にふかわさんの言葉が添えられて周りが和む構図・・・これは、ふかわさんが学生時代にクラス内で行なっていた感覚でした!ご自身のお笑いの原点であるこの構図にヒントを得たふかわさんは、今後こういう形でテレビに出演すればいいのだと気付きました。
そんな新しい道が見えた頃に、TOKYO
MXの情報番組「5時に夢中!」のMCに抜擢されます。生放送中、ふかわさんは共演者の方を楽器と捉えており、ご自身は指揮者としての役割を担おうと意識されていました。これは、ROCKETMAN(ロケットマン)名義で長年続けているDJ活動が関係しているそうです。視覚情報より聴覚情報の方が、脳への影響は強いと感じているふかわさんは、視聴者に対して音楽を届ける感覚で生放送の進行に臨まれていたそうです。
 
 
芸能界イチのアイスランド好きで知られ、2014年にはアイスランド総合研究所(氷総研)の名誉教授にも就任されたふかわさん。初めて訪れたのは、12〜3年前。当時世間ではエコブームが起こっており、地球に優しい環境作りが促進されていましたが、ふかわさんは”エコ”という言葉が独り歩きするより、まず地球を愛することが、エコ活動に繋がると考えました。そのために、地球が生きていることを体感できる場所として、地球の鼓動とも例えられる間欠泉(一定周期で水蒸気や熱湯を噴出する温泉のこと)のあるアイスランドを訪れました。そうした目的で、毎年アイスランドに行くようになったふかわさんは、3年目に、アイスランドをドライブしていた時、草原地帯で羊の群れに遭遇します。そこで、羊たちと心が通じている感覚に陥ったそうで、ふかわさんの目には、”ほわほわ”したファンタジーの世界にいる羊のように感じました。羊に向かって「おーーい」と声を掛けると、何百頭もの羊が一斉に振り向いてくれて、この出会いから、ふかわさんの旅の目的は「羊」に変わります。その後、羊を求めてアイスランドへ訪れた時、仰向けに倒れている羊に出会います。苦しそうにしていた羊を起こしてあげたふかわさん。後に調べてみると、羊はひっくり返ると自力では起き上がれないことがあるらしく、仰向けの状態のままだと、喉が圧迫され死に至ることもあるそうです。その事実を知ったふかわさんは、自分が愛すべき羊の命を助けたことに感銘を受けます。また同時に、どこかで苦しんでいる羊がいないかを探し始める旅に目的が変わっていったのでした。仰向けの羊を探す目に慣れてしまったふかわさんは、収集前のひっくり返っている粗大ゴミのテーブルを見ると、テーブルの脚が羊の足と重なり、起こしてあげたくなるんだそうです・・・。
(ふかわさんが撮影された羊のお写真)
 
 
ふかわさんは昨年「世の中と足並みがそろわない」というエッセイを出版されました。
きっかけは出版社の方から、ふかわさんに興味があるので何か書いてみませんか?と言われたことでした。今まで、人に対して言葉を添えることを得意としていたふかわさんは、一方で、自分自身をさらけ出していないことにコンプレックスを感じていました。そこで、自分の奥底にあるモヤモヤした何かを言葉にしてみようと思い、執筆されたのが今回のエッセイでした。ご自身の内面をさらけ出す本として発売したため、読者の共感を得ようとは思っていませんでしたが、予想外に共感の声が多かったそうです。人と足並みが揃わないことを悲観も楽観もしない、ただ人との隔たりは隔たりとして眺めていても良いのではないかと考えるふかわさんならではのエッセイとなっております。
 
 
ふかわさんの今後の展望は、コロナが落ち着いたら再びアイスランドを訪れて、仰向けの羊を探すこと。そしてアイスランドで家を探すこと。理想は、海辺の開けた土地に、煙突がポツンとある絵本に出てくるような家屋で羊たちと暮らすこと。そして、その映像をYouTubeで生配信しながら過ごしたいという目標を持っています。現在は、情報番組のMCとして、良いニュースや悪いニュースを伝えることの使命・重要性は十分理解されておりますが、少し離れた場所では、羊が幸せに暮らしている風景があるのだということも皆さんに発信できればと考えています。
独自の視点と優しい心を持つふかわさんの今後にも注目ですね!
 
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