25.04.14
全国民に「5万円」給付金案、メリットとデメリットは?
ネットニュースの内側にいるプロフェッショナルが、注目のニュースを読み解きます。
今日は、ダイヤモンド・ライフ編集長の神庭亮介さんにお話を伺いました。
神庭さんが注目した話題はこちらです。
【全国民に「5万円」給付金案、メリットとデメリットは?】
吉田:アメリカの関税引き上げや物価高を受け、政府・与党が全国民を対象に5万円の給付金を検討していると朝日新聞が報じました。そこで今朝は給付金のメリット、デメリットや予想される影響などについて神庭さんに解説してもらいます。
神庭さん:給付金の額についてメディアによっても様々な金額が飛び交っています。朝日新聞や産経新聞は政府・与党内で「5万円」の給付金案が出ていると報道しています。日本テレビや東京新聞は「3~5万円」、読売新聞は公明党内に「10万円」を求める声もあると報じています。要するにまだ金額が決まっておらず、色々な方たちがそれぞれの思惑についてヤイヤイ言っている段階です。林官房長官は、「新たな給付金や減税を検討している事実はない」と火消しに走るなど、政権内でも様々な意見が錯綜しているようです。
ユージ:給付金自体は、これまでもあったと思いますが、今回の給付の狙いはどういうところでしょうか?
神庭さん:トランプ関税や物価高への対策だともっともらしく言われていますが、実際には、この夏に参院選がありますから。それを念頭に置いた動きだと思います。国民民主の玉木代表はXで「所得制限なく国民全員に現金5万円給付できるなら、103万円の壁は所得制限なく178万円まで引き上げることができたはず」「減税は財源がないないと言ってやらないのに、給付はすぐやる政府・与党」と批判しています。
ユージ:なるほど。
吉田:ネット上の反応はいかがですか?
神庭さん:まず賛成意見を紹介すると、「素直にありがたい」「これは助かる」「5万円と言わず、10万円、100万円くれ」みたいな好意的な声もチラホラあります。6月発売予定の任天堂「Switch2」が5万円弱なので、ゲーマーたちは「Switch2の給付金だ」「これでSwitch2が買える!」と盛り上がりを見せています。ただ、SNS上では否定的な意見の方が目立ちます。「選挙目当てのバラマキ」「給付金はいらないから減税して」「社会保険料を下げるのが先でしょ」といった意見が代表例だと思います。
ユージ:こうやってみると、反対意見も根強いなと思いますね。
神庭さん:もちろんSNSだと、ネガティブな意見ほど増幅されやすい傾向にありますから、そこは割り引く必要があるかなと思います。実際は世代による温度差もかなりありまして、物価高対策の優先順位を尋ねたNHKの昨年の世論調査では、年金世代ほど家計への支援や低所得世帯への支援を求める声が根強く、現役世代では減税や賃上げを求める割合が大きくなりました。給付金はどちらかと言えば、現役世代より高齢者に人気の政策と言えます。
吉田:今回のような一律給付金のメリットはどんなところにありますか?
神庭さん:減税は法改正が必要ですが、給付金ならスピード感をもって届けられます。所得制限をせず全国民に配るということなら、ある意味、公平だという言い方はできます。例えば、所得減税だと所得税を納めていない人にはそもそも効果がないですが、給付金なら低所得者層や年金世帯も恩恵を受けられるということです。
ユージ:メリットも色々伺いましたが、一律給付金のデメリットは何でしょうか?
神庭さん:まず1つ目は巨額の財政支出が必要になることです。日本の人口が1億2,300万人なので、仮に1人5万円支給するなら、少なくとも6.1兆円以上が必要になります。先ほどお伝えしたメリットの裏返しで特にお金に困っていない人にも配ることになるので、その分、支出も膨らむわけです。加えて、効果も疑問視されています。低所得の人は、給付金が入ったらすぐに食料品や生活必需品を買うと思われますが、逆に多少とも余裕のある人の場合、結局ため込むだけで消費に回らない可能性もあります。2009年、リーマンショック後に配られた1万2,000円の定額給付金は、たった25%しか消費に回らなかったと試算されています。2020年、コロナ禍での一律10万円の定額給付金も同様で、少なくとも7割が貯蓄に回ったという研究結果があります。今回もかなりの部分が貯蓄に回ってしまうのではないかなと思います。
ユージ:今回の一律給付金、神庭さんはどう考えますか?
神庭さん:まず、政策目的をハッキリさせるべきだと思います。景気対策だとすると、ほとんどが貯蓄に回ってしまうようなやり方は効率が悪いですよね。一旦、集めて配り直すくらいなら最初から減税した方が早いよね、となります。そうではなくて、物価高で困ってる人を助けるのが第一義だというなら、経済効果は二の次になっても低所得者の方を救え!という話になるのかなと思います。ただし、この場合は、富裕層も含めた「全国民」に配ることの矛盾を問われると思います。結局、フローの収入だけに着目した「住民税非課税世帯」という括りが、本当に困っている人を示す基準として機能していないことが根本的な問題としてあると思います。これをいつものように非課税世帯限定の給付金だとすると、批判されることが政府も分かっているので「全国民一律」という言い方をして模索しているのではないかなと思います。ただ、手取りを増やすことが狙いなら本当は給付金以外にも社会保険料の減免、所得減税、消費減税など様々な選択肢があっていいはずです。明日のTREND NETでは消費税について取り上げる予定ですが、選挙目当てのバラマキではなくて政策目的を明確にしたうえで、様々な選択肢をフラットに検討して、しっかりと優先順位をつけていく姿勢が今こそ問われていると思います。
そして、今日の #ユジコメ はこちら。
#リポビタンDTREND NET #ユジコメ ①
— TOKYOFM/JFN『ONE MORNING』 (@ONEMORNING_1) April 14, 2025
テーマは「全国民に5万円給付金案、メリットとデメリットは」
アメリカの関税引き上げや物価高を受けて、政府与党が全国民を対象に5万円の給付金を検討しているという報道がありました。#ワンモ
#ユジコメ ②
— TOKYOFM/JFN『ONE MORNING』 (@ONEMORNING_1) April 14, 2025
これ一見すると全国民に5万円だと聞くと「やった!財布が潤う」「困ってたから助かる」って人もいると思います。
ただ、その財源があるんだったら、178万円の引き上げってできたんじゃない?っていうふうに思いました。#ワンモ
#ユジコメ ③
— TOKYOFM/JFN『ONE MORNING』 (@ONEMORNING_1) April 14, 2025
狙いは違うところにあるんでしょうけど、与党として議席が半数を割り、野党の力を借りなきゃいけない状況で、野党からの意見も汲み取ろうと103万円の壁の話があったと思います。…
#ユジコメ ④
— TOKYOFM/JFN『ONE MORNING』 (@ONEMORNING_1) April 14, 2025
結局、それは折衷案を作って我々からは5万円を給付しますと評価を上げようとしているように見えてしまいます。…