network
リポビタンD TREND NET

今、知っておくべき注目のトレンドを、ネットメディアを発信する内側の人物、現代の情報のプロフェッショナルたちが日替わりで解説します。

25.04.08

トランプ関税で株暴落!世界経済はどうなる?

null

ネットニュースの内側にいるプロフェッショナルが、注目のニュースを読み解きます。
ダイヤモンド・ライフ編集長の神庭亮介さんにお話を伺いました。
神庭さんが注目した話題はこちらです。


【トランプ関税で株暴落!世界経済はどうなる?】

吉田:アメリカのトランプ大統領が発動した大規模な関税措置を受け、世界同時株安の様相を呈しています。今後の経済への影響や日本が取るべき対応について取り上げます。神庭さん、日本からの輸出品に24%の関税がかけられるということですが、これはどういう根拠で決まったのでしょうか?


神庭さん:「日本がアメリカに対して46%の関税をかけているから、アメリカも24%をかける。相互関税だ、これでも半分にまけてやったんだぞ」みたいな適当な理論なんですよね。アメリカの貿易赤字額を、その国からの輸入額で割って2分の1しただけで、24%という数字にはほとんど根拠がありません。相互関税でもなんでなくてただのイチャモン関税ですよね。


ユージ:そうみたいですね。今回の相互関税、経済の影響は物凄く心配です。


神庭さん:トランプ氏の支持者、ひょっとしたらトランプ氏本人も関税というシステムを正しく理解しておらず、貿易赤字の相手国が関税を払ってくれると勘違いしている可能性があります。実際には、アメリカの消費者が最終的に負担することになります。関税コストが乗っかると、たとえば iPhoneは4割以上値上がりし、上位機種だと33万円を超えるという試算もあります。「え、俺たちが払うの?」と気づいたアメリカ人が怒り出すのも時間の問題です。低所得者はただでさえインフレに苦しんでいるので、さらにインフレが加速するようだと、来年の中間選挙でトランプ氏や共和党に大逆風が吹くかもしれません。


吉田:一方で、日本にも当然、影響ありますよね?


神庭さん:株価暴落で新NISAの含み損が出て、青ざめていらっしゃる方もいるかもしれません。自動車産業へのインパクトについては先週解説がありましたが、食卓への影響も懸念されています。日本は飼料用トウモロコシの多くをアメリカから輸入しています。アメリカのインフレが悪化して飼料価格が上昇すると、肉や卵がさらに値上がりする可能性もあります。トランプ関税が長期化した場合、アメリカだけでなく各国でインフレと景気後退が同時に起こる世界的なスタグフレーションに陥るリスクも出てきています。


吉田:今回のトランプ関税に対して、日本はどう向き合うべきでしょうか?


神庭さん:実現可能性は置いておいて、まず手元にどんなカード、交渉材料があるのか洗い出すことが大事です。加藤財務大臣は国会質疑で、一般論と断ったうえで「報復関税は可能」と答弁しました。本当にやるかどうかは別にして、「やろうと思えばやれるんだぞ」という姿勢を示しておくことは重要です。加えて、日本は米国債を世界で最も多く保有しています。その額は1兆ドル超、円換算で154兆円分。これを何分の1でも売ったらどうなるか?アメリカ経済は大変なことになります。トランプ氏は日本の円安誘導は問題だと言っていて、輸出しやすくするための為替操作も「非関税障壁」だと批判しているんです。そこで日本が米国債を売れば、トランプ氏が望む通り、円高ドル安方向に為替が動きます。「報復」じゃなくて「応援」ですよ、あなたに言われた通りにしたまでですよ、というロジックは成り立つと言えば成り立つんですよね。


ユージ:そういうカードを日本は持っているんですね。それはやってしまって大丈夫なんですか?


神庭さん:全然、大丈夫ではないです(笑)。実際にやれば金融市場が大混乱になりますし、円高に振れ過ぎると日本の輸出産業もタダでは済みません。だから本当にやる必要はありません。ただ、「いざとなったらそういうカードも持ってるよ」とチラつかせるだけでいいんです。あくまで伝家の宝刀ということですね。もう少し現実的な落とし所としては、日本側のコメの関税を下げるという選択肢もあるのかなと思います。


吉田:トランプ大統領も日本のコメには触れていたようですが、どういうことでしょうか?


神庭さん:アメリカ側は「日本がアメリカ産のコメに700%の関税をかけている」と主張しているんですが、これは完全にミスリードです。実際には227%ほどだと専門家は試算しています。それでも高いのは確かなので、あえてアメリカ側の言い分に乗ってコメの関税を下げる。コメを取引材料にして、自動車関税の引き下げを求めるという作戦もあります。日本もコメ不足が解消されて値段が下がるので一石二鳥という考え方もできます。食料安全保障やコメ農家保護の観点からすると、かなりの劇薬ではあるので、参院選前に石破政権がそこまで踏み込めるかは未知数です。私はあまり賛成できないですが、選挙対策も兼ねて、トランプ氏から「非関税障壁」と批判されている消費税を下げる、という選択肢もあり得ない話ではないかもしれません。


ユージ:今回のトランプ関税、神庭さんはどう見ていますか?


神庭さん:ある意味、災害みたいなものです。もはやトランプ氏の存在自体が世界経済にとって最大のリスクになっています。石破首相も国難だと言っていますが、国内で政局争いをしている場合ではないです。トランプ政権にも知日派、親日派の幹部はいますから、与野党含め日本の持てるリソースを総動員してキーパーソンに働きかけていく必要があります。中長期ではアメリカ依存度を下げ、東南アジアやグローバルサウスの国々と連携を深めていくことも並行して模索するべきだと思います。経済でも安保の面でも、対米追従一辺倒ではなく、日本の国としてのあり方を考えていかないといけないと思います。


そして、今日の #ユジコメ はこちら。





過去の #ユジコメ を音声でCHECK!!

  • X
  • Facebook
  • LINE