25.01.30
アメリカ企業の株価も急落、中国『DeepSeek』のAI
ネットニュースの内側にいるプロフェッショナルがニュースを読み解きます。
本日は、情報社会学がご専門の城西大学助教、塚越健司さんです。
今朝、取り上げるテーマはこちら!
【アメリカ企業の株価も急落、中国『DeepSeek』のAI】
吉田:中国のスタートアップ企業「DeepSeek」の生成AIが、NVIDIAなど、アメリカのハイテク企業の株価を急落させるなど世界のAI業界に強い影響を与えています。そこで、DeepSeekの生成AIについて塚越さんに詳しくお聞きします。
ユージ:今週、世界中で話題になっている、中国のDeepSeekとそのAI、昨日もお聞きしましたが、改めてどんなものか教えてください。
塚越さん:まず、このDeepSeek、中国で2023年に設立された、とても新しいスタートアップで、創業者の梁文鋒(リャン・ウェンフォン)氏は39歳と若い方です。DeepSeekはChatGPTに匹敵するレベルの性能で、アメリカでは今週月曜、Appleのアプリストアランキングで1位になるなど、一気に注目を浴びています。ChatGPTは、有料版でないと使えないレベルの高いものとかありますが、DeepSeekは現在、回数制限などはありますが、多くは無料で使えます。大きく注目されたのは、「開発費用」です。費用は600万ドル=およそ9億円で作ったと言われていて、ChatGPTをはじめ、多くの生成AIが数百億やそれ以上と言われるなか、通常の10分の1からそれ以上のレベルで「安く」作ったというところが非常に注目されています。商業利用する場合も、ChatGPTよりも価格が安いということです。
ユージ:ちょっと安いじゃなくて、大幅に安くてビックリしました!結局、NVIDIAの株価がおよそ90兆円暴落したのにもビックリでしたね。
塚越さん:すごいことですが、現状アメリカから中国に対して、レベルの高い半導体は輸出できないルールになっています。生成AIの開発には半導体が不可欠なのですが、DeepSeekの開発、実はNVIDIAのレベルの高い半導体を使えず、型落ちのレベルの低いものを使っているのにもかかわらず、最先端のChatGPTと同レベルのものをつくれてしまったというところが、驚いているということです。様々な報道によると、この話どこまで正しいかには疑問の声もあるのですが、基本的にはアメリカよりも環境が劣っているのに、すごいものをつくったというのは事実かなと思います。なかなか興味深いもので、オープンソースというもので技術を公開しています。なので、誰でもDeepSeekの技術を使ってさらに新しいものも作れます。すごいことですよね。
ユージ:だからこそ、NVIDIAのような大きい企業の価値が見直されたんですね。
塚越さん:生成AIはアメリカ市場を独占していますけど、技術をあえて公開するということで、DeepSeekは知名度を上げるという点もあるのかなと思います。
吉田:良い話ばかりのような気もしますが、 DeepSeekのAIについて懸念点はありますか?
塚越さん:まずは、中国企業ということで1989年の「天安門事件」の件や2014年に香港で民主的なデモ「雨傘革命」などを尋ねると、あまり答えてくれないということです。中国寄りの回答が来るというころもあります。ここは中国製のAIだな、という感じです。他にも、中国企業ということで、場合によっては個人情報が特定の条件で中国政府にわたる可能性もゼロではないので、セキュリティなど注意しておく必要はあると思います。一般ユーザーが普通に使う分には、問題はないかなという気がしますがこの辺りは注意してください。もう1点気になる点が、米ブルームバーグ通信が「DeepSeekの関係者がオープンAIからデータを不正に入手した可能性がある」と報じ、こういう点ももしかしたら捜査とか進む可能性があって色々な懸念点があるということは事実かなと思います。
ユージ:DeepSeekのAI、世界にどんな影響を与えると思いますか?
塚越さん:生成AIはアメリカ一強と言われていたのですが、最近は中国通販大手のアリババという企業も新しい生成AIを出して、これもレベルが高いと注目されています。アメリカの生成AI一強時代が終わる、と感じる人もいるかもしれませんが、個人的にはまだ早いのかなと思っています。OpenAIとか、大きな予算を出しているので新しいものを常に作るので、株価が一時的に下がりましたけどある程度戻ってくる部分もあるのかなと思います。今回の中国の動きは、アメリカの新製品の良いところを“安い値段で同じようなものを作ってくる”というところです。ただ、この技術は先ほども述べたように公開しているのでアメリカのエンジニアもこれを見て、この技術を参考にしてさらにレベルの高い、かつ省エネ設計を出してくるのではないかと考えています。お互い切磋琢磨するという点はあるのかなと思います。アメリカの企業も基本的には脅威ではあるけど、歓迎するという点もあります。一方で、世界中にDeepSeekという名前を売ったので、これからハイテク企業は2~3年経つと一般化します。まずは名前を売るということが大きかったのかなと思います。サービスの候補の中に中国も企業の名前が入ってくるということは、生成AIの中では大きいのかなと思います。個人的にはこういう話があるなかで、日本の話あまり聞きませんよね…。
ユージ:いやー。大丈夫ですか。取り残されないで欲しいなと思います。
塚越さん:技術公開もありますし、こういうのも参考にして日本ももう少し頑張って欲しいと思いますね。
そして、今日の #ユジコメ はこちら。
#リポビタンD TREND NET #ユジコメ①
— TOKYOFM/JFN『ONE MORNING』 (@ONEMORNING_1) January 30, 2025
『米企業の株価も急落、中国 #ディープシーク の生成AI』
これまでAI開発に高額な費用が必要とされてきた中で、中国のスタートアップ #DeepSeek が、わずか9億円という革命的に低い価格で、ChatGPTに匹敵するレベルの生成AIサービスを開発しました。#ワンモ
#ユジコメ②
— TOKYOFM/JFN『ONE MORNING』 (@ONEMORNING_1) January 30, 2025
この影響で #NVIDIA の株価が急落するなど、世界のAI業界は大きなダメージを受けたと思います。
世界で力のあるAI企業は数えられるほどで新規参入すら困難な中、高性能かつ低コストのAIが実現されたことにより、AIの価格競争が激化する時代に突入するのではないでしょうか。#ワンモ
#ユジコメ③
— TOKYOFM/JFN『ONE MORNING』 (@ONEMORNING_1) January 30, 2025
さらにDeepSeekは、技術がオープンソースとして公開されている為、後に続く企業が世界各国に現れてもおかしくありませんし、AIの進化も加速する可能性があります。
気になるのは、AI技術で遅れをとっている日本が、果たしてその流れに乗ることができるのかということです。#ワンモ
#ユジコメ④
— TOKYOFM/JFN『ONE MORNING』 (@ONEMORNING_1) January 30, 2025
日本はかつて半導体の製造などで先を行っていた国なので、技術と知識でこの波に追いついてほしいですし、ぜひともAI技術で世界を先導する“リーディング・カントリー”になってほしいと思いました。#ワンモ