network
リポビタンD TREND NET

今、知っておくべき注目のトレンドを、ネットメディアを発信する内側の人物、現代の情報のプロフェッショナルたちが日替わりで解説します。

25.01.29

OpenAIが発表した新機能『オペレーター』について

null

ネットニュースの内側にいるプロフェッショナルがニュースを読み解きます。
本日は、情報社会学がご専門の城西大学助教、塚越健司さんです。
今朝、取り上げるテーマはこちら!


【OpenAIが発表した新機能『オペレーター』について】

吉田:「ChatGPT」の開発を手がけるアメリカの「OpenAI」は1月23日、AI=人工知能が人に代わってパソコンを操作し、レストランの予約などを自律的に行う「オペレーター」と呼ばれる機能の提供を新たに始めたと発表しました。塚越さん、この「オペレーター」とはどのような機能なのか、教えてください。


塚越さん:簡単に言うと、ブラウザ上でやって欲しいことを文章で指示すると、AIが秘書のように自分に代わって、例えば飛行機の予約といった操作をしてくれるというものです。これまでも調べてくれる機能はありましたが、実行までしてくれるのは新しい、ということですね。デモンストレーションでは「今夜7時にこのレストランで2人予約」と頼むと、AIが調べてくれて「7時は空いてなくて、7時45分なら空いていたけど、予約します?」と返してくれました。他にも「あさりのパスタをつくるから食材を買って」と指示すると、レシピを探して買い物サイトから食材をカートに入れてくれたりします。買い物サイトでログインが必要な場合や、クレジットカードを使う場合には人間が作業しなければなりませんが、秘書がやって、最後に責任者がサインするといった感じですね。一部最初から自動でログインできるものや、あるいは1回やれば2回目以降は勝手にやってくれる、というようなこともできるということです。こうした機能は、去年末あたりから「AIエージェント」という名前で、2025年にこういうサービスが沢山出ると言われていましたが、それが実際に登場してきました。一方、去年の段階で、OpenAIと競合しているAnthropicという企業(Claude生成AIサービスを運営)が同じような機能を発表していますし、同じようなサービスに同業他社が次々と参入しています。今回のOpenAIの機能ですが、現在は月額200ドル(=3万円)の契約をしているアメリカのユーザーだけが利用可能ということです。ただ、順次アメリカ以外の国と、20ドル(=3,000円)の有料ユーザーにも開放するということなので、これから日本でもある程度の人が使えるようになると思います。


吉田:こちらの機能には、懸念点もあるようですね?


塚越さん:そうですね。まず前提として、実践的なレベルかどうかというと、正直いろいろなレビューなどをみても、実用は「まだまだ」という感じですね。というのも、ログイン作業をしなければならないので、現状だと、人間が作業に間違いがないか調べたりします。そうなると結局、時間がかかるわけです。ただ、これに関しては、使うユーザーが増えるほど精度が上がるので、数年後にはかなり実用的になるかもしれません。ChatGPTも、最初は「大したことない」といった声も多かったですが、状況は変わりましたよね。ただ、実用的になればなるほど懸念も大きくなります。例えば、AIエージェントを騙して、間違った商品をカートに入れさせる詐欺的な技術が増えたりする可能性があります。もっというと、今以上にBoTが大量のレビューを投稿して、商品としては大したことがないのに人気があるということにして、AIエージェントにその商品を買わせようとする、ということもあり得ます。人間も商品を選ぶのに疲れてきているので、ちょっとしたものなら、「数百円だし、いいよ」と「AIが言うならOK」ということになると、結果的に質の低いものが購入されることになるかもしれません。逆にそういった偽レビューなどが増えると、世の中そんなにAIに頼れないということで、人間がやらないといけないということになります。新しいサービスには詐欺がつきものなので、このあたりは課題かなと思います。


ユージ:こちらの新機能、塚越さんはどのようにご覧になりますか?


塚越さん:お話してきたように、まだまだ初期段階で、日本で使えるようになるのも、一般で普及するのももう少し先ですが、時間の問題かなと思います。今後、AIが自分で考える自律的な行動が増えると、ますます秘書のような存在となります。例えば、スマホの健康管理アプリなどと連携することで「そろそろ寝ましょう」とか通知してくれるし、カレンダーと紐づけると「明日はゴルフでしょ。早く寝なさい!」とアニメキャラの声で言ってくれるなど、そういったことも沢山できるのかなと思います。あとは、できることが増えた時に「AIをどこまで信頼していいのか」ということも課題になるため、色々なシステムと連携して、新しい助言をしてくれるサービスがスマホの中で完結するというのもある気がします。ユージさんはどうですか?「こんなアプリがあったらいいな」とか。


ユージ:難しいなぁ。アプリはちょっと分からないけど、『オペレーター』に関しては良いなと思ったんですよ。例えば、旅行の予約したいとき、目的地と人数を設定すれば“どこか1番安いか”とかね。食材に関しても、高い食材をどんどんカートに入れるのではなく、ネット上の色んなところで値段などを見極めたうえでやって欲しいですよね。


塚越さん:今のところ、最終的に人間が色んなところを見ないと不安、というところはありますよね。


ユージ:それが結構大変なんじゃないかなと思います。ただ、期待している部分もあります!


そして、今日の #ユジコメ はこちら。





過去の #ユジコメ を音声でCHECK!!

  • X
  • Facebook
  • LINE