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24.09.18

『高齢社会対策大綱』、6年ぶりに改定 主なポイントは？

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ネットニュースの内側にいるプロフェッショナルがニュースを読み解きます。
本日は、情報社会学がご専門の城西大学助教、塚越健司さんです。
今朝、取り上げるテーマはこちら！


「『高齢社会対策大綱』、6年ぶりに改定 主なポイントは？」

吉田：政府は先週金曜日の閣議で、新たな「高齢社会対策大綱」を決定しました。「高齢社会対策大綱」の改定は2018年以来、6年ぶりです。塚越さん、まずは、この「高齢社会対策大綱」とは何か改めて教えてください。


塚越さん：あまり聞き慣れない言葉ですね。「高齢社会対策大綱」ですが、これは政府が推進する、中長期にわたる高齢社会対策の指針のことです。もともと1995年に施行された「高齢社会対策基本法」の中で、大綱の策定が義務付けられています。そこで内閣府が大綱案を作成して閣議決定という流れがあり、今回も先週金曜に閣議決定されました。はじめて策定されたのは1996年で、以降は社会や経済状況の変化を踏まえて、概ね5年を目処に見直しが行われますが、今回は6年ぶりの改定です。


吉田：新たな「高齢社会対策大綱」には、どのような指針が明記されたのでしょうか？


塚越さん：今回の改定で重要な点は、医療費の自己負担です。まず現在、75歳以上の「後期高齢者」の窓口負担は原則1割。一定の所得があれば2割、そして「現役並の所得のある人」(単身世帯で年収383万円以上)この方は3割負担です。ただ、高齢化が進行する中で医療費は膨らむ一方で、将来的な制度の持続が危ぶまれている現状です。高齢者の方も制度を「支える側」になるということで、3割負担の対象者の拡大を検討するというものです。例えば、単身で383万円よりもう少し低くても3割にしようと。そういうことを考えています。岸田総理は「全ての世代の人が支え合い、持続可能な社会を築いていく」と述べていますが、具体的にどのような線引きがなされるかはまだ分かりませんが、働いている高齢者の方にはちょっと線引きが変わるかなというところです。


ユージ：「医療費の自己負担」の他に、どんな指針が明記されましたか？


塚越さん：高齢者がもっと働くことを目指しています。去年65歳〜69歳の就業率が52％でしたが、これを2029年までに57％まで引き上げるという数値目標も掲げました。もう少し働いてもらうということです。今も働いていると思います。さらに70歳まで働くことができる企業の割合が、去年は29.7％だったのですが、これも2029年に40％まで高めることを目標に掲げました。正社員の方ももっと増やそうということです。どうやって増やすの？ということですが、高齢者の労働に対する支援として挙げられているのは、リスキリング＝学び直しです。もう1つは、65歳以上への定年を延長すること。そして、66歳以上も働ける「継続雇用制度」を導入する企業を支援するといった内容が記載されています。今回の大綱では、年齢で「支える側」と「支えられる側」を分けない「新たな高齢期像」を提示しています。年齢に関係ない「エイジレス社会」と書いています。聞こえはいいのですが、少子化や人材不足が叫ばれる中、良くも悪くも「もっと働いてくれ」ということかなと思います。一方、60歳以上の人で一定の年収を得ると厚生年金が減額される「在職老齢年金」という制度の見直しについても議論があったのですが、こちらは厚生労働省で検討中のため、大綱への明記は見送られました。どういうことかというと簡単に言えば、高齢者の方は「稼ぐほど厚生年金の手取りが減る」という仕組みでした。厚生年金が減るのは嫌だということで労働を控える方も出ています。高齢者の方の労働を増やすのであれば、ここは早期に改善して欲しいかなと思います。


ユージ：新たな「高齢社会対策大綱」、塚越さんは、どうご覧になりましたか？


塚越さん：65歳以上の給与所得者は、2007年に282万人でした。2019年で589万人、そして2022年のデータだと900万人を超えて一気に増えています。確かに人材不足ですし、少子高齢化ということで元気のある方に働いてもらいたいということです。3割負担を見直すということは、要するに高齢者は負担増ということ。支援という言葉が128回記載しているのですが、実際どこまで支援してくれるのか、まだよく分からない部分があります。そこはきっちりやらないと、絵に描いた餅になってしまうなと思います。もう1つ言えば、岸田政権が終わるということで対抗が大きく変わるということではありません。最後の方に岸田さんも終わるのが分かっていて、事実上の負担増になるので、国民の負担が増えた政権だなと思います。色々と動いていきますが、この辺りをみていかないといけない問題かなと思います。


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