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今、知っておくべき注目のトレンドを、ネットメディアを発信する内側の人物、現代の情報のプロフェッショナルたちが日替わりで解説します。

24.09.12

選択的夫婦別姓で議論されていること

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ネットニュースの内側にいるプロフェッショナルがニュースを読み解きます。
本日は、情報社会学がご専門の城西大学助教、塚越健司さんです。
今朝、取り上げるテーマはこちら!


「選択的夫婦別姓で議論されていること」

吉田:希望すれば結婚後も夫婦がそれぞれ従来の姓(名字)でいられる「選択的夫婦別姓制度」の法制化が自民党総裁選の争点の1つになっています。NHKや各新聞社などの世論調査では、賛成意見も多い中、「家族の在り方が変わってしまう」などの反対意見もあり、議論が続いています。


吉田:塚越さん、「選択的夫婦別姓制度」について教えてください。


塚越さん:希望すれば結婚後も夫婦がそれぞれの性=名字でいることを認める制度です。「選択的」とついているように、あくまで「希望すれば」ということで、義務ではありません。現在の民法では、結婚すると男女いずれかが姓を変える必要がありますが、2017年の「人口動態統計調査」によると、姓を変えたのは女性が96%と圧倒的に女性が変える例が多いです。当然、性が変われば仕事や日常生活でも不利益を被ります。例えば学者の業界では、姓が変わると研究業績が分かりづらくなりますし、結婚前までずっと使っていた姓が使えなくなることで、「アイデンティティの喪失」を感じた方も多いと思います。当たり前ですが、引っ越しても手続き等は面倒ですよね。姓となると、とんでもないレベルの不便不利益があります。もちろん結婚後も通称を利用するという手段もありますが、それにしたって手続きは面倒ですし完璧ではないという指摘があります。また選択的夫婦別姓の議論は、「法制審議会」が選択的夫婦別姓の導入を含む民法改正案を1996年に答申してから、30年近く議論が続いています。維持的にずっとほっとかれたということもありますが、経団連も今年6月に早期の導入を求める提言していますし、国連の女性差別撤廃委員会からも複数回、制度を整えるよう是正勧告を受けています。


ユージ:結局、どんなことが議論されていますか?


塚越さん:制度導入の課題としては、子どもの姓があります。こちらは、海外でみると兄弟で姓を統一する国もあれば、統一しない国もあり、日本で導入するなら、具体的な制度設計が必要です。次に、現行の戸籍制度は夫婦同姓を前提にしているので、新しいシステムづくりも必要となります。あるいは、企業や団体も書類の取り扱いなどに新しいルールづくりが必要になる可能性もあります。いろいろとありますが、姓を変えないというのは、結婚前のままということですし、海外にも沢山事例はあるので、参考資料は沢山あるかと思います(むしろ先進国で、夫婦同姓は珍しい)。また大きい点としては、家族の絆や一体感が失われるといった、主に保守層の反対の声があります。(特に自民党保守層からの反対の声があります。)ユージさん、議論されていることについてどう思いますか?


ユージ:僕は夫婦の選択的がポイントで、選択できるのであれば僕は賛成です。これまで通り姓を統一したい方は、統一すればいいですし、分けたい方は分ければいいと思います。これ当たり前に議論するべきことではなくて、ここに時間を使っている政治がもう気になります。


吉田:「選択的夫婦別姓制度」を導入されると、どんな影響がありますか?


塚越さん:色々とありますが、まずはアイデンティティや多様性を尊重するという点です。話してきたように96%姓を変更するのは圧倒的に女性で、女性の方に困難が多いです。ジェンダーや平等につながるかなと思います。もう1つは結婚のハードルが下がることです。戸籍や免許証など手続きのハードルがあります。もともとの姓への愛着やアイデンティティ、学者さんの例も出しましたが、姓を変えることによる不利益がなくなるのが大きいかなと思います。女性の姓を変える割合が96%ということですが、吉田さん、いかがですか?


吉田さん:確かに手続きが面倒でしたね。吉田じゃなくなるというさみしさはありました。ただ、仕事が吉田のままなのでそういったところは全然気になりません。私が気になるのは子供のことです。子供が生まれた時にどうするのか話し合いで決まるのか。


ユージ:どちらの姓をとるかということですね。


吉田:そうです。親権な感じがしますよね。そういうところで、話し合いで決まるのかなと思います。


塚越さん:そこの議論は、家族で決めるのが大事です。


ユージ:塚越さんは、「選択的夫婦別姓制度」についてどう思いますか?


塚越さん:私も、この制度の導入に賛成です。色々みると世論調査で6割とか場合によっては7割参戦しているという部分で、一部の総裁選で慎重な議論がという話がありましたが30年くらいやっているわけではありません。基本的には進めると政治的な解決だけです。もう1つ言うと、今回、自民党総裁選ということで色々注目されていますが、自民党以外の政党が色々あります。基本的には皆さん賛成です。そう考えてみると今回これで自民党がやっているというよりか、むしろ反対しているのは自民党の保守的な人たちと言われていますので、そう考えてみるとその辺も我々含みをおいたうえで今回の選挙だったり、全体の政治をみていく必要があるかなと思います。


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