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24.08.21

訪日外国人の免税制度、見直しへ その背景は？

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ネットニュースの内側にいるプロフェッショナルが、注目のニュースを読み解きます。


今日はダイヤモンド・ライフ副編集長の塚越亮介さんにお話を伺いました。塚越さんが注目した話題はこちらです。


「訪日外国人の免税制度、見直しへ その背景は？」

吉田：政府与党は、日本を訪れる外国人観光客らを対象とした「消費税の免税制度」の見直しを検討しています。塚越さん、見直しが検討されているのは、どのような制度ですか？


塚越さん：海外で暮らしていて外国人観光客や、海外で暮らしていて一時帰国中の日本人を対象に、日本「国外」で消費する目的で商品を購入する場合、一店舗につき5,000円以上の購入で消費税分が免除される制度です。対象となるのは、時計や靴といった「一般物品」のほか、食品や化粧品といった「消耗品」など、個人が日常生活に使う目的に限られて免税が行われています。


吉田：政府は、この免税制度の見直しを検討しているということですが、こちらは、どのような背景があるのでしょうか？


塚越さん：昨今は訪日客が免税で買ったものを海外、または日本国内で「転売」していると疑われるケースが多くなっているのが理由です。そもそも消費税は、国内で消費されるものやサービスに課税されるものです。なので、海外で使うために国外に持ち出されるものには消費税が免税されるわけですが、海外でも事業目的だったり、国内での転売目的の場合は免税の対象外になります。日本の今の制度は、訪日客はパスポートをみせれば最初から消費税分を除いた金額で商品を購入できるのですが、実はこれは世界でも珍しい仕組みです。ヨーロッパなどでは、出国の時に税関で確認を受けた後に消費税が還付される「還付方式」が一般的です。最初に消費税込みで購入して最後に還付されるのがヨーロッパなどで一般的になっています。税関は店から提供される「購入記録情報」などを基に、観光客が免税された適度の量のものをきちんと国外に持ちだすかどうかや、また国内で転売などしていないかを含めて確認します。ですが現状は、多くの観光客が税関検査に立ち寄らずに出国します。例えば2022年度、免税制度を使って1億円以上を購入した訪日客のうち57人を検査したところ免税品を国外に持ち出した人は1人だけだったということです。


吉田：57人もいたんですね。(笑)


塚越さん：つまり、その他56人は転売など国内で消費したと疑われるので、消費税を払わなかればならなかったわけですが、払ったのはこれまた1人だけで残りの55人は納税しないまま出国しました。結局、滞納額は計18.5億円となりました。問題ですよね。


ユージ：問題ですね。


塚越さん：一方、客による大量購入などで転売が疑われるケースでは、国税庁が免税店に管理を怠ったとして追徴課税を命じるケースもあります。百貨店や家電量販店などで、数億円の追徴課税が命じられるケースもあったということです。


ユージ：免税店も可哀そうですよね。結局転売されてしまったのに、自分が罪に問われますよね。この免税制度の見直しについて、例えば、どのようなことが検討されているのでしょうか？


塚越さん：政府与党は現状を踏まえて、観光客に最初から消費税込みで買ってもらって、最後に税関で購入記録と買ったものを示し合わせた上で、消費税分を返金する方式に変更する考えです。ヨーロッパなどで一般的な方法に合わせるということですね。また現金での還付は手続きが面倒なので、クレジットカードや電子マネーといったキャッシュレスでの還付を促すということです。今後は詳細を詰めて、2025年度の税制改正に盛り込むことを目指すということです。


ユージ：この免税制度の見直しについて、塚越さんは、どうご覧になりましたか？


塚越さん：必要なことだと思いますが、まず問題なのは「制度」だと思います。店舗側も、人材不足もあって確認がどうしても疎かになったり、また言語にハードルのある観光客に対して「売らない」という対応も少し難しい面もあります。なので店舗というよりは「制度」の改正がまずは重要です。これまでの制度が非常に性善説でできてしまっていたことが問題なんだといった指摘もあります。ヨーロッパなど世界的な標準に合わせればいいのかなと思います。一方で、2022年度に日本国内で免税購入された額は6,000億円なので、例えば消費税が10％として600億円が免税されます。もちろん全部ではありませんが、その中のいくらかは払わなければいけなかったぶんだと考えると海外の方がいっぱい来てくれる分は嬉しいと思います。本来だったら消費税として払わなければいけない部分もあったのかなと思います。巡り巡って我々、日本国民にとっても不利になっていくのでそれを是正するということでは、こういったことが必要だと思います。一方で、新しくする場合では簡単に還付できる方式にしないといけないのかなと思います。そうでないと、観光客の方の購入額が減ってしまうということもあります。その辺は重要ですし、楽しく来ていただいて我々にとっても嬉しいですし観光客にとっても嬉しいというような方法をこれからもさらに突き詰めていくことが重要かなと思います。


ユージ：塚越さん、ありがとうございました。明日もよろしくお願いします。


そして、今日の #ユジコメ はこちら。





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