network
リポビタンD TREND NET

今、知っておくべき注目のトレンドを、ネットメディアを発信する内側の人物、現代の情報のプロフェッショナルたちが日替わりで解説します。

24.08.15

物件高騰により利用が増える住宅”ペアローン”

null

ネットニュースの内側にいるプロフェッショナルがニュースを読み解きます。
本日は、情報社会学がご専門の城西大学助教、塚越健司さんです。今朝、取り上げるテーマはこちら!


「物件高騰により利用が増える住宅”ペアローン”」

吉田:都市部でマンション価格が高騰する中、夫婦や事実婚といった2人が「ペアローン」と呼ばれる連帯して借り入れる住宅ローンを利用しマイホームを買うケースが増えているようです。私も7年ほど前にペアローンで住宅を購入しました。改めて、塚越さんから「ペアローン」について教えてください。


塚越さん:ペアローンとはその名の通り、1つの物件に対してカップルが同じ金融機関でそれぞれローンを組む方法です。多くの場合は、妻と夫が互いの契約の連帯保証人になる。物件の所有権は、資産負担割合と同じで共有名義になります。ローンが2本になるので、金利タイプなど借り入れの条件はそれぞれ設定可能です。例えば、1人は3,000万円を25年、もう1人が20年で2,000万円で5,000万円の物件など色々できます。ペアローンの利用者が増えている背景としては、特に都市部での分譲マンション価格が高騰していることと共働き家庭の浸透が挙げられます。リクルートの調査では、2023年の首都圏の新築分譲マンション契約は、ペアローンの割合が33.9%と2018年の調査以来1番高かったとのことです。結構多いですね。


ユージ:ペアローンのメリットはどういうところでしょうか?


塚越さん:まず2人分の収入で審査されるので、単独の場合より多くの借り入れが可能です。住宅ローン控除が2人分受けられるといった税制上の利点もあります。また将来物件を売却する時に、売却した利益のうち3,000万円まで非課税になる特別控除も2人分適用される可能性があります。なので、ペアローンに向いている世帯としては「カップルのどちらも安定した十分な収入が見込める」「ローン完済まで共働きの予定が立っている」「ライフプランが大きく変わる予定がない」そういった点が挙げられます。


吉田:では、デメリット、注意点は何でしょうか?


塚越さん:まず相互で連帯保証人になることが多いですが、一方の収入が下がってしまうと自分のローン返済にプラスして、相手の分も返済する義務があります。なので、2人分の収入を見込んで借りすぎると、いざという時に大変になります。もう1つは、ライフプランが大きく変わる時です。例えば子どもが産まれると育児休業や短時間勤務で収入が減る場合もありますし、子育てしながらの共働きができるかどうか。産まないということではなくて、こうした「ライフプラン」を込みで考えておきましょうということです。


吉田:金融機関によって、妊娠・出産すると金利を下げてくれるところなどあります。そういうのを探すといいかもしれませんね。


塚越:そうですね。その辺りの検討も必要になります。もう1つ言ってしまうと、片方が亡くなってしまうこともあります。ペアローンでは、なくなった時にローン残高が保険金で返済される「団体信用生命保険」にそれぞれが加入しますが、返済されるのは亡くなった人の分です。もう一方の返済は残るので、お互いに生命保険の死亡保障を検討する必要もあります。最近は、片方が亡くなった際にそれぞれの住宅ローンが0円になる保険もありますが、それらも含めて検討する方はよく検討してください。そして、一番の懸念はやはり「離婚」ですよね。離婚しても契約内容は変わらないので、色々と協議が必要になるかなと思います。場合によっては、相手が自分の共有持分を勝手に売却するケースもあるとのことで、これも大きな懸念点ですね。


ユージ:メリット・デメリット上げていくと沢山ありますが、塚越さんは、「ペアローン」の利用者の増加についてどう見てますか?


塚越さん:これだけマンション価格が高騰すると、ペアローンを検討する人も多いと思います。一方で、人生何があるか分かりませんので、ペアローンを組む場合は、やはりお互いの「絆」が大事になります。「絆」が大事だと言われますが、逆に言えば絆がなかなか形成しづらい時代だということの調査でもあるのかなと思います。なかなかその辺りで一緒になっていくことが厳しい時代になっていますので、例えば結婚前に婚前契約などといってもし離婚した場合どうするか決めるというのも最近はあります。そういうのも考える必要もあります。「熟年離婚」を除けば、離婚は結婚してから5年以内が多いといわれます。例えば、その時期を乗り越えてからペアローンという方法もあるかと思います。そういうのにこだわらず、「賃貸」という手段ももちろんあります。今、色々述べましたが個々に考えていただきたいと思います。吉田さんもぺアローンにされたんですよね?


吉田:そうですね。半分、変動。半分固定で契約しています。結構、複雑に返済しています。子どもが2人できるとそのとき思ってもいなかったので、少し狭くなってしまったりなど家を選ぶって本当に難しい問題だなと実感しています。


ユージ:生活環境変わったりしますからね。


塚越さん:みなさん考えてみてください。

  • X
  • Facebook
  • LINE
Top