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今、知っておくべき注目のトレンドを、ネットメディアを発信する内側の人物、現代の情報のプロフェッショナルたちが日替わりで解説します。

24.07.22

いよいよ今週開幕!パリオリンピック 注目ニュース

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ネットニュースの内側にいるプロフェッショナルが、注目のニュースを読み解きます。


今日はダイヤモンド・ライフ副編集長の神庭亮介さんにお話を伺いました。神庭さんが注目した話題はこちらです。


「いよいよ今週開幕!パリオリンピック 注目ニュース」

吉田:今日は、今週金曜日に開幕するパリオリンピックに関する注目のニュースを神庭さんに解説してもらいます。まずは先週末、体操の女子代表で主将に選ばれていた宮田笙子選手が出場を辞退というニュースがありましたよね。


神庭さん:びっくりしましたが、先週の7月19日(金)に宮田選手が代表の事前合宿から離脱したと報じられました。報道によると6月末から7月の間に都内で1度喫煙をした。さらに、都内のナショナルトレーニングセンターでの合宿中に1度、酒を飲んだということです。ご存知の通り20歳未満の飲酒と喫煙は法律で禁じられていますし、日本体操協会の行動規範でも禁止されています。


ユージ:協会の規範には、どういったことが書かれているのでしょうか?


神庭さん:「体操ニッポン」という称号は長い栄光の歴史の中で、先人たちの競技成績だけでなく行動により培われたものである。一部の選手や役員の行動により、先人たちが築き上げた栄光の歴史を汚す行為は、決して許されないという趣旨が書かれています。違法行為は行わない。日本代表チームとしての活動の場所においては、20歳以上であっても飲酒と喫煙は禁止という非常に厳しい内容です。宮田選手は飲酒と喫煙を認めたうえで「競技目標に対して数々のプレッシャーもあり、そのような行為に及んでしまった」と話しているそうです。


吉田:ネット上ではどういった意見が出ていますか?


神庭さん:本当に賛否両論、割れています。五輪辞退に賛成する意見としては、ルールはルール。五輪選手として自覚が足りない。OKにしたら他の選手に示しがつかない。子ども達に悪影響が出る。たかがタバコといいますが、その「たかが」も守れないのは問題という意見があります。反対意見としては、五輪辞退はペナルティーが重すぎる。法律は未成年の健康を守るためのもので、罰せられるのは本人ではなく、保護者や未成年と知りながら売った事業者。罪のない者だけが石を投げよ。次の五輪では年齢的にピークを過ぎてしまうのでは?という、議論百出という感じです。


ユージ:神庭さんはどう考えますか?


神庭さん:罪と罰のバランスは考慮した方がいいかなと思っています。五輪辞退以外のやり方での処分、真摯な反省を促す方法はなかったのか。この騒動で真っ先に思い出したのが、2010年バンクーバー冬季五輪の時のスノーボード國母和宏選手です。「腰パン」が問題視され、服装がだらしないと批判を浴びて記者会見で「チッ、うるせーな。反省してまーす」と発言したことで、ますます火に油を注ぐことになりました。この時は全日本スキー連盟が出場辞退を申し出ましたが、橋本聖子団長が「私がすべて責任を負う」とGOサインを出して事態を収拾。最終的に五輪の試合には出場するものの、開会式は欠席するというバランスの取れた選択をしました。


ユージ:当時から僕はちょっと厳しいなと思っていました。腰パンは、着崩した着方であって違う服を着たら問題です。そこは少し理解してもいいのかなと。


神庭さん:単純比較できない部分もありますが、僕も今回お咎めなしにしろといっているわけではなくて、罪の大きさに相応しいお咎めであるべきだとしています。一方で、スポニチは宮田笙子選手について《以前から素行の悪さを問題視する声があり、喫煙について「過去に厳重注意を受けていた」との証言もある》と報じています。「1発アウト」ではないとすると、また話が変わってくる部分もあるかもしれません。


吉田:オリンピックの注目ニュースについて他には何がありますか?


神庭さん:暑さ対策が非常に心配です。フランスでは去年の夏に猛暑で5,000人以上亡くなっています。20年前の2003年には1万5,000人もの犠牲者が出ています。そんなシャレにならない暑さにもかかわらず、環境対策を理由に選手村にエアコンを設置していません。「付き合いきれませんわ」ということで、日本・アメリカ・オーストラリアなどは自前でエアコンを注文。移動式エアコンの注文数は各国合計で2,500台にも達しています。完全に本末転倒でエコ五輪のコンセプトは破綻しています。気候変動の影響もあり、年々夏の暑さは厳しくなっています。選手や観客の健康を考えるのなら、今後は開催時期を秋や春に移すことも検討してもいいのかなと僕は思います。そしてオリンピック視聴のスタイルがどう変わるかにも注目しています。


ユージ:それは、どういうことですか?


神庭さん:日経新聞に【五輪、見たいのは「ハイライトだけ」生中継よりSNS動画】という記事が出ていました。テレビで五輪中継を見る人が年々減る一方で、SNSで効率良くハイライトだけチェックする、タイパ観戦が広がっているというニュースです。民放各局は高額な放映権料を払う一方で赤字なので、大きな負担になっています。そこで、SNSのタイパ観戦がさらに広がると無料で放送継続が難しくなる可能性があるかもしれません。五輪放映の在り方も岐路に立たされてきているのかなと思います。

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