22.12.21
与党の税制改正大綱 盛り込まれた増税措置は？
ネットニュースの内側にいるプロフェッショナルがニュースを読み解きます。
コメンテーターは引き続き、情報社会学がご専門の学習院大学 非常勤講師、塚越健司さんです。
今朝、取り上げるテーマはこちら！
与党の税制改正大綱 盛り込まれた増税措置は？
吉田：自民・公明両党は先週金曜、防衛費・増額の財源を賄うため、法人税、所得税、たばこ税の3つの税目で増税などの措置を取ることを盛り込んだ、与党の「税制改正大綱」を決定しました。この増税で2027年度に1兆円を確保するのが目的です。これを受けて政府は来年度の税制改正に向けて、関連法案を来年の通常国会に提出する方針です。塚越さん、法人税、所得税、たばこ税はそれぞれどのぐらいの増税になるのでしょう？
塚越さん：まず、法人税ですが、本体の税率は変えずに別途「付加税」として4〜4.5％の比率を税額に上乗せします。ただし中小企業への配慮として、税額500万円以下、所得では約2400万円相当の法人はこの付加税対象外とします。次に所得税は、1％の付加税を上乗せする代わりに、所得税額の2.1％となっている「復興特別所得税」の税率を1.1％に引き下げることになります。税額は変わらないですが、2037年までの予定だった復興特別所得税は、13年程度延長する案があり、増税には変わりないです。3つ目のたばこ税は、段階的に1本あたり3円相当を引き上げる計画です。ただ、対象は加熱式たばこのみとするか、紙巻たばこも含むかは検討中とのことです。気になる増税のタイミングですが、「2024年以降の適切な時期」といった表現にとどまっており、また税目ごとの税収規模も示されていないです。先に述べた通り、2027年度に1兆円を確保する狙いですが、経済状況などによっては増税が先送りになる可能性もあります。与党内でも様々な反発があったことから、まだ詳細を固めきれていないです。
吉田：税制改正大綱、他にはどのようなことが盛り込まれたんですか？
塚越さん：他には個人投資家のための税制優遇制度「NISA（少額投資非課税制度）」を2024年から大幅に拡充することが盛り込まれています。年間の投資額上限を引き上げて、生涯の投資限度額が1800万円になります。岸田政権が掲げる「新しい資本主義」を後押しするため、金融分野へ力を入れるということです。また、車の燃費に応じて車検の際等にかかる自動車重量税を安くする「エコカー減税」。こちらは2023年4月末までの予定だった制度を、3年間延長することが決まりました。ただし、減税を受けられる基準を2024年から引き上げて、エコでないガソリン車等への優遇は限定されることになりました。さらに、富裕層の所得税負担が減る傾向にあるいわゆる「一億円の壁」を是正するために、合計所得が30億円を超える超富裕層に対する課税を強化するということです。ただし、そのレベルの超富裕層は200人〜300人ということで、それらの人が数％税率が上がったところで本当の格差是正になるか、という声もあります。1億〜30億の人には課税できなかったということです。
ユージ：与党の税制改正大綱、塚越さんはどのような印象を持たれていますか？
塚越さん：防衛費増額を補うための増税案ですが、防衛費の増額は国の大きな方向転換であり、この是非を問う議論をすっ飛ばして、ここまで増税案の詳細が議論されていること自体が問題だと思います。社会の根幹をなす安全保障の議論ですが、実務者協議は非公開で議事録も公表されていません。よく分からないままここまで来ています。そして今、増税問題に議論を進めることで、「防衛費増額」が事実上承認されたことになっています。こうした政治のやり方は、防衛費増額に賛成、反対に関わらずおかしいと感じるべきだと思います。増税が必要なレベルの防衛費増額なのだから、ミサイルの値段や能力等も国民が知るべきであります。その上で、まず復興税の税率を下げて所得税を上げ、復興税が延長される点。復興税は延長するにせよ、結局は被災地の復興を後回しにしているといった批判があります。秋葉復興大臣は11日、復興財源が防衛費に使われることはないと述べていますが、復興に関わる予算等に影響が出ないかどうか等、丁寧な説明が必要です。また、増税はすぐにではないにせよ、数年後の増税を見越しているということになるので、消費マインド、節約志向が更に加速する可能性があります。目下の賃上げにも影響して景気の悪化も懸念されるので、そのあたりの注意、注目が必要だと思います。
そして、今日の #ユジコメ はこちら。
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— TOKYOFM/JFN『ONE MORNING』 (@ONEMORNING_1) December 21, 2022
「与党の税制改正大綱 盛り込まれた増税措置について」
合計所得が30億円を超える超富裕層に対する課税を強化する お話もありましたが、僕は、個人所得で 30億円以上 稼いでいる方が、2、300人いることに驚きました。
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— TOKYOFM/JFN『ONE MORNING』 (@ONEMORNING_1) December 21, 2022
人口比で考えたら、 2、300人は少ないですが、1人あたりが持つ力は、かなり大きいです。30億円以上の稼ぎがあって、その1人あたり、どのくらいの税金を納めているかは、それぞれ異なりますが、大きな金額の税金を納めていることは間違いありません。
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— TOKYOFM/JFN『ONE MORNING』 (@ONEMORNING_1) December 21, 2022
その際、たった1人が「このまま日本にいるのやだな」となった時、そこに空く穴はとても大きいです。2、300人は人口比だと少ないですが、こういった超富裕層から、大きく税金を取っていくことがあっているのか否か、もっと慎重に議論を進めていく必要があると感じます。
#ワンモ #ユジコメ��
— TOKYOFM/JFN『ONE MORNING』 (@ONEMORNING_1) December 21, 2022
また、30億円未満の所得の人たちに課税をするのか、ここも慎重に進めてく必要があります。防衛費も、具体的な内容が分からないまま、それを補填するための説明だけがされ、お金が一体どういうことに使われるかなど、もっとアナウンスをしてもいいなと思いました。
