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今、知っておくべき注目のトレンドを、ネットメディアを発信する内側の人物、現代の情報のプロフェッショナルたちが日替わりで解説します。

21.12.23

ワクチン接種証明書アプリ、運用開始後の課題

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ネットニュースの内側にいるプロフェッショナルが、注目のニュースを読み解きます。
引き続きコメンテーターは、「BuzzFeed Japan News」副編集長の神庭亮介さんです。
今朝、取り上げるテーマはこちら！


『ワクチン接種証明書アプリ、運用開始後の課題』

吉田：今週20日から、「新型コロナワクチン接種証明書アプリ」の運用が始まりました。このアプリの利用には、マイナンバーカードやパスポートが必要ですが、「旧姓併記」に対応していないことが分かるなど、運用開始後、早々に批判の声があがっています。


ユージ：神庭さん、このアプリ、公開当日はスムーズなスタートでしたか？


神庭さん：「予期せぬエラーが発生しました」とメッセージが出て、うまく登録できないケースが相次ぎました。2回の接種を完了しているのに、「0回」と表示されてしまう不具合も発生しました。この番組のディレクターさんも「0回」と表示されてまったそうです。政府のワクチン接種記録システムのTwitterアカウントは、《接種証明書アプリで、発行回数「0回」やエラーコード「69900」、「90010」が表示されて、接種証明書が発行できない場合は、アクセスが集中している可能性の為、時間を置いてから再度お試し頂くようお願い致します。≫と呼びかけています。


ユージ：それ以外にもトラブルはありましたか？


神庭さん：海外用証明書に関して、iOS版だけ、ローマ字氏名の名字と名前が逆になってしまう、という不具合が発見されています。Android版だと「YAMADA TARO」のように名字、名前の順で、正しく表示されているのに、iOSだとなぜか「TARO YAMADA」になってしまう。ITmediaの報道で発覚したミスですが、よく気付いたなと思います。すぐさま何か問題が生じるわけではないですが、行き先の国によっては「なんでパスポートと順番が違っているんだ？」と聞かれてしまう可能性も考えられます。アプリのアップデートで修正対応するということなので、iOSを使って、名字と名前が逆になっていた人は、ゴミ箱ボタンを押して、古いデータを削除した後に、新しいデータを再ダウンロードしてほしいです。


ユージ：結構、波乱の船出ですね。


神庭さん：初日の月曜夜までに、50万件の証明書が発行されています。相当な数の人が使うアプリなので、アクセスの集中なども含めて、最初のうちはある程度、ミスが出るのもやむを得ないです。致命的なものがあるとまずいですが、そうでなければ指摘を受けて、どんどんアップデートしていけばいいと思います。


ユージ：神庭さんは、アプリを登録しましたか？


神庭さん：昨日登録してみましたが、マイナンバーカードの暗証番号何にしたっけ？という「基本のキ」でつまずいた以外は、概ねスムーズに進んで、ほんの数分で証明書が発行できました。接種回数や接種日、ロット番号も特に間違いはなく、海外版の名字・名前の順番も問題なかった。本当はいろんなトラブルが出尽くしてから、様子を見て登録しようかなーと、ズルい考えでいましたが、今日の番組で取り上げることになったので、「人柱」として登録してみました。マイナンバーカードやパスポートの読み込みは一瞬で、非常にスムーズです。ユーザーインターフェイスは洗練されている印象。


吉田：実際、使いやすいとのことで、専門家の中でも評価は高いようです。ITジャーナリストの三上洋さんにもお話を伺ったのですが、三上さんも、「アプリ開発に時間はかかったが、出来上がったものはよくできています。入力するのはマイナンバーカードの暗証番号だけでよくて、VRS（＝ワクチン接種のデータベース）からのデータ読み出しも早いです。そのおかげで、数分で登録・発行が済むのは素晴らしいです。今までで、もっともマイナンバーカードが役に立った好例といえます。」とおっしゃっています。


ユージ：そんな使いやすいアプリなんですが、問題も発生しているということで。今、「旧姓」を併記している人は、発行できない状態なんですよね？


神庭さん：アプリの利用上の注意に「接種証明書の発行ができない方」として、次の3パターンがあげられています。
・マイナンバーカードに旧姓併記がある方
・パスポートに旧姓・別姓・別名併記がある方
・パスポートとマイナンバーカードの氏名表記が異なる方
結婚で姓が変わったけれど、仕事など公的な場では旧姓利用を続けている、というケースは、女性を中心に多くあります。そういう人たちの利便性の為に、2019年から、マイナンバーカードへの旧姓併記が始まりました。パスポートの旧姓併記も、今年4月に条件が緩和されたばかりです。こうした経緯がある中で、ネット上では「明確な不利益」といった批判の声があがっています。


ユージ：どうして対応できなかったんでしょうか？


神庭さん：デジタル庁の広報担当者は、BuzzFeedの取材に、「旧姓併記の場合は、『苗字（旧姓）名前』というフォーマットになっていることから、技術的な理由で、ファーストリリースでは間に合っていません。今後対応できるように改修する予定です。」と回答しました。牧島かれんデジタル大臣は、記者会見で、今後の改修対応について聞かれ、「年内難しい状況ではありますが、年明け1月以内には何とか、ということで作業を進めてもらっています。」と話しました。これは選択的夫婦別姓に反対するロジックの1つとして、旧姓を通称として使えるので別に問題はないのでは？と言われてきた中で、今回こういう形で、旧姓併記を選んだ人が、明らかな不利益を被る形になってしまったことは残念です。一刻も早く対応してほしいです。


ユージ：そうですね。概ねこのアプリを使用した感想で改善点はありますが、スムーズに登録も出来て便利なアプリになっていく事を期待しています。


そして、今日の #ユジコメ はこちら。



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