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21.09.13

政府が導入を予定している「行動制限緩和」

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ネットニュースの内側にいるプロフェッショナルが、注目のニュースを読み解きます。
今日は「BuzzFeed Japan News」副編集長の神庭亮介さんにお話を伺いました。
神庭さんが注目した話題はこちらです。


政府が導入を予定している「行動制限緩和」について

大島:先週、19の都道府県で緊急事態宣言が延長される一方、酒類の提供やイベント、旅行などへの制限を段階的に緩和する行動制限緩和策の基本方針が示されました。時期のメドについて菅総理は会見で、希望者全員のワクチン接種が完了する予定の「10月から11月の早い時期」と述べています。一気に変わるというより、実証実験をしながら段階的に移行していくということなんですが、神庭さん、具体的な内容について、説明していただけますか?


神庭さん:まず飲食についてですが、宣言エリアでも、第三者の認証を受けた飲食店には、酒類の提供や時短の制限を緩める。さらに、ワクチンを2回接種済みか、検査で陰性である場合にはグループ会食の人数制限を緩和する、ということなんですね。飲食店は日常的に利用するので、人数が少なければ、ワクチンや検査を必須条件にはしないものとみられています。
イベントや旅行に関しても、同じく、ワクチン・検査を受けた場合には緩和するといった対策を打ち出す予定です。
教育に関して、大学などの部活動や課外活動における感染リスクの高い活動についても、ワクチン・検査を受ければ緩和できるよという風にしています。では小中高はどうなのか?教育新聞によると、萩生田光一文部科学大臣は制限緩和について「成人の学生を対象にした話」と話し、小中学校や高校には直接関係はないという見解を示しました。そもそも小中高の修学旅行などは、もともと移動制限の対象になっていません。大人向けの「ワクチン・検査パッケージ」をそのまま当てはめると、緩和というより規制強化になってしまうので、「ワクチンを打っていないと修学旅行に行けないのか?」という話になってしまうので分けて考えようということだと思います。


ユージ:今回の「行動制限緩和」、賛否出てきていますが、こちらについてはいかがですか?


神庭さん:当たり前ですが、飲食業回や旅行業界は賛成・歓迎ですよね。早くもGo Toトラベル再開を望む声が出ています。一方で最前線でコロナ対応をしている医療従事者には慎重論が根強いです。懸念点の一つとして、ワクチンの感染予防効果が時間が経つに連れて段々と落ちてきてしまうことが分かってきていて、ワクチン接種率が高いイギリスやアメリカ、イスラエルでも、デルタ株は猛威を振るったということがあります。感染者数が減ってきたとはいえ、いまだに医療の逼迫は解消されたとは言えず、こうした状況で緩和の話をするのはどうなんだ?という意見もあります。全国知事会は「行動制限の緩和のみが目立つことにより、国民を楽観視させるとすれば、不適切」とする提言をまとめています。


大島:よく、経済をとるかコロナ対策をとるのか?と話題になりますが、やっぱり難しい問題ですよね。


神庭さん:難しいですね。新型コロナに関連する様々な数理モデル分析をしている東京大学 仲田泰祐准教授によると、コロナ危機で増加した自殺者には若い世代が多く、コロナ感染による死亡者には高齢者が多い、と言われているんですね。仲田さんは世界各国の累計死亡者数と経済損失のデータを分析していて、BuzzFeedのインタビューにこんな風に話しています。
「日本ではコロナによる死亡者を1人減らすために社会全体で約20億円を払いたい、という価値観であるという結果が得られました。この20億円という数字は様々な社会経済活動を停止させることによる経済的な損失の平均値です」
この「20億円」という数字をどう考えるべきなのか、すごく難しいと思います。多いのか、少ないのか、妥当なのか。「命と経済」とよく言われますが両者は対立する概念ではなくて、経済もまた命であるということを念頭に、政府分科会が言うような「国民的な議論」をしていく必要があると思います。


ユージ:本当に難しい問題だと思いますが、神庭さんは今後どういった対策が必要だと思いますか?


神庭さん:秋冬にかけて、第6波は確実に来ると思うんですね。行動制限が緩和されても、すべてがOKになるわけではなく、政府分科会の尾身茂会長は「マスク着用などの基本的な感染対策は当分継続してください」と仰っています。緩和はするんだけど、緩めすぎない。引き続き手洗いやマスク着用など、できることは続けていってほしいなと思いますし、個人レベルでの取り組みとは別に、医療体制の整備も不可欠だと思います。自宅療養でたくさん人が亡くなるような悲劇を繰り返さないためにも、感染状況が落ち着いているうちに、医療資源・医療人材の最適な配分、いわゆる「野戦病院」の整備や、オンライン診療の活発化などを進めていく必要があるんじゃないかなと思います。


ユージ:ワクチンを打っている方、いない方、それぞれいらっしゃると思いますが、ワクチンを打っていたとしても絶対にかからないというわけではないので、気の緩みだけは皆さん注意していただきたいですね。


神庭さん:引き続き、マスクと手洗いをしっかりやっていきましょうね。



そして、今日の #ユジコメ はこちら。






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