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21.09.06

菅総理の突然の退陣表明、総裁選のゆくえ

nullネットニュースの内側にいるプロフェッショナルが、注目のニュースを読み解きます。

今日は「BuzzFeed Japan News」副編集長の神庭亮介さんにお話を伺いました。神庭さんが注目した話題はこちらです。


菅総理の突然の退陣表明、総裁選のゆくえ

吉田:先週は神庭さんに、急展開が続いていた総裁選について連日解説して頂きましたが、そんな中、金曜日に飛び込んできたのが「菅総理退陣」ニュースでした。神庭さんは金曜日の一報を聞かれたとき、どんな感想を持たれましたか?


神庭さん:びっくりしましたが、妙な“納得感”もあって、その前に色々なゴタゴタもありましたから「それはそうだよな…」という気持ちもあったんですね。ここでその経緯をおさらいしたいんですけれど、安倍前総理、麻生元総理、二階幹事長ら党内の重鎮の「三すくみ」のような党内力学があって、その絶妙なパワーバランスの上に「菅さん続投」のシフトが敷かれている、という話を先週しましたが、そのパワーバランスが大きく崩れたことで政局になったんですね。
はじめにその引き金を引いたのは岸田さんで、出馬会見で「二階外し」を含む党役員人事の改革案を掲げました。それに対して菅さん側は、不人気の二階さんと一緒に沈んでいくのはまずいので、党役員を刷新して二階さんに幹事長をやめてもらいます、とぶち上げて争点を打ち消す作戦をとったんですね。「なるほど、そう来たか」と思ったんですが、この後が良くなくて、先週火曜日の夜に「菅総理が9月に衆院解散して総裁選を先送りしようとしている」という報道が出て、ここで大きく潮目が変わってしまったんです。


ユージ:これはどういうことなんですか?


神庭さん:「不利だから総裁選をやらない」というのは、ある意味“ちゃぶ台返し”みたいなもので、敵前逃亡ですから、党利党略どころか菅さん自身の延命策のように捉えられてしまって、このまま菅総裁で解散総選挙に突っ込むと議席を大きく減らすことは目に見えていたので、党内からは「無理心中解散じゃないか」と批判の声があがったんです。そこから“菅おろし”の流れが一気に加速していきます。菅さんは翌日に解散を否定したんですけれど“時すでに遅し”で、求心力は大きく低下してしまったんですね。
菅さんは二階さんを外して、党役員に小泉進次郎さんや河野太郎さんを入れることで刷新感を演出することを狙っていたんですが、ことごとくオファーを断られてしまうんです。これはある意味当然のことで、総裁選で菅さんが負けたら、そこでまた党役員は変わってしまうし、新総裁に冷遇される可能性も高いので、進んで泥舟に乗りたがる人はいない…ということですよね。
西日本新聞の報道によると、麻生さんは菅さんから麻生派の河野さんを要職に起用したい、という打診を受けた際「おまえと一緒に、河野の将来まで沈めるわけにいかない」と声を荒らげて断ったということで、菅さんは人事を武器にのし上がってきたんですけれど、最後はその人事に足元をすくわれて行き詰まってしまった、ということだと思います。


吉田:菅総理の不出馬を受け、総裁選はかなり混戦模様となっている様ですね。


神庭さん:混戦ですよね…。まずは岸田さんで、当初は菅さんと岸田さんの一騎打ちだと言われていて、依然として有力候補ではありますが、現職の総理・総裁に挑む「チャレンジャー」の立場から自分が追われる側になり、状況が変わってきてしまいました。 「とにかく菅さん以外の誰かを」という消極的な支持を集めていたんですけれど、候補者が乱立したことで、そこが分散してしまいました。
一方、“台風の目”で最注目なのは河野さん。世論調査で一番の人気がありますし、総理になれば、小泉さん以来の変人総理になるのでは?と言われています。これまでは、菅内閣の現職閣僚として出るのを我慢していましたが、菅さんの不出馬表明でそうした遠慮はいらなくなった、と。党内きっての改革派で、自民党内では珍しく、脱原発や女系天皇の容認論を唱えていますが、一方で、そういった改革姿勢を嫌う保守派の議員が少なくないことも確かではあります。麻生派に所属していますが、麻生さんは「賛成もしないけど、反対もしない」という立場なので、派閥が結束して河野さんを立てるのかというとそういう状況でもなく、そこも含めてかなりの混戦模様ですね。


ユージ:石破さんという声もあがっていますが…


神庭さん:石破さんも、世論調査では次の総理によく名前があがりますよね。ただやっぱり、党内、それも国会議員の間での人気はいまひとつで、昨年の総裁選でも菅さん、岸田さんに次ぐ3位に沈んでしまいました。石破派は17人しかいないので、20人の推薦人を得るには他派閥の協力が必要となってきます。産経新聞は、石破さんが二階さんに支援を要請し、二階さんが「出るならしっかりやれ」と応じた、という関係者の声を紹介しています。


吉田:あと、気になるのが高市早苗さんですね。


神庭さん:そうですね。もし高市さんや野田聖子さんが選ばれれば「第100代総理大臣が初の女性総理」ということになると思うんですが、同じ女性候補といっても異なる点も多く、高市さんは家族観に関して保守的で、選択的夫婦別姓にも反対の立場をとっています。 一方、野田さんはリベラル寄りで、選択的夫婦別姓に賛成の立場だったりと色々違う点も多いので、個別の政策を細かく見ていくのが大事だと思います。


ユージ:衆院選の日程については?


神庭さん:11月上旬から中旬が有力視されているので、それまで色々と注目していきたいと思います。



そして、今日の #ユジコメ はこちら。




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