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今、知っておくべき注目のトレンドを、ネットメディアを発信する内側の人物、現代の情報のプロフェッショナルたちが日替わりで解説します。

20.11.10

大統領選挙における“敗北宣言”』について

null今知っておくべき注目のトレンドをネットメディアを発信する内側の人物、現代の情報のプロフェッショナルたちが日替わりで解説します!!

今日、お話を伺うのは、BuzzFeed Japan News 副編集長の神庭亮介さんです。
神庭さんに取り上げていただく話題はこちら!


『大統領選挙における“敗北宣言”』について』


エリザベス:大統領選挙でアメリカのメディアが民主党のバイデン氏の当選確実を報じる中、トランプ大統領は敗北宣言を行うことを拒否、あくまで法廷闘争を続ける構えですが、身内や共和党内から敗北を認めるべきだとの声も出ています。


青木:ついに身内や共和党内からもそういった声が出てきたというのは影響を与えそうですか?


神庭さん:メラニアさんとかクシュナーさんとか身内からも「そろそろ敗北宣言を出したらどうか?」という声もあるようですけれども、それでトランプさんが辞めるか?というと、最後の最後までトランプさんは、居座ろうとするんじゃないかなというふうな気がしますけどね。認めようとしないんじゃないかなと思います。


青木:この『敗北宣言』というのは、アメリカ大統領選挙においては毎回あるものなんでしょうか?


神庭さん:伝統行事というかですね、選挙に敗れたら、“潔く負けを認めて相手を讃える”というのがこれまでのアメリカ大統領選の伝統で、『グッドルーザー』、“よき敗者”という言い方をするんですけども、そういったその姿をアメリカ人は期待しているという部分があります。一番最初、史上初めて敗北宣言をしたというのが、1896年、民主党のウイリアム・ジェニングズ・ブライアンさんが、共和党のウイリアム・マッキンリーさんに対して、電報で敗北宣言を送りました。これ以降もですね、通信手段が進化して、ラジオで言ったり、ニュース映画で伝えたり、今はテレビで会見したりというかたちで、メディアが進化しながらも、敗北宣言は伝統として続いてきたという感じですね。


青木:テレビで生中継されたのはいつなんですか?


神庭さん:テレビはですね、1952年ですね。


青木:選挙中は激しく互いに戦うわけですけども、選挙が終わったら団結するというのがアメリカですよね?


神庭さん:それが今までの、ある意味、古き良きというか、伝統だったわけなんですよね。今、過去形で言ってしまいましたけども、最近、Twitterで、今回のタイミングで“過去の敗北宣言”というものに焦点が当たっていまして、例えば、2008年の大統領選の時の“ジョン・マケイン候補の敗北宣言”がすごくバズっていました。


青木:私も見ました!


神庭さん:見ました!?これは非常に感動的なもので、オバマさんに負けてしまって、祝電を送って祝福をしたよというようなことを言った時に、聴衆からブーイングを受けるんですけれども、「やめてくれ」と、「そういうことはしないでくれ」と、オバマさんを祝福するだけではなく、「この国の繁栄のために次の大統領に善意を送り、共に集い、必要な妥協点を探し、異なる意見を持ちながらも譲り合い、協力をしてくれ」と、「どんな違いあっても、私たちはみんなアメリカ人だよ」というようなことを言って、連帯を呼び掛けた非常に感動的なスピーチなんですよね。それともうひとつ、ひとつ前の大統領選のヒラリー・クリントンさんの『ガラスの天井のスピーチ』というのも非常に感動を呼びました。なんて言うんですかね、負けっぷりの良さというか、負けたんだけれども、相手にエールを送って、「これからはひとつだよ!」みたいな事に対して、“潔くて良いね!”ということでTwitterで非常に話題になっているということなんですよね。


青木:それが歴史的な慣習と言いますか、伝統と言いますか、アメリカの良いところと見られていた部分でもあったわけですもんね。


神庭さん:そうなんですよ。でも、それを過去形で語らないといけないのが残念な部分でもあるんですけれども、マケインさんなんてつい12年前なんですよ、2008年。だけど、今の状況だとやっぱり、だいぶ変わってしまったなという感じがしていて、ひとつ思うのは、これをもってして、「敗北宣言の歴史があるんだよ、みんな潔く負けを認めてきたじゃないか」と、「なんでトランプさんは認めないんですか?」ということは簡単なんですけど、実際にはそれだけではダメだと思っていて、トランプさんに入れた7000万票があって、トランプさんは差別だったり、陰謀論だったり、悪いこともいっぱいあるんですけれども、ひとつ美点としては、アメリカのラストベルトの人たちの声なき声、分断をある意味、露わにしたというのがひとつの成果としてというか、功績としてあると思うんですよね。だから、それをバイデンさんが、「いや、分断なんてないんだよ」と、「アメリカはひとつなんだよ」と言うことで、ある意味、お為ごかし的に誤魔化すよりは、トランプさんが露わにした分断を、置き土産としてしっかり見据えて、それをどう乗り越えるのか?というようにやっていくのが良いんじゃないかなと思うんですよね。だから、トランプさんはある意味、敗北宣言をしなくていいのかなと。このまま突っ走って、史上初めてか分からないですけど、“敗北宣言をしなかった大統領候補”になるというのは、それはそれでアリなんじゃないかなと思います。


青木:トランプさんは今までの慣例、慣習を打ち破ってきたアメリカ大統領じゃないですか?そういった意味では、大統領選挙においてもそういう存在になりうる可能性があるということですよね?


神庭さん:最後の最後まで規格外で突っ走る方がトランプさんらしいというか、トランプさんが「ひとつのアメリカ」とか、「みんなで連帯しよう!」と言っても、「嘘つけ!」なるじゃないですか、多分。(笑)


青木:(笑)


神庭さん:だから、そこは一貫して欲しいですね。


青木:メディアが当確を時間をかけて打って、各国の首脳が祝電を送って、そして、共和党内、身内からも声が出て、外堀が埋まっているように見えるけれども、それでも、トランプさんは突き進むと!?


神庭さん:“それでこそトランプじゃないか!”という気もしますよね。


青木:う〜ん!!さて、どうなるんでしょうか?世界がトランプ大統領の動向に注目しています!



そして、今日の #アオコメ はこちら。




過去の #スズコメ #シゲコメ を音声でCHECK!!

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