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今、知っておくべき注目のトレンドを、ネットメディアを発信する内側の人物、現代の情報のプロフェッショナルたちが日替わりで解説します。

20.01.07

ネット上のヘイトについて

null今知っておくべき注目のトレンドをネットメディアを発信する内側の人物、現代の情報のプロフェッショナルたちが日替わりで解説します!!

今日、お話を伺うのは、ジャーナリストの古田大輔さんです。
古田さんが注目したネットの話題はこちら!


『ネット上のヘイトについて』

このニュースのあらましは…


川崎に暮らす在日コリアン3世の女性に対し、「極東のこだま」を名乗るTwitterの匿名アカウントが誹謗中傷を繰り返していたとして、川崎簡易裁判所は去年12月27日、神奈川県藤沢市の51歳の男に罰金30万円の略式命令を出しました。


鈴村:BuzzFeed Japanでも記事なっている話題ですね。まずは、どういった経緯で裁判になったんでしょうか?


古田さん:被害者は川崎在住の40代の在日コリアン3世の女性で、2016年3月ごろからずっと、「極東のこだま」と名乗っているアカウントから誹謗中傷を受けていたわけですよね。この女性がターゲットになった理由というのが、川崎で増えていたヘイトデモに反対する活動をしていたと。それに対して、「極東のこだま」がどんなことをしてきたかというとですね、2016年から17年にかけて数百件に渡って、「朝鮮を許さない」みたいな、彼女の実名を挙げて攻撃したりですね、「一番憎いのは在日」とか「朝鮮は死ね」と、ナタを買ってきて、刃物を使うぞ!とかですね、あらゆる脅迫をしていたわけですね、そこから裁判に繋がっていきました。


鈴村:これは怖かったでしょうね。警察の対応はどうしていたんですか?


古田さん:僕個人的には、ここまでするなら逮捕すればいいのにって思うんですけど、ただ、やっぱり、日本の現行法だと難しいところがあって、警察からは、表札を外してインターホンをオフにして、カーテンを閉めて暮らすようにと、女性側に一方的な負担がかかるようなことになっていたんですよね。それで、女性も本当に怖いから、マスクとかメガネで変装したりですね、家族と一緒にいて襲われるのが怖いから、家族と一緒に出掛けないとか、自衛策をとっていたと。それによって彼女のストレスがものすごく高まりますから、不眠とか難聴とかそういうのにも悩まされていたと。


鈴村:かわいそうですよね…。嫌がらせ、誹謗中傷を報告するとTwitterを凍結することができるというような話もあるにはあるじゃないですか?これはどうだったんでしょう。


古田さん:もちろん、彼女自身であったり、周辺の人たちも報告するわけですよね、ただし、そのTwitterの凍結というのは、Twitter社の判断になるので、そう簡単にはいかないわけですよ。Twitter社はこの数年に渡って、何度も厳しくこれからは見ていきますというアナウンスを出しているんですけれども、それでも不十分だという指摘も多くてですね、今回も、なかなかそれに応じなかったと。尚且つ、裁判するの時に重要なのが“その発信者というのが誰なのか?”という発信者情報。これをTwitter社が開示しないと、裁判に持ち込むのが非常に難しいんですよね。それが2016年から嫌がらせが始まって、ようやく開示してくれたのが2017年の8月だったと…。そこから先は、神奈川県警が男を特定して、捜索とか事情聴取に入っていったという流れになります。


鈴村:情報開示は難しいみたいですよね、いろいろとね、表現の自由というのもありますし、誰かを特定するっていうことは難しかったりするっていうのは聞いたことがありますね。今回のようなネット上のヘイト、これについて同じような裁判というのは過去にあったのでしょうか?


古田さん:ネット上のヘイトスピーチに関する裁判でこういう命令が出たというのは、今回が初めてのケースになります。


鈴村:あっ、初めてですか。


古田さん:だからすごく大きな意味があるんですよね。


鈴村:脅迫容疑では不起訴になったっていう話なんですけれども、理由は何なんでしょうか?


古田さん:これは先ほど言ったように、法律的に難しいという面があって、2016年に『ヘイトスピーチ解消法』というのが施行されているんですけれども、いわゆる理念法で“ヘイトスピーチを無くそうね、解消しようね!”ということで、罰則がないんですよね。以前、この番組でも取り上げましたけど、川崎市で去年、日本で初めて、差別的言動、ヘイトスピーチに刑事罰を科す『ヘイト禁止条例』ができたんですけれども、でも、これはネット上のヘイトスピーチに対しては対象外になっているんですよ。


鈴村:対象外なのか〜。


古田さん:これは何故かというと、表現の自由に対する脅威にならないようにというギリギリのバランスを取っている条例なので、まだそこまで踏み込めていないんですよね。


鈴村:う〜ん、なるほど。今後、どうなっていくんでしょうね。変わっていきそうですかね?


古田さん:世界的に流れを見ても、例えば、YouTubeで去年、ネオナチとか白人至上主義に関する動画は、もう公開させません!みたいな、BANしますという流れができたんですけど、ただし、それでもやっぱり、YouTube上に出ているんですよね。しかも、そういうものって最初にルールが強化されるのって英語からなんですよ。となってくると、日本語のは、まだまだ取り組みには時間がかかるだろうなって思います。


鈴村:その点のローカライズ問題っていうのもあるんですね。やっぱね。う〜ん…、何も言うことない気もするんだけどなぁ…。


古田さん:もうほんと一言いいたいのは、“人と面と向かって言えないことをネットに書くな!”ってことですよ。


鈴村:ホントですよね。



そして、今日の #スズコメ はこちら。







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