19.09.03
美術家・奈良美智さんのお話
今知っておくべき注目のトレンドをネットメディアを発信する内側の人物、現代の情報のプロフェッショナルたちが日替わりで解説します!!
今日お話を伺ったのは、ジャーナリストでBuzzFeed Japan シニアフェローの古田大輔さんです。今日の話題はこちら!
災害と死と分断の時代に、絶望する以外に私たちにできること
今日は古田大輔さんがインタビューした、美術家・奈良美智さんのお話をご紹介します。
鈴村:古田さん、まずは奈良さんがどんな方なのか教えてください。
古田さん:大きな目でこちらを見つめる、ちょっとにらんでいるようにも見えたり、悲しそうな表情にも見える小さな女の子の絵で世界的に有名な方で、今年60歳になられるそうです。見た目はキャップにTシャツで、もっと若く見えますね。青森県出身で、朴訥としたすごく優しい方です。
鈴村:なぜ奈良さんにインタビューしようと思ったのですか?
古田さん:今年の春、奈良さんはシリアの難民キャンプを訪問されたんですね。これは、紛争や災害からの復興支援に取り組む認定NPO法人「ジャパン・プラットフォーム(JPF)」の招待を受けてのものだったんですが、奈良さんのような世界的な美術家が、難民キャンプで何を見てくるのか?それにとても関心があって、そういうお話が聞きたいとインタビューさせていただきました。
鈴村:実際にインタビューされてどうでしたか?
古田さん:奈良さんは、ご自分が難民キャンプを訪問していたときの様子を、ご自身のInstagramやTwitterで公開されていたんですね。その写真がすごく印象的だったんです。僕も何度か難民キャンプに取材に行ったことがあるんですが、新聞記者などが取材に行くと、普通はキャンプの大変そうな様子を撮影したり取材したりするんです。ところが奈良さんが公開している写真は、家族でご飯を食べていたり、小さい子に絵を教えていたりと、一緒に楽しそうに過ごしている日常が写っていたんですね。それで、奈良さんはどういう気持ちでいて、何を感じたのかを伺ってみたくなったんです。
鈴村:古田さんも難民キャンプを何度も訪れていらっしゃるわけで、そこでの“ギャップ”が写真から感じ取れたということでしょうか。
古田さん:奈良さんの写真には子どもたちの笑顔がたくさん写っていて、僕自身も難民キャンプで子どもたちが楽しそうに遊んでいる光景を何度も目にしましたが、一方で、そこで暮らしているのは自分たちの故郷を追われた人たちで、この先の人生の将来像が見えない人たちなんです。なのでどこか閉塞感があって、僕にはそっちが目に付くんですが、奈良さんはそこで、自分と変わらない人間が日常を送っている姿の方に光を当てていて、そこが大きな差ですよね。
鈴村:古田さんは、奈良さんが何を見ていらっしゃると感じましたか?
古田さん:今回は対談形式で「僕はこういうものを見てきました」というのをお互いに話をする、という形でインタビューを進めたんですが、奈良さんがおっしゃっていたのは「僕が見ているのは一人ひとりの人間なんだ」という話をされていて、そういう見方をするのは、ご自身が青森県出身だということも深く影響しているとおっしゃっていました。日本の中でも比較的貧しい地域で育って、冬になると家族が出稼ぎに行くのが当たり前だった。日本の中にもそういう多様性があったし、奈良さんはドイツで12年間暮らしてらしたんですが、ドイツでも移民の人たちの姿を見てきて、「国民」とかで分けるのではなく、一人ひとりの人間が多様で、なおかつ共通点もあるんだよ。という話をされていました。誰にでも共感できる部分は必ずあるし、そういったところが相手と自分の立場を置き換えるきっかけになるし、そういった考え方が今の“分断の時代”を乗り越えるきっかけになるのではないか、という話をしましたね。
鈴村:なるほど。奈良さんのインタビューの模様は、BuzzFeed Japanでその記事を読むことができますので、そちらもぜひご覧ください。
そして、今日の #スズコメ はこちら。
"リポビタンD TREND NET” #スズコメ ? #ワンモ
— TOKYOFM/JFN『ONE MORNING』 (@ONEMORNING_1) September 3, 2019
今朝は【古田さんがインタビューされた #奈良美智 さんのお話】
奈良さんがシリアの難民キャンプに行かれているというところからお話を拾っていっていたんですが
印象的だったのは"一緒である”と。↓
#スズコメ ? #ワンモ
— TOKYOFM/JFN『ONE MORNING』 (@ONEMORNING_1) September 3, 2019
勝手なイメージで捉えてはいけない。
現地に行って見てきた人の目線をしっかり受け止めて
同じ人であるということその目線を大事にしなければいけないと改めて感じました。
すごくいい記事だなと思いました。